白竜の骨を見つけるところまで進めようと思います!
では、本編をどうぞっ!!!
【洞窟の中の大きく開けた所】
「おぉ〜っ!!?」
薄暗い通路の中を進んでいる中で目の前に広がった光に吊られるように走り出したあたし達を迎え入れたのは、 どこまでも広い…ただ広い空間だった。
ここが洞窟である事を忘れてしまうくらいに巨大な空間は町にある教会の広場を軽く
広い空間は円型に
白い靄がたなびく湖のそこかしらからは、あたしの背丈の倍あるくらいの六角柱があちらこちらから突き出ている。
その柱へと歩み寄り、覗き見れれば…その大きさと美しさに心が感動で溢れるのが分かった。
その不思議な柱は、昔ユージオとキリトの天職の前任者であるガリッタお爺さんに見せてもらった水晶の原石のようだと思えた。
“でも、こっちの方がすごい綺麗…”
覗き込むあたしの顔を映し出す濃い透明な青い表面はユージオを握り締める草穂が放つ神聖術の光を吸収して、薄暗いドーム型の不思議な空間をぼうっと照らしている。
照らされた辺りを見渡してみると、この柱は中心部に向かうほどに数を増しているようで、そのおかげで真ん中が見通せない。
「……氷だ」
そう、氷。
周囲の壁も、足元の凍りつく湖も、この不思議な六角柱も何もかもが氷で出来ているのだ。
それに気づいた瞬間、あたし達は暫くその場に立ち尽くしていた。
きっちり、10分間。
肌寒さも忘れて、立ち尽くしたあたしの耳へとアリスのつぶやきが聞こえる。そのつぶやきに答えるあたしの声が震えているのは寒さでなく、こんなにたくさんの氷を見つけた事による興奮だと思ってほしい。
「……これだけ氷があったら、村中の食べ物を冷やせるわね」
「それどころか、暫くの間村を真冬にだって出来るよ」
「な、もっと奥まで進んでみようぜ」
キリトのその提案にあたし達はうなづき、中心部に向かって歩き出していった。
トコトコと歩いている中、思い出すのは《ベルクーリと北の白い竜》という町の子供なら誰もが知っている伝説だ。
ベルクーリが辿ってきた道をあたし達は歩いてきた…村の東を流れるルールの上流に向かい、見つけた洞窟へと足を踏み入れて、一番奥の大広場まで辿り着いた。
そこから先は、人界の東西南北を守護すると伝えられている巨大な白竜が居て、その足元に広がっていたのは大小様々な財宝でベルクーリはその中から一本の美しい剣を見つけ出して、どうしても欲しくなったその剣に触れて、とんずらしようとした時にーーというのが大体の伝説のあらすじだったと思えるが、ならばこの先に居るのは巨大な白竜という事になる。
“すっごいドキドキするな”
伝説でしか聞いた事ない白竜に会えると思うと溢れ出してくる好奇心が抑えきれない。
なので、ニヤニヤと口元を緩めるあたしはボソッと呟くとその呟きを聞いたユージオがあたしへと問いかけてくる。
穏やかな印象を与える黄緑色の瞳をあたしと同じで好奇心でキラキラと輝いている。
「……もしかしたら、この先に白竜が居たりしてね」
「カナタもそう思う?」
「というと、ユージオさんもそういう展開を期待してたりするクチですか?」
「まぁね。………財宝の一つでも持ち帰ったら、村長が天職を変えてくれるかもしれないし」
モジモジしながらそう言うユージオへとあたしはニヤニヤを強めるとアリスと繋いでない左肘で"この〜この〜"という意味を込めて、ツンツンと横腹を突く。
「ユージオくんはいつでも一途ですな〜ぁ」
チラッとアリスを見てたらそう言うあたしにユージオは顔を真っ赤に染めると声を荒げる。
「……なっ、バッ……そんなんじゃないからっ」
「照れなくたっていいじゃん、もう誰にだってバレてるんだからさ」
あたしに横腹を突かれているユージオはその為、先を歩くキリトが突然立ち止まった事に気付かなかったのだろう。
どっしーんとキリトの背中へと顔をぶつけたユージオは鼻頭を抑えながら、キリトを睨む。
「…突然、立ち止まるなよキリト」
「……なんだよ、これ」
しかし、ユージオの声が聞こえないように勝気な黒い瞳を
「……へ?なにこれ」
ーーーー骨の山だった。
全てが青い氷で出来たその骨は、硬質な輝きを放っており、まるで水晶のようにも思える。ひとつひとつが余りにも大きな様々な骨が重なり合うように身を寄せているので、あたし達の背丈を遥かに超える山になっていた。
その骨がなんの生き物のものかは、一つの骨でわかった。
大きく開いた
つまり、この骨はーー
「ーー……白竜?」
「死んじゃったの?」
あたしとアリスが小さく囁くとキリトが近くにある骨を見る。
「あぁ、死んでるんだろうな。でも、普通に死んじゃったんじゃない、ほら」
そう言われ、指出されたものを覗き見ると表面に細長い線が複数が付けられており、よくよく見ると先の方が欠け落ちている。
「何かと戦ったということかな。……でもーー」
「ーー竜を殺せる生き物なんていないよね……」
あたしの疑問はアリスとユージオも感じているようだった。
《北の白竜》といえば、世界を囲む果ての山脈の各地に住み、闇の勢力から人界を守る、世界最強の善なる守護者の一匹だったばすだ。そんな生き物をどんな生き物が殺し得るというのだろうか…?
“…いや、これはーー”
しゃがみこみ、青い爪をなぞったあたしは蒼い瞳をまん丸にする。
人差し指でなぞった爪の表面は生き物で
「ーーいいや、これは生き物と戦って出来た傷じゃない。これは……もしかして、剣で出来た傷なのか……?つまり、この竜を殺したのはーー人間」
「……へ?でも、そんなことありえないわ。だって、央都の御前大会で優勝した英雄ベルクーリさえ逃げることしか出来なかったのよ。そこいらの剣士じゃ、そんな大そがれた事が出来るわけーー」
そこまで口走ったアリスは一瞬口を閉じると小さく息を吸い込み、畏れに満ちた声で囁く。
「ーーもしかして……整合騎士なの……?公理協会の整合騎士が、白竜を殺したの……?」
アリスのその呟きは余りにも大そがれていた。
だって、法と秩序の究極的体現者である整合騎士とは白竜と同じくらいに善の象徴であるのだから。
なのにどうして、人界の守護者である整合騎士が同じく人界の守護者である白竜を殺すのか…?
全くもってわからない。
「…キリト」
「俺だってわからない」
キリトへと視線を向けると首を力無く横に振るを見て。あたしは力無く目の前にある巨大な墓場を見つめるのだった。
次回は、ダークテリトリーのシーンを書こうと思います!
また、無理なく連続更新する為に約二千文字程度で書き進めていこうと思います!