sunny place 〜彼女の隣が私の居場所〜   作:律乃

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何ヶ月も更新を休止してしまい、すいませんでした(高速土下座)

そして、更新初となる話はタイトルにもあるように【ネタバレ喚起(かんき)】とあるように、止まってしまっている話から随分と物語が進み、佳境となっているところとなっており、ネタバレ満載の内容となっています。

もう追いつくのは絶望的ですので、フライング更新でアニメ版まで追いつくように主筆し、止まっている話もサボった分、がんがん更新していこうと思ってます。

こんなにも待たせてしまった上に我が儘な事をしてしまい、本当にすいません(深く頭を下げる)

こちらはフライングですので、前書きと後書きは基本なしになり、アニメ【WoU】の感想は止まっている方にて書かせていただこうと思ってます。

最後の最後に『ネタバレは嫌だ』『のんびりでいいから、時間軸通りにストーリーを楽しみたいや』と思われる方はお手数ですが回れ右をしていただき、再開するのはもう少々お待ちください(土下座)

それでは、長くなってしまいましたが………アンダーワールドでのカナタの、そしてキリトくん・ユージオくん・アリスちゃんの最後の戦いを見守ってください。

では、本編をどうぞ(リンク・スタート)!!


【★】カランコエを添えて001 ※ネタバレ喚起(かんき)



ネタバレ喚起(かんき)※ネタバレ喚起(かんき)※ネタバレ喚起(かんき)※ネタバレ喚起(かんき)


 

【公理協会 100層《神界の間》】

 

人界暦三八〇年五月。

《神界の間》と呼ばれるその広場の天井はドームのようになっており、有名な画家に描かせたような美しいアンダーワールドの風景、そして三人の女神が描かれていて……その美しい壁絵を更に幻想的と思わせているのは、夜空に浮かぶ星のようにランダムに配置された無数のクリスタルのようなものだろう。

そんな天井に覆われた広い広場には本来ならば真ん中にポツンとワインレッドと黄金を基調としたダブルベッドが鎮座しており、そのベットの上には公理協会、そして人界を()べる《アドミニストレータ》が身体を休めているのだが……今はベッドのベの字もなく、ものけの空となった広場の中央、ヒヤリと無機質な冷たさを感じるホールへと白粉(おしろい)を付けた丸顔を擦り付け、全身全霊な土下座をしている赤と青を基調とした道化師のような服を着込んだ小太りな男がいた。

その男、チュデルキンは興奮かはたまた土下座している先で空中で優雅に足を組んでいる主人へとお願いをするという光景に緊張しているのか、震える声でもしっかりと自身の私欲を口にする。

 

「小生、元老長チュデルキン、猊下にお仕えした永の年月におきまして初めての不遜なお願いを申し上げたてまつりまするぅ!! 小生これより、身命を賭して反逆者どもを殲滅致しますゆえっ! それを成し遂げた暁には、猊下のっ! げっ、猊下のぉぉっ、尊き御身をこの手で触れっ、口付けしっ、い、い、一夜の夢を共にするお許しを、なにとぞ、なにとぞ、なにとぞ頂戴致したくぅぅぅぅぅぅッ!!」

 

“な……”

 

"何いってんだ、この小太り道化師(ピエロ)ッ!!? "という言葉すらも言えない程にあたしは口をあんぐりと開けたままにその場に硬直する。

開いた口が塞がらない––––その(ことわざ)はまさにこの事を言うのだろう。

 

「……ねぇ、アリ。アレ何言ってんの」

 

突然奇行に走る小太りピエロに対して思った感想を隣でチュデルキンとアドミニストレータの攻撃や術式の奇襲に備えて、《金木犀(きんもくせい)の剣》のグリップを利き手で握りしめている目が冴えるほどに美しい青と金色の軍服と鎧で華奢な体躯(たいく)を包み込んでいるアリスへと思わず耳打ちしてしまう。

 

「バカなの? いや、アホ……ううん、バホなのか。それも人界一に違いない」

 

