fate/kaleid liner ~転生の士郎~ 作:kimito19
ダグにもある様に今作の投稿スピードはかなり遅いので、首を長くしてお待ちください。
ん?あれ?騎士王さん、どうしたんですか?貴女の出番当分先…切嗣さん?その銃口下ろして貰え…待って!話せば分かる!人間まずは話し合おうそこから人間は分かり合え……………
ぎゃあああああああああああああああああああああああああ!
俺が衛宮家の養子になってからようやく十年が経過した。俺は高校二年生になり、イリヤも小学五年生になった。俺たちが通っている学校はもちろん穂群原学園に通っている。中学の頃から弓道部には入っている、前の世界ではアルバイト中に右肩を負傷して、肌に火傷の痕が残った。 怪我自体は大したことはなかったが、慎二に火傷の痕のある奴が礼射をするのは見苦しいって言われて、ちょうどアルバイトも忙しい時期であった為退部した。だが、この世界ではアルバイトはしていないため怪我をする事も無く、慎二に見苦しいなんて言われる事も無かったため退部する事も無かった。
とある日の放課後………
「すまない、衛宮は居るか?」
「ああ、どうかしたのか一成?」
いつもの放課後、俺は部活に向かう準備をしていると一成がやって来た。
「ああ衛宮、これから部活か?」
「そうだけど、また何処かの備品の修理か?」
「ああ、この度は文化部のヒーターがご臨終なされてな」
「流石の俺でも臨終した物を直すことは出来ないぞ」
俺たちは笑いながら一成の頼みを聞こうとすると、クラスの扉が勢い良くガラッと開いた。
「おい、生徒会長!うちのエースを引き抜こうとするのはやめてもらえるかい」
入って一成に啖呵を切ったのは俺の中学からの悪友である間桐慎二だ。一成は眼鏡をクイッと上げ反論を始めた。
「なんだ間桐慎二、俺は単純に衛宮に頼んでいるだけだ。もちろんこちらとしては衛宮に断られたらこちらで何とかするつもりだった」
「は、そんなこと言って衛宮の超が付くほどお人好しなのはこの学園の生徒なら周知の事実だろ?」
「まあまあ二人共って、えっ俺ってそんなにお人好しか?」
俺は二人を止めながら、知らなかった事実を知ることとなった。
「と、とりあえず一成、備品修理なら明日の昼休みでも良いか?」
「ああ、衛宮が構わないのなら私は一向に構わん」
「そうか、そりゃあ良かった。それじゃあ慎二、部活に行くぞ~」
「お、おい!衛宮、僕を押すんじゃない!大体お前が誰でも彼でも手伝おうとするからこんなことになってるんだぞ分かっているのか!それで、この僕がどれだけ大変な目にあっているのか分かってるんだろうな!」
「分かってる、分かってる。慎二にはいつも感謝してるよ」
と、そんな感じで前の世界とは一風変わった日常を俺は送っている。そしてまた別の日、この日は部活が無く放課後をまったりと一成と過ごしていた。
「ん?衛宮よ校門前に居るのはお主の妹ではないか?」
「え、ああ本当だな」
一成が外に目線をやり、一成の視線を追ってみると言われた通り校門前にイリヤが立っていた。
「…悪い一成、今日は俺帰ることにするよ」
「ああ、行って来い。兄妹仲のいいことは良い事だ、妹さんを大切にするのだぞ」
「ああ、分かってるよそれじゃあまた明日な一成」
「ああ、また明日」
俺は階段を下り、玄関で靴に履き替え自転車を駐輪場から出し校門前に立っているイリヤのもとへ向かった。
「あ、お兄ちゃん!」
「今帰りかイリヤ、俺も今帰りだから良かったら一緒に帰らないか?」
「う、うん!」
俺とイリヤが一緒に帰ろうとすると、
「お~い、イリヤ!」
初等部側から声が聞こえた。振り返ると、四人の少女が立っていた。
「ミミにスズカにナナキにタツコ!四人とも今帰り?」
「ああ、紹介サンキューイリヤ」
「そんな事より、一し……」
「タッツンし~!」
「そうだよ龍子ちゃん、お兄さんが居るんだから!」
「それじゃあイリヤのお兄さん、私たちは逆方向なのでそれじゃあ!」
そう言ってイリヤのお友達たちは走り去ってしまった。
「そ、それじゃあ帰るか?」
「う、うん…」
俺たちは何か可笑しな空気が漂う中帰ることにした。
