FAIRY TAIL ◼◼◼なる者…リュウマ   作:キャラメル太郎

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エドリュウマの設定が未だに決まらない私は追い込まれている(白目)





第二十刀  エドラスへ

 

 

リュウマは仕事先から電車などを使わず、徒歩のみで数時間かけてマグノリアに帰って来た。

理由としては、特にこれといって何かあった訳ではない。

ただ…気分を落ち着かせながら歩ってゆっくりしたかった…それだけだ。

 

だが、数時間ぶりに帰ってきたリュウマが目にしたものは…いつものマグノリアではなく、辺り一面白銀と化した殺風景な光景だった。

フェアリーテイルも何もなくなっており、街も店も文字通り何も存在しない消えてしまっていたのだ。

 

ボーッとしながら来たのでここまで来てから気づいたのだが…街全てが綺麗さっぱり消えているという自体に、リュウマはガラにもなく焦っていた。

 

───こ、これは一体どうなっているんだ…?マグノリアはここで合っているはず…。慣れ親しんだ街を間違えるほど俺は方向音痴では…ん?かすかな魔力反応…何かの魔法…?

 

 

「リュウマなのか…?」

 

「…っ!」

 

頭の中で現状と、如何して何のために、一体誰がこんな事をしたのかを考察していると…後ろから声をかけられたため、振り向くとそこに居たのは…

 

「ミストガンか?」

 

「あぁ、久しぶりだなリュウマ…」

 

「あぁ…久方ぶりだな…だが、今はそれよりもこの状況だ。一体何があった?」

 

「…大きくなりすぎたアニマの仕業だ…」

 

アニマ…各地で発生する異常気象扱いされている超常現象のことだ。

快晴であったはずの空に、何時の間にか雲が形成され渦巻いていると思えば、渦巻く雲の下にある物を吸い込んでしまう。

ミストガンは何故か分からないが、各地を仕事の合間に渡り歩きながら、そのアニマをけしていっているのだ。

因みに、アニマの存在はミストガンからリュウマはある程度聞いていた。

 

「確か、こことは違う別世界で魔力を補充するための魔法…だったか」

 

「その認識で構わない。先程星霊を使って凌いでいたルーシィという少女と、ガジルという男を別世界…エドラスへと送った所だ。間に合わなかったが、ナツとウェンディに青い猫と白い猫もアニマの魔力の残痕を使ってエドラスに向かった」

 

───ルーシィは星霊で逃げ延びたのか…ガジルは何故だ?ナツとウェンディが吸収されなかったということは、ドラゴンスレイヤーは吸収されないのか…?まあいい……おそらくナツ達は魔力として吸収された仲間や街の人を取り戻す為にすぐに出発したのだろう…だが、それだけでは流石に無理がある。相手の情報も何も手に入れていないのだから…。

 

ルーシィだけだと心配になってしまうがガジルも送り、ウェンディに関してもナツとハッピーシャルルがいるので心配はないと思うが、相手は未知数の存在故に少しの不安が残った。

 

「なるほど…ナツがいるならばウェンディ達に関しては安心だな…」

 

「いや、そうでもない…」

 

が…ミストガンはそうではないらしく、リュウマの言葉を否定した。

リュウマはそんなミストガンの事を見て、何故そう思うのか聞いてみることにした。

 

「エドラスでは魔法は使えないんだ。ルーシィにはこの『エクスボール』を飲ませた、これはエドラスで魔法を使えるようになる薬だ」

 

「ほう、便利だな」

 

「他の皆が元に戻ったらこれを飲ませてくれ。魔力にされてラクリマとなった人間は、ドラゴンスレイヤーが砕くことで人間へと戻る、だからガジルにはラクリマを見つけたら砕いてエクスボールを飲ませるように言ってある」

 

確かに魔法が使えないとなると、魔導士であるナツやウェンディ達には不利だなと思った。

説明と共に貰ったエクスボールが数個入っている瓶を受け取り懐にしまった。

 

「これからあなたをエドラスへ送るが、エドラスのリュウマに気をつけてくれ」

 

「…ん?別世界には俺がいるのか?」

 

「あぁ、エドラスにはフェアリーテイルの皆もいるが皆がそれぞれこっちとは違うんだ。エドラスのリュウマはエドラス王国魔戦部隊()()…つまりエドラスで最強とされている人間だ、あなた意外には相手をすることが困難だろうから…見つけたら頼む」

 

こっちのリュウマはS級を超してSS級…更には一番上の100年クエストもこなすことが出来る。

異世界であるエドラスの場合、エドラスのリュウマは王国軍に属してかなりの地位を手にしているらしい。

 

「分かった。では早速エドラスへ送ってくれ」

 

「頼んだ…」

 

 

 

 

こうしてリュウマは、ミストガンによって別世界のエドラスと言われる所に飛ばされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side、???

