ラブライブ!ウルトラ伝説!私たちの光!   作:海神アグル

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本当に正真正銘、新話です。



堕ちた竜

穂乃果side

 

 

穂「い…いやぁぁぁぁぁぁああああああっ!!!?」

 

私の目の前で、竜ちゃんが撃たれた。

 

その変えようの無い事実に、私は辺りに響くほどの悲鳴を轟かせた。

 

頭を抱えて震える私の足元にまで、赤黒い血の池が広がる。

 

紛れもない竜ちゃんの血だ。

 

いつもの日常だったのに、平凡な会話だったのに、変わらない家路だったのに、ちょっといい雰囲気漂う一日の最後だったのに、最後の最後で突然現れたこの宇宙人のせいで、全て最悪の悲劇に変わってしまった。

 

穂「竜…ちゃん…しっかりして竜ちゃん!! 死んじゃ嫌だよ!!」

 

私は無意識の内に涙を流しながら、長年片想いしていた人の体を揺する。

 

でも……返事は無い。

 

それが認められなくて、夢だと信じたくて、尚も私は叫んだ。

 

「目を開けてよ竜ちゃん!! お願いだから!!……お願い……だから……もう……迷惑かけないから……いい子になるから……だから……死なないでよ…ぐすっ」

 

必死のお願いを私は届けた。

 

届けようとした。

 

でも、現実は無情だった。

 

「感動的だな~。でももうソイツは死んでるよ。なんせ脳をぶち抜いたんだ。まず助からねぇよ」

 

目の前の宇宙人は嘲笑うようにそう言うと、今度は私にその拳銃を向けてきた。

 

「ひっ…!?」

 

「悪いな~地球の嬢ちゃん。目撃者は全員殺せと依頼されてるんだわ」

 

それだけで全てを悟った。

 

ああ……私も死ぬんだって。

 

恐怖は感じる。

 

でもそこまで強くはない。

 

欲を言えばもう少し、ううん、もっともっと海未ちゃんやことりちゃん達と一緒にスクールアイドルしたかった。

 

でも、竜ちゃんのいないそこに意味はあるのかなって、やっぱり考えちゃって、でも未練はあって……。

 

結局、私はどっちも捨てきれなかった。

 

それでも時は止まらない。

 

「じゃあな?」

 

そして引き金が弾かれた。

 

パァンッ!! という音がした。

 

何故か弾がゆっくり見える。

 

確かな死がそこまで来てるのに、思い出すのは雪穂やお母さんとの思い出、海未ちゃんやことりちゃん達との思い出、そして竜ちゃんとの思い出。

 

これが走馬灯なのかな?

 

そんな事をぼんやり考えながら、目を閉じて竜ちゃんの所に逝くのを待っていた。

 

…………。

 

…………………。

 

…………………………。

 

でも、いつまで経っても痛みは来ない。

 

流石に疑問に思ってたら、「ぎゃあぁぁああああっ!?」という宇宙人の叫び声が聞こえた。

 

驚いて目を開けると、私の目の前には誰かの左腕。

 

そして更にその向こうに、弾が当たって苦しんでるのか、痛みに転げ回っている宇宙人がいた。

 

一体何があったの?

 

逆に怪我した宇宙人は、その左腕の主に叫ぶ。

 

「な、何故生きている!?」

 

生きている?

 

その言葉に疑問と微かな希望を持って、左腕の付け根を目で追っていくと、死んだ筈の竜ちゃんが右手で額を押さえて立っていた。

 

血は止まってないのか、ポタッ、ポタッと滴り落ちている。

 

穂「竜……ちゃん?」

 

未だに信じられなくて、私は思わず声をかけた。

 

だって確かに頭を撃たれたのに。

 

確かに血を流してピクリともしなかったのに。

 

私は絶望してたのに、それでも彼は、それを鼻で笑うように、私の方を向いてこう言ってくれた。

 

「お前を守るのが今の俺がやるべき事だ。お前を残して死ねるかよォ…」

 

その言葉に、私はまた涙を流した。

 

今度は悲しみの涙じゃない。

 

嬉しさから来る涙だ。

 

「良かった……良かったよぉ……竜ぢゃぁん……」

 

「あァ?ひでー顔だなァ?」

 

相変わらずの憎まれ口だけど、今はそれすらも嬉しい。

 

竜ちゃんは私から顔を背けると、目の前の宇宙人を睨み付けた。

 

「よォ……スクラップの時間だぜ?クソ野郎……」

 

「なっ、何故だっ!? 何故動けるっ!?」

 

「あァ?知らねェなァ……」

 

竜ちゃんはそう言うと、一歩一歩確実に宇宙人に近づいていく。

 

「くっ、来るなっ!!」

 

宇宙人は拳銃を乱射するけど、竜ちゃんはユラユラ動いて弾を全てかわしきった。

 

す、すごい…!

 

その内、空になったのかカチカチという音がする。

 

それを見た竜ちゃんは左拳を握りしめた。

 

「よォクソ野郎ォ……俺を殺すならまだ分かる。けどなァ……こいつは関係無いだろ!? 俺はめんどくさがり屋で、割りと無責任な人間だ。とてもじゃねェがヒーローには向いちゃいねェ…」

 

そんな事無い……そんな事無いよ竜ちゃん。

 

「あァ分かってる。そンなヤツが今更ヒーロー面なンて、バカバカしいって事ぐらいはよォ。全く……甘過ぎンだよなァ……自分でも虫酸が走る」

 

今竜ちゃんは、立派なヒーローだよ?

