偉い人達が私を対リンドウの暗殺者と勘違いしている   作:九九裡

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アバババババッ……お気に入り数でゴッドイーター1ページ目に表示されてるようになってる……
ありがとうございます、ありがとうございます……


カルト?誤射姫より怖いのか?

〈side・アグネス〉

 

狼。狼。

 

『ア■■ス早■こ■ら■■い!』

 

狼。狼。狼。

 

『ふ■■んな、は■せ■■い!』

 

狼。狼。狼狼狼狼狼。

そして。

 

『私■■顔■■れて』

 

一人立ち向かうーーあの子。

 

ありがとうーーアグネス』

 

嫌だ。

 

「あ」

 

行かないで。

 

「あ゛」

 

狼狼狼狼狼狼狼狼狼狼狼狼狼狼狼狼狼。

殺して、やる。

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ!!」

 

▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽

 

日付付きデジタル時計を見るとまだ朝10時。

 

最悪の夢を見た。気分は人生で下から二番目に悪いと言って良い。こういう日に任務とか行くと思わぬところで足元すくわれたりするので、今日は思い切って休みを貰った。

 

「こんなものかな?」

 

私は今、自室で記録を書いている。それは私が来てからの極東支部の記録でありーー敷いては我らが主人公、神薙ユウの伝記的な何かの基盤になる予定のものである。

 

最近ユウの能力の伸びが良くなって来た。10回に4回くらいはジャストガードできるようになったし。直伝で教えた甲斐があったものだ。

 

さて、ここで一つの意思表示をさせて貰う。

私はこれから、表向きは日和見の傍観主義者のまま、裏ではこそこそ第一部隊の平和のために暗躍させてもらう。仕方ない。第一部隊が悲しくなるのは嫌なのだ。

 

エリックの件で証明されたが、この世界は原作改変が可能だ。私が存在している時点でも、それは言えるだろう。

故に、この世界がこれからどうなるかを完全に見通すことは出来ない。大まかな流れは原作に沿うとしても、リンドウさんが死んじゃうかもしれないし、アーク計画が成功するかもしれない。

 

却下だそんなクソみたいな運命(シナリオ)。私が矯正してやる。

 

……んーっ、んっん。可憐な少女がクソとか言ってしまった。いや、結構私言ってるな。ならいいや。糞食らえ支部長。

とにかく、みんなが悲しい顔をするのは嫌だ。私も悲しい。みんなが嬉しいと私も嬉しい。ゆえに支部長、コソコソと遅効性の妨害工作をくれてやる。ロビンフッド並みの破壊工作スキルを見せてやる。具体的に言うと明日にでも支部長の口にするモノに強力な下剤を混ぜ込んでやる。

 

原作干渉がどうこうとここに来る前は考えていたモノだが、この際私は自重を捨てることにした。日頃のリスクを減らすため、ありとあらゆる手段を駆使してこっそり第一部隊の面々を強化してやるのだ。……フェンリルの暗殺部隊とかが送られない程度に。支部長の目を誤魔化せる範囲で。支部長から見たら原作準拠、しかしながら私から見れば原作を超えるッ的な。

 

で、その原作を超えるッ方針だが、コウタとかがいきなりケンシロウみたいな見た目になるみたいな魔改造ではなく、小技を仕込んで行くことにする。……どうしよう、第一部隊の男性陣が全員ケンシロウ形態にトランスフォームした状況を想像してしまった。絵面が割と面白い。この世界も世紀末だし。

……話が逸れた。

ユウはアサルトを使ってたから無限弾を教えようかと思ったけれど、それで近接が疎かになっては話にならない。とはいえ雑魚い私が実戦で授業などできぬ。チュートリアルで頑張ってもらうしかない。今は私の方が上かもしれないけど、訓練中に主人公パワーとかで上回られて不慮の事故とかあったら困る。故に知識を渡すことが肝要となるだろうなあ。

コウタも大体おんなじ。

ソーマはそもそもアドバイスとか聞いてくれるか分からん。

サクヤさんには脳天直撃弾に内蔵破壊弾、超至近徹甲散弾に超至近破砕弾を教えておくことにする。

リンドウさんには……うん、まあ。あの人に教えられることはあんまりないな。うん。誤射気を付けて。アナタ誤射姫の次に酷いからね。

 

