GGO編こと《デス・ガン》編の2話目です。
今回はフェイタル・バレットに登場したあの方々が現れますっ!!
果たしてどなたなのか?
読みづらいと思いますが、最後までご堪能ください。
それでは本編をどうぞ!!
『ねぇ、陽菜荼。一緒にGGOをしない?』
あの日、そう詩乃に誘われた時はGGOーー《ガンゲイン・オンライン》の事は正直いうとそこまで興味はなかった。いいや、興味すらも湧かなかったとでもいうべきか。
それくらいあたしにとってGGOというVRは蚊帳の外だった。その理由はあたし自身が"洋"よりも"和"の方をこよなく愛する和人間であったから、もう一つがそのGGOというVRゲームの内容によるものだった。
ガンゲイン・オンライン。通称、GGO。
銃と鋼鉄が支配する世界の中で、プレイヤー達は最強のガンマーとなる為に日々腕を磨くというのがそのゲームのコンセプトらしく、それ故にPVーープレイヤーキルというのが推奨されていて、敵モンスター以外にプレイヤー同士の決闘っていうのがあるらしい。
別にその事に対して、どうのこうのとは思わない。VRはALOでも推奨されてるし、プレイヤー同士で刺激し合うのは自分の能力の向上にも繋がるって勝手ながらあたしも思うのところはある。
ならば、何故あたしはGGOに対して、興味が湧かなかったか? それはGGOはSAO・ALOが剣や魔法をメインアームとしたように、GGOは銃をメインとしたからだ。
銃ーーその三文字だけであたしはとある小さな町で起こった強盗事件を思い出す。その事件であたしの幼馴染が失ったものはあまりにも多く、今でも時折その出来事を連想させるものに関わると彼女は身体が拒否反応を示す。
故にあたしは彼女が嫌がるであろうGGOなるものは頭にも入れてなかったし、これから先も関わる事はないVRだと思っていた。
しかし、あの日詩乃があたしの目をまっすぐと見つめて言った。
『私も過去に立ち向かいたいの』
という一言に込められた決意を、想いを尊重したいと思った。それとこれは詩乃には口が裂けても言えないのだが、淡く微笑む笑顔にわんつーけーおー、してしまったというか。
まぁ、そんなこんなで詩乃ことシノンと共にGGOを始め、GGOをレクチャーしてくれる友人にも出会え、二人で危ないダンジョンに潜り、レア武器を手に入れたりだとか、そんなこんなであったという間に三ヶ月ちょいが過ぎた。
そして、今日は《バレット・オブ・バレッツ》ーーBoBの第2回目の予選トーナメントが開催され、あたしとシノンはそこに出ることになっていて、このGGOをレクチャーしてくれた友人と別れ、それぞれの更衣室に向かい、さぁ服を脱ごうと服に手をかけた瞬間に右頬に強烈な痛みが走り、下に向けていた視線を上に向けてみたらならば……そこに居たのは、顔を真っ赤に染めたピンクの髪をサイドテールにし、髪と同色の戦闘着に身を包んだ潤んだ水色の瞳を持つ少女が立っていた。
ワナワナ震えている少女に叩かれたあたしは無言でウィンドウを操作して、少女とその後ろにいる彼女の連れと思われる二人組にも自分の性別を見せた。
大丈夫大丈夫、全然凹んでない。シノンもさっき別れた友人も最初はあたしのことを最初に見た時は男って思ってたしって……シノンはあたしのことは現実で知ってるんだから、何故"やっぱり?"的な疑いの眼差しをあたしへと向けたのだろうか、さっぱり分からん。
そして、それを見た少女は真っ赤だった顔を瞬時に青ざめさせ、続けて紅く染めて、最後に青ざめさせた。
次々と変わっていく少女に視界に収めつつも端には我が恋人は何故かあたしへと鋭い視線をおってらっしゃっる、全然意味わからん。
「ご、ごめんなさいごめんなさいっ。あたし、女の人だって分からなくて…それで、本当にごめんなさいっ!」
必死に頭を下げる少女にあたしは両手を横に振る。
「あぁ。いいって、いいって。普通は…っていうか、こんな女性いないもんね、うん…自分自身でもわかってるからさ…」
そう、目の前にいる彼女が間違えてしまうのもうなづけるのだ、あたしの今の容姿は。
《F九〇〇〇番系》
このGGOという世界に身を投じて、初めて手にしたアバターの番号がそれらしい、らしいっていうのはやけにしつこくアバターを売ってくれと頼んできたお兄さんが言ってた事だからあまり
