SAOロスを埋めるために、前半戦のアリゼーションを見直しながら…思うのは、10話のライオスとウンベールのあまりの酷さに嫌悪が周回回って、つい笑っちゃうってことですかね。
ほんと、このシーンどうしようかな…カナタ…(笑)
あと、カナタの側付きの子と先輩を誰にしようかと…んー、オリジナルの方がいいかもな…。
でも、原作キャラとも絡ませたいですもんね…んーと、悩みどころです(激悩)
と雑談を挟んでしまいすいませんでした!
では、本編をどうぞ!!!
【洞窟の大きく開けたところ】
暫く、目の前の白竜の骨が織り成す大きな墓場を見ている中、視界の端で猛スピードで走り出す藍色の風が見え、あたしがそちらへと視線を向ける前には彼と同じ天職を受けた彼の自他共認める親友であるユージオが亜麻色の髪を揺らしながら、彼の後へと続く。
「…!」
「キリトっ!何をしてるんだよ」
「あぁ、ユージオ。これを見てくれ」
「…あっ、それって!」
呆れ声を漏らしながら、まだ戸惑いで放心状態であるアリスを引っ張って、男性陣のところへと歩いて行くとそこには二人掛かりで何かを引っ張り出そうとしているヤンチャっ子が居た。
「何してるんだよ、二人とも…。あ、アリス、そこにコインあるから転ばないように気をつけて」
もしかしたら、善の象徴である白竜と整合騎士が対峙していたかもしれないという衝撃な事実に対面しているあたし達はこの世界の仕組みに触れようとしているのかもしれないのに。
それなのに、このヤンチャボーイズ達はその世界の仕組みという心震える題材よりも目の前の財宝の方に目がいってるらしい。
「本当に何してるの」
空のように透き通った蒼い瞳が周りにある氷のように冷たい色を含みつつあるのを感じたのか、ヤンチャボーイズは冷や汗を流しながら、あたしとアリスにも見えるように引き摺り出そうとしているナニカを見せる。
“…?それってーー”
そのナニカを見て、反応を返したのは今まで放心状態であったアリスだった。
まん丸な青い瞳を更にまん丸にするとヤンチャボーイズの近くへと今度はあたしの手を引きながら歩いて行く。
「ーーこれって…あの…ベルクーリのだよね?」
「…は? ベルクーリ?」
何故、この場面で英雄様の名前が出てくるわけ?意味がわからん。
そんなあたしのアホヅラを見たのか、アリスがため息をつきながら"やれやれ"と肩をすぼめる。
「もうっ。カナタって本当おバカなんだから」
おぉー…いきなり、アリスお嬢様におバカ判定されてしまった。
でも、なんでだろ。
アリスに"バカ"と罵倒されても、何故か嫌な気がしなくて…もっと欲しいって思えてきてしまう。ふむ、誠に不思議な感覚だ。
「なんか、カナタから邪な気配を感じるわ…」
急に顔を強張らせたアリスがあたしと繋いでいた手を離そうとするのを不思議そうにキョトンとした様子で見ているあたしを見たユージオはキリトと一緒に引っ張り出したナニカを指差す。
「あはは…。カナタ、よく見てよ」
よく見てみろって…言われてもなぁ…んーーっ。
ユージオが指差す方には一振りの長剣が転がっていた。
青白い革の鞘に、白銀色の柄を持つその長剣の柄の各所には
“だがしかし、それだけであたしはこれをあの伝説で聞いたことはない”
「カナタも目をキラキラさせて、いつかは欲しいっていってたよね?」
そこまでヒントをもらったあたしは蒼い瞳をキラキラさせる。
「もしかして、これの剣がベルクーリが持ち帰ろうとした綺麗な剣…あの《青薔薇の剣》なの!?」
「だろうな。しかし、なんでこの白竜を倒した何者かはこの剣を持ち帰ろうとしないのだろうな」
今まで黙っていた黒髪黒瞳を持つ幼馴染・キリトとユージオがもう一度持ち上げようとするがその華奢な見た目から想像できないくらいに重いらしい。
「はぁ……駄目駄目」
「これ……おもいよ」
「そんなになの…?」
あたしもしゃがみこみ、持ち上げようとするがピクともしない。
っていうか、重ォオオオ!!?
血管が浮き出るほどに力むあたしにキリトが"あはは…"と笑う。
「俺らじゃ無理さ。きっと村まで運ぶのには三年か五年くらいはかかるんじゃないか?」
「……まあね。それにこの剣もだけど…他の財宝も……」
「……うん、持ち帰ろうとは思えないわね。なんだが墓荒らしのようだし」
そう結論づけたあたし達は目的通り、氷だけ持ち帰ることにした。
近くにある氷のつららに歩み寄り、その根元から新芽のように無数に伸びる小さな氷の結晶を靴で蹴飛ばすと、ぽきんと心地よい音と共に砕けた塊をアリスの殻になった藤かごへと詰めこむ作業を夢中で行ったあたし達はものの数分でカゴをいっぱいにすることが出来た。
「よい…しょ、っと」
掛け声と共にバスケットを持ち上げたアリスは腕の中にある光の群へと見入っている。
「…きれい。なんだか、持って帰って溶かしちゃうのが勿体無いわね」
「そうだね」
何処か薄暗い部屋の中で光るカゴの中のある氷はまるで一つ一つが水晶のようで幻想的だと思う。
しかし、近くにいるキリトはなんでもないように言う。
「それで、俺達の弁当が長持ちするならいいじゃないか」
キリトの即物的なセリフにしかめ面を作ったアリスはぐいっと黒髪の幼馴染へと籠を押し付ける。
「へ、帰りも俺が持つの?」
「当たり前じゃない。これ結構重いんだから」
「重いって、それならカナタと半分ずつ持ったらどうだ?」
「お?あたしを掛け合いに出すのか、キリト?」
「まあまあ。キリト、僕と交互に持って帰ろうよ。ーーそれよりもそろそろ帰らないと、夕方までに村に帰らなくなるよ」
確かにユージオの意見も一時ある。
ということで、一旦アリスとあたしで半分ずつ待つことにしたバスケットからキョロキョロと視線を辺りに向けると顔を見合われる。
「えーと、あたしらってどっちから入ってきたんだっけ?」
そう、中心部にあるあたし達を挟むように後ろと前で大きな穴が空いているのだ。
顔を見合わせたあたし達はそれぞれ思う入り口の方へと自信満々に指差すのだった。
次回は、ダークテリトリーを超えるシーンまで進みます。