しかし最近疑問に思うことが一つ。

リンドウさんは今、本部からの指令でシックザール支部長の周りを探ってるはずだ。ならば何故、シックザール支部長は本部からやって来た私を引き入れた?……本部が割れているのだろうか?これも原作と違うのか。

爺に今度本部の状況を聞いてみよう。母さんでもいいが、あの人に聞くと色々まずい。本部が砂塵に還ったりしかねん。

 

あとしつこいくらい乞われているけどカノンにステ……じゃなかったメテオは絶対に教えない。味方に当たらない弾を使えばいいかもしれないが、あの子はそこをすっぽかす可能性が高い。可能性が高いというか私がこう考えた時点でフラグ的に確実だ。

 

ま、気をつけよう。

 

私は記録書を閉じると、持ち歩くもう一つの『本』をなんとはなしに取り出した。

その表紙をさすると、暖かくも悲しい気持ちになる。

 

「……ツェロ」

 

私は机の上に本を置いて、部屋から出た。

気持ちの整理はついた。任務に出よう。

 

▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽

 

「お願いします!どうか、どうかアイナを助けて下さいっ」

 

エントランスに出たら、そんなセリフが聞こえて来た。

見た所、アナグラに暮らす女の子のようだけど、どうしたのかな。コウタに縋り付いている。コウタも少し困っているようだ。こちらを見るなり捨てられたわんこみたいな目で助けを求めてくる。くっ!仕方ない拾ってやろう!

 

「どうしたの?」

「それが……この子の友達が知らない大人に連れて行かれたらしくってさ。でも状況がわからないし……そもそも人探しは捜索隊の専門だからどうすべきか分かんなくて」

 

ふうん……んんん?

知らない大人に連れて行かれた。

→人攫い。子供を。

→何のために。

 

……。

なんかそういうことする、カルトな教団がこの世界にいなかったっけ。

そう、確か……【5番目の月(テシュカトル)】。おっさん顔クアドリガことテスカトリポカを信仰する、フェンリルの職員を生贄にしたり爆破テロを引き起こして極東支部の空調も壊して室内気温上昇、アリサを水着姿にした下手人。下らん。アリサは下乳だからいいのに、水着にしたら普通じゃないか。みんなもそう思うよね。ね!

 

っと、それどころじゃない。可能性がある以上伝えるべきだ。

 

「コウタ、かむ。かむおん」

「えっ、何⁉︎何⁉︎」

 

……少々刺激が強い話であるため子供から離れ、コウタに事を伝えると、みるみるうちに真っ青になった。

 

「す、すぐ助けに行かないと!」

「落ち着いて。あくまで可能性の一つ。リンドウさんに伝えて来て」

「わ、分かった!すぐ行ってくる!」

 

コウタの背中を見送ると、子供にさらに詳しく話を聞いた。その人攫いたちが着ていた統一された衣服……そこに描いてある紋章を覚えてないか聞いてみたが、無事記憶してくれていた。聞いたのと特徴を擦り合わせてみたところ、ばっちりデータベースに乗っている。モロに【5番目の月(テシュカトル)】だ。バカだろ。隠密のおの字も分かってないじゃん。バカだろ。

奴らの儀式場は贖罪の街だ。みんなで急ぎ向かおう。

私はひとまず子供を誰かに預けるべく、イケニ……ヒトバシr……暇な奴を探し始めた。

タツミがいた。ヒバリさんに日課の口説きを行うべく近づいていこうとしている。よし暇そうだな貴様が犠牲になれ。

 

「タツミ」

「ん?アグネスちゃんか。何か用?俺これから忙し……ハッ、まさか!……ごめんよ。俺は君みたいな小さな女の子は守備範囲外……待って!謝るから真顔で銃を取り出そうとしないで!」

 

なんだ、自殺願望がお有りかと。

 