俺は自転車を押し、イリヤは歩いて帰路に発った。イリヤは徒歩だから俺はイリヤが無理に走ることはない様に、イリヤのペースに合わせるように、俺は自転車を押した。
帰り道、俺とイリヤはたわいのない話をしながら帰った。今日の学校はどうだった?友達とどんな事をして遊んだ?今日の給食は?今夜の晩ご飯は?そんな、ごく普通の会話だ。けれど、俺はそのごく普通の会話、ごく普通の日常がとてもいとおしく想えてくる。
もしイリヤが魔術に巻き込まれでもしたら…そんなことを想像すると、恐くて恐くて堪らない。絶対に家族と友人たちは守らなくては、それが俺に唯一出来ることなのだから。
聖杯戦争、親父や母さんは起こることはないと言っていた。俺もそう思うし、そう願う。だが、この冬木市ではおかしな事がよく起こる。いや、今も起こっているもしくは起ころうとしている。気になっている場所は、四ヶ所ある。一つは俺たちが通っている学園に大橋の付近、森奥、そして繁華街。学園は通っているため詳しい場所は分かっている、だが他の場所はまだぼんやりとしか分からない。学園にある何かは、前の世界での聖杯戦争でライダーこと、メデューサがマスター間桐信二の命令で強力な結界を張っていたが、あれみたいに気持ちの悪い感じはしない。ただ、得たいの知れない何かを感じるのだが、でも何故かその得たいの知れ無さにどこか懐かしくも感じるのはなぜだろうか……
「どうかしたのお兄ちゃん?」
「いや、何でもない。ちょっと考え事だ」
そう言って俺はイリヤの頭を撫でると、イリヤは嬉しそうな顔をしていた。
「そうだお兄ちゃん!家まで競争しよっか」
「え、いいけど俺は自転車だぞ?」
「大丈夫、私走るの得意だから!」
そう言ってイリヤは家まで走り出した。やっぱり良いなこういう日常は…もし第五次聖杯戦争が起きるのだとしたら、まだ時間がある。あの感覚について、親父か母さんに今度相談してみることにしよう。
「待てよイリヤ~!」
俺が守らなきゃこのごくごく普通の日常を…
~~~☆~~~☆~~~☆~~~
「「ただいま~」」
俺とイリヤは家に帰り、玄関を開けるとそこにはセラが居た。
「お帰りなさいイリヤさん。士郎も一緒でしたか」
「ああ、校門前で会ったんだ。その後一緒に帰って来たという訳だ」
俺は少し不思議そうなセラに少し説明しつつ、脱ぎ捨てられたイリヤの靴を並べていた。
「そうでしたか、そういえばイリヤさんお昼過ぎに荷物が届きましたよ。確か中身はDVD…」
セラがそう言い掛けると、イリヤはパアッと笑みを浮かべリビングに駆け足で向かって行った。俺とセラは不思議そうにイリヤが向かった方を向くと、そこにはソファーに座りポッ〇ー食べながらアニメを見ているもう一人の我が家の家政婦であるリーゼリットことリズが居た。
「あ~!リズお姉ちゃん一人で先に見るなんてヒド~イ!」
「あ、イリヤお帰り~」
「お帰り~じゃなくて!」
「だって私がお金払ったし」
「う~、そうだけど…」
どうやら、イリヤがリズに買ってもらったアニメDVDをリズが先に観て軽い口論になっているようだ。ちなみに俺とセラは、その光景を少しあきれ顔で眺めていた。
「はあ、イリヤさんもすっかり俗世にハマってしまって…これでは留守を任せてもらった奥様達に顔向けできません」
「いや、そんなに気にしなくても…それに親父たちなら笑って一緒に観てそうだし、特に母さんは…」
「何を無責任な!義理とはいえ兄である貴方がしっかりしていないからこんな事になるんですよ!」
「まあまあセラ、人の趣味なんだしそれにイリヤならそこから変な道には進まないだろうし、親父たちもこんな良くある普通の日常を望んでるんだから、家の事はセラに頼んだよ」
俺がそう言うとセラは少し頬を赤らめると、咳払いをし話を続けた。
「そ、そんなことは、貴方に言われなくても分かっています。貴方もイリヤさんの事だけを気にかけていればいいものを、家の仕事を全部やって…」
「まあ、俺もそれが昔からやってきたことだからな、今更辞めることなんて出来ない」
「もう少し諦めかけているので良いです…今日の夕食当番は士郎でしたね、今日こそ貴方の技術を盗んでみせます!」
「あまり、邪魔にならないようにしてくれよ」
~~~☆~~~☆~~~☆~~~
