エースの戦闘後を主に大きく変えています。
◎side
ベロクロンが現れてからの穂乃果たちの反応は様々だった。
ニ「また怪獣!?」
穂「違いますよニコ先輩!あれは超獣ですよ!!」
ニ「そんなの違いが分からないわよ!!」
穂乃果の指摘にニコは叫ぶ。
確かに素人目からではどっちもどっちだろう。
希「ニコっち、超獣っていうのは怪獣よりも強い存在で、異次元人ヤプールに作られた生物兵器なんよ」
ニ「そうなの?」
希がニコに説明する中、朱雀はテレパシーで竜司や盾、イクスたち一年生のマネージャー組に自分が行くことを伝える。
(超獣なら、エースである僕が行くよ)
竜(分かった)
盾(気をつけてね~)
(誰に言ってるの…)
そう残し、朱雀はその場からゆっくり離れる。
丁度一番後ろにいたので、離れやすかった。
ビルとビルの隙間に朱雀は入っていく。
しかし、それを見ている者が一人。
茜だ。
茜は口元を意味深にフッと笑わせていた。
ーーーーーーー
朱雀は周りに誰もいない事を確認してから、エースに呼び掛ける。
「行くよ…エース」
『よし!行くぞ恭弥!』
朱雀は腕をクロスし、斜め上に万歳してから、外側へ腕を回しながら、体の前で両方の握りこぶしを合わせる。
その瞬間…朱雀の両方の中指に填められたAの文字が型どられた指輪『ウルトラリング』が輝き、朱雀を光に包み『ウルトラマンエース』に変身させる。
ーーーーーー
ベロクロンが秋葉の街を破壊しながら、突き進んでいた時、突然ベロクロンに誰かの飛び蹴りが炸裂した。
「テエェェェェン!!」
「キゴォォォォォォン!?」
ベロクロンは倒れこんで転がる。
穂乃果たちは竜司たちの指示で逃げていたが、別の声が聞こえた為にそちらを振り向く。
そこには『ウルトラマンエース』が立っていた。
こ「穂乃果ちゃん…あれって…」
穂「うん!ウルトラマンエースだよ!!」
「トワァァァァァァァ!!」
(BGM:ウルトラマンA)
エースは側転しながらベロクロンに蹴りをいれる。
「トワァァァァァ!!」
「キゴォォォォォォン!!」
再び倒れるベロクロン。
そんなベロクロンに、エースは馬乗りになり、容赦なく殴り倒す。
何度も何度も執拗に……。
「テエェェェェン!! トワァァァァァ!!」
ドゴッ!! ドゴッ!! という鈍い音が何回も鳴り響く。
20発ほど殴ったあと、エースはベロクロンを掴んで起き上がらせた後、膝蹴りを叩き込む。
「テエェェェェン!!」
そして頭を抱え込み、3回ほど回転した後ブン投げる。
「トワァァァァァ!!」
「キゴォォォォォォン!!」
ベロクロンは地面に落ちて転がり、立ち上がるが、フラフラだ。
苦し紛れにミサイルを手から撃つが、エースは胸をはり、平気な様子を見せる。
そしてエースはベロクロンに向かって走り、ドロップキックをかます。
「トワァァァァァ!!」
「キゴォォォォォォォン!!」
ベロクロンは再び転がる。
エースは両腕をクロスし、右手を上にあげる。
そこからエース専用の刀『エースブレード』が出る。
エースはエースブレードをベロクロンに投げ、見事エースブレードはベロクロンの胸に突き刺さる。
「キゴォォォォォォン!?」
ベロクロンは余りの痛さに蹲る。
その隙にエースは体を左に大きく回して、両腕をL字にして撃つ必殺技『メタリウム光線』を放つ。
「テエェェェェン!!」
メタリウム光線はベロクロンに直撃!
「キゴォォォォォォン!!」
ベロクロンは断末魔を上げて後ろに倒れると、爆発した。
ドガァァァァァァァァン!!
人々は両手を上げて喜ぶが、穂乃果たちはエースの荒々しい戦い方に疑問を感じていた。
穂「エースって、あんな感じの戦い方だっけ…?」
こ「さあ…?」
希「なんか……どこぞの赤い通り魔を思い出すな~」
そして竜司は頭を抱えていた。
ウルトラマンたちの戦い方は、変身している者の戦い方に直結する。
朱雀の容赦のない戦い方が、ダイレクトにエースに反映されたのだ。
エースはそんな事は露知らず、街を治し飛び去っていった。
◎sideoff
竜司side
エースが戦いを終えて朱雀に戻った後、茜から大事な話がマネージャー組にあるとのことで、穂乃果たちには先に帰ってもらった。
穂乃果が最後まで「一緒に帰ろうよ~!」と駄々をこねていたが、手作りのプリンを奢ってやると言ったら即答して帰った。
あいつ、俺の手作り料理全般が好物なんだよな。
それはともかく、俺たちは裏路地に入り、茜の話を聞く。
茜「さて……回りくどい話は嫌いだから単刀直入に言おう。朱雀、お前がエースだな?そして竜司やイクス、蒼燕たちもそれぞれウルトラマンだな?」
そう訊ねてきた茜に俺たちは一瞬ビクリとしたが、続けて言った茜の言葉に耳を疑う。
「隠さなくていい。俺もウルトラマンだからな」
竜「どういう事だァ…茜?」
蒼「何で俺たちがウルトラマンだって言える?」
茜「それは簡単だ。俺は『ウルトラマンマックス』と一体化している。それにどうしてお前たちがウルトラマンだと言えるのか……?それはオーラで分かる。一度ウルトラマンに変身した者が発する独特のオーラでな……」
茜は小さな子供に説明するように、丁寧にそう言った。
それは本当か?
