FAIRY TAIL ◼◼◼なる者…リュウマ   作:キャラメル太郎

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ここからはオリジナルです。
結構重要かもしれませんし重要でないかもしれません。

話数的には2、3話を企画しており、御理解頂けるかもしれませんが短い話数です。




異世界へと跳躍
第五七刀  消えた男


 

 

城に招待されて招待されたギルドの者達は一晩中騒ぎ立てて翌日である今日、それぞれのギルドが建ってある街へと帰っていった。

フェアリーテイルとて同じで、今はもう帰りの馬車に乗ってユラリ揺られていた。

それ故にナツは酔っていた。

 

「うっぷ…気持ち悪ィ…」

 

「だったら乗るんじゃねーよ。降りて走りやがれ」

 

「なんか名残惜しいわね~…」

 

「ばいばいクロッカス」

 

「随分長く滞在したような気がするぞ」

 

「………………。」

 

馬車の中では思い思いのことを喋って花を咲かせていたが、その中でもリュウマだけはずっと黙っていた。

 

「どうしたんだ?リュウマ」

 

「具合でも悪いの?」

 

「……誰のせいだと…」

 

何故リュウマが具合が悪いかと言うと…昨日の夜のカグラのプロポーズ。

それを聞いていたエルザやルーシィ達乙女達は、リュウマに正座をさせてお説教をしていたのだ。

その時間が長すぎて治っている今もなんだか痺れている感じがする。

それが気になって仕方なかったのだ。

 

「それにしても、リュウマはお姫様にも容赦なかったね」

 

「あい!それがリュウマですから」

 

「まぁ、妥当だとは思うがな。あれ以外の罰だと国そのものが崩壊しかねん」

 

エルザ達によるお説教から解放されて少しした後、この国の王直々に話しをしたいと言われてリュウマが呼ばれた。

何用か問えば…

 

 

『リュウマ殿は見事な采配にて我が兵士を使いドラゴンを倒したと聞いた。その類い稀なる智慧を持つリュウマ殿に問いたい。今回の事件を引き起こしてしまった私の娘であるヒスイを始めとした、アルカディオスや国防大臣にどのような罰を与えればいいのか』

 

 

と、提案してきたのだ。

それはこの国の頭として国王自ら下すべきではないのかと言ったのだが、自分はその場に居なかったどころか、自分の身内がこんな事を考えていたことに気がつきもしなかった。

 

それにヒスイは実の娘であり姫である事から贔屓気味にしてしまうかもしれない。

それでは他の者に示しがつかないということでリュウマに頼んだのだ。

 

その提案をリュウマは呑んで罰を考えることにした。

リュウマ以外の者はあまり酷いのにしないでやってくれと進言したが…勿論却下だ。

 

示しがつかないということで自分に頼んできたというのに、軽くしたら何の意味があるのか分かったものではない。

それにいくら王族であろうと処罰は処罰。

王族であるから裁かれるのではなく、王族であり過ちを犯した故に処罰されなくてはならないのだ。

 

 

『ヒスイ姫には2年間、この国の街に降りて無償奉仕を命じ、この国に住む民の視点を知り国民の考えを教授され、民がどういった生活を送っているのかを知ってもらう。要は見聞を広めろ…ということだ。今回の事件は世間を知らなすぎるが為に起きたものだ。これは世間を知ることから始まるのだ』

 

『国防大臣及び騎士長であるアルカディオスに関しては1年間における給与減給。貴様等は関係ない人間を巻き込み取り返しのつかないことをする一歩手前までいった。貴様等が例え自分が悪だと言われようと遂行すると言ったそうだが、それならば貴様等は悪にすらなれない(ゴミ)だ。そんな貴様等は今までやってきたことを心の中に刻み込んで王に仕えろ。他の兵士はこれから毎日例え嵐であろうとも訓練をさせる。訓練メニューは従来の4倍だ。休みは与えん、死ぬ気でやれ。出来ないと弱音を吐くならばその場で腹を切って死ぬか、己の故郷にでも帰れ、訓練如きも真面に出来ん兵士(ゴミ)は居ない方が余程役に立つ』

 

 

リュウマが下したのはそういう罰であった。

ヒスイは見聞を広めるためにもこの国に住む住人達と触れ合うことで気持ちを理解し、物事の善し悪しを身に付けろということだ。

 

国防大臣やアルカディオスに関しては解雇でもいいと思ったのだが、この国において重要な立場にいる2人を一気に失うというのはかなりの打撃に繋がるので減給と王の仕事の手伝いだ。

兵士に関してはドラゴンを追い込むまで戦ったことは誇りではあるが、敵前逃亡しようとしたのは事実。

それはこの国に仕える兵士としてやってはならないことである。

 

なので訓練を休まずやらせてメニュー量は今までの4倍にした。

もしこれすらも出来ないならば兵士として役に立つどころか、兵士ではなく敵から城を守る肉の壁にしかならない。

 