 

「でもだからってなァ、今ここでこいつを見捨ててのうのうと死んでいい筈がねェンだ!あァ、綺麗事だってのは分かってる……。でも違うンだよ。例え俺がどれほどの無責任な人間だとしても、どンな理由を並べても、それでこいつの笑顔が消えていい事には、ならねェだろうがっ!!」

 

穂「竜ちゃん………!」

 

ズルいよ……そんな事言われたら私……ますます好きになっちゃうじゃん……。

 

そして竜ちゃんは、その左拳を宇宙人の腹に食い込ませ、そのまま貫いた。

 

「げぶっ!?」

 

一瞬だけ宇宙人は硬直して、すぐに光の粒子になった。

 

竜ちゃんはそれを見届けると、すぐに後ろに倒れそうになった!

 

「竜ちゃん!!」

 

私はそれを支えようと走り出し、なんとか竜ちゃんを受け止める。

 

改めて見ると酷い傷だった。

 

私を守るためにこんな……。

 

「竜ちゃん大丈夫っ!?」

 

「うるせェ……とりあえず……病……院……」

 

「竜ちゃん?竜ちゃん!!」

 

力尽きたのか、竜ちゃんは意識を手放してしまった!

 

マズイよどうしようっ!?

 

と、とにかく救急車呼ばないとッ!!

 

私は急いでスマホを取り出して救急車とお母さん達に電話した。

 

詰まりながらも何とか説明し、その場にいるように指示された。

 

数分後、救急車が来ると竜ちゃんは運ばれ、私も現場に来たお母さんや、竜ちゃんのお母さん、竜ちゃんの一番上のお姉さんの『天青 環』さんと一緒に西木野総合病院に向かった。

 

 

穂乃果sideoff

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海未side

 

 

竜司が突然現れた宇宙人に頭を撃たれた。

 

私は盾とお茶をしていましたが、その事実を聞いて盾と共に事情を説明した上で母に運転して貰って、搬送された西木野総合病院へ向かいました。

 

海「竜司ッ!!」

 

私が行く頃にはメンバーの全員が、脳外科の診察室の前にいました。

 

海「竜司はっ!? 竜司はどうなったのですかっ!?」

 

穂「海未ちゃん待って!竜ちゃんは大丈夫だから」

 

盾「そうだよ海未。ちょっと落ち着こう?」

 

気が動転してメンバーの誰かに状況を聞き出そうとしましたが、穂乃果と盾に諭されました。

 

何とか落ち着いてイスに座ると、そのタイミングでト字トンファーのような現代的デザインの杖をついた竜司が、彼のお母様と姉である環さんと一緒に出てきました。

 

穂乃果のお母様が、竜司のお母様や環さんと話してる間、穂乃果が竜司に駆け寄ります。

 

穂「竜ちゃん!ごめんね?私のせいで……」

 

竜「なァンでお前が謝るンだよ?気にすンな」

 

私達も続いて竜司に近づき、容態を確認します。

 

海「竜司、大丈夫なんですか?」

 

竜「一応はな?」

 

盾「頭撃たれたって~?」

 

凛「でも傷跡見当たらないにゃ」

 

凛の言う通り、確かに竜司の額に銃痕は無く、それどころか包帯を巻いてすらいませんでした。

 

花「回復凄いね……」

 

ニ「それで済む問題なの?」

 

絵「ハラショー……」

 

希「スピリチュアルやね……」

 

確かにこれは異常です。

 

そう思ってたら、ふと視界の隅で真姫と氷川君が、担当医である真姫のお母様と話していました。

 

耳を澄ませるとこんな内容でした。

 

「ねぇ真姫ちゃん、氷麗君。彼の頭を調べたんだけど、確かに撃たれた痕が彼にはあった。でも自然治癒力がすごいのよ。彼は前頭葉を傷つけられている。本来なら言語機能、運動機能、計算機能は全て絶たれてる筈なのに、それを問題なく行使できるくらいに。おまけに撃たれた痕が綺麗サッパリ消えてるのよ」

 

真「じゃあ、天青先輩は問題なく生活出来るってこと?」

 

「一応はね?でも僅かな後遺症がまだ残ってて、しばらくは杖が必要になるかもね」

 

氷「ふむ……」

 

そこまで聞くと氷川君は顎に指を当てました。

 

何か思い当たるものがあるのでしょうか?

 

そんな時、緋村先輩が手を叩き、みんなの注意をひかせました。

 

茜「どうやら竜司も大事には至って無いようだし、俺達はここらで帰ろう。後は竜司のご家族にお任せして」

 

環さんも言います。

 

「そうよ。後は私達に任せて?竜くんが心配かけてごめんね?」

 

絵「いえそんな……」

 

環さんのほんわか口調に絵里先輩が手を振って謙遜します。

 

結局、この日は解散になりましたが、気にかかることがあります。

 

ここまで盾達が無言だった事。

 

そして竜司の異常な回復力。

 

何か隠されてる。

 

私にはそう思えてなりませんでした。

 

 

海未sideoff

 

 

 

 




簡単な感想でもいいので、是非ください。

じゃないと作者は泣きそうです。

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