まぁ、そんなことはいいとして……このF九○○○番系は客観的に見てもどう見ても"男性"にしか見えないのだ、あたしも初めて自分自身を見た時は絶句したほどなのだから。
短めに揃えられた銀の髪はうなじの所で軽く結ばれ、現実と同じく蒼い瞳は彫りの深い凛々しい……いいや、いっそのこと雄雄しい顔にはめられている。背はこれまた現実と同じで170センチか180センチくらいで、細マッチョというのだろうか……安易な黒いTシャツから出ている焼けた肌には細いながらも筋肉がついている。
うん、改めて思うけど、こんな女性いないでしょうな…あはは…。
「……鼻の下ばっか伸ばして、ヒナタのバカ」
「ーー」
むぅ…鼻の下を伸ばした覚えも何もないのだが、うちの恋人殿が何かに機嫌を損ねていらっしゃる様子である。全くもって意味が分からん。
後でそれとなく理由を尋ね、フォローしつつ機嫌を取ろう。そうしないと、あたしが決勝まで生き残り、その相手が恋人殿だった場合、彼女の相棒である《PGM・ウルティマラティオ・ヘカートⅡ》によって始末されるであろう。
因みに《ヘカート》はギリシャ神話の冥界を司る女神の名前から取られているらしく、思わず"怖い時の詩乃にぴったり〜"と思ってしまったのもGGOを始めた理由と共に口が裂けても言えない。
兎も角、このひたすら謝り続ける少女をどうにかしなくては、外で待ってくれている
「まぁ、ここで会ったのも何かの縁だしさ。君と…その後ろにいる二人の名前も教えてくれないかな?
あたしはネームカードにもある通り、名前は《
それで、と隣に立っている水色の髪をショートにし猫のようなつり目がちな藍色の瞳を持つ小柄な少女をあたしは左手を向けて指す。
「彼女はあたしの友人の《
さて、あたし達は名乗ったけど、君たちのことはどう呼んだらいいのかな?」
にっこりと笑うあたしの横から囁かれる恋人殿の氷のように冷たい一言。
「…………ヒナタって、女の子となると無性に優しくなるのね。この女たらし」
別に女の子だから優しく接してるとかじゃなくて、いつまでもここで
彼律儀だから、あたし達が来るまでずっと待ってそうだしさっ!?
あと、最後の絶対零度の声音で呟かれた"この女たらし"は開いてはいけない扉を開けてしまいそうなので、もう言わないでください。
この胸の痛みとあの扉を開くのとどっちを優先すればいいか迷ってしまいそーーあれ? 詩乃がいつになく引いてる。
「ーー」
あと、だからなんで引きながらもそんな疑いの眼差しを向けてくるの……あたしはこの世界に来てからというもの、常に詩乃の側にいたでしょうが。
浮気? 的な行為を取って覚えもない、なのになんでこうも厳しくあられるのか……理不尽極まりない、いやこれも日頃の行いか。
「……マスター。ボク、この二人の名前どこかで聞いたことある」
「……そうかしら、マフー? ワタクシは聞いたことはないですよ」
なんかコソコソと後ろで話されているな、あの二人組は。それで、ピンクの彼女はというとーー
「ーー」
水色の瞳と可愛らしく整った顔立ちは惚けており、ボゥーーとあたしとシノンを交互に見た後、次の瞬間ズザザザーーッ!!? とあの二人組のところまで下がり、コソコソ話に加わる。
「……ねぇ、スキアにマフユ。あの人たちってもしかしてカナタさんとシノンさん?」
「……そうでしょうね。本人がそう言ってるですから」
「……クレハはもっと人の話を聞くべき」
「……って事は。スキアとマフユは知ってて、あたしを焚きつけたの!?」
「……マスターもボクも焚きつけてはない。クレハが勝手にあの人につっかかっていって、勝手に自滅しただけ」
「……マフーの言う通りですわね。クレハは勝手に自滅しただけですわ」
「……なんで二人揃ってあたしを責めるの!?」
なんかあの三人組、かなり話し込んでるみたいなんだけど……さてさてどうするか。
頭をかきつつ、もう既に戦闘着へと着替え終わっているシノンに引き続き、あたしも戦闘着へと腕を通す。
黒いTシャツを脱いで、黒いワイシャツにして上から赤いロングコートを着てから……赤い長ズボンを着てから、と。
そうこうしていると、あの三人組のコソコソ話は終わったらしく、三人が並んであたしの前に並ぶ。そして、目の前に差し出されるのはネームカード。
まずはあたしを引っ叩いたピンクの彼女の名前は《