兵士や国防大臣、アルカディオスは内容を聞いて唖然としていたがヒスイは直ぐにそれを受け入れた。

自分の行いが今回の悲劇を生んだのは周知の事実であるし、それどころかこんな内容が罰にしては軽いと思っていた。

本来は国が崩壊しても良い程のことであったからだ。

国王もその内容でいいと言って先程のリュウマの提案をそれぞれに課した。

 

他にもリュウマがしたことがある。

それはセイバートゥースについてのことであった。

いくら前マスターであるエンマやミネルバなどが行方不明になったからといって、今までの行いが許されるわけではない。

 

『ところでセイバーの貴様等はルーシィに対して謝罪したのか?』

 

『えっ…それは…』

 

『ミネルバの小娘にやられていたルーシィを見て大きく口を開けながら嘲笑っていただろう』

 

『それは…』

 

()()謝罪していないのだとしたら早くした方が良いぞ?俺は気が短い時が多々あるのでな』

 

『『『『はいぃ!!』』』』

 

『今すぐいけ3秒以内だ。でなければ──殺すぞ』

 

『『『『イエスマム!!!!!』』』』

 

因みに脅したときのリュウマの目は赤く輝いていて魔力を感知したため、もし直ぐ行かなかったら何時ぞやの小型竜のように消滅させられていたかもしれない。

 

『『『『ルーシィ様!!!!』』』』

 

『えっ!?ちょっ何!?何なの!?』

 

『『『『あの時は笑って本当に申し訳ありませんでした!!!!』』』』

 

『わ、分かったから!だから顔を上げて?』

 

『『『『ありがとうございます!!』』』』

 

『顔上げないし面倒くさい…』

 

セイバートゥースはルーシィに許してもらえて良かったと言える。

何故ならばルーシィの背後に文字通り眼を光らせているリュウマがジッと見ていたからだ。

 

後はセイバートゥースのメンバー達がリュウマに怯えていただけでパーティーは恙なく行われた。

ルーシィへの謝罪の他にも、ユキノがセイバートゥースを信じてまた所属することも決まった。

 

最初は渋っており、どうしようか決められなかったようだが、自分を見るときのスティングや他の者達の目がとても真っ直ぐであったことを感じ、信じてみることにしたのだ。

 

ユキノとセイバートゥースの話も終わり、パーティーが終わって解散したら定められたギルドの本拠地に戻り、朝日が昇るとそれぞれが帰って行ったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───マグノリア

 

 

馬車に揺れること数時間のこと、フェアリーテイルのメンバー達はマグノリアへと到着した。

マグノリアの街はそろそろフェアリーテイルが街に到着することを聞かされていたのか、街の至る所にフェアリーテイルのマークが描かれた旗を吊るし、クラッカーや紙吹雪などを舞いて歓迎していた。

 

「来たぞ!帰ってきた!!」

 

「ほら早く!!みんなこっちこっち!」

 

「待ってましたー!!」

 

「おかえりみんなー!!」

 

帰ってきたことに気がついた街の人達は道のサイドに集まりフェアリーテイルに手を振ったり指笛などを鳴らし、まるで凱旋のよ…いや、まさに凱旋であった。

 

「さぁみなさーん!大魔闘演武優勝ギルドをぉ……盛大な拍手で迎えましょう!!」

 

「おめでとー!!」

 

「よくやったぞー!!!」

 

「フェアリーテイル最高!!」

 

 

「「「「妖精の尻尾(フェアリーテイル)凱旋だーー!!!!」」」」

 

 

市民の前に立って指示を出していたのは意外にも黄昏の鬼(トワイライトオーガ)であった。

黄昏の鬼(トワイライトオーガ)が何者か忘れた者の為に補足するのであれば、7年の呪縛に掛かっている間に居残りメンバー達に金を貸すが器物損害や居残りメンバーなどに攻撃するなど、何かとちょっかいをかけてきていたギルドであった。

 

もっとも、トワイライトオーガとフェアリーテイルの話はリュウマにマカロフが任せ、リュウマはエルザとミラを連れて殴り込みに行って最後にマスターを含めたトワイライトオーガ全員を完膚無きまでに叩きのめした。

 

それからトワイライトオーガの面々はリュウマ達にやられた恐怖から心を入れ替え、今のように少し前までの悪い噂が嘘のように良きギルドへとなっていたのだ。

そもそも、フェアリーテイルをこの様に出迎えるように提案して資金を出したのはトワイライトオーガでもある。

 

「すっごい人の数…」

 

「マグノリア近隣からも集まってくれているようだな」

 

それぞれは笑顔で手を振りながら空けられた道を進んで行く。

実はマグノリアだけの人だけではなく、マグノリア近隣に住む人々も凱旋の為に集まってくれているのだ。

 

「イェーイ優勝じゃー!!」

 

「ミラちゃんこっち向いて~!」

 