夜も更け、夕食を食べ終えイリヤは自室に戻り、リズは風呂へ俺とセラは台所で食べ終わった食器を片付けていると、巨大な魔力の反応を二つ感じた俺は、セラに心苦しいが残りの食器を任せ家を出た。この家で、魔術の事を知らないのはイリヤだけで、俺の行動を理解してくれたセラは快く俺を見送ってくれた。
俺は走って魔力の反応を感じたところに向かった。なぜ自転車を使わないかと言うと、答えは単純だ今の俺は自転車や車をなどを使うより走った方が早いのだ。では、なぜ学校の登下校では自転車を使うのかと言うと、流石に一般人が時速数十kmで走ったり、他の家の屋根を飛んだり跳ねたりしながら登校したらおかしいからな。
魔力反応があった場所その付近にあったなるべく高い建物に上った俺は、見てしまった防音結界らしきものを張ってドンパチやっている赤と青を…その恰好は一言で言うなら痛々しく、分かりやすく言うならイリヤがよく見ている魔法少女物の衣装を身にまとった友人と初恋の人を……
青い恰好はルヴィアゼリッタ・エーデルフェルト昔チラッと見かけた様な気はするがよく覚えていない。前の世界、というか聖杯戦争から生き残った場合は彼女と親密な関係になるみたいだがあくまでもそれは友人関係や主従関係、そしてその知識は記憶と言うよりも記録のような物。この世界ではほとんど意味をなさない。
赤い格好をしている彼女はよく知っている。遠坂凛、俺の初恋の人だ。別の世界線では単純に師弟関係だったみたいだが、やはりそれだけだと多少もやもやする…それよりもあの格好、確か奇跡が起きたような世界で一度見かけた。゛カレイドルビー”彼女が二度と誰かに見られることを拒絶し、かなりの確率で問題を起こす悪魔のような姿だ……
よくよく見てみると彼女たちの手にはそれぞれステッキが握られていた。遠坂はいつも通りのマジカルステッキ、ルヴィアの方はマジカルステッキを青くしたような物が握られていた。
「
俺は先程まで眼だけを強化していたが、五感や全ての肉体を強化しているわけじゃあない。例えば石や木刀、無機物を強化させた場合、一時的に流し込んだ魔力が尽きるまでは強化は持続する。だたし人体は強化するときに無機物とは違い多くの魔力を使う。永続的にやっていると魔力が尽きてしまう、だから肉体を強化する場合は必要な所に必要な時間、強化するようにしている。そして今強化した部位はもちろん「耳」だ、流石に遠坂たちから見つからないような場所の位置から現状を観察し何か話しているならそれを聞くのは困難だからな。
爆音やら防音の結界ぽい物のお陰であまり聞き取れないが、聞き取れた者もちゃんとあった。それは……
『沈みなさいウシ乳女!!』
『落ちるのは貴方の方でしてよ、平たい胸の一族!』
その後もこの二人は第三者が見ても、不毛な争いは続いた。どうやら、あの格好もあの喧嘩もステッキは関係なく、自分たちの意志で行っているみたいだ。
俺は二人の争いを止めることも最後まで見守る事も無く家に帰って行った。だが、今になって思う。あの争いは俺が止めそしてこれから起こることに先に進んで俺が二人を手伝うべきだったのだ。そうすれば、あんなことにはならなかったのだろう……
この時の俺はまだ気が付いてすらいなかった、これはこの日は始まりですらない物語が始まるその前日譚であることに……
やあやあみんな久しぶり、もしかして初めましての人もいるのかな?僕は聖杯くんだよ♪
今回は遅くなってゴメンね、作者の奴は今年から新入社員だからドタバタしているけど、読者のみんなには関係無いよね♪これからも馬車馬のように働かせていくつもりだから、作品の質が落ちないように頑張らせるよ。
今回のお話しでは、最後の方に士郎君の魔術についての解説が少しあったね。あれはあくまでも作者の解釈だから真に受けなくいいよ、タグにも独自設定ってあるでしょ。たぶんこの作品を読んでくれているお友達は、ある程度大人だろうから大人の持つズルスキルの一つスルースキルで乗り切ろう!
それじゃあ今回もこんなところで終わろうかな。お気に入り登録、感想、評価等々待ってるよ。
次回、第五話「再会と始まり」題名は変わるから気をつけてね♪
次回も読んでくれないと君の街を襲っちゃうよ!フゥフゥフ♪