「この子の話、聞いてあげてて」

「はっ?ちょ、どういうーー」

「大丈夫だ。問題ない」

「いや待って問題しかない」

「口説きEXのあなたならできる。その毒牙を存分に傷心の女の子に突き刺すといい」

「だから守備範囲外ごめんなさい大好物です!」

「……変態。私の半径2メートル範囲内に入らないで」

「理不尽だ!」

 

狼狽えるタツミに女の子を預けて、私はリッカの元に向かった。

 

「神機出して」

「え?いやミッション受けてないよね?」

「ーー出せ」

「ひっ⁉︎」

 

出して貰えた。

 

▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽

 

「遅いよ?」

 

私が先んじて護送車を用意し(手段は聞くな)、出撃ゲートで待っていると、コウタがリンドウさんとユウを連れてやって来た。

リンドウさんがやれやれとばかりに、

 

「アグネス、お前無理通しすぎだぞ〜?」

「通せる無理は無理じゃない」

「屁理屈フカシすぎだろ……」

 

否。我が人生の標語である!我輩がどれだけ無理を押し通して来たと思っている!時に爺に幹竹割、時に爺にラリアット、時に爺に延髄斬り、時に爺にアグネスバスター!

ダーッ!

おっとキャラがブレた。

 

「とにかく乗って。出来れば戦闘班と救出班に分けたいんだけど……ソーマとサクヤは?」

「あの二人は別任務だ。悪いな、お前も休日なのに」

「休みはまた取れる。命が2度あることは……ない」

 

乗り込んでくる三人に素っ気なく返した。

断言したかったけどここに2度目の人いるからね。断言できないよね。

 

「……ありがとよがっ⁉︎」

「喋るな舌を噛むよ」

「リンドウさんが死んだ!」

「この人でなし!」

 

思いっきりアクセル踏んでますから!へい!

現在この車は時速97キロで運行中〜!

後部座席から「「リンドウさぁぁん!」」という悲鳴が上がっていた。

私は持って来ていたポーチから青い腕輪を三つ取り出し、後部座席に放り投げる。

 

「え、アグネスさんなんですかこれ」

「……【5番目の月(テシュカトル)】についてはどの程度知ってる?」

「「全然知らないです」」

「……今度抜き打ちで情報テストするから。負けた方は課題と銃弾をあげる」

 

リンドウさんが死んでいるので、私が解説してやろう。

 

「【5番目の月(テシュカトル)】は端的に言えばカルト教団。大型アラガミ、クアドリガの上位種であるテスカトリポカを信仰する人間の集団だよ」

「アグネスさんが長文で喋った……!」

 

バカにしてんのか。コウタこの野郎。新八みたいな声しやがって。

 

「殴るよ」

「すいまっせん!」

「でも……アグネスさん。アナグラにいる人がなんでそんな怪しい集団に?」

「……ゴッドイーターがいるからといって、誰しもがアラガミの恐怖から逃れられるわけじゃない」

 

事実アラガミ防壁は幾度となく破られている。アナグラの中央に暮らす人々は兎も角、外周に暮らす人などはその度にその脅威に怯えなければならない。恐怖のあまり救いを求めて入信するのは、おかしくないと言える。

尤も救いがあるかどうかは別だが。

 

「そうやって形成された教団の一つが【5番目の月(テシュカトル)】。彼らはアラガミを地球の審判者として信奉しており、攫った人をテスカトリポカに生贄として捧げるつもりでいる。だから今回のミッションでは必然的に生贄の救助と、テスカトリポカの足止めが重要となる」

 

バックミラーに映ったコウタが唖然としていた。

 

「どこでそんな詳しい情報を……」

「データベース見ろバカ」

「とうとうストレートに罵倒されたよ!」

「そのチーム分けが必要ってわけですね」

「そう。私とリンドウさんで足止め。あなたたちは人質救出。任せたよ」

「「はい!」」

「それと」

 

私はハンドルから片手を離し、渡した青い腕輪を指差す。

 

「状況次第で私は今回『切り札』を切るから。あなた達が『やばそう』と思った時点で、()()()()()使()()()()()私の左手にそれを着けて。一個でいいから」

 

青い腕輪。それの内側には針ーー注射針が付いている。

 

