FAIRY TAIL ◼◼◼なる者…リュウマ 作:キャラメル太郎
ミッドナイトが発動した幻術中に『白眼』を発動させて幻術であるということを見破った。
それによってミッドナイトがかけてきた幻術を破り、一気に接近してすれ違い様斬り伏せた。
その後にオラシオンセイスの真のマスターと名乗ったゼロという男が、とうとうニルヴァーナをウェンディが所属するギルド・ケットシェルターに向かって発射した。
だが、空から魔法で破壊された部分を補強したクリスティーナで攻撃(攻撃自体はイブの雪魔法だそうだ)し、ニルヴァーナの攻撃はギリギリ天井部分を掠って逸れる事で事なきを得た。
それからヒビキの魔法である
そして6つの足にそれぞれ一つずつ付いているラクリマを、全くの同時に破壊することが唯一の止める方法なのだそうだ。
止める方法を教えている最中にゼロはテレパシーをジャックし、自分は6つある内のどれか一つのラクリマの前にいる…と宣言した。
1度塔の所で完膚無きまでにやられてしまったナツ達は、ボロボロになりながらも立ち上がり、運が良ければ殴れると叫んでいる。
今はそれぞれがどの番号に行くのかという話しになっており、各々は叫ぶようにして番号を指定していく。
「1番だ…!」
何の躊躇いも無く、ナツはいの一番に1番を選んだ。
「オレが2番に行く…!」
続いてグレイが2番を指定。
「あたしは3番ね…!」
ゼロと当たらないことを祈りながらも、ルーシィは3番を指定した。
「私が4番に行こう!メェーン!」
何処に居るのか全く分からないが、何やら苦しそうに4番を指定したのは一夜だ。
因みに、苦しそうなのは…闇ギルドの奴等に丸焼きにされる豚よろしく、棒に手足を括り付けられているからだ。
「ならば私が5番だ」
ジェラールもこの場に居るが、彼が名乗り出るわけにはいかないので必然的にエルザが5番となる。
「最後になったが、俺が6番だ」
リュウマは何処でもいいと考えていたので最後まで待ち、残った6番を指定した。
『よし、最後に壊すタイミングを時間にして皆の頭にインプットした…頼んだよ』
そう言って繋いでいたヒビキの魔法が切れた。
切れたと同時にそれぞれの頭の中にタイムが刻まれ、時間が経過していく。
このタイムが0になった時に壊せば、ニルヴァーナの活動を停止させることが出来るのだ。
「ゼロはおそらく1番にいる」
タイムが正常に時を刻んでいることを確認したエルザは、当然だとでも言うように1番にゼロがいると言った。
そんなエルザにジェラールは記憶が無いので分からず、何故かと問うた。
それに対して簡単に説明した。
「ナツは鼻が良いからな、ゼロの匂いが1番からしたんだろう」
滅竜魔法を使うドラゴンスレイヤー達は、総じて体の器官が鋭かったり強靱だったりする。
ナツやガジル、ラクサスも鼻が良く、耳も良く聞こえる。
そんなわけでナツは1番からするゼロの匂いを嗅ぎ分けて速攻で1番を選んだのだ。
「よし、ではまた後でな」
リュウマの言葉に頷いて、エルザとジェラールは走って行き、その場を後にした。
いつまでも喋っている暇はないため、自分の持ち場へ向かったのだ。
リュウマも指定した番号である6番に向かって足を勧めていった。
走り続けること数分のこと…リュウマは6番を選んだことを少し後悔していた。
エルザ達と別れた場所から1番近かったのは1番、つまり1番から最も遠いのが6番なわけで…。
今更ながら2番にしていればよかった…と、考えながら6番に着いたので、ラクリマがある広場へと出た。
「やっと来やがったな」
しかし…そこには先客がいた…ゼロである。
ゼロがいるのは1番である筈だと思っていたリュウマは呆然とした。
それから直ぐに復帰して、どうしてこの6番に居るのか問うた。
「何故貴様がここにいる…?1番にいるはず…」
「あぁ、テメェらのところの
──あぁ…頭が痛い…ならばナツは今頃……
──ニルヴァーナ1番の足
「なんであいつがいねぇんだコラアァァァァ!!!」
「……」
──なんてことになっているのではないだろうな…?いや、なっているな…まあ…
「仲間をやたら痛めつけてくれた返しは俺がしてやろう」
「フハハ…最初に会った時から殺したくて堪らなかったぜリュウマ…!」
リュウマとゼロは互いに構える。
だが残り時間が余り残されていないため、一気に近づきながら槍を召喚し、胴体を狙って素速く横に薙ぎ払う。
「ハアァ!!」
「フッ…!」
ゼロはギリギリの所を避けるが逃がす気などない。
避けた方に距離を詰め、ゼロの腕を掴み投げ飛ばす。
推測した着地地点に先に移動し、背中から飛んでくるゼロに突くように追撃した。
「ぐっ…!舐めるなァ!!」
ゼロは体を捻り回避しながらも魔力の込めた拳を叩きつけようとしてくる。
だがリュウマはその拳を避けながらまたも腕をとり、ゼロの力を利用して地面へ叩きつけた。
「ガハッ!?クソがァ…!」
叩きつけた後にすぐさま槍で突き刺そうとするも、魔力の盾を創り出して防御される。
ゼロは直ぐさま起き上がり、後ろへと跳んで距離をとった。
「フン…これでも喰らえ『
ビーム状の魔法が飛んでくるがその場でしゃがんで避ける。
リュウマは自身のすぐ上を通過したため分かったが、このダークカプリチオという技は貫通性のある魔法のようだ。
リュウマが避けた後も次々とダークカプリチオを連続で撃ってくるが…全て避けてゆく。
「真っ直ぐにしか飛ばせねぇと思うなよ?オラァ!」
──…っ!足下から魔法が…!
