fate/kaleid liner ~転生の士郎~   作:kimito19

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kimiエース

作「いや~こうやって何も書かずにダラダラとゲームするのは最高だな~」カチャカチャ
ラ「あの~もう始まってますよ…」
作「え?!」ガチャガチャガチャ!
~~~☆~~~☆~~~
作「いや~今回はいつもより長かったから疲れたな~どうも作者です」
ラ「あ、さっきの無かったことにするんですね。アシスタントのライダーです」
作「最近徐々に熱くなっているから水分補給はしっかりしないとね~」グビグビ
ラ「それはそうですが、本番中にお酒は飲まないでもらえますか?」
作「ああ、大丈夫。自分お酒には強いですからキリ。そういえば、お手紙貰ってるんだよちょっと目が霞んできたからライダー読んで」
ラ「酔ってるんじゃあないですか!まぁ読むのは構いませんが、ペンネーム暗黒系ヒロイン様からのお手紙です。fate/kaleid liner ~転生の士郎~毎度楽しく読ませてもらっています。ですが、今まで一度も本編でもメインヒロインでもある間桐桜ちゃんが出ていないのですが、どうしてでしょうか?私は間桐桜ちゃんが一番好きなので、速く出してください…という内容です」
作「なるほど、それじゃあ出してあげるか。オクッテキタヤツハダイダイワカッテルシ…とは言っても流石に桜をメインとした話は無理だから、チラッとだけだけどな」
ラ「あ~…何かすみません私のマスターが」
作「それじゃあ、今回のゲストは今噂のあの人!赤いセイバーさんです!」
ラ「え、ローマのセイバーはまだ時期的に早い様な…」
モ「赤のセイバーといえばこのオレ、次期ブリテン王モードレッドだ!」
ラ「父親より早く登場!!」
作「というわけで、7月から放送開始記念にFate/Apocryphaよりモードレッドことモーさんに来てもらいました」
モ「ん?父上はどこに居るんだぜ?父上が居るって聞いてオレは来たんだが?」
作「アレ~オカシイデスネ~ドコカデミスデモアッタノデショウカ?」
ラ「あからさまな棒読みですね」
作「今回、話の中にも出ていないけど、モーさんが何かすごいことしたら、もしかしたらお父さんが読んでくれて何か言ってくれくかもよ!」
モ「本当か!でも、何すればいいんだ?」
ラ「意気込みとか、今後の目標とか後は何か面白いことを言えば良いのではないでしょうか?」
モ「なるほど!う~ん…じゃあ、

父上、後のことはオレに任せて余生を楽しめよ!」
作「はい、というわけでモーさんでした。本編スタートです」
ラ「ところで、これに本編キャラ出るのでしょうか?」
作「いや、出すきないよ」
ラ「彼女も救われもせんね」ハァ~


第七話 決意

~sid士郎~

 

俺とライダーが戦っていると、黒髪で青い外装を纏ったイリヤと同じくらいと思われる少女が、横からライダーにとどめを刺した。

 

「君は?」

「え、お兄ちゃん?!」

 

ん?お兄ちゃん…まさか俺の知らないもう一人の妹がこの世界に居るというのか……いや、それはない。この世界で衛宮になってから十年が経とうとしているんだ、今更になって実はもう一人妹がいるなんて常識的に考えて、魔術的に考えてほとんどありえない。けどまさか俺が衛宮になる前の時の妹と言う可能性はないか?いや、それもないだろう…顔を覚えていないが、両親はあの時に家の下敷きになっていた。仮に妹がいたとしても彼女は当時一歳だ。(と思われる)あの状況下で生きていられるわけがない。

つまり彼女は俺の妹ではない、という結論に至る。

