ファイアーエムブレムif ~Darkside~【本編完結】 作:コッコ
光に導かれ
夕日の照らされる白夜平原にて、暗夜王国と白夜王国による戦争が始まっていた。
両者は互いに力を振るい合い、一歩も引かない戦いを行う。
そんな中、暗夜の王女であり白夜の王女でもあるカムイは両国の兄妹達に戻ってきて欲しいと懇願されていた。
カムイは迷った結果、白夜に着く事にし、暗夜の兄妹達と対峙し、白夜の兄妹と共に戦闘を開始した。
乱戦の中にはガロンの騎士でもあるラクスの姿もあり、カムイはラクスと対峙する。
「ラクスさん・・・」
「残念だカムイ様・・・まさか貴方が裏切るとはな・・・」
「私は、暗夜王ガロンのやり方が正しいとは思えません・・・だから、私は白夜に着いたまでです」
「確かにやり方は間違っている・・・だが、そうでもしないと暗夜の民が飢え死にするだけの事。侵略無くして暗夜の飢えは防げない」
ラクスはそう答えるとカムイは押し黙るも、負けじとラクスに言う。
「だからと言って血を流さなくても良いじゃありませんか・・・互いに仲が悪いのは知っています。ですが、争いを避けて通る事は出来た筈です!」
「あぁ、出来るさ。だが、そんな簡単な事が今の暗夜には出来ないから暗夜は侵略に走る。飢え死にから避けて通る為に・・・肥えた土地、光ある土地を少しでも得ようとする」
「なら私はそれを正して見せます。簡単な事ではありません・・・ですが、変えようと思わなければ変える事などできませんから」
カムイの言葉にラクスは埒が明かないと考え、ディアブロスを振るおうとした時、カムイの言葉でそれが止まる。
「だからラクスさん。私と、一緒に白夜に行きませんか?」
ラクスはその言葉に動揺するも、カムイを小馬鹿にする様に鼻で笑う。
「私が白夜に・・・?ふざけるのも大概にしろ。私はお前の父の仇だぞ」
ラクスはそう言うと、カムイは夜刀神を降ろすとラクスに語り掛ける様に言う。
「私は・・・思い出したのです。貴方は父の仇です。しかし、それと同時に命の恩人でもある事を」
「ッ!?」
「貴方はお父様を殺した後、ガロンが私を殺そうとしてくるのを見て庇ってくれた事、お父様を失った悲しみを抱えていた私を励ましてくれた事も・・・私は、思い出しました」
カムイはそう言ってゆっくりと近づき、ラクスに手を差し出した。
ラクスはそれを見て困惑していると、カムイは真剣な瞳でラクスに告げた。
「ラクスさん。私と一緒に来てください。私はまだ無力と言えますが、必ず貴方を後悔させない程の器になります。貴方の強さと知恵を、私に貸してください」
カムイがそう言うと、ラクスは迷ってしまう。
ガロンには恩があるが、国の方針に不満を感じているのは嘘ではない。
カムイは暗夜を裏切って白夜に着こうとしているが、元々は白夜の王女であるカムイを裏切り者と言ってもしょうがないと気付いた。
ラクスは迷いに迷った結果、遂に結論を出した。
「・・・分かった。貴方様に着いて行こう」
「本当ですか!」
カムイはラクスが白夜側に着くと聞いたが、ラクスはディアブロスをカムイに向けて言い放った。
「だが、もしカムイ様の行いが暗夜の民、そしてマークス様達の為にならなければ・・・私は貴方の首を貰い受ける。それでよろしいなら着いて行こう」
ラクスの条件にカムイは少し動揺しつつも、頷くとラクスはディアブロスを肩に背負って暗夜軍の陣を見る。
「では、決まりです。さっそく敵を追い散らしに行きます」
ラクスはそう言って暗夜軍に向かって突っ込んだ。
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その頃、マークスはリョウマとの激しい一騎討ちを繰り広げていた時、暗夜兵が慌ててマークスの元に伝令としてやって来た。
「マークス様、一大事です!ラクス卿が寝返り、我が暗夜軍を攻撃しております!」
「何だと!?」
マークスはそれを聞いてラクスの寝返りに驚愕していた。
まさか自身の父であるガロンの右腕的働きをするラクスが白夜に寝返ったと夢にも思わなかった。
戦っていたリョウマも戦う手を止めて驚く程、ラクスの寝返りは予想外で、場は混乱の渦に陥っている。
「くッ・・・一体、どの様な手段でラクスを・・・!」
「敵の王族カムイの説得によると、寝返りを宣言したラクス卿の近くで聞いていた兵士が目撃しておりました!」
マークスはそれを聞いてまた驚愕すると、戦いが不利になった事を悟った。
ラクスは暗夜軍副官として従軍し、マークスは一騎討ちをしている為に指揮をラクスに任せていた。
その為、ラクスの寝返りで指揮系統を失った暗夜軍は大混乱となり、更に白夜軍とラクスの猛攻で次々と討たれていく。
「致し方ない・・・全軍撤退!リョウマ殿、この一騎討ちは預けるぞ」
マークスはそう言った後、馬を走らせて撤退していく。
暗夜軍は続々と撤退していき、リョウマも追撃は行う事なく、白夜平原での戦いはラクスの寝返りで白夜軍の勝利となった。