「は~い♪」

 

「「「可愛い~~~~!!!!」」」

 

「姉ちゃんを変な目で見るな!!」

 

「エルフ兄ちゃん恥ずかしいからやめてよ…」

 

ミラは男性陣にとても人気で、その人気は街に配置されたラクリマで流された女の魅力勝負が切っ掛けとも言える。

 

「おぉ、これはスゴいな…」

 

「ギヒッ!オレ達が1番だーー!!!!」

 

「おー!!ガジルだ!!」

 

「鉄影竜ヤバかったよな!」

 

「双竜戦ではどっか行っちまったけどな!」

 

「オイ!今言ったの誰だコラーッ!!」

 

「やめとけガジル」

 

未だに気にしているのか、スティングとローグとの戦いでのトロッコ事件は苦い思い出のようだ。

それをバッチリ見られていたので、残念ながら街の全員が知っていたし見ていたので怒っても無駄だった。

 

「皆さん応援ありがとうございました」

 

「もう!もっとシャキッとしなさい!」

 

「ウェンディちゃーん!」

 

「ウェンディちゃんナイスファイトだったよ!!」

 

「こっち見てくれ~!!!!」

 

シェリアとの2人でいるところが微笑ましいということで、ウェンディも人気があり、極一部からの特殊な男性陣からは多大な支持率を獲得していた。

 

「ルーシィ良くやったね!」

 

「あ!大家さん!」

 

「よぉルーシィちゃん!」

 

「と…何時も船に乗ってる人!」

 

「優勝と家賃は別の話しだからね!」

 

「ですよねー…ハァ…」

 

大家さんに良くやったと言って貰えて嬉しいものは嬉しいのだが、やはり大家さんは甘くは無かったようだ。

家賃の話はまた別なようで項垂れていた。

 

「エルザさ~ん!」

 

伏魔殿(パンデモニウム)最高だったぜー!」

 

「刀持ってるところ格好良かった!」

 

「エルザー!!愛してるぜーー!!!!」

 

「うむ、なかなか恥ずかしいものだな」

 

「みんなよく見てるんだねぇ」

 

エルザの活躍も見られており、美しい容姿から支持率もあるが、特に凄かったのが伏魔殿(パンデモニウム)だ。

その姿はまさに凛と咲き誇る緋色の花。

みんなの心を鷲掴みにした。

 

「皆も人気だな」

 

「あら?リュウマがそれ言っちゃうのかしら?」

 

「本当の人気者はリュウマだよ?」

 

「リュウマさんが1番人気の筈ですよ?」

 

「そうでもな──」

 

話していた時だった。

エルザやミラ、ルーシィやウェンディと行った美人美少女が集まったことで目線がそっちにいき、それに伴い話していたリュウマを見つけた。

 

 

「リュウマだ!!!」

 

「キャーーーー!!!!リュウマ様ーーー!!!!」

 

「聖十大魔道のリュウマだ!!」

 

「リュウマ様ペロペロ」

 

「こっち向いてくれーー!!!!」

 

「サイン下さーーーい!!!!」

 

「MPFの時はスゴかったぜ!!」

 

「完全に破壊してたもんな!!」

 

 

「ほらね?」

 

「途中で変なのが混じっていなかったか?」

 

「気のせいじゃない?」

 

「そう…か?」

 

因みに全く気のせいではないし言っていたが、知らない方が吉というものだろう。

リュウマの人気は凄まじいもので、一概に手を振って歓声を飛ばしている。

 

 

「皆ありがとう。俺の試合も見てくれていたんだな。…ん?服にサインしてほしい?無論いいとも……これでいいか?」

 

「ありがとな!!」

 

 

「応援ありがとう。…ん?名付け親になって欲しい…名付け親!?そんな大事なものになっていいのか?……分かった分かった。そこまで言うならば…『ルクス』というのはどうだ?ありきたりになってしまうが『光』という意味がある」

 

「ありが…グスッ…ありがとう…ございますっ…!」

 

 

「それではお前は…何?頬を殴って欲しい?いや…それは流石に…やってくれなきゃ自殺!?待て分かった…!…これでいい──かッ!」

 

「あふんっ…やぁん♡幸せでしゅ♡」

 

「……変わった女性だな…」

 

 

「どうした?また子供を連れて来たがまた名付け親か…?何?この子に加護を与えて欲しい?…いや神ではないから出来な……分かったやるからそんな捨てられた猫のような目を向けてくれるな……ん゛ん゛……名も知らぬ人の子よ…我、リュウマの名の下に如何なる時も健やかに又、此からの人生に幸があらんことを祈り…加護を与える……まぁ、恐らくこれからの人生も健康に生きていくだろう」

 

「ありがとうございます…!」

 

「ねぇママ?せきが出なくなったよ?」

 

「えっ!?喘息が!?まさか…うぅ…リュウマ様…いや、神様…!」

 