俺は彼女と話すために膝を折り目線を合わせた。

 

「悪いけど俺は君の事を知らない。そして俺は君のお兄さんじゃあない」

「そ、そうですよね。すみません、貴方が私の兄に凄く似ていたもので…良ければ、お名前聞いても良いですか?私は美遊・エーデルフェルトです」

「俺は衛宮士郎、こっちは妹のイリヤだ」

「イ、イリヤスフィール・フォン・アインツベルンです」

「あの~すみません自己紹介は良いのですが、あれどうしますか?」

 

ルビーがリボンである方向を指した。そこには遠坂とルヴィアが並んでいた、そして当然キャットファイトというには生温いケンカを始めていた。

 

「あらあら、遠坂凛そんなに鼻息を荒げてどうしまして、見っともありませんわ。これだから野蛮な猿は嫌ですわ~」

「あんたは何勝ち誇った顔をしているのよ!私が猿なら、あんたはそこら辺の死骸を食べてるハゲワシがお似合いよ!」

「まぁまぁ、二人共落ち着いて!」

 

俺は二人を止めるために、恐ろしいケンカの仲裁に入るのだった。

二人をどうにか止めようとすると、足元が光りそこにはこちらの世界に来た時と、同じ魔方陣が形成され一瞬で元の世界に戻ってきた。遠坂たちもこちらに戻ってきたことが確認できると、矛先は当然俺へ向けられた。

 

「衛宮君、あれは何かしら?私も魔術師の端くれだから、多少無茶苦茶なことがあるくらいは分かるけど…何なのよあの魔術は!あんなの魔術の領域を超えているわ!」

「ハッ!何を言っていますのトオサカリン?!良いから私の質問に答えなさい!なぜ貴方が士郎(シェロ)と一緒に居たのですの?!」

 

二人がまたケンカを始めようとすると、俺は慌てて止めに入った。

 

「落ち着けって二人共、お互いに聞きたいこととかがあるだろうけど今夜はもう遅いし、明日にしないか?」

「仕方ないわね」

士郎(シェロ)が言うなら…」

 

そう言って二人は睨み合いをやめ、ある程度の距離を置いた。

その後、ルヴィアは美遊ちゃんを連れて帰っていき、遠坂も「明日、ちゃんと説明してもらうから!」と言って屋敷に帰っていった。そして、俺たちも家に帰っているところだ。

 

「どうだったイリヤ、初めて魔術の戦いを見た感想は」

「うん…まさかお兄ちゃんが、あそこまで人間離れしているとは、思わなかったよ…」

 

イリヤはどこか遠い目をしながら、今日の感想を述べると、俺は苦笑しながら答えた。

 

「そうか?俺なんてまだまだ、俺以上の人外は一杯居るぞ。それからイリヤ、俺がどうしてもカード集めに協力出来ない時に、やっていけそうか?」

 

俺はイリヤに可能性のある、質問を投げ掛けた。もしかしたらイリヤがルビーと契約している間は、何か良からぬ事態に巻き込まれる可能性が高い。もちろん俺も、その事態には積極的に巻き込まれに行くつもりだ。けれど、どうしても間に合わなかったら?俺の身に何か起きて動けなかったら?きっと遠坂たちも協力してくれるだろう。けど、戦闘の前衛はその時、俺からイリヤと美遊って子だけになる。そんな中やっていけるのかとても不安で仕方がない……

 

「う~ん、実際に戦ってないから分かんないけど、ルビーも居るし大丈夫だよきっと!」

「はい!この私、最強の魔法少女ステッキカレイドルビーにお任せ下さい!」

「それにちょっと怖いけど、何だかアニメやゲームみたいで面白いし!」

「っ!そ、そうか……」

 

イリヤの最後の言葉で俺は改めて思い知らされた。彼女は俺の知っている、アインツベルンの最強の魔術師イリヤスフィールではなく、どこにでも居る小学五年生の女の子、イリヤスフィール何だと……

俺はその後、何も言えず家に帰った。

 

