GOD EATER2~ヒカリの詩~   作:kouga
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眠れないので
どうぞ


最悪の事態

どこだここ?


見渡すと、そこには白いオラクルらしきもので囲まれた木々や花々が咲きほこる。決して今の世界ではあるはずの無い光景が広がっていた。


あれはブラッドのみんな?それに極東支部のみんなまでいる


「智夜。」


ユノ?















――――――――――――――――――
side智夜

「んっ…寝てたのか」


目を開くと火は消えていて隣には自分の肩に頭をあずけ気持ちよさそうに眠るユノの姿があった。


「そうだ、昨日ユノと話をしてそのまま……
はぁ…」



そこで智夜は大きくため息をつく。それもそのはず、
目の前で泣いている少女のためとはいえ世界に名高い歌姫を抱きしめその隣で眠ったのだから。


ロミオ先輩に教えたら血涙もんだな……


すると智夜の端末が鳴る。その内容は回収ポイントまでの経路が記されたものだった


「よしっ…ユノ起きて」

「ん~…………

―――えっ?いや、と、智夜?」


ユノは目を擦りまだ眠そうにしてこちらを向いた。しかし見る見るうちに顔が赤くなっていき、驚いた様子で俺の名前を呼んだ


可愛すぎだろ


「おはよう。よく眠れた?」

「あ、ご、ごめんね私ったら……」

「大丈夫。それに朝からいいものが見れたしね」



するとプイっとそっぽを向き小声で「バカッ」とだけ言って余計に顔を赤くしていた。


あ〜、天使だ……


「さっきメールで回収ポイントまでの経路が送られたから姉さんたちを起こしてくるよ。ユノも準備しておいて」


「わかったわ。智夜…」

「ん?」

「…っ!ううん。なんでもない」


そうして智夜は歩き出した。しかし寝床に着いた瞬間事件は起きていた




















「姉さ~ん起、き……て」


目の前には姉さんの隣で添い寝する形で眠っている我らがブラッド隊隊長ジュリウス・ヴェスコンティの姿があった。
ここまではまだいいだろういや良くないけど
問題は


「なんで腕枕してんだよ…!というか!なんでそんなに近いんだ!」


ジュリウスと姉さんは気持ちよさそうに眠っていて、起きる様子もない。もともと警戒心の薄い人ではあるが流石に気を許しすぎじゃないだろうか


でもこれだけ大胆なことされても眠ってるってことは信用してる証なんだろうな…


「俺もそろそろ姉離れしなきゃな」


認めたくないが姉さんは人に好かれみんなから慕われる不思議な力がある。もう自分が守る必要もないほどの強さも兼ね備えている。だから


もう任せてもいいよな……


「ジュリウス!それに姉さんも起きろ!」


数秒後、姉さんの悲鳴が聞こえるとともにジュリウスにビンタ、俺の鳩尾にパンチが飛んできたのは言うまでもない













――――――――――――――――――
side叶華

「ジュリウスさんさっきはごめんなさい……」

「いや、俺こそ無神経だった。すまない」


今朝、起きて直後のこと
私は智夜の呼ぶ声に反応し目を開けると目の前には見慣れない制服があった。視線を少し上げるとそこには整った顔だちで私に腕枕をするジュリウスさんの姿があり、
気が動転してジュリウスさんをビンタ。勢いで智夜を殴り飛ばした
そして今私たちは回収ポイントまでの道のりを歩いていた