俺はそンなオーラ検知出来てねェぞ?
鎌かけてンじゃねェだろうなァ?
そう思ってるとウルトラマンがテレパシーで伝えてくる。
『竜司。彼の言ってる事はすべて本当だ。彼からマックスのオーラを感じる』
チッ……そうかよォ。
竜「………分かった。茜、確かにお前の言う通り、俺たちはウルトラマンだ」
俺の肯定に嵐助たちは異論を言わない。
こいつらも、セブンやエースから肯定の言葉を言われたのだろう。
蒼「それで?わざわざ自分の正体を明かして、俺たちのもう1つの姿も暴いたんだ。何か理由があるんだろ?」
蒼燕の言う通りだ。
茜は無意味にこんな事を言わない。
茜は頷き、次の瞬間には俺たちの度肝を抜く言葉を言う。
「そうだ。今ここにいる、俺たち全員がウルトラマンだ。これは偶然じゃない。必然だと俺は思う」
「「「「「「「っ!?」」」」」」」
はァ?
必然だと?
続いて茜は氷麗に問う。
「氷麗。俺たちの共通点は何だと思う?全員ウルトラマンやネトゲで知り合った以外で……」
「えっと……μ'sのマネージャー…?」
氷麗が恐る恐る言うと、茜は肯定した。
「そうだ。全員付き合いの長さはあれ、それぞれがμ’sのメンバーとそれぞれ深い交流がある。俺が思うに、こうして俺達が1ヶ所にウルトラマンとして集められたのは、誰かの思惑があると踏んでいる」
竜「誰かって誰だよ?」
茜「そこまでは分からないさ。ただ、前にマックスに訊いた事があるんだ。何故俺を選んだのかと……。そしたらマックスはこう言ったよ。『何故か君じゃないといけない気がした』ってな……」
竜「……はァ?」
なンだよその曖昧な理由は?
俺の中にいるウルトラマンが、茜の中にいると思われるマックスに問う。
『それは本当か?マックス』
『はい。自分でも分かりませんが、何故か彼じゃないといけない気がしたのです。セブンやエースはどう思います?』
嵐助の中にいるセブンが言う。
『私もだ。何故か嵐助じゃないといけない気がしたのだ』
エースが答える。
『私もです。上手く説明が出来ないのですが、何かに吸い寄せられるように、そこへ行くと恭弥と出会い、本能的に恭弥と一緒に戦いたいと思ったのです』
おいおい……ますます訳が分かンねェぞ。
何かに吸い寄せられたって、その何かが分かンねェと不気味過ぎンぞ。
『竜司、実を言うとだな、私も最初から君に目をつけていたんだ。ベムラーでの成り行きや、君の精神面もあるが、君の中にある何かに第一に惹かれたのは確かだ。例えるなら……こことは違う何処かで、一緒に戦っていたような……そんな感じだ』
おいおい……いつからお前はそンなロマンチストになったァ?
少しばかりウルトラマンの言葉に引いたが、それよりもだ。
俺達が自覚出来てない“何かに吸い寄せられた”か………。
確かによくよく考えりゃ、何故俺なのか?
何故氷麗や盾までウルトラマンに選ばれたのか?
気になる点は確かにある。
言っちゃなンだが、他の奴等はヒーロー気質でもねェし、俺も憧れちゃァいるが、そこまででは無い。
………茜の言う通り、誰かの思惑が絡んでるのか?
茜「まぁ、もしかしたら俺の考えすぎかもしれないしな。今日はここでお開きにしよう」
茜がそう言ったので、結局その日は各々帰路に着いた。
けど、心の中にあるモヤモヤは晴れないままだった。
ーーーーーーーー
茜から衝撃的な事を言われてから翌日。
俺、穂乃果、盾、海未、朱雀は廊下からある教室を覗いていた。
何故俺達が廊下から教室の中を覗いてるかと言うと、ことりを見ているからだ。
教室にはことり1人だけが残っている。
授業でヘマをやらかして宿題を出された訳でもなく、ただ一心不乱にノートとにらめっこをしていた。
そして急に目を開けたかと思うと、
こ「チョコレートパフェ、おいしい……生地がパリパリのクレープ、食べたい……ハチワレの猫、可愛い……五本指ソックス、気持ちいい……キーくんの匂い、最高……」
朱「ねえ…意味が分からないんだけど?」
竜「安心しろ。俺も分からン」
この意味不明な単語の羅列。
なンかの呪文かァ?