 

 

 

「陛下!!!!!」

 

───タッタッタッタッタッタッタッ!

 

少女が長い廊下を走り目的の人物の元へと急ぐ。

 

「予定通り四日後にはあの巨大ラクリマから魔力を抽出出来るとのことです!やりましたね!」

 

 

「足りんな…」「っ?ほへ?」

 

「陛下…今なんと…?」

 

「あれでは足りぬと言っておる」

 

 

「お言葉ですが陛下ーーーーー!!!!あのラクリマはアースランドの魔法都市一つ分の魔力なのですよー!この先10年相当の我が国の魔力として利用できるのですよーーー!!!!」

 

と、少女は走り回りながら陛下と呼ぶ者に対して説明をする。

アースランドとは、ナツやリュウマ達のいる世界のことであり、こちらの世界のことは先程通りエドラスという。

 

 

「我が偉大なるエドラス王国は有限であってはならぬのだ」

 

 

「…!!」

 

そう言うやいなや、その者は玉座のような物から立ち上がりながら叫んだ。

 

 

「よこせ…もっと魔力をよこせ────ワシが求めるのは永遠!!永遠に尽きぬ魔力!!!」

 

 

 

 

 

「王がお望みとあらば」

 

 

興奮したように叫ぶ老人に向かい、話しかける青年がいた。

 

 

「お主か…」

 

「王がお望みとあらば永遠の魔力…手に入れて御覧にいれましょう…」

 

「期待しておるぞ…王国軍魔戦部隊総帥───」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「───()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

「お任せあれ…」

 

 

 

 

 

 

異世界を巻き込むほどの悪意は…着々と動き始めている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side、リュウマ

 

 

 

ミストガンの何らかの魔法によって飛ばされてから、少しの衝撃からゆっくり目を開けると…確かに全く違う世界だった。

近くに街があるようで賑わいの声が聞こえる。

彼が今いるのは、その街の近くにある森のような場所だ。

これは結構助かる場所に到着した。

 

エドラスにいるリュウマは、王国軍の部隊の総帥だと言っていた。

とどのつまり…身分がかなり高く、世間に顔が知れているということ…リュウマが街などの人が集まっている場所に顔を出せば、たちまち大騒ぎになって国の者に見つかるかもしれない。

彼はそう思考しながら、まずはミストガンからエクスボールを飲んだ。

 

「…?甘い…イチゴ味か…」

 

───何故イチゴ味なのだろうか…?魔法を使えるようになる万能な薬だというのにイチゴ味とは…まあ、確かに赤いが…。

 

疑問に思いながらも使えるようになった魔法で黒いフード付きのマントを召喚して頭から被る。

フードを被れば顔が暗闇によって阻害され、他者からは見えなくなるという優れ物だ。

発動していることを確認したリュウマは、この世界の情報を集めるには打って付けであろう図書館へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

『ザワザワ』 『ザワザワ』 『ザワザワ』

 

 

街に着いたはいいが、この世界では魔法は体に溜めた魔力を放出して使うのではなく、魔力の籠もっているラクリマを道具に埋め込むなりして使うらしい。

それ故に魔力は有限…故のアニマである。

しかし、他にもこの世界のことを知りたいため、情報の宝庫である図書館へと向かって行った。

…のだが、場所が分からないので人に聞いてみてからにした。

 

「少しいいだろうか」

 

「ん?どうした?」

 

「図書館は何処にあるだろうか」

 

「なんだこの街は初めてか?」

 

「あぁ、実はまだ来て日が浅くてな」

 

「そうかい!図書館だったよな?図書館はこの道進んでちょっと行った先を右に曲がるとあるよ」

 

「感謝する」

 

「いいってことよ」

 

リュウマは聞いたとおりに進み図書館を見つけて中へ入る。

色々な本がある中を見ていると、エクシードについてという本を発見した。

何なのか気になったため、手に取り読んでいく。

 

「エクシード、それは今から100年以上前から生きている猫型の天使。エクシードは体に魔力を内包しており、その魔力を使い翼を出して飛行する」

 

───猫に翼…?ハッピーとシャルルのような存在がこちらにもいるということか…?