~~~☆~~~☆~~~☆~~~

 

翌日、学校で遠坂たちとお昼の約束をしていた俺だが、今は大量のプリントを抱えて、階段を上っている。

 

「これで終わりっと。ヤバい葛木先生の手伝ってたから、もうすぐお昼が終わる!遠坂にどやされる!」

 

そう、この世界にこの学園にいるのだ。キャスターのマスター葛木宗一郎が…初めて見たときは驚いたが、藤ねぇも居るんだから、居ても可笑しくない。一成の話によると、葛木先生は結婚しているそうだ。相手は紫色の長い髪にヨーロッパ系の顔付きらしい。後、何故か耳がゲームやお伽話に出てくるようなエルフ耳らしい。きっと彼女に良く似た人なんだろう。ちなみにまだ赤ん坊らしいが、娘さんが居るらしい。流石にその話を聞いたときは、腰を抜かすかと思った。

プリントを運び終えた事を、葛木先生に報告し急いで教室に戻ろうとすると、教室前にというか教室を囲むように、人垣が出来ていた。

 

「どうかしたのか?」

「ああ、衛宮か。あれ、もしかしてお前が原因じゃあねぇのか?」

 

クラスメイトが指差す方を見てみると、そこにいたのは遠坂とルヴィアだ。別にケンカをしているわけではない、ただそこに笑顔で立っているだけだ。中には笑顔が眩しくて近寄れないだとか、あの二人を見ていたいだとか、思っている人は居るだろうが、俺にはあの二人の後ろに黒いオーラが見える…正直近寄りたくないが、そうも言ってられない。この場を何とかしなくては……

 

「すまない遠坂にルヴィア。遅くなった」

「あら、衛宮君えらく遅い登場ね?」

「ここでは何ですから、移動しましょうか士郎(シェロ)?」

 

俺は重い足を前に進めながら、遠坂たちと一緒にいつもの屋上へ向かった。ああ…サーヴァントと戦っている時の方が、気が楽かもしれないな……

 

「それで、どうして遅くなったのかしら?…ハァ、まあ良いわ。それで、私たちが聞きたいことがあるのは分かっているわよね?」

「トオサカリン本当なのですか?士郎(シェロ)の魔術が、それほどまでの可笑しな魔術だと…」

「ええ、もちろんよ。そうよね衛宮君?」

 

俺はため息をつきながら、投影魔術を披露した。投影したのはいつもの二本の中華刀、俺は投影した二本を二人に渡し適当な所に腰をかけ弁当を広げた。黙々と弁当を食べている俺を余所に、遠坂とルヴィアは俺が渡した中華刀をあーでもないこーでもないと何かを話していた。

俺自身の事だから、ちゃんと聞いておいたほうが良いのだろうけど、正直俺自身もこの力がどうして使えるのかは分かっていない。もちろん、この力が何なのかは分かっているし理解もしている。だが、どうしてこの力が使えるのか、親父から魔術を教えてもらったあの時より前はどうだったのか?それは俺自身も分からない。けれど一つだけ心当たりがあるとすればきっと、俺が人真似しか出来ない偽物だからだろう……

 

「衛宮君、私とルヴィアでザックリだけど色々見てみたわ」

「その結果、士郎(シェロ)の投影したこちらの剣は、確かに本物に近い代物だと分かりました」

「それでだけど、これだけの投影魔術どれだけの持続時間と、どれだけの魔力を消費したらこんなのが出来るのかしら?それから他になにが出来るのかしら?」

 

遠坂たちが質問するころには、俺も弁当を食べ終わっていた。俺は俺の知っている俺自身の事を二人に話した。(固有結界と前の世界の事、それから衛宮家のこと以外は…)俺の投影魔術の持続時間は基本的にない。俺自身が消そうと思うか、物自体が壊されるかしなければ消えることは無い。投影するときの魔力の消費量はそこまで多くない、ただし剣以外の物を投影するときは、いつも以上に魔力を消費する。このことから、俺は基本的に一度目にした物は何でも投影が可能だ。だが、人として何か店で売っている商品などは決して投影はしない。(まあ、どこかの弓兵は最新の釣竿を投影してたみたいだけど……)

 

「なるほどね、でもまさかそこまでとんでもない魔術だとはね…」

「ですわね、この事がもし協会に知られたら確実に保護下に置かれるますわよね…」

 