「なんだろう。何時の間にか人間から神に崇められた気がするぞ」

 

 

「おっ…おぉ…いきなり抱き付かれると困るのだが…出来れば離してくれるとありがたい、少し鋭い視線が体に刺さっていてな……友達と一緒に写真を撮って欲しい?それぐらいなら構わんぞ」

 

「見てみて!リュウマ様と写真撮っちゃった…!」

 

「やっばい!超ヤバい!!」

 

「学校のみんなに自慢できるね!」

 

「リュウマ様大好き!」

 

「悪い気はしな……これは不可抗力だろう…?そんな目で見ないでくれルーシィ達…」

 

 

「リュウマちゃん!」

 

「む、これはこれはケーキ屋のおばさん」

 

「優勝したからね!お祝いにこれ持っていきなよ!」

 

「これは1番と2番人気のケーキ…!?それも20個ずつ…こんなに貰っていいのか…?」

 

「いいのいいの!またおいでね?」

 

「ありがとう。必ず行こう」

 

「ふふふ。待ってるわね」

 

 

素通りして行くのは可哀想だと思いリクエストに応えていったら、一部の方々に神扱いされてしまって困ってしまった。

だが神扱いされるのも仕方ない、生まれ持った病気をその場で治してしまったのだから。

 

 

「街のみんなにいいもん見せてやるよ!!」

 

 

ナツは大通りの真ん中で持っていた袋を開け、中に手を突っ込んでガサゴソと何かを取り出そうとしていた。

やがてお目当ての物が見つかったのか、取り出して上に掲げた。

 

「じゃじゃーん!!」

 

「…ハッ!?国王の冠!?」

 

「ハァーーーー!!!???」

 

「持って来ちゃったんですか…!?」

 

「あ、これじゃなかった」

 

全く違う物を取り出して掲げたが、それは国王が頭に被っていた王冠であったため目を見開いたが、ナツは冷静に袋に戻して違う物を取り出した。

マカロフは毛がまたそよ風によって抜け去り消えていった…。

 

 

「じゃじゃーん!優勝の証!国王杯!!」

 

 

今度取り出したのは、国王の手ずから渡された大魔闘演武優勝の証である国王杯と呼ばれる大きな杯である。

黄金に光り輝くその杯は、長年最下位をとってきた居残りメンバーにとっては眩しくて眩しくて仕方が無い代物であった。

 

「うっ…うぅっ…!」

 

「信じられねぇよな…!」

 

「オレ達が優勝したんだぜ…!!」

 

「ずっと…ずっと最下位だったのによ…!」

 

「「「優勝したんだーーー!!!!」」」

 

「「「わーい!!わーい!!」」」

 

喜ぶ居残りメンバーの内、ロメオに国王杯を渡してナツが肩車をし、街のみんなに見えるように掲げた。

街の人々も誇らしそうにその光景を見ていた。

 

 

「えーコホン!これよりマグノリア町長から、記念品の贈呈です」

 

 

歩って来たフェアリーテイルを待っていたのは、この街マグノリアの町長であるおとこであり、後ろにはその記念品があった。

その記念品はフェアリーテイルメンバーを仰天させた。

 

「記念品とな?そんな気を遣わんでも」

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)の皆様…どうぞ此方へ──」

 

ついて行けばとても大きな建物が見え、それはこのフェアリーテイルの全員の我が家とも言える物。

 

 

 

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)は我が街の誇れであります。よって───ギルドを修繕して贈呈したいと思います」

 

 

 

 

なんとその記念品とは、7年の間に取り上げられてボロボロになっていた旧フェアリーテイルのギルドであった。

全体は見違えるように綺麗に修繕されており、それを見た居残りメンバーを含めたメンバー達は目に涙を浮かべた。

 

「ギルドが戻ったぞーーーー!!!!」

 

「あいさーーーーーーー!!!!」

 

「町長…あんたって人はぁ…!」

 

「いやいや、この街の者みんなで協力して直したのですよ」

 

「ぐ…うっ…おおおおおおおん!!おおおおおおおん!!!!」

 

街を直して贈呈してくれたはいいが、それをよくよく考えてみれば優勝してから数日しか経っていない。

それにも拘わらず綺麗に修繕されているということは、街の人々は寝る間も惜しんで作業に取り掛かってくれたということなのだ。

 

街の人々の底知れない優しさを見て感じたマカロフは大きな声を上げながら泣き叫び、心の底からこの街にいて良かったと思った。

 

 

「わ、ワシは…この街が大好きじゃ~~~~~~!!!!!!」

 

 

「「「「あはははははははははは!!」」」」

 

 

賑やかである街に、人々の笑い声が木霊した。

この日はお祭り騒ぎになり、2日連続でのお祭り騒ぎではあるが、フェアリーテイルにとっては騒ぐのは日常茶飯事だ。

今日も今日とて楽しそうであった。

 

 

「キキッ」

 

 