「アグネスさん。何なんですか?これ」

「強制解放剤があるなら強制鎮静剤があっても良いと思わない?」

 

そんな生易しいもんじゃないけど。

流石に100キロ超えで飛ばしたからか、予想より早く贖罪の街に到着した。

 

▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽

 

護送車から降りるや否や教会の中に二人を向かわせ、広場に立ち、まだこちらに気がついていないが確実に向かっているテスカトリポカを待ち構える。

 

「なあ、アグネス。何でお前……()()()()()()()()()()()()()?」

「……」

 

何ですかリンドウさん。意外にも鋭いじゃないか。だがヒバリさんにリンドウさんがオペレーティングされている以上私は答えられない。そもそもオペレーティングを避けるために無理矢理神機を借り出して、発注された任務を受けずにここまで来たのだから。

 

「心配すんな。通信機は切ってあるよ」

「…………『切り札』を支部長に知られたらまずい」

「そうか。あと……何でお前はあそこまで【5番目の月(テシュカトル)】に詳しかったんだ?データベースにもあそこまでは載っていないぞ」

「伝手」

「……そうか」

 

そうだとも。前世の記憶という、ね。

ずしん、ずしん、と響く音。建物の影から、ぬう、と。緑の戦車覇王が現れた。

 

「奴さんお出ましだ。行くぞ!」

「了解」

 

駆け出しながら言葉を交わしーー

 

「足止めが目的とはいえ、倒してしまっても構わないからな!」

 

ちょまっ、アンタここで死ぬ気か⁉︎




5番目の月(テシュカトル)】は外伝で名前が出て来たんでしたっけ?あ、ボツネタ↓です。



〈side・アグネス〉

ーーどこにいるかもわからない誰か様へ。
早速ですが問題です。私は今どんな目をしているでしょうか。え?分かりっこない?そりゃそうですな。というわけでヒントを出しましょう。今私の目の前から聞こえる音声をお聞き下さい。







流星◯条(ス◯ラ)!」

「バカヤロウ『流星◯条(ス◯ラ)!』じゃねえ『流星◯条(ス◯ラ)ァアア!!!』だってんだろうが!師範代の話聞いてなかったのかてめえ!」
「ふ、その通りさ。さあもう一度叫ぶんだ!僕があの日見た師範の叫びはそんなものじゃなかったぞ!」
「うっす!流星◯条(ス◯ラ)ァア!!」
「もっと腹から声を出すんだ!どうしてやらない!君ならできる!やれ、やれ、やるんだ!ほら君達も何故黙っている!叫べぇええ!!」
流星◯条(ス◯ラ)ァアア!!!』

湧く合唱。
さて、『私はどんな目をしているか』。正解は全てを諦めた虚ろな目でした。またはレ◯プ目でも正解です。どうしてこうなった。付いて来いと言われてホイホイついて行ったらこのザマだ。
ちなみにここは射撃訓練場。ゲームだとエディットした後に試し撃ちできる場所。そこに今、私含め10人前後のブラスト使いのゴッドイーターが集まっている。私にメテオを教わるために。恐ろしいことにその中にカノンの姿まであった。幸い今は全員発声練習中だが。
師範代ことエリックが気分がノッて来たのか、明らかにキャラの領分を超えて叫び出す。

「一番になるって言っただろ?富士山のように日本一になるって言っただろ!お前ら昔を思い出せよ!今日からお前らは富士山だ!叫べぇええ!!」
流星◯条(ス◯ラ)ァアア!!!』
「よーし。十分休憩だ。オラクル補給を忘れるんじゃないぞ!」
『うっす!』

もう一度言おう。どうしてこうなった。エリックが駆け寄ってくる。

「師範!どうだったかな!師範のおっしゃった通り正しい技名を広めているよ!」

私の記憶が正しければ技名はメテオと教えたはずなのだが。なんかもう……何を言っても無駄そう……。
私は黙って懐にしまっておいた劣化版メテオ(溜め時間短縮済み)のバレットエディットを記した紙をエリックに渡すと、とっととその場から逃げ出した。

▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽

……はい。以上です。ちょっと収集つかなくなりそうでやめました。

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