ああいう人種ってどこにでもいるんだね……思わずあの二人を思い出してしまったじゃないかっ……あ、生理的な嫌悪のせいか、身体が既に拒否反応を起こしてる。

ゾゾゾ……と悪寒が背筋を走り抜け、眉をひそめるあたしを見て、既にチュデルキンへの拒否反応が出てしまっている事を感じ取ったアリスは同じく形の良い眉を心底嫌そうに潜めると耳打ちしながら、床にひたいを擦り付けて必死にアドミニストレータへとおねだりしている元老長を指差しているあたしの左人差し指へと右手を添えてからそっと下へと下げる。

 

「……カナタ。指を指してはいけません。あやつの愚さ……いいえ、あなたの言葉を借りるならば、人界一のバホが移ってしまいますよ」

「うわぁっ!? ばっちぃ……。アリ、えんがちょして」

「え、えんがちょ? この重なったところを切ればいいのですか?」

 

心底嫌そうにその場から飛びのいてから急いで右人差し指と左人差し指を重ねてから自分の方を振り向いてくるあたしの顔と重なり合う指先を暫し見つめた後、戸惑いがちにスットンと黄金の籠手(こて)に包まれた手刀が通るのを近くで見ているのはこういう時なのに緊張感がまるでない行いをするあたしの右横で並びあって、失笑を浮かべている黒い布地に微微たる白の布地、黄金の線が走る騎士服を着込んでいるキリトと青い布地に白い布地と線が走る騎士服を着込んでいるユージオ……そして、さっきから散々な言われような元老長であるチュデルキン、その人だ。

真っ白でまん丸な顔を激昂(げっこう)で染め上げ、真っ赤っかにしてからえんがちょした後でも今だに悪口をこそこそ……といっても聞こえるように言い合っているアリスとあたしを振り向きざまに指差す。

 

「30号、31号聞こえてますよぉ!! さっきから黙っておれば小生の事をアレやバホとよくも侮辱してくれましたねッ!」

「いや、誰だってあんたみたい(クズ)になりたくないじゃん……ばっちいし……やっぱ、ばっちいし……」

 

ぶらぶらと両手を振りながら、そう言うあたしのことがよっぽど気に入らないのだろう、まん丸な顔へと血管が浮き出ており、誰が見ても彼が忿怒(ふんぬ)している事が分かるだろう。

 

「き、貴様ァァァァ!!!! 猊下を裏切ったばかりか、元老長である私も裏切ると言うのかァァァァ!!! 出来損ないの人形の癖にッ!! 命令一つもろくにこなせない出来損ないの分際でェェェェェェ!!!!」

 

激怒に身を任せ、ホールに響き渡る程の子供じみた怒声を喚き散らすチュデルキンの叫び声をあまり聞きたくなかったあたしは両耳を塞ぐとふて腐れたように言う。

 

「あー、あー、うっさいなぁ、もう……。だからさっきからそうだって言ってんじゃん。それにあんたらの元に戻ってきた時からのあたしの心はいつも一つ––––」

 

塞いでいた両耳を下ろすと右腰にぶら下げていた《泉水(せんすい)》の柄を握りしめながら、宙で優雅に足を組み、こちらを見下ろしている人界の支配者を睨み、低い声を出す。

 

「––––ここにいる仲間達と一緒にあんたを討ち取る事だ、アドミニストレータ」

 

 


ネタバレ喚起(かんき)※ネタバレ喚起(かんき)※ネタバレ喚起(かんき)※ネタバレ喚起(かんき)






短くてすいません……(高速土下座)

続きは一週間後くらいに更新出来ればと思ってます………



ちょっとした補足。
泉水(せんすい)
カナタの愛刀。
刀身は半透明な青色で、所々ポコポコと泡が浮かんで空洞になっている。
属性は《癒し》––––そばに聳え立つ金木犀や周りに住まう村人達を癒した故 (詳しくは『アリス誕生日記念』の後書きにて記載)

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