そんな光景を遠くの建物の屋上から眺める黒い生き物。

それはレイブンテイルにいた細長い体をした男が使い魔としていた生き物であった。

 

 

「キキッ…キヒヒッ」

 

 

その場からその黒い生き物は走り去り、建物から飛び降りて着地したらそのまま駆け出して街の中を縫うように目的地へと向かう。

 

やがて街から離れて森のような所へと入り、木々の間をすり抜けるように走って行けば1人の青年が胡座をかいて座っており、黒い生き物はその青年の肩へと飛び乗った。

 

 

その青年は───

 

 

「…大魔闘演武を見ていたのですね…ゼレフ」

 

 

 

───黒魔導士ゼレフと呼ばれている。

 

 

 

「…声は聞こえず姿は視えず…でも僕には分かるよ。そこにいるんだねメイビス」

 

「??」

 

ゼレフに分かっても、黒い生き物は感知出来ないようで首を傾げているが、この場に何かがあるというのはゼレフを見て理解していた。

 

 

「……7年前…あなたは私の近くに居た」

 

「……7年前…君は僕の近くに居た」

 

 

「あなたはまだ自分の死に場所を探しているのですか?」

 

「死に場所はもう決まっている。僕は何百年もの間…時代の終わりを見続けてきた」

 

 

話し始めたゼレフの背後に、メイビスはふわりとしながら着地してゼレフを見ていた。

 

 

「人々の争い…憎しみ…悪しき心…新たなる時代においてそれらの浄化をいつも期待する…もう何度目かも分からない…人々は何度でも同じ過ちを……」

 

「それでも人は生きていけるのです」

 

「生きていないよ。本当の意味では…人と呼べる愛しき存在はもう絶滅している」

 

「……………。」

 

 

彼等は互いに言葉を交わしているわけではない、端から見るとゼレフが独りでに喋っているだけにも見えるが、ゼレフにはメイビスがそこにいるのが分かり、何を言っているのか分かるのだ。

 

 

「もう…待つのはやめたのですか」

 

「そうだね。7年も考えて出した結論なんだ──」

 

 

ゼレフはメイビスと座って対話をしていたが、やがて立ち上がって空を見上げた。

 

 

「世界が僕を拒み続けるならば──僕はこの世界を否定する」

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)はこの世界を肯定するでしょう」

 

「これは僕からの贈り物……世界の調和……そして再生」

 

「…戦いになるのですか?」

 

「……いいや──」

 

 

顔を俯かせて表情が見えなかったゼレフは顔を上げてメイビスを正面から見据えた。

 

 

 

 

「──一方的な殲滅になるよ。誰1人として生かしてはおかない」

 

 

 

 

そしてその表情は……とても冷たいものであった。

 

 

 

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)が阻止します。滅びるのはあなたの方です」

 

 

 

 

それに対して見返すメイビスの瞳も…ゼレフ同様とても冷たいものを宿していた。

 

 

「君は妖精の尻尾(フェアリーテイル)が止められると思っているんだね。それは───“彼”がいるからかい?」

 

「あの人は…いえ…“あの方”はあなた達に滅びを届けるでしょう。それが“あの方”の歩んできた道であるから」

 

「“彼”……“リュウマ”の対抗策は既に考えてある」

 

「!?」

 

ゼレフの言葉に初めて表情を著しく変えたメイビス。

それもそのはず、彼女が知る限り彼に勝てる者など存在しないと確信しているからだ。

そんな彼に対して対抗策があるというのは、彼女を大いに焦らせた。

 

 

「“彼女”ならばリュウマを止めることが出来る。その内に君達は殲滅されて終わりだ」

 

「彼ならばそんな存在には負けません」

 

「そうだといいね。リュウマ…いや、こう言おうか──」

 

 

ゼレフはリュウマの知られざる過去を知る者の1人であるため…その名を口にした。

 

 

 

「フォルタシア王国元17代目国王リュウマ・ルイン・アルマデュラ……世界にその名を轟かせた伝説的な人物…それながら歴史に名を残されておらず…人々の記憶から消えた幻の王にして孤独の王……他国に住む人々は恐怖や触れてはならない存在の象徴としてこう呼んでいたね……殲滅王…と」

 

 

 

「………………。」

 

メイビスは黙ってしまう。

そんな存在がギルドにいるのは心強いのだが、それがいざ戦いの時に切り札として切れないのであれば少々キツい戦いになるかもしれないからだ。

 

 

 

───ナツ…決戦の時は近づいているよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まさかギルドの中に大浴場がね~」

 

「ん~~っ…はぁ…気持ちいい~~」

 

ルーシィはギルドの地下に新しく作られた大浴場で気持ち良さそうにお風呂に入っていた。

そこにはカナやリサーナ、レビィといったほかの女性達もおり、みんな大浴場を満喫していた。

 

「大魔闘演武優勝して以来仕事の量が増えたからね~…」

 

