どの種族が勝利するのか、想像しながらご覧ください。あと、所々読みにくいと思います。
では、少し長めですが…本編をどうぞ!!
「お覚悟ーッ」
「フン!」
片手直剣を振り下ろしてくる褐色の肌を持つ
「ぎゃあ」
「あれぇ〜〜」
あたしへと次から次へと襲い掛かってくるプレイヤー達の斬撃をダンスステップを踏むように避けて、確実にカウンターを決めては、あたしの周りに倒れこんでいく他種族のプレイヤー達の脱け殻…HPが10%残っているので、脱け殻とは言えないけど。
そんなくだらないことを思いながら、切りかかって来たら避けて、斬りかかるを延々と続けていると後方でサポートに回ってくれている
「これは何かの時代劇なのかしら」
確かにこれは何かの時代劇と言われても仕方ない戦いだと思う。
あたしに斬りかかる前に律儀に「我は○○領の○○也。プーカ領、カナタお覚悟也」と言うのが当たり前となっている様で、あたしの周りがちょっとしたカオスな空間となっている。
まるで捨て駒のように溢れかえっているプレイヤーの戦闘着は選んだ種族よって代わってくる…髪や服装が赤基調なのは
“しかし、まさか仮想世界で時代劇が出来るとは思えなかった”
つい、口元を笑みの形に変えてしまうのは、あたしがよっぽどの"和"人間ということだろう。
“でも、好きな料理はオムライスなんだよな…。こういうところをシノは矛盾してるっていうのかな?”
まぁ、そんな事はどうでもいいとして…もう、参加者の三分の二くらい斬り捨てたと思うのだけども…。
明らかにプーカの有利なのだろうけども、このまとわりつく様な…なんとも言えない違和感というか、得体のしれないものに徐々に首を締め上げれる様なこの妙な感覚はなんなのだろうか?
“そういえば、ここまで斬り捨てた中にみんな居なかったな”
念の為に周りを見てみるとやはりみんなはいない。しかし、地面に伏せてるのって、赤や青、緑に茶色とか色とりどりだな。
“…あれ?”
色とりどりだ、な…?
そういえば、なんでこんなにも色とりどりなんだ?
この種族サバイバルバトルはそもそも各種族が協力するなんてないはずだ。何かの重要な理由がない限り------あっ…
「チッ!そういうことッ!!くそったれッ!!!」
あたしはあることを思いつき、悪態を吐く様に舌打ちすると襲い掛かってくるプレイヤー達をうっとおしそうに蹴飛ばすとセブン姫様とみんなに向かって走り出す。
「…なんでそこでライダーキック…。和が好きじゃないのか…」
なんか、後ろでそんな呟きが聞こえてくるけど、今は知らんッ!そんな些細な事に時間を割いている暇すらも惜しいんだから。
「姫様ァァアアアアアアアアアアアアアアアア」
「なっ!?カナタ!?」
うちの姫様は薄桃色の瞳をまん丸にしていた。
まぁ、そりゃそうか。自分に向かって血相を変えた仲間が猪突猛進の勢いで突っ込んでくるのだから。
しかし、姫様。今だからあたしのこの行いを許してほしい、あとプーカの勇者のみんなほんとごめん!!あたしが突進して押し倒せるのって、せめて二人しかいないから!!って…押し倒すと考えてる時点で犯罪者臭がする…。
つくづくあたしって---と考えていると黒いオーラが出てきそうなので、一旦ここで考えるのをやめて、今は姫様をお守りするのだけに集中しよう。
“もし姫様が酷い目にあったならば、イコールでスメラギ氏が激怒し、その怒り発散にあたしが使用されるだろう”
それだけは是が非でも避けたい。
「姫様、すいません!」
「ッ!?」
セブンに突進し、その場を離れた瞬間、降り注いでくる剣の雨にあたしが砂漠の上に押し倒している様な形になっている姫様が目をまん丸にしてる。
降り注いでいく剣の雨は器用にプーカの勇者達のHPを10%まだ削ると止む。
さっきのOSSはサウザンド・レイン。
本当は鍛冶に使う魔法を戦闘に用いた離れ業で作られたそのOSSを使うのは技名にも入っている通り、
“見た感じ…レインは居ないか”
ひとまず、姫様だけは救えた事に安堵の溜息をついて、真下にある姫様へと声をかける。
「姫様、怪我はありませぬか…?」
「えぇ、無いわよ…ありがとう…。……あと、顔が近い」
なんだが、うちの姫様が苦笑いを浮かべていらっしゃる上になんか顔がほんのり赤い?
