その少女は小さな不幸と大きな幸せを手に入れる。   作:croto
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久々の投稿になります


地霊異変 side/Monochrome magician

今年も異変が起きた。

 

異変の発端は霊夢のいる博麗神社に茶菓子目当てで遊びに行った時に神社の少し離れたところから間欠泉が吹き出たことからだった。更にそこから怨霊が湧き出たことでこれが異変であることを決定付けた。

 

異変を解決するために霊夢と私は協力者に紫とアリスに頼み霊夢は会話の出来る陰陽玉、私は遠隔操作できる人形を持って地底に向かった。

 

地底に向かう途中で釣瓶落としのキスメ、蜘蛛の妖怪のヤマメ、嫉妬妖怪のパルスィ、鬼の四天王の一人の勇義を倒していった。地底の妖怪どもは噂通り確かに危険で少し危なかった時もあったがアリスのお陰で順調に元凶である地霊殿に行けた。

地霊殿については嫉妬妖怪からは「死にたくなければ地霊殿には行かない方がいい」と言われ、鬼からは「地霊殿には覚り妖怪が居て心を読まれることを恐れて地底の皆は近寄らない」とも言われたがそんなことはお構い無しに霊夢より速く異変を解決するために私は先を急いだ。

 

地霊殿に着いて中を進んでいくと覚り妖怪で地霊殿の主だという古明地さとりを見つけた。こいつは私の心を読み私が苦手とするスペカを撃ってきたがこれもアリスのお陰で私は何とか倒すことができた。この時、私は同じ魔法使いとして何回も助けられたアリスを羨ましいと思いながらも何時かは私もという思いが強まっていた。

 

覚り妖怪が「元凶に向かうなら右の道よ。死にたくなければ絶対に左にある階段は行かない方がいいわよ」と言われたが魔法使いの好奇心としてはダメと言われれば尚更興味が沸くという思いで地下に続く長い階段を進む。階段を降りきると書庫と書かれた掛札が架かっている扉の前にきた。

 

その次の瞬間、言い表しのできない感情が私の中に渦巻きアリスが何気無く言ったであろう「これ以上は行けないみたいだから戻りましょう」という言葉に無意識にアリスに向かって「うるさい!」と怒鳴っていた。そこからは売り言葉に買い言葉で言葉の喧嘩が続き最後には「もう魔理沙なんて知らない!」という言葉でアリスとの回線が切れてしまった。それに対し私も「アリスなんかとはもう話もしたくない」と一人で叫び書庫の扉をノックして「誰かいるのか?」と話し掛けるとゾッとするようなおぞましい気配が私を襲った。

 

しかし、フランの狂気を知っていた私は何とか逃げ出したくなる気持ちを抑えてこの気持ちを振り切る為にマスタースパークで扉を壊して中に入っていった。マスタースパークで吹き飛ばした扉の破片や埃の中を進んでいくとさっきの覚り妖怪ぐらいの身長の奴がいた。私はソイツに「お前が負を操る妖怪か?」と聞くとソイツは興味が無さそうに「だったら何かな?」と単調に返す。嫉妬妖怪や覚り妖怪に言われたような危険性が全く見えなかったので“コイツなら私だけでも勝てる”という気持ちが強まり「異変に関わっているなら退治するだけだ」と自己紹介と一緒に宣誓しついでに名前も聞いた。

 

するとソイツは意外にも自己紹介をし返し、更に元人間だと言ってきた。しかし最後には呪い殺すと言ってきた。ソイツ、古明地ひよりは元人間で古明地と言う名字から覚り妖怪の姉妹なのかを聞くと覚り妖怪の妹であるらしいことを言う。しかし、不思議に思うのは第三の目が無かったり元人間ということだ。

 

と、ここまでの会話でこいつが覚り妖怪の姉妹で元人間であることは判った。多分、アリスと同じで人間から妖怪になった奴で幻想郷に来たのだと思う。しかも、口振りからして最近幻想郷に来た感じにみえた。

そこまで考えていた所で「勝ったら教える」と言われこれは私がアリスやパチュリーに認められるチャンスだと思い弾幕ごっこを始めた。

 

しかし、勝てると、余裕だと思っていた相手は化け物染みた奴だった。

 

先ず、最初に放った弾幕を軽く避けたかと思えば壁に当たる直前で弾幕撃ち相殺する。更に此方が放った弾幕はそれ以降全て相殺される。弾幕ごっこを知らないわけではないようだが弾幕を弾幕で相殺するなんてことは初めてだった。

 

焦った私は思わず自身の十八番である【恋符】マスタースパークを放つ。しかし、アイツもスペカを使った。

 

使った瞬間、当たると思われていたマスタースパークはアイツには当たらず逆に私に返ってきた。反則だろと言いはしなかったがふざけるなとアイツを睨む。返ってきたマスタースパークを横に移動してカスリながら避ける。しかし、マスタースパークはまるで追尾するかのようにジリジリと私の方に移動しているのを感じあと少しで被弾してしまうという所でスペカの時間切れでマスタースパークは消えた。

思わず「危なかった」と言ってしまうが休んでいられるほど相手は甘くなかった。

 

アイツは続け様にスペカを放つと私の周りに青い弾幕が現れ視界を奪う。幸い数歩分は空いていて目の前に来た弾幕をチョン避けでかわせる程度には簡単だと思ったが突然背中に衝撃を受け被弾してしまった。被弾した際に後ろを見ると通り過ぎた筈の弾幕が返ってきているのが見えた。

 