「こんな大浴場入っちゃうとやる気削がれちゃうよ~…」

 

「あれ?レビィちゃんは今日仕事じゃなかった?」

 

「どーゆー訳か分からないんだけどね…ジェットとドロイが偶には2人で行って来るーなんて言いだして…」

 

そう言っているレビィは呆れた表情をしているが、ジェットとドロイが今何をしているかというと…

 

 

「レビィにいいとこ見せるんだ!!…いねぇけど」

 

「当たり前だ!!オレ達だってやれば出来るんだよ!!」

 

「「だから助けてくれガジル~…!」」

 

 

「なんであんなの連れて来た…」

 

「勝手についてきたんだよ!!」

 

無理矢理にでもついていったくせして、ガジルとリリーの足をこれでもかと引っ張っていた。

それも相手は魔法も使えないただの部族相手である。

 

 

「そういえばナツとグレイは?」

 

「一緒に仕事行ったみたいよ?」

 

「へぇ!珍しい!!」

 

「最近仲良くなってるみたいだけど、意外だね」

 

「まぁ、ハッピーもいると思うけどね…」

 

因みにだが、この場にいないエルザとウェンディだが…エルザが報酬が高級ケーキというのに釣られて演劇にでており、ウェンディはそれに巻き込まれていた。

 

「あれ?でもそれだとあの髪の色…さっきからそこにいるのエルザじゃないの?」

 

「え?」

 

離れた湯船の中にいる緋色の髪を持つ女性がおり、リサーナはそれがエルザだと思っていたので不思議に思ったが、先も言った通りエルザはいない。

つまりこの人間は別人であることを証明している。

 

 

「金髪ぅ」

 

 

「な…!?レイブンのフレア…!?」

 

「何でこんな所に…!!」

 

立ち上がって振り向いた顔は忘れもしない、大魔闘演武の時にルーシィが戦った相手であるレイブンテイルにいたフレアだったのだ。

カナは敵だと認識して飛び掛かるが、ルーシィが押さえつけることで止まった。

 

「何すんだよルーシィ!あいつは…」

 

「あの人…そんなに悪い人じゃないかも…」

 

「は?」

 

フレアは指を合わせてモジモジしていたが、石けんの泡を塗りたくった髪をカナの方へと伸ばして絡みつかせた。

 

「体…洗ってあげる…隅々まで」

 

「スゴーーーーーイ!!??」

 

この後カナの全身は文字通りピカピカに綺麗にされた。

 

「私…大鴉の尻尾(レイブンテイル)が無くなって…行くところ…ない」

 

その言葉にルーシィとカナは顔を見合わせていたが、ルーシィはフレアを見てマスターに頼んでみようかと提案した。

 

「ええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!??」

 

「ウチに入るの!?」

 

「でも…妖精の尻尾(フェアリーテイル)には入りたくない…」

 

「「じゃあ出てくんなーー!!??」」

 

 

なんとも人騒がせなフレアであった。

 

 

何だかんだ騒がしい筆頭であるナツやグレイにエルザがいない日でも、それなりに騒がしく過ごしたその日の夜。

ルーシィが家に帰るとエルザとウェンディが既に入り込んでいた。

ウェンディだけは申し訳なさそうにしていたが。

 

来た用事は報酬で手に入れたケーキのお裾分けなのだそうだが…エルザはナツとグレイが揃って同じ仕事に行ったのがきになったようで、3日経っても帰ってきていないことから迎えに行ってみようという話しになった。

 

ルーシィもウェンディもその話に乗り、いざナツとグレイの仕事先に行って迎えに行ってみるのだが、仕事の内容自体はその日の直ぐに終わっていたそうだ。

では何故3日経っても帰ってこないかと言うと…。

 

「いい加減にしやがれこのクソ炎!!」

 

「それはこっちのセリフだ変態野郎!!」

 

「てめーはいつもいつも考え無しに突っ走りやがるから──」

 

「オメーがモタモタしてっから───」

 

 

どーでもいいようなことでの喧嘩がずっと続いていたからである。

他にもいつもなら止めるストッパー係がいるのだが、今回は2人とハッピーだけということで…こうして3日も不眠不休で争っていたのだった。

 

余談だが、喧嘩は止めに入ったエルザを2人がつい殴ってしまったことからエルザがキレて、2人を半殺しにして止めた。

 

 

「「「「あっはははははははは!!」」」」

 

「もうコイツとはぜってー仕事行かねぇ」

 

「それはこっちのセリフだバカヤロウ」

 

「仕方ねぇな2人とも」

 

「ガキじゃあるめぇしよ…」

 

帰ってきたエルザ達から事情を聞いた奴等は、その馬鹿みたいな話を聞いて笑っていた。

件の2人はずっとぶすくれていて不機嫌そうだ。

 

「マスター?また緊急の依頼書が届きました!」

 

「うーむ」

 