 

「尚、エクシードの王は神であり絶対の存在…かの者が何かを命じれば我ら人間は従うしかない…エクシードの王は人間を消し去る力を持っているためである…」

 

───なんだそれは…?意味が分からん…

 

 

──ワアアァァァァァァァァァ!!!!!!!

 

 

なんだか外が騒がしくなったので、様子見も兼ねて行ってみる。

外に出てみると、何やらパレードのようなものがやっていた。

だが、その中で目を引く物があった…それは…

 

「巨大なラクリマ…?切り取られた後がある、となるとあれで全部ではない…?」

 

巨大なラクリマが荷台に乗せられ、街中を移動していた。

この巨大なラクリマこそが、ラクリマとされた人々そのものである。

 

「エドラスの子らよ…」

 

上に乗っている老人が喋り出して演説が始まった。

周りの叫んでいる者がいうには演説しているものはこのエドラス国の王のようだ。

 

「我が神聖なるエドラス国は、アニマにより10年分の“魔力”を生み出した」

 

生み出しただと…?俺の仲間や街の人々を無理矢理ラクリマに変化した分際でェ…!!!

 

「共に歌い共に笑い…この喜びを分かち合おう」

 

「エドラスの民はこの魔力を共有する権利があり、また、エドラスの民だけが未来へと続く神聖なる民族…!!」

 

「我が国からは誰も魔力を奪えない…!!!」

 

「そして我はさらなる魔力を手に入れると約束しよう…!これしきの魔力がゴミに思える程のなァ!!!」

 

この国の王は手にしている杖で、背後に聳え立つ巨大なラクリマを砕き割った。

小規模とはいえ、ラクリマは元はエドラスの人々…駆け出して攻撃を仕掛けなかっただけ、リュウマは良く持ったと言える。

 

───…っ!彼奴…!ラクリマを砕き…!!!あの…塵がァ…!!!!

 

「あの者は許さん…許さんぞエドラスの王…!!」

 

彼は湧き上がる魔力を、どうにか抑え込みながらその場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

まずはあの広場にあるラクリマをどうかしなくてはならないため…これだけ大々的にやればナツやガジルが気づいて来ると思ったのだが…なかなか来ないことに不思議に思っていた。

ナツならば我先にと飛び出てくると思ったのだ。

いっそのこと前にいる兵士は適当に気絶させ、ラクリマを『神威』で跳ばして持って行こうと考えた時…背後から声をかけられた。

 

 

「お前…リュウマか…?」

 

 

───む、この声は…

 

リュウマは聞き覚えのある声に後ろを振り向いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side、L

 

 

ルーシィは街で怪しいからと憲兵に捕らえられそうになっているところを、ハッピーとシャルルの翼で運ばれて来たナツとウェンディと合流を果たした。

その後、偶然見つけたエドラスのフェアリーテイルで自分と会ったりもした。

 

エドラスとルーシィ達が住むアースランドの世界では色んな物が違い、エルザはフェアリーテイルの仲間ではなく、妖精狩りのエルザと言われる王都側の人間だった事を知る。

 

エドラスのルーシィ…通称エドルーシィは途中で居なくなってしまったが、今ルーシィ達は王都城下町に来てパレードを見た。

彼女達の仲間がラクリマにされ、しかもそれを目の前で砕かれるところを目撃した…。

心の底から怒りがこみ上げてくるが、ここは我慢しなくてはならない。

…こんな所で見つかったら他の仲間が探し出すことが出来なくなる。

 

ルーシィ達は今、シャルルの案により城からの脱出用に造られた通路を歩ってる。

ここを通れば城への唯一の近道…。

因みに、ナツとウェンディは魔法が使えないため、現最強はルーシィだったりする。

 