スペカの時間は短いようでこの被弾だけで済んだが後ろからという予想外の弾幕に言い表しようのない怒りが込み上げてきて「卑怯だ」と弾幕ごっこの途中にも関わらず怒鳴る。しかし、アイツの反応はそれこそ予想外で「そんな弾幕があってもいいんじゃない?」と話し、続けて「私はまだ弱い」とも言い放った。その言葉に私は激怒した。

私は凡人だ。平凡だ。

 

異変解決のライバルである霊夢は能力が強力で何の努力をしなくともその能力と“巫女の勘”でどんな難解な異変をも解決して更に博麗の巫女としても有名である。

 

紅魔館のメイドの十六夜咲夜だって能力が“時間を止める”なんていう反則的な能力に加えて吸血鬼という強力な勢力の中にいる内の一人だ。

 

もっとおかしいのは妖怪の山の神社にいる巫女だ。“奇跡を起こす”とかいう人間が持つような能力じゃない能力を持っていてしかもそこには神が二人もいて去年はたった三人で異変を起こしたような奴だ。

 

それにパチュリーやアリスだって同じ魔法使いなのに私の何歩も前を行っている。

そんな、私が追い付けないと思わざるを得ないような奴らが皆言うのだ。

 

“私はまだまだ弱い”“私よりも強い奴は沢山いる”と。

 

私は誰よりも努力をしていると思っているし十八番のマスタースパークだってそれで異変をいくつも解決している。だから他の奴らとも負けているとは思わない。だがそれ以上に凡人の努力では天才には勝てないと嫌でも思い知らされることもあった。

 

だから私は“弱い”という言葉が嫌いで“負け”という言葉じゃなく“追い付けない”と言うのだ。から私は“弱い”と言ったこの妖怪が“嫌いで”“妬ましく”“羨ましい”のだ。そんな思いからか私の口から勝手に嫌みや嫉妬や羨みの言葉が出てくる。そんな一方的な感情の言葉を聞いた妖怪は私を「美味しそう」と言った。

そんな言葉に私は呆気をとられる。

 

理解不能だった。コイツは人間を食べる妖怪なのか?しかし、コイツは私のこの感情が(・)コイツにとって“良いもの”だといった。全くもって訳がわからなかった。

 

そこで動きが止まっていたことに気付き、止めてしまっていた弾幕を再び放とうとしたところで今までに感じたことがないような悪寒が体を貫く。見るとアイツの周りには無数の弾幕があった。

 

更にスペカなのかは判らないが私の中のさっきまであったアリスへの嫌悪感やさっき考えていた霊夢や早苗の妬みがすっかり消えていた。代わりにアイツの手には言い表しようのない不気味な雰囲気を纏った一つの弾幕が見える。

 

それを見た瞬間、頭に“コイツにだけは勝てない”という考えが浮かぶ。アレらに当たったら何が起こるかなんて考えたくもないような気配が私にですら分かる。そこからはもう形振り構っていられなかった。

 

恐怖から箒から落ちかけていた体を無理矢理起こし箒を手にして来た道を、降りてきた道を躓きながらも戻る。途中、覚り妖怪や猫、鴉が霊夢と一緒にいたのが見えた気がしたがそんなことよりも今はアレの恐怖から逃げたくて仕方がなかった。無我夢中で逃げたからかどんな道を走ったかは分からないが気が付いたら私の家にいた。

 

今は誰とも会いたくない思いで鍵を掛け乱雑に置かれた研究資料を無視して這いずって部屋の角に踞る。こうでもしないと体に染み込んだ恐怖が消えないと思ったのだ。

どれだけの時間が経ったのかは分からないが玄関の方から声が聞こえてきた。

 

アリスだ。

 

けど今は会いたくなかった。

 

あの不気味な雰囲気に気を当てられたからか嫌な感情が私を狂わせる。今会えば心にもない悪口を言ってしまいそうだったからだ。

 

しかし、そんな私の考えはドアを壊して入ってきたアリスを見て変わった。あのアリスが人形を使って鍵の掛かったドアをぶち破るなんて思いもよらなかった。

 

だけどそれは一瞬で、すぐにアリスへの憎悪が体を廻った。思わずアリスを見ないように顔を伏せる。

 

アリスへの妬みや羨みの感情と一緒に恐怖も芽生えてしまう。そんな私を見たらからかは分からないが私はアリスに抱きしめられた。

初めは何が起こったのかわからなかったが「大丈夫」「それはあの子の能力のせいだから」と話しかけられる。そんな言葉に私は落ち着きを取り戻したところでアリスが紫から聞いたアイツ、古明地ひよりについて話す。

 

古明地ひよりは紫が最近幻想郷に連れてきた妖怪で極度に人間が嫌いらしく、だから覚り妖怪は行くなと言ったらしい。それと能力が“負の感情を操る程度の能力”であのときは私の中の負の感情を増加したり自身に取り込んだりしたらしく私が死ななかったのは運が良かったかららしい。

 

詳しいことは本人に聞けとのことだが多分無理だろう。

 

というか私が行きたくない。死ぬかも知れないのに行くのはただのバカぐらいだろう。だけどそんなバカなことをしたのは私だ。

そのことを私は反省すべきだと強く思う。

 

今回の異変は霊夢が元凶を倒したことで解決した。ついでにこれまで互いに不干渉だった地底と地上の妖怪の行き来がある程度緩まったことで決着がついた。

 

今回の異変は私にとって負けたも同然だがまた新しい課題が出来た。

 

さて、またパチュリーに本を借りて新しい魔法の研究でもするか。

 




次回からはネタが思い付き次第投稿になると思います






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