魔術協会からの保護下、つまり封印指定になるという事だ。詳しいことは俺は良く分かっていないが、確かその奇跡とも言える希少能力を永遠に保存するために、対象の魔術師を「貴重品」として優遇し「保護」する。けれどそれは名目にすぎず、実際は一生涯幽閉しその能力が維持された状態で保存する。言ってしまえば、ホルマリン漬けの標本にして飾るのと変わらないっと前の世界で遠坂が言っていたな。

 

「クラスカードの件が終わったら、俺のことを教会側に報告するのか?」

「流石にしないわよ」

「ですわ。流石に私たちはそこまで薄情ではありませんわ」

「そうか、ありがとう!やっぱり二人は良い奴だな」

「ふ、ふん」

「べ、別にこのくらいどうってことありませんわ」

 

やっぱり二人とも良い奴だな。それから何故か二人の頬が赤くなっているように思うが、あれは気のせいなのだろうか?そういえば…

 

「そういえば遠坂、魔術以外にも聞きたいことは無いのか?」

「ん?そうね~確かに、素人の魔術師がサーヴァントに同等以上に渡り合えるなんてありえないけど、でもそれをやって退ける魔術師は実際に居るし、あり得ないなんて事はあり得ないってのは本当よね~」

 

遠坂が軽く呆れるように言いながら、剣を俺のそばに置いた。ルヴィアもめずらしく遠坂に同意し剣を置いた。俺は弁当箱を仕舞い、投影を解き二人に向き直った。俺も二人に、特に遠坂に頼みたいことがあったからだ。

 

「遠坂、ルヴィアもだが頼みたいことがある…」

 

先程まで苦笑していた二人が、俺の真面目なトーンに気付き真面目な顔になった。結果は分かりきってはいるが、それでも頼まなければならないことがある。俺は口内が乾くような気がしながら、口を開いた。

 

「あの二人を、この件から外してくれないか?頼む」

「…でしょうね、貴方の頼みたいことと言ったら」

「でも、士郎(シェロ)どうして美遊までそんな事を頼みますの、貴方にとっては赤の他人なのでしょう?」

「二人はまだ子供だ。美遊ちゃんが、あの戦いをどう感じたのかは分からないけど、イリヤは「アニメやゲームみたいで面白い」と言っていた。あの子は魔術師じゃあない、魔術にも関わってもいない。だからあの子には、魔術の大前提である“死の容認”がない。あのままじゃあ、イリヤは確実に後悔し死んでしまう。美遊ちゃんは、どんな思いでステッキを持っているのかは知らない、けれど彼女たちはまだ小学生だ。こんな命をかけた戦いに関わっちゃあいけない。だから頼む…」

 

俺は頭を下げ、二人に頼むと二人は「はぁ~」とため息をついた。

 

「そんなことだろうと思ったわ…」

「ですが、流石はトオサカリンまさか何の覚悟もない、一般人を巻き込むなんて。やはり二ホンに戻って来ても、ウッカリスキルは健在ですわね。オ~ッホッホッホ!それに比べれば、私の所に居る美遊は少なくとも覚悟はありますわ。あの子を見つけた時にある契約をしましたの、クラスカード収集を手伝う代わりに、あの子に暮らすための家と服と食べ物を与えるという物ですわ。この事をどう思おうと、貴女方の勝手ですが少なくともそのイリヤさんとは、戦うに値する覚悟が違いますわ!」

 

ルヴィアは高笑いの様ないつも通りの笑い声を挙げながら、屋上から出ていった。遠坂は悔しそうな顔をしつつ、珍しくルヴィアに言い返すことはなかった。「はぁ~」とため息をつくと、真面目な顔をしながら俺の方を見た。

 

「衛宮君、あなたの言い分はもっともだわ。誰だって、私だって何も知らないド素人の一般人に魔術を関わらせたくは無いわ。でも、その思いを曲げてでも私は私の夢を叶えたいと思っているわ。どんな結末になったとしても…」

 

遠坂の目は本気だった。どうして分かるのか、そんなものは目を見ればすぐに分かる。俺がどれだけ時間、どんな思いで遠坂と一緒に居たと思っている。それくらいはすぐに分かるさ、けれどそれじゃあイリヤはどうなる?