ハッ!?
もしかして、毒っ気の含んだ刃にでも触れてしまったのだろうか?
「ひめ、さ…ま…っ、すみません…っ。あたしが付いていながら…」
「死んでないわよ。オーバーね」
あたしはその言葉に安堵していると、姫様がなんか言いにくそうにモジモジしている。
どうしたというのだろうか?
「そうですか…ならばいいのです。姫様はあたしから離れぬように」
本当に離れないで。離れて、セブンが他のプレイヤーに斬り裂かれでもしたら、あたしがスメラギ氏に斬り裂かれるから。
「えぇ、分かったわ。だから…その…」
「…その?」
「もう少し離れなさい!顔が近いわよ!」
あぁ、なるほどそういうことか。
「…姫様は照れ屋さんなのですね」
ニヤニヤしながらそうお茶目を最大限加えて言うあたしに何かカチーンときてしまったのか、見惚れるほどの笑顔でゾッとする事を言う姫様は本当に怖かった。
「そう、カナタはその身体に最上魔法の全ての属性を受けたいのね」
「いえ滅相も無いです」
凄まじいスピードで離れたあたしは呆れ顔の姫様に起こされ、残る他種族の中でも実力者となる仲間達との戦いに身を投じた。
τ
「…な、なんとか勝ったぁ…」
へたり込むあたしへと最後の戦闘相手であるキリトとフィリアが抱き起こしてもらう。
「あはは、お疲れ様だったな、カナタ」
「まさか、最後は自分の腕を盾にするとは思わなかったわ」
「まぁ…HPが10%切らなかったらいいわけだし、前後に挟まれてしまったならばどうにもならないからね」
疲れたようにそういうあたしのこれまでの簡単な軌跡を書くと、まず最初に突っ込んできたのが
リーファに怒涛の太刀筋を避けながら逃げる中、
そこから
「ああぁ…喉が痛い、ヒリヒリする…。あんなに歌を歌ったのは、初めてかも…」
喉を抑えながら、そう言うあたし。
姫様がサポートしてくれたとはいえど、足場の悪い砂漠をあんなに走り回ったのだ。
「あんなに過剰にあたしを守らなくても、あたしなら大丈夫なのに」
「姫様は何にも分かってないッ!御身に何かあればあの過保護ウンディーネにあたしが始末されるのですよ!?」
「所々、時代劇を挟んでくるのやめてくれる?何が言いたいのか分からないわ」
まず、姫様が無事で良かったというわけか…はぁ…もう疲れたよ。今日は早く晩御飯を食べてから、寝たい…って、今日は---
「…はぁ…」
---そういえば、今日はあの人に会う日だったな。
「折角勝ったのに、何辛気臭い顔してるのよ、カナタ!」
「ダッ!?」
「リズちゃん、叩く力強すぎるよ」
バッシンと背中を叩きつけられ、振り返るとそこにはリズベットとレインが立って居た。
「まぁ、そうだね。折角有言実行出来たんだから、喜ぶべきだよね」
この後の憂鬱な事は今は忘れよう。
今更、あの人に会っても何とも思わないのだから。
ということで、不思議なところで終わった今回の話ですが…次回のGGO編は陽菜荼が憂鬱と思っている人との待ち合わせから始まります。
短めの話となるかもですが、よろしくお願いします(礼)