「大魔闘演武以来…魔導士を指名してくる依頼書が増えたのぅ…」

 

「みんな人気者になりましたしね?…特にリュウマは…」

 

「それもそうじゃのぅ…」

 

大魔闘演武優勝というのは影響力が大きいようで、大会以来から色んな地方から緊急と評して魔導士を指名してくることが多くなっていた。

 

その中でも特に被害者とも言えるのがリュウマであった。

 

彼は聖十大魔道であり、大会でも大活躍してきたということもありかなりの数の依頼が殺到していた。

それもただのクエストだけではなく、S級や…中にはSS級…果てには誰もクリアできない10年クエストなんてものも回ってきた。

 

指名された以上はやるしかないのだが、いかせん数が多いため1日に何回も出かけては帰ってきてを繰り返しており、他のメンバーはそんなリュウマを可哀想にと見ていた。

 

今日ギルドにいないのは、マカロフが最近ずっと仕事に行っていてろくに休んでいないだろうということで休ませているのだ。

彼はその言葉に甘えて自宅でゆっくりとしている。

ミラはリュウマのために何かしてあげようと家に行こうとしたのだが、休ませてあげたいのでやはりやめておいてあげることにした。

 

「どれどれ…おーいナツ!グレイ!お前さんら2人を指名の仕事じゃぞ!」

 

「「またかよ!!」」

 

「そういうことですか…」

 

「折角の指名だ!今度は仲良く行って来い!!」

 

実は一緒に行こうと言って誘って仕事に2人で行った訳では決してない。

ただ2人を指名してのクエストだったから一緒に行って仕事をしてきただけなのだ。

 

 

「……む?…むむむ……こ…これは…!?」

 

 

仕事の内容を確認していたマカロフの額に、少なくはない汗をかいて依頼書を穴が空くほど見ていたのを疑問に感じて、ど突き会いながらナツとグレイが2人ではもう行かないと言ったが、マカロフはそれを拒否するしかない。

 

 

「いや…これは行かねばならん…そして…絶対に粗相の無いようにせよ……!!」

 

 

マカロフのことをこんなにも戦慄させる依頼者が誰なのか気になり、みんなが注目して見る中…マカロフはその人物のことを語った。

 

 

 

「依頼者の名はウォーロッド・シーケン…聖十大魔道序列四位…イシュガル四天王と呼ばれる方々のお一人じゃ…」

 

 

 

なんと、ナツとグレイを指名したのは…大陸に定められた聖十大魔道の中で、イシュガル四天王と呼ばれる者の一人である人物からだったのだ。

 

イシュガル四天王というのはその名の通り四人おり、それぞれが聖十大魔道の中でも頭が幾つも飛び抜けた力を持っていると言われ、その強さは最早人間の域ではないと言われているほどだ。

 

 

「そんな凄い人が…」

 

「一体何事なんだ……」

 

 

 

 

これから何が起こるのか…それはまだ知るよしも無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───リュウマの家

 

 

「ふっ…くぅっ…ふわぁ~……何時の間にか寝ていたようだ…」

 

リュウマは今、リビングにおいてあるテーブルの上に散らばった魔道書や、それの内容を噛み砕いて書かれているメモの紙などが散らばって居る上で突っ伏すように寝ていた。

解読していたのは、行って来た10年クエストの報酬で手に入れた何かの魔道書だ。

 

その街の図書館の限られた者しか入ることを許されていない特別なスペースの中に、その魔道書がおかれて埃を被っていた。

 

昔から置かれている魔道書は誰がどうやっても表紙すら開けることが出来ず、しかし古い物であるしそんな厳重に保管されていることから報酬として追加報酬として貰っていたのだ。

 

 

「全く…この文字は一体何時書かれたものだ?大分古いということしか分からないのでありとあらゆる文献を漁ったぞ…」

 

 

開かないならば何か開ける方法があるのではないか?と思い至ったリュウマは早速色々な文字について調べた。

魔道書の表面には彫られるようにして、全体に文字が刻まれていたからだ。

 

 

「まぁ、やっと理解したがな。今から凡そ300年前に使われ、それ以来使われていない古代文字だったからな」

 

 

調べて分かったのが、彫られている魔道書の文字が現在使われていない文字であったということ。

それを理解したならば話は早いというものだ。

言語を噛み砕いて理解し、マスターしてしまえばいいのだから。

 

こんな短期間に1つの古代言語をマスターするのは彼であってこそである。

 

 

「…『開き給え』」

 

 

──…カチャン

 

 

覚えた言語で言葉を放ってみれば、誰も開けることが叶わなかった魔道書から鍵の開くような音がして開けることが出来るようになった。

何分古い書物なので破かないように手袋をしながら慎重に開いていく。

 

しかし……

 

 

「…??どういうことだ?何も書かれていない…」

 

 

何も書かれていなかった。

 