「叶華さん自力で歩けるようになったんですね」

「えっ!う、うん!一晩寝たら治っちゃった。まだ走れはしないけど歩く程度には問題ないよ!」

「そうだろうな。あんな強烈な一撃、下半身の踏み込みなしじゃおみまいできないよな……」

「ご、ごめんって!」

「フフッやっぱり仲がいいんですね」

「「どこがっ!(だよ!)」」

「そういったところが、じゃないか?」

「ジュリウスさんまで…」


姉弟で漫才のようなやり取りをしていると、ユノちゃんに笑われジュリウスさんまで笑っている。


「そ、そんなことより後どれくらいで着くかな?」


あまりの恥ずかしさに話を切り替える。しかし、叶華はまだ気づけていなかった、この先に待ち構える恐怖に


「多分あと少しだ。」

「うん、この洞窟を抜けてもう一つ先に廃棄されたトンネルがあるらしいからそこを抜ければすぐだって」

「あ、見えてきましたね」


洞窟を抜けた先にはものすごい広さの大空洞があった。


「やっと抜けたー!あと少し!」

「ふっ、そうだな。」


気が抜けたような叶華とそれに笑を零し相槌を打つジュリウスさんに対し、智夜だけは顔が青ざめていた。


「姉さん!ジュリウス!ユノ!走るぞ!」

「え?!…ちょっ!」


智夜はユノを抱き抱え、ジュリウスもなにかを察したのか叶華の手を引き走り出した。


「どうしたの!2人とも!」

「いいから!」

トンネルまで数百メートルという位置でアクシデントは起きた。


「グォォォォォォ!」


「っ!」


不意に響いた咆吼その正体は叶華たちの目のまえにすぐに現れた。



「ヴァ、ヴァジュラ…」










――――――――――――――――――
side智夜

クソっ!最悪だ


智夜は舌打ちをしとてつもなく焦っていた


なんでわからなかったんだ!吹雪いてたとはいえ把握することは出来たはずだ。
ここは……ヴァジュラの巣だ


目の前には1頭のヴァジュラが現れていた。


「そこをどけぇぇぇ!!」


智夜は迫りくるヴァジュラの前足を切りとばしバランスを崩して倒れるヴァジュラの顎から頭に目掛けて神機を突き立て絶命させた。
しかし、


「うそっ……でしょ……」

「そんな……」


いつの間にか周囲には至る所にヴァジュラがいた。
数は視認できるものだけでも20はいる


「姉さん!スタングレネードは!」

「い、一応あるけど」

「ある分だけ投げ続けて!一気にトンネルまで走るぞ!」


やばい!あの時確認したヴァジュラだけでももったいた!姿はないけどプリティヴィ・マータもいるとしたら


状況は最悪だった、ユノを抱える智夜、神機を持たない姉さん、回復したとはいえ傷を負っているジュリウス


「ガァァァッ!!」

「!ちっ!」


不意に襲ってきた大雷級をシールドで防ぎ、至近距離でスナイパーを放ち貫通した。しかし、依然としてヴァジュラは増え続けている。
トンネルは目の前、逃げ切れると思った矢先最悪が訪れた。


「!?智夜!避けろ!」

「!ガッ」


急に降り注ぐ赤黒い雷、間一髪のところでユノを庇ったが、体に少し痺れが走っている


「そんな!黒いヴァジュラまで…!」


ディアウス・ピターの登場により状況は悪化、もう全員が逃げることはできなくなっていた。そう全員は…


「はぁ、はぁ…ジュリウス!」

「!」

「2人を頼む…」

「!ダメだ!俺も一緒に」

「ふざけないで!この量の敵を1人で戦うなんて無理に決まってる」


そう、誰が見ても無謀だ。こちらは1人ヴァジュラたちは何百といる。どう考えても勝てるはずはない


「でも全員で逃げることはできない…姉さんもわかってるだろ?」


「でも!」

「姉さん…二つに一つしか選べない時もある…
それに何も全滅させるわけじゃないただの時間稼ぎだよ…だから今は行ってくれ」

「…すぐに助けを呼んでくる。だから死なないで…!」

「くっ…
智夜!やはり俺も」

「いいから!」

「!」

「ジュリウス…本当は誰かに大切な人を託すなんてしたくないよ…でも信用してるんだアンタのことを心から。だから、頼む…っ!」


そういうとジュリウスは叶華の手を引き向きを変えトンネルへと走っていった


「智夜…」

「ユノ…早くいけ。」

「……約束して絶対に生きて帰るって!」

「あぁ…」


ユノは涙ぐみながらもトンネルへと歩いていった。


ごめん姉さん……
ごめんユノ約束は守れそうもない


智夜は自分の意思で退路であるトンネルを塞いだ。


















――――――――――――――――――
side叶華


「はぁはぁはぁ…!」


あと少し、ここを抜けたら


そう思っていた。希望を抱いていた。しかし


「グォォォォォォ!!!」

「こいつらどっからわいたんだよ!」

「ちっ!ロミオ!文句言ってねーで手を動かせ!」

「2人とも私語はこれ以上慎んでください!」

「そうだよ!流石にこの量いて、優しく注意する暇なんてないんだから!」


目の前に広がっていたのは絶望だった


「そんな…っ!」

回収ポイントに到着したもののそこには10数頭のヴァジュラがいた。迎えに来ていたはずのブラッド隊のみんなは護衛車を守りつつ戦い続けている


「ジュリウス!副隊長!ユノさん!」

「ジュリウス!叶華!ユノさんを護衛車に乗せたら加勢してくれ!」


叶華はすぐさま神機をてにとりヴァジュラと対峙した


「はぁぁっ!」


待ってて!智夜!すぐに行くから












今から寝る
(・・)ノ バイバイ