 

「衛宮君、貴方は確かに強い。たぶん、いえ確実に真正面からの死合いだと私には勝ち目は無いわ。それでも、サーヴァントは強大で力は未知数、イリヤとあの美遊って子が持っているカレイドステッキが必要なの、本当は私達が使う予定だったんだけどね…まぁ、分かってほしいとも理解してほしいとも言わないわ。ただ、これだけは分かって貴方が私の邪魔をするなら、容赦なく貴方を殺るって…それじゃあ、手伝ってくれるなら今夜河川敷で待ってるわね」

 

遠坂はそう言って屋上を去っていった。

昔から遠坂凛という人間は「これ」と自分で決めたことはやり遂げようとする人間だ。きっと今回の事だって手を引かないし、イリヤを遠慮なしで使おうとするだろう。そしてそれを邪魔しようとすれば、俺と遠坂は……なんでさ、一体俺はどうしたらいいんだ……

 

~~~☆~~~☆~~~☆~~~

 

その日の放課後、クラスカード回収まで当然余裕があるため弓道部で弓を射っていたが、昼休みの一件以来俺は授業にも集中出来ず、弓なら集中できるかと思ったが部活が始まってから何度も射るが、いつも通り中心に射ることが出来ず的に当てるのが精一杯だった。

 

「珍しいですね、先輩が中心に一度も当たらないだなんて。もしかして何か悩みでもあるんですか?」

 

そう後ろから話しかけてきたのは、中学の頃からの俺の後輩であり慎二の妹でもある「間桐桜」だった。彼女には前の世界ではかなり世話になった。別の世界線では彼女と恋人になるらしいが、それはまた別の話。この世界ではなるべく世話にならないようにと思うが、どうしても世話になってしまう俺は本当に良い後輩を持ったものだ。

 

「いや、何でもないんだ」

「ん?衛宮悩みでもあるの?あんたにも悩みなんてあったんだ?」

「何だよ美綴、俺にだって悩みの一つくらいあるさ」

 

彼女は美綴綾子(みつづりあやこ)、中学からの同級生。昔から何かと様々なことで張り合ってくる。

噂だが、商店街に昔からある骨董品を取り扱う店で、新しくバイトを雇ったらしく、そのバイトさんは高身長でスタイルも良く、眼鏡をかけた長髪の女性に視姦されているとかいないとか。俺はその噂に関わるのが怖く、初めて困りごとに目を背けた……

 

「何だよ衛宮悩み事か?だったら、まずは親友でもあるこの僕に最初に相談するのが筋ってものじゃないのかい?」

「慎二……」

「ワカ…兄さんが居ると話がややこしくなるので、黙って練習でもしていて下さい」

「桜、今兄に向かってワカメって言おうとしたな!妹の癖に最近生意気何だよ、特に中学で衛宮と知り合ってから!」

「うるさいです。兄さんは私のために、さっさと家に帰るなり生まれた海に(かえ)るなりして下さい」

「僕は人間だ!」

「「ぐぬぬぬ……」」

 

間桐兄妹は、にらみ合いながらケンカをしている。一体どうしてケンカになったのかは、分からないが仲が良さそうで良かった。前の世界じゃあ慎二は桜によく手を挙げていた。それはきっと、慎二が間桐の魔術師であろうとする意地やプライドからくるものなのだろう。周りの人は、そんな物は下らない事だと笑うのかもしれない。けれど、あいつにとってそれは無くてはならい存在だった。でもあの時はそれが原因で身内である爺さんや言峰、最後にはギルガメッシュにも心の隙を付けこまれた。けれど、この世界のあいつなら心配ないだろう今のあいつは、少しだけ自尊心があるが、普通の家の普通の兄貴なのだから。

兄妹といえば、あの美遊って子はどうなのだろうか。昨夜自分には俺に似た兄がいると言っていた。だが、今日のルヴィアからの話だと、引き取ったのは美遊だけのように思える。いくらカレイドステッキ…確かルビーの奴がサファイアとか言っていたな。そのサファイアに選ばれたのが美遊だけだったとしても、ルヴィアなら執事とかにして雇いそうなものなんだが…

間桐兄妹と美遊について考えていると、後ろから「今日も間桐兄妹は賑やかね~」と聞き慣れている声が聞こえてきた。振り返ってみると、そこにいたのは弓道部顧問「冬木の虎」こと藤ねぇだった。

 