「ぐっ…!!」
足下の床を貫通し、下から抜けた魔法がリュウマの体に微かだが当たり、よろめいたところを曲がってまた向かってくる。
体勢を少し崩していたのでまた当たりそうになるも、今度は完璧に避ける。
「クハハハハハハハハハ!!!壊れろ!壊れろォ!!」
次々としつこいぐらいに撃ってくるダークカプリチオがいい加減鬱陶しいので迎撃することにした。
「『
──────ゴオオォォォォン!!!!
貫通性の魔法に拳を叩き込むという行為は、普通なら正気の沙汰ではないだろうが、リュウマは別だ。
叩き込む拳を魔力で覆っておくことにより、防御壁を作っておいたため無傷である。。
「貫通性の魔法を殴り消すとは…面白ぇ…!」
「フンッ…その程度の魔法で俺を壊せると思い上がるな」
と、言ったものの…戦闘が始まってから少し経っているため時間に余裕が無かった。
──残り時間は6分と言ったところか…久々にあれをやるか。
「こっちは時間が無いんだ。早々に片づけさせてもらうぞゼロ」
「フハハハハハ!出来るもんならやってみやがれぇ!!」
リュウマが己が己自身に掛けた封印を解く。
「『封印・第一門・解』!!」
その瞬間…彼の体から純黒の魔力が溢れ出し、体全体を覆い隠すように溢れ出ている魔力は6番の足全体を大きく揺らすほどのものである。
───ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!!
──こ…これほどの魔力は…いったいどこからくるんだ…!
「な、なんだ…何なんだこの魔力は…!?」
今までのリュウマから感じられた魔力量が、封印を解き放った瞬間から跳ね上がった。
そのことにゼロは冷や汗を流しながら叫んだ。
「あァ…久々の我が魔力…極一部とはいえ戻ってきたぞ…」
「この…化け物があァ!!!!」
ゼロはリュウマから感じられる膨大過ぎる魔力に恐れを成してダークカプリチオを飛ばした。
しかし…今の彼に対して最早…ゼロの魔法の総ては効くことは無く、無駄な足掻きにしかならないのだ。
「ふうぅ…」
彼が飛んで迫ってくるダークカプリチオにそっと息をふきかけると…
「な…なに…?」
「我が黒き魔力は総てを呑み込み…塗り潰す」
「なんなんだ…貴様は…」
「俺か…?俺は…
少し踏み込み…刹那にゼロの目の前まで移動する。
突然目の前に来たリュウマに対して回避行動をしようと反射的に行おうとするのだが…時既に遅し…。
「…!!」
─────ドカアアァァァァン!!!!