そんなはずはないと思い、次のページ…次のページへと慎重に丁寧に、しかし出来るだけ早く捲っていく。

部屋にはリュウマの呼吸音と、ページを捲る音だけがあった。

 

 

「……ッ!あった」

 

 

ページを只管に捲っていくと、ちょうど中間辺りの部分のページの真ん中に文字が数行だけ書かれていた。

ちゃんと文字があったことにホッとする反面、こんな面倒な言語を覚えてまで開けた本の中が…たったこれだけかという苛つきが心の中に巣くった。

 

 

「チッ…所詮は追加報酬…期待などしていなかったが…これは想像以上だ」

 

 

文句を言いながらも、早速何と書かれているのか調べるために本に視線を落とした。

言語は覚えたので後は読むだけであるため簡単だ。

だが、書いてある内容は不可解なものであった

 

 

「『この本を開けし者よ 其方はこの本の力を目にするのに相応しき存在である 本の力…神の如き力を目にしたくば魔力を捧げよ さすれば扉は開かれ 其方に道を示すであろう  T D』…つまり魔力を籠めろということか?」

 

 

内容は理解出来るが、魔力を籠めるとどうなるというのかが分からないため渋られるが、この程度で終わりだと尚更苛つくということから魔力を籠めることにした。

 

 

「そんなに欲しければ──くれてやる」

 

 

リュウマは本を手に取って魔力を少しずつ流し込んでいくが、この時点で不思議なことが判明した。

 

 

──この魔道書…それなりに魔力をやったにも拘わらず全く起動する兆候が無い…。

 

 

魔力は少しずつではあるが、かれこれ5分以上流し込んでいる。

だというのに一向に起動する兆候が見えず、ただ魔力を持っていかれているだけなため、更にリュウマの苛つきを促進させる。

 

なので全力で送り込むことにした。

本が魔力に耐えきれなかろうが知ったことか精神で。

 

 

「魔力なんぞ幾らでもある。起動するまで流し込んでやるぞ、意味の分からん魔道書よ」

 

 

封印をしているリュウマの魔力は、全盛期の頃に比べれば悲しいものではあるが、それでも今の魔力量は聖十大魔道で普通に通用する程のものだ。

それを相当な勢いで湯水の如く与えていく。

 

 

───ガチャンッ!!

 

 

「────ッ!!」

 

 

とうとう大きな音と共に魔道書に変化が現れた。

 

何の反応も示さないままリュウマから魔力を吸っていた魔道書は少しずつ光り輝きだし、宙に浮かび上がったかと思えば次々に勢い良くページが捲られていく。

 

最後のページまで捲られた魔道書は眩しくて目を瞑ってしまうような光を発しながら震えだし、その本に送り込まれたリュウマからの膨大な魔力を使って扉とは言えない真っ黒な穴を部屋の中に開けた。

 

 

「なんだこれは…?───ッ!!??す、吸い込まれ…!!」

 

 

不思議に思って見ていたところで、突如体全体を凄まじい力で引っ張られていく。

それに抗おうと足に力を入れるが少しずつ引き摺られていき、空いた穴との距離は50センチ程にまでになってしまった。

 

 

「ぐっ…クッ……オォ…!!」

 

 

だが、魔道書が使っているのはリュウマの魔力であり、その量は1つで街1つを更地に出来る程のものである。

普段ならあらがえるものの、自分の魔力だと話が別だ。

 

 

 

 

そして…

 

 

 

 

「クソッ……ぐっ…グアァァアァアァアァアァアァァアァァ────」

 

 

 

 

 

 

 

《其方に可能性の1つを見せよう》

 

 

 

 

 

 

そんな声が、穴の中に吸い込まれている途中でどこからか聞こえてきた気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

この日…リュウマは()()()()()()姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───???

 

 

「……ここは…」

 

穴に吸い込まれ、気絶していたのか目を開けてみると、自分は全く見知らぬ所にいた。

 

 

辺りは一面緑…つまり何処かの森の中だ。

 

 

しかし…何故かその森の光景に既視感を覚え、此処ら一帯に潤うように湧き出るエーテルナノ量に驚いた。

マグノリアのエーテルナノ量を10とするならば、ここは22といったところ、つまり魔力回復が2倍以上の早さで行えるのだ。

 

 

───ガサッ

 

「…ッ!!」

 

 

ここはどこなのか推測しようとした時…近くの茂みが揺れて動いた。

人を襲う魔物だった場合のために西洋剣を召喚して手に持ち、何時でも来ていいように構えた。

そこから現れたのは…

 

 

「う~ん…ここら辺で大きな魔力反応がしたんだけど…ボクが間違えたのかな……あれ?なんでこんな所に人がいるんだ?」

 

 

「──────ッ!!!!!!」

 

 

───こ…この子供は…!!

 

 

 

 

 

リュウマが驚愕で目を見開き固まってしまう人物であった。

 

 

 

 

 

 




取り敢えずはここまでです笑


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