その横にいる少女はそのクレハという少女に比べると、古風なお嬢様というか…大人っぽいクールな印象を受ける。
名前は《
肩を少し越すくらいの黒髪に凛々しい顔立ちにはまる切れ長な瞳は髪と同色で、女性らしい曲線美を描く身体を包み込むのはフリフリが多くあしらわれたゴスロリ衣装は膝下まであり、そこから覗く華奢な両脚も真っ黒なストッキングが包み込む。
そんなスキアと呼ばれる少女の一方後ろに佇むのは、黒い髪を肩のところまで伸ばしており、長めの前髪が同色の瞳を隠している小柄な少女で……真っ黒な彼女と違い、その小柄な身体をすっぽり覆う真っ白を基調としたフード付きパーカーを羽織っている。
そんな少女だけは他の二人と違い、ネームカードがないようだがーー
「ーーで、スキアさ、ん…? の後ろにいるその子の名前は?」
「マフユ」
あたしが聞いた瞬間、ボソッと呟かれるその真っ白な少女の名前。
余りにもボソッと呟かれ、余りにも声音の音量が小さかったために、思わず素で書き直してしまったが、そんな不躾なあたしをチラッと見た後に真っ白な少女は今度ははっきりと呟く。
「はい?」
「ボクの名前はマフユ。それがマスターがボクに付けてくれた名前」
「あぁ、マフユさ、ん…っておっしゃるんですね、はい」
今度はあたしが勢いよくシノンへと振り返り、ズザザザーーッ!!? とシノンへと駆け寄ると耳打ちする。
「……ねぇ、シノン。これって? なんでマフユってスキアのことをマスターって言ってるわけ? スキアにはそういう趣味があるわけ?」
「……一週間前くらいに大掛かりなアップデートがあったでしょう? そこで貴重なサポートAIであるアファシスが入手出来るようになったの。私とあなたは其々の都合で参加出来なかったけどね。
恐らく、マフユさんはそのアファシスなんじゃないかしら? 私の憶測でしかないけど」
「……流石シノ愛してるぅ!」
「……そんな安い愛してる。いらないわ」
あたしの愛してるをクールに切り捨てたシノンはマフユとそのマフユのマスターであるスキアを交互に見る。
その視線に気づいたのか、スキアはチラッとマフユを見た後でコクリとうなづく。
「シノンさんの視線の通りでございますね。ここにいるマフユはあのアファシスでございます、タイプも珍しいらしくてーー」
「ーーちょっ、スキア!?そんな事を言っていいの!?カナタさんとシノンさんがあのジョーみたいな人だったら」
「カナタさんはまだしも、シノンさんは誤魔化せそうにないですから」
やんわりと微笑むスキアに疲れたように頭を抱えるのはクレハ。
そして、あたしとシノンの方を見てくる。
「あたしはそのアファシスとやらに興味はないし、君たちが大事にしてるその子を盗もうなんて思わないよ」
「私もカナタと同じよ」
あたしとシノンの言葉に安心したように息を吐くクレハにスキアとマフユは首を傾げる。
どうやら、この二人はなぜクレハが安心しているのか分からないらしい、そういう天然なところが似ているのかもしれない。
「と、そろそろ行かないと。彼に悪いね」
「そうね」
あたしとシノンはうなづきあい、三人へと左手を差し出す。
その二人の掌ーーマフユをのけたスキアとクレハの掌があたしとシノンの二人の掌に重なり、四人は笑い合う。
「決勝で会おう」
こうして、第2回BoBが始まったのだった……
というわけで、第2BoBが始まったわけですが……今回初登場した人物と簡単となるでしょうが、シノンとカナタのことを書いて行こうと思います。
次回のBoB予選トーナメントの勝利者予想にお役立てください(ぺこり)
【GGOアバター早見表】
※イメージというのは、そのキャラを思い描く際に参考にしていただきたいキャラクターの事です。
◆Kanata/カナタ
#容姿#
真っ白なショートヘアだが、うなじの所だけ少し長め髪を縛っている。
現実と同じで蒼い瞳。
雄々しい顔立ちで肌や少し焼けている。
細マッチョという感じで、焼けた肌にはしっかりと筋肉がついている。
身長は170〜180㎝。
#衣装#
真っ赤なロングコート(左側に、橙の『
真っ赤な長ズボン(ロングコートと違い、右側に橙のツートン模様がある)
黒いワイシャツ
黒いブーツ
真っ白なマフラー
#メイン#
通常 : アサルトガンorサブマシンガン
奥の手 : ???