「ガアアァァァァァ!!??」
ゼロはリュウマに殴り飛ばされて壁へと激突した。
「貴様に勝機なんぞ最初から存在しない。諦めろ」
「……クソが…クソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがァ!!!!!」
ゼロは叫びながら接近してリュウマに向かって魔法を放った。
「墜ちろおォ!『ダークグラビティ』!!」
リュウマには全く効かないが、魔法の威力によって足下の床が崩れ、落下していく。
下には更に違う床があったので着地する。
「死ねええぇぇぇ!!!!『ダークウェイブ』!!」
──タンッ…
ゼロから発せられる邪悪な魔力の波が襲いかかるが、リュウマが床に脚を踏み込むだけで魔法は弾けて消えた。
「──ッ!!もういい!貴様にオレの最高の“無”をくれてやる!我が最大魔法のなあァ!!!!」
「ハァ…これだけやられてまだ諦めんのか…まあいい、受けて立ってやろう」
リュウマは魔力を練り上げながらゼロの元へと歩み始めたが、これだけの実力差を見せてやったというのに、性懲りも無く向かってくるゼロに呆れていた。
「『ジェネシス・ゼロ』!!」
──ほう…?なかなかの邪悪な魔力だ。
最大の魔法ということだけはあって、感じられる魔力はとても高い。
しかし…リュウマからしてみれば所詮はその程度…で、片付けられてしまう程度のものだ。
「開け…鬼哭の門…!無の旅人よ!その者の魂を!!記憶を!!存在を食い尽くせ!!」
ゼロの言葉に従うように、全方向から怨念とも言えるような禍々しいものが次々と押し寄せてくる。
「消えろ!!ゼロの名の下に!!!!」
確かに凄まじい魔法だ、普通の魔導士ならば抵抗させることもなく一瞬で消されているだろう。
だが…生憎、前に居る男は
「この程度の魔法で俺を殺そうと思っていたのか…?舐めているにも程があるな。『燃えろ』」
彼がそう発言すると、ジェネシス・ゼロは突如発生した黒炎によって瞬く間に燃やされ消えてしまった。
「ジェネシス・ゼロが黒炎に燃やされて……」
自身が放てる最高最強の魔法を…たったの一言で消されたことに呆然とする。
「終いだゼロよ…『絶拳技…
ゼロの目の前まで瞬時に移動したリュウマは…拳を振りかぶる。
腕全体に濃密な魔力を纏わせたリュウマの強力な殴打によりゼロは天井全て突き破り…ラクリマに激突した。
そして当たったラクリマは、ゼロの衝突の威力に耐えられず…粉々に砕け散った。
そこでカウントダウンもちょうど
他の皆も壊したのだろう、ニルヴァーナの崩壊が始まり、周りの壁がどんどん崩れていった。
──俺もさっさと退避するか…あっ…封印をまたかけなければ…ハァ…封印すると動きづらくて仕方ない…重りを付けたまま水中を移動しているかのようだ…まあ慣れたが。
リュウマは内心でくだらないことを考えながらも、崩れていくニルヴァーナから脱出した。
脱出した後、ジェラールを取り巻く新生評議院とのいざこざがあったりもしたが…ジェラールは結局逮捕という形で連れて行かれてしまった。
彼が今までの記憶をほとんど思い出せない…と言っても過去の過ちは消えることはない。
だが、みんなには不思議とこれで別れ…という風には感じられなかった。
理由を聞かれても答えることは出来ないだろうしかし…それでもまた会うという確信めいたものがあったのだ。
それ程遠くない未来…ジェラールとはまた出会うだろう。
その時までしばしの別れ…。
そして今は怪我をしていたみんなの治療も終了し、怒濤の戦いが終わってから1日明けて広間へと集まっている。
ケットシェルターのマスター・ローバウルが礼を言いたいとのことだ。
「
「よくぞ
「ありがとう…なぶらありがとう…」
──今更だが、なぶらとはどういう意味なのだろうか…?
少なからずみんなが気になっていたであろう事を、心の中だけにとどめておいたリュウマは偉いだろう。
「どういたしまして!!!マスター・ローバウル!!!オラシオンセイスとの激闘に次ぐ激闘!!!楽な戦いではありませんでしたがっ!!…仲間との絆が我々を勝利に導いたのです!!!」
「「「さすが先生!!」」」
「ちゃっかりおいしいとこ持っていきやがった」
「あいつ誰かと戦ってたっけ?」
ローバウルの感謝の言葉に対して真っ先に応えたのは何故か一夜だ。
それに乗っかってトライメンズも騒ぎ立てる。
今まで一夜が誰と戦っていたのか全く分からないグレイとルーシィは、ただ美味しいところを持っていっただけにしか見えなかった。
事実…一夜はオラシオンセイスの誰も倒していない。
「お前達もよくやってくれたな」
「やっと終わりましたわね」
「ジュラさん…」
「この流れは宴だろーー!!」「あいさー!」
「一夜が」「一夜が!」「活躍」「活躍!」
「「「「ワッショイワッショイワッショイワッショイ!!!!」」」」