「どうやらここから城の地下へと繋がっているようね」

 

「どういう原理なのか知らないけど、シャルルがいて助かったわ」

 

「私にも分からないわよ…次から次へとこの世界の情報や地理が頭の中に入ってくるんだもの」

 

案内は何故か道筋が頭の中に流れ込んでくるというシャルルか買って出ている。

正直道が分からなかったので助かっていた。

 

「ここからが大変よ、気づかれずに王の寝室に入って気づかれずに脱出するの」

 

王のことをルーシィの新しく契約したジェミニの能力を使ってコピーし、頭の中の情報を抜き取る…っていう作戦だ。

成功させるには、出来うる限り王に近付かなくてはならない。

 

「兵隊に見つかったら今の私達じゃ勝ち目はないわ」

 

「ま、いざとなったらあたしの魔法があるんだけどねー」

 

いつも戦闘が出来るナツやグレイ、エルザの後ろから星霊を使って攻撃しているルーシィは、今だけ味わえる優越感に浸っていた。

 

「あまり期待できねぇけどな…」

 

「何言ってんのよ!この作戦だってあたしのジェミニあっての作戦なのよ!?」「はいはい」

 

─────ギュルル!!

 

「きゃあ!?」「ルーシィ!!」

 

ルーシィ達は固まっていたところをベタベタと粘着性のある魔法によって捕らえられてしまった。

突然の攻撃に対処できなかったナツまでも捕らえられ、反撃は出来ない状態となる。

 

「きゃ!」「ウェンディ!!」

 

「ふぉぼ!!??」「ナツ!!」

 

───う、動けない……ウェンディもナツもあたしと同じように捕まっちゃった…。

 

─────ザッザッザッ…!!

 

そこに現れたのは隊を作って進んでくる兵隊達。

武装していることから、ルーシィ達が元々ここを通ってくるということは見越していると分かる。

 

「なんでこんな坑道にこれだけの…」

 

「どうして見つかったんだ…」

 

「………!」

 

 

 

「こいつらがアースランドの魔導士か…」

 

「そのようだな」

 

 

 

聞こえてきた声にルーシィ達は勢い良くそっちに向かって顔を向ける。

隊を作っていた兵士を別け、現れたのは鎧を身に纏っているリュウマと、軽装であるが武装しているエルザだった。

 

「奴等とそっくりだ、ナツ・ドラギオン…ルーシィ・アシュレイ…とは本当に別人か?」

 

「エルザ!!」「リュウマ…!!??」

 

───エルザとリュウマが…!!

 

「総帥殿が来るまでもありませんでした。御足労をかけて申し訳ありません」

 

「よい。アースランドの者がどんな奴等なのか見ておきたかったからな」

 

「ありがとうございます」

 

「うむ、連れて行け」「ハッ!」

 

喋り方から声までも全て自分達の知るリュウマとエルザであることに驚きながら、身をよじって2人の前まで来たルーシィは、話を聞いてもらえるように喋り掛けた。

 

「お願いリュウマ!エルザ!話を聞いて!」

 

「はばべーーー!!!!」

 

「シャルルー!!」「ウェンディ…!!」

 

エルザとリュウマがハッピーとシャルルの前に立つ。

何をするつもりなのか分からないルーシィは、見守る事しか出来ないことでハラハラとしていた。

 

「エクシード…」「えっ?」

 

そしてエルザやリュウマに兵士達も全員膝をついて頭を垂れた。

現状を上手く理解出来ていないルーシィ達は目を丸くし、頭を垂れられているシャルルとハッピー達を見た。

ハッピー達も状況を理解していないようで、ナツ達を見ては困惑した表情を浮かべていた。

 

 

「おかえりなさいませ…エクシード」

 

 

「ちょっ!?えぇぇぇぇ!!!???」

 

「エクシード…?」

 

「……!!!!」

 

「ハッピー…シャルル…あなたたち一体…」

 

 

「侵入者の連行ご苦労様でした」

 

 

───え……ウソ…どういうことなの…?

 

 

 

 

ルーシィは全然状況を掴めないまま、ナツ達とは違う所に連行され…牢屋に入れられた。

 

 

 

 

 




ハッピー達の話どうしよっかな…
短いけど結構好きなんですよね…


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