#サブ#
ハンドガン
#戦闘スタイル#
ALO・プーカで培ったひたすら避け、強烈なカウンターを決めるスタイルを貫く。故に耐弾アーマーは基本装着しない。
#イメージ#
『Fate/stay night』の『アーチャー』
◆Sinon/シノン
#容姿#
鮮やかな水色のショートヘアー、輪郭を隠すように二つの房がある。
猫……豹を想わせるつり目がちな藍色の瞳。
人形のような愛らしさと美しさを持つ。
真っ白な肌。
小柄。
#衣装#
深緑のジャケット
白と黒のスーツ
真っ黒な短パン
真っ白なマフラー
深緑のブーツ
コンバットブーツ
#メイン#
スナイパーライフル
名/PGM・ウルティマラティオ・ヘカートⅡ
#サブ#
ハンドガン
#戦闘スタイル#
最長2000メートルからの狙撃、遠くからの狙撃を得意とする。
◆Skia/スキア
#容姿#
肩を少し越す程の黒髪。
少し切れ長な黒い瞳。
顔立ちは凛々しい。
身長は平均。
真っ白い肌。
大人っぽい雰囲気を漂わせる。
#衣装#
フリがたくさん付いた膝下まである真っ黒なゴスロリ衣装
真っ黒なタイツ
足首のところにベルトをする形をとる真っ黒なローファー
頭の上に白いフリルがついたカチューシャ
真っ黒な耐弾アーマー
#メイン#
ショットガン
#サブ#
アサルトライフル
#戦闘スタイル#
#イメージ#
『魔法少女育成計画』の『ハードゴア・アリス』
◆Mafuyu/マフユ
#容姿#
肩にかかるくらいの黒髪
少しつり目がちな黒い瞳
顔立ちは可愛らしい系統
幼児体型
身長は小柄
#衣装#
小柄な体型を包み込むような真っ白なパーカー(FBのプレミアが着用していた色違い)
真っ白なスニーカー
真っ白な耐弾アーマー
#メイン#
グレネードランチャーorロケットランチャー
#サブ#
アサルトライフル
#戦闘スタイル#
マスターであるスキアが苦手とする遠距離からの攻撃を得意とする。遠距離からの攻撃と援護を得意とする。
#イメージ#
チモシーさん作『軌跡〜ひとりからみんなへ〜』の『狭山真冬』
◆Kureha/クレハ
#容姿#
ピンクの髪をサインテール
少しつり目がちな水色の瞳
適度に整った顔立ち
身長は平均
#衣装#
白とピンクを基調としたジャケット
黒いTシャツ
白のミニスカート
ピンクと黒のニーソックス
白いロングブーツ
#メイン#
ロケットランチャー
#サブ
ハンドガン
#戦闘スタイル#
ロケットランチャーにて小さな敵を粉砕し、強い衝撃を与える。
以上、GGOアバター早見表でした!!
※シノン以外のメンバーの武器はのちのち明かしていこうと思います。また、私が勝手に想像して書いたものもあるので、本編と違うものもあります。
【この話を更新するに至っての御礼】
今回、登場させていただいたオリジナルキャラ『"スキア"と"マフユ"』は、この小説を書き始める以前から仲良くさせていただいているチモシーさんから頂いた案によって完成したキャラクターです。
また、"マフユ"の方はチモシーさん作の『軌跡〜ひとりからみんなへ〜』の『狭山真冬』というキャラクターを許可を頂いて、私なりに彼女を描かせて頂いたものです。
この場を貸して、御礼申し上げます(土下座)