一夜を先頭にしてトライメンズはヘンテコな踊りを披露して騒いでおり、ナツも一緒になって騒ぎ始めていた。
「宴かぁ」「まあ、いいだろう」
「あんた達は服を脱ぐなーーー!!!」
「「「「……………………………………」」」」
しかし…何故か分からないが…ケットシェルターの人々はみんなが黙りこくっており、誰も喜んでいるようには見えなかった。
その異変に気づいたのか他の者達もみんな黙り、ケットシェルターの者達を見る。
するとマスター・ローバウルが語り出した。
「皆さん…ニルビット族の事を黙っていて申し訳なかった」
ニルビット族とは…昔にニルヴァーナを造った一族であるが、ニルヴァーナ自体が危険であると判断して封印した一族であり、ケットシェルターの人達全員がニルビット族だとオラシオンセイスに告げられていた。
「そんなことで空気壊すのか?」
「全然気にしてねぇのに、な?」「あい」
「マスター?私も気にしていませんよ?」
口々に気にしていないと言われたローバウルではあるが…その顔はまだ何かあるといった表情だ。
「……皆さん。ワシがこれからする話しをよく聞いてくだされ」
「まず、最初に…ワシらはニルビット族の末裔などではない」
ニルビット族だから今までの戦いがあったというのに、自分達がニルビット族ではないと話し始めたので、みんなの頭の上にはハテナマークが乱立していた。
しかし…そんなのも直ぐに消え去る。
「ニルビット族そのもの。400年前…ニルヴァーナを造ったのは、このワシじゃ」
「何!?」
「うそ…」
「400年前!?」
「……」
なんと…ローバウルがニルヴァーナを造り出したと言い放ったのだ。
それにはみんなの度胆を抜いて驚愕させる。
「400年前…世界中に広がった戦争を止めるために善悪反転の魔法ニルヴァーナを造った」
「ニルヴァーナはワシ等の国となり平和の象徴として一時代を築いた…」
「……しかし…強大な力には必ず反する力が生まれる。闇を光に変えた分だけ、ニルヴァーナはその“闇”を纏っていった」
「………」
「バランスをとっていたのだ、人間の人格を無制限に光に変えることは出来なかった…闇に対して光が生まれ、光に対して必ず闇が生まれる」
「そう言われれば確かに…」
グレイには心当たりがあったため、そう言葉を溢した。
「人々から失われた闇は我々ニルビット族に纏わり付いた」
「そ、そんな…」
「地獄じゃ。ワシ等は共に殺し合い全滅した」
「生き残ったのはワシ1人じゃった…肉体はとうの昔に滅び去り、思念体に近い存在だが、ワシは罪を償うため…ニルヴァーナが破壊できる者が現れるまで、この地にて400年見守ってきた」
「今……ようやく役目が終わった」
「そ、そんな話し…」
──七年前にウェンディを預けた時は不思議には思わなかったが…まさかこの村人全員が思念体か…?
リュウマがローバウルが語った真実からそう考えていると、その説はあっていたようで、思念体の村人が次々と光の粒子となって消えていく。
「村人が消えていく…!?」
「ギルドメンバーに村人は皆、ワシの創り出した幻じゃ…」
「なんだと!?」「人格を持つ幻だと!?」「なんという魔力なんだ…」
「ワシはニルヴァーナを見守るためにこの
「七年前…1人の少年と1人の青年がワシの所に少女を連れてきた」
『この子を預かってください』
『俺からも頼む』
「少年達の真っ直ぐな眼に、ワシはつい承諾してしまった。1人でいようと決めていたのにな…」
「そして幻の仲間達を創り出した」
「ウェンディの為に創られたギルド……!」
「いや…いや!そんな話し聞きたくない!!みんな…消えないで!!」
今まで一緒に苦楽を共にしてきた村の人たちや、ギルドのみんなが消えていくのが耐えきれないのか、ウェンディは耳を手で塞ぎながらしゃがみ込んでしまう。
「ウェンディ…シャルル…もうお前達に偽りの仲間達は必要ない…何故なら……
お前達にはもう本当の仲間がいるではないか」
「お前達の未来は始まったばかりだ…」
「マスター!!」
そして終には…ローバウルまでもが消えてしまった…。
『皆さん…本当にありがとう。ウェンディとシャルルを頼みます』
「マスター…マスターーーーー!!!」
ウェンディは悲しみのあまり、大声で泣き叫ぶ。
それを止める者は…否…止められる者はいなかった。
だがそんな中…リュウマはそんなウェンディに近寄り肩に手を置いて話しかけた。
「愛する者との別れの辛さは痛いほどに知っている…だが、そんな辛さは仲間が埋めてくれる」
「一緒に来い。我がギルド…
ウェンディとシャルルにそう言って微笑みかけた。
愛する者との別れは知っている…
そう…あの時に…。
これでもかという程に…。
いや~長い…!!
オラシオンセイス長い!!
あと、エドラスってやった方が良いのかな?
書くの大変そうだ(白目)