「それで、どうかしたの?」

「藤村先生どうやら衛宮の奴が悩みがあるみたいなんですよ。それで今日の的中率は、的に当てるのがやっとの状態。その後なぜか間桐兄妹が痴話喧嘩を始めたって流れです」

 

美綴は今の状況を簡単に説明した。すると藤ねぇはニヤニヤと俺の方を向いてきた。

 

「何々?し、衛宮君も妹離れして好きな子でも出来たのかな?恋の悩みなら、この藤村先生に任せておきなさい!」

「先輩は妹萌え何ですか?!だったら私も妹っぽくないですか!」

「お前ちょっとこっちに来い!兄と少し話しようか」

 

なぜか桜が俺によく分からない自己アピールをしてくると、慎二に連れていかれた。ありがとう慎二…

そういえば、前の世界での別ルート?で良いのか、では俺と桜が恋人同士になった世界があるんだったな。まあ別ルートだし異世界だし、この世界の桜とあっちの桜は別人だしそんな事にはならないだろう。イリヤ何か完全に前とは別人だし……じゃなくて!

 

「藤村先生、少しお話良いですか?」

「ん?……分かった場所変えようか衛宮君」

 

そう言って俺たちは高等部の生徒指導室に居る。職員室に行き生徒指導の田中先生に、俺の悩み相談をすると藤ねぇが言うと笑顔で部屋を貸して貰えた。

 

「いや~士郎が日頃から良い事してくれてたから、すんなり借りられたわね!」

「俺、今までこんなことの為に色々やって来たんじゃあないんだけど……まぁ良いか。それで藤ねぇ、相談っていうか問答みたいな事なんだけど良いか?」

「問答?良いわよ、ど~んと私に任せないさい!」

 

早速話すことにしたんだが、流石に魔術の家系だ何て言えないから、そこを適当に剣道一家だという事で話すことにした。

とある剣道一家、全員本物の刀を扱うことが出来血生臭い仕事を生業としている。だが一番末の子には家族全員が、そちらの道に踏み込ませたくなく、剣道を一切教えていなかった。だが、その子には一家で一番の才能を持ち、数年修行をすればすぐに一家全員を追い抜くだろう。すると偶然なのか必然なのかは分からないが、その子が刀を振るい、敵を倒さなくてはいけなくなった。だが、先ほども言った通り家族はそちらに来てほしくない。どうしたらいいのかと……

 

「なるほどね~それで、その子自身はどう思ってるの?」

「その子自身は、やりたいと思っているんだけど、これから巻き込まれる事柄をゲームやアニメみたいだと言っているんだ。その子には、覚悟とか刀の重みとか命の大切さとかが本当の意味で分かってはいないんだ…」

 

そう、この話の子であるイリヤはそれが分かっていない。俺はそれが一番恐ろしく思っている。

 

「なるほどね~…私がその立場だったら、教えるかな剣の重みや命の大切さとかさ」

「藤ねぇが…?」

「うん、多分そんな家族じゃあ教えてくれないだろうから、きっとその子はいつか命を落とすような危険な事しちゃうかもしれないでしょ?だから、本物の剣とは何か、本当の戦いとは何か敢えて教えるの。そして、それが怖いと思って自分の意志で辞めてくれれば御の字ね」

「もし辞めなかったら?」

「それならむしろ褒めてあげるべきよ!その子はただ怖いだけで、誰にも感謝されることのない世界を受け入れて、その世界を歩んでいこうって自分の意志で決めたことなんだから!」

 

敢えてそちらの世界に踏み込ませるか…その発想は無かった。魔術の世界、そこはどんなことをするにも「死」が付いてくる。だからこそ、少しでも遠くへ遠くへと遠ざけていた。もしかしてだからこそ近付いてしまったのだろうか…逆に近づけたらイリヤの方から遠ざかるのどろうか?試すだけでも価値はあるんだろうか、でも何もしないよりは……

 

「そうか、藤ねえありがとう。俺の中で答えが出たよ、それから悪いけど、今日はもう部活早退してもいいかな?」

「はぁ~しょうがないわね。分かった、皆には私から言っておくから」

 

俺は藤ねぇに「ありがとう」と伝え、廊下を走って弓道部に戻り下校した。だが、家より先に行かなければいけない所があった。それは、遠坂邸だ。

 