こ「うぅ……思いつかないよ~!」
そう言って、机に突っ伏すことり。
何故こうなったかと言うと、それは昼休みにまで遡る。
ーーーーーーーー
絵「秋葉でライブよ!」
それは部室内での絢瀬先輩の一言から始まった。
穂「えっ…それって…」
こ「路上ライブ?」
絵「ええ!」
路上ライブね~。
斬新っちゃ斬新か?
ニ「秋葉と言えば、A-RISEのお膝元よ!?」
希「それだけに面白い!」
真「でも、随分大胆ね…」
絵「秋葉はアイドルファンの聖地。だからこそ、あそこで認められるパフォーマンスが出来れば、大きなアピールになる!」
成る程…。
確かにそれもそうだな…。
この提案に勿論、穂乃果とことりは賛成する。
穂「良いと思います!!」
こ「楽しそう!!」
穂乃果とことりは顔を見合わせて笑うが、
海「しかし、凄い人では……」
恥ずかしがり屋の海未が乗り気じゃない。
最近ライブで緊張する事が少なくなってきたようにも見えるが、それはあくまで校内でのライブ。
今回は校外で、それも秋葉のど真ん中。
海未が臆してしまうのも無理はない。
ニ「人がいなかったら、やる意味ないでしょ?」
盾「そうだよ、海未。尻込みしてちゃダメだよ」
けど、こういう時に頼りになるのがニコ先輩と盾だ。
ニコ先輩はアイドルへの思いが強いからこそ、こういう場面でハッキリと意見を言う事ができるし、盾は海未専用のリーサルウエポン。
盾が説得すると大体海未は落ちる。
流石にこれは正論だと思ったのか、海未は「それは…」と唸るだけだった。
「凛も賛成!!」
花「じ、じゃあ私も!」
朱「いいんじゃない?」
茜「賛成だ」
蒼「俺もいいぜ」
絵「決まりね!!」
続々と賛同し、絢瀬先輩が締める。
穂「じゃあ、早速日程を…」
絵「と、その前に」
穂乃果の言葉を絢瀬先輩が遮る。
まだあるのか…?
絵「今回の作詞はいつもと違って、秋葉の事をよく知っている人に書いてもらうべきだと思うの」
そう言って、ことりの方を向く。
絵「ことりさん…どう?」
こ「えっ!? 私?」
絵「ええ」
絢瀬先輩はことりに作詞ノートを渡し、それをことりは戸惑いながら受けとる。
絵「あの街で、ずっとアルバイトしてたんでしょ?きっと、あそこで歌うのに相応しい歌詞を考えられると思うの」
穂「それいい!! 凄くいいよ!!」
こ「穂乃果ちゃん…」
これはことりの成長を促す為のものなのだろう。
だからこそ強制はしないし、ことりがそれを断るなら無理強いはしない算段だな。
そんな事をしても成長にはならないから。
海「やった方がいいです!ことりなら秋葉に相応しい良い歌詞が書けますよ…」
「凛もことり先輩の、甘々な歌詞で歌いたいにゃ~!」
こ「そ…そう?」
ニ「ちゃんと良い歌詞作りなさいよ」
真「期待してるわ」
希「頑張ってね♪」
こ「う…うん!」
見事にみんなから応援され、ある意味逃げ場を失ったことり。
星空に関しては煽りに近いがな。
ことりは不安そうだが、朱雀が顔を近づけ、
「ことり。一人でダメだったら、僕も手伝ってあげるから」
「キーくん……うん!分かった!!」
手伝いを申し出たことで、完全に引き受けた。
ーーーーーーーー
そして現在。
こ「ふ~わふ~わし~たも~のか~わい~な、ハイ!あとはマ~カロンた~くさ~ん並べたら~、カラ~フル~で、し~あ~わ~せ~!ル~ル~る……うふぅ!やっぱり無理だよー!」
書いては消し、言っては嘆きを繰り返して大いに苦戦中。
海「なかなか苦戦しているようですね…」
穂「うん…」
竜「まあ、今までやったことの無い分野だからな…」
盾「仕方がないよ」
こ「うう……ひっく…ぐすっ…キーく~ん、穂乃果ちゃ~ん…」
余りの苦戦さに泣きながら、穂乃果と朱雀の名前を呼ぶことり。
朱「ッ……!」
ガンッ!ガンッ!という音が後ろからする。
穂「竜ちゃん、恭弥君が無言で壁殴ってるよ……」
竜「無視しとけェ…」
無言で壁をトンファーで殴ってる朱雀。
ガンガンガンガンうるせェなァ…。
どうせ今すぐことりの元に行って、助けてやりたい衝動にでも駆られてンだろ。
それを我慢してる結果がこれだァ。
こ「うぅ~……そうだっ、今日は帰りにクレープ食べて帰ろうっ。そしたら何か浮かぶかもしれないもんね!」
……………ダメだこりゃ。
茜の意味深な言葉。
多分正体分かってる人は分かってると思います。