~~~☆~~~☆~~~☆~~~

 

遠坂邸に到着し、チャイムを押し少しの間待っていると、当然遠坂が返事をし、話があると伝えると家から何かバタバタと音が響いていたのは、聞かなかったことにした。

 

「それで、話ってなにかしら?」

 

俺は遠坂邸のリビングまで通されると、遠坂が淹れてくれた紅茶を飲んでいたが、今はそんな場合じゃあなかったんだ。

 

「あ、ああ。話っていうのはイリヤの事だ」

 

遠坂はやっぱりという顔をしたが、俺は構わず話を続けた。

「俺は……イリヤに敢えて魔術を教えようと思う。もちろん教えるのは、魔術の使い方や魔術の知識とかじゃあなくて、魔術師としての心構えくらいだ。そこで、遠坂にお願いなんだが…」

「イリヤに教えるのを手伝って欲しいってことね。なるほど、衛宮君の手で無理矢理遠ざけるんじゃあなくて、敢えて近づけて逆に恐がらせて、あの子自身から遠くに行ってもらおうって魂胆か」

 

遠坂がそこまでいうと、俺は頷き遠坂は大きなため息をついた。

 

「確かに、あの子からもうカード集めに協力したくないって言われたら流石の私でも、ステッキは諦めるしかないものね~」

「その時は俺が変わりになれるくらい手伝うから!もちろん俺一人じゃあどうしようもないだろうけど」

「当然よ、それに私だって一般人を巻き込んだんだから、なるべくケガしないようにサポートするのが、私の役目ってものでしょう?だから、こんなのは当然の事なのよ」

 

俺はその言葉にありがとうと良いながら頭を下げた。良かった、やっぱり遠坂は遠坂だ、あっちでもこっちでも変わらない…

 

「でも、その前に衛宮君、どうして貴女が私の家の住所が分かったのか。きちんとはっきりとさせましょうか?」

 

ああ…なぜだろう遠坂の後ろに、赤い外装と二本の剣を持った悪魔が見える。本当に遠坂は遠坂だ、あっちでもこっちでも変わらない…

 

「なんでさああああぁぁぁぁぁぁ!」

 




やあやあ、皆大体一か月ぶり僕だよ聖杯くんだよ。

まさか、この作品のマスコットでもある僕の事を、忘れている読者なんていないよね?もしいたら、悲しくて器の中身が零れ落としそうだよ。

今回のお話は、アニメで言うと第3話になるのかな。感想では、あの美遊って子とイリヤスフィールの掛け合いが、楽しみだった読者が多いのかもしれないけど、あえてやらないのがこの捻くれた作者らしいよね♪

さて、この一か月でまた多くの読者がお気に入り登録してくれたみたいだね。前の投稿から大体100人ちょっとってところかな。毎度言っているけど、物好きな人達だよね。こんな感じの話は、回を重ねるごとに人気が無くなっていくっていうのに。
評価も1人増えたみたいだけど、結局評価の平均が下がっているんじゃあ、自慢にもなりはしないよ。

さて、次回はいよいよキャスター戦をやるみたいだよ。彼らがどんな風に戦い踊ってくれるのか、僕はとても楽しみだよ♪

それじゃあ今回もこんなところで終わろうかな。お気に入り登録、感想、評価等々待ってるよ。
次回、第八話「運命」題名は変わるから気をつけてね♪
次回も読んでくれないと君の街を襲っちゃうよ!フゥフゥフ♪

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