ドラえもん のび太の聖杯戦争   作:悪・猫

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30.聖杯戦争開始六日目/誓いの朝

朝…鋭い激痛が早々に襲いかかる

皮膚が焼け焦げた臭いがまだ部屋に残っており、口内には血独特の鉄のような味がまだ残っている

あぁ、思い出した、あの熱消毒に僕は耐えられなくて気絶したんだ…

そう思いながら拳から伝わる激痛に表情を歪めながら起き上る

 

「眼を覚ましたか?まあ、初めての熱消毒にしてはよく耐えた方だな」

 

アーチャーは「ふっ」と鼻で笑いながら僕を見る…

だが、いつものアーチャーではなかった、体全体がボロボロで…サングラスにはヒビが入っていた

何かあったのか…と思ったすぐに理由はわかった

理由は一つ、アーチャーの隣には少々怒り気味の桜が拗ねた表情で座っていたからだ

 

「まったく…女ほど厄介な者はいない…どうした?俺がどうしてボロボロなのかって顔をしているな?それはお前のせいだ、お前の馬鹿デカイ悲鳴はどうやら、防音結界でも防ぎきれなかったらしい

お前の悲鳴を聞いた俺のマスター()がこの結界を無理やりこじ開けて侵入、まあ後は分かるだろ?拷問と勘違いした桜に拳をお見舞いされたと言うことだ…全く、大変だったよ」

 

アーチャーはヒビが入ったサングラスを僕に投げ、すぐに新品のサングラスをかける

 

「何か怪しいと思いました…まさか、のび太先輩の拳を焼くなんて…」

 

「だから言っただろ?あれは熱消毒だ、熱で細菌を殺しつつ、傷口を焼いて止血する方法だ…そうでもしなければ細菌が体内に侵入して、感染症起こすか、拳が壊死するところだったんだぞ…そんなことをお前とアサシンの前でやってみろ…気絶するか、さっきみたいに殺意剥き出しで殴られるのがオチだ、まあ現に…殴られているがな、マスターに」

 

アーチャーは少々、不機嫌そうに立ちあがる

 

「だったら、事前にそう言ってください…あなたのその格好で治療とか言われても…誰でも拷問してると勘違いします」

 

言い返す、桜…その言葉にさすがにアーチャーは黙り込む

 

「治療は済んだ、あとごゆっくり野比のび太と話して、今後(・・)の付き合いについて話しておくんだな…」

 

アーチャーはそう、笑みを浮かべながら桜に言う

その言葉を聞いた、桜は顔を真っ赤にして、アーチャーを睨みつける

まずいと思ったのか、アーチャーは早々に霊体化して姿を消した

 

「さ…桜?」

 

「さっ…さっきの話は忘れてください!!!それにアーチャーを殴ったのはのび太先輩を拷問しているのかと…」

 

桜は顔を鬱むせながら僕に言う

そもそも、アーチャーが遠回りでこんなことをするからだ…

のび太先輩の悲鳴が微かに聞こえたので、心配になってすぐに駆けつけてみるとアーチャーが熱したナイフをのび太先輩の拳に押し付けている光景だった

その光景を見た私はサーヴァントの反逆と勘違いしてしまい、思わず、殺意剥き出しでアーチャーを殴り飛ばしてしまった

 

「あっ…うん、てっ…えっ!?桜がマスター!?」

 

今すら先程の会話で色々と気づく

桜が…アーチャーのマスター?どういうことだ?確かにアーチャーは言っていた

僕が知っている人物がマスターだと…だけど、まさか桜がマスターだなんて…

だけど、その可能性は十分にあり得た、出来杉も言っていた、間桐の家庭は代々魔術師だと…

しかし、引っかかる所々ある…だが、それは今知るべきことではない…

 

「はい…私はこの聖杯戦争に選ばれた魔術師…いや、魔術使いです、勝手に姿を消してすみません…本当は先輩の電話を取りたかったのですが…まだこの体に慣れてなくて…」

 

桜は表情を鬱むせながら…僕に言う

確かに…桜は激変している…特に変化しているのは髪色と瞳だ

 

「その…あの人に聞きました?私の事…」

 

『私の事』…それはたぶん、桜の過去の事だろう

 

 

『君のかわいいかわいい後輩といえばわかるかい?間桐桜…あの子も魔術師の家庭の子、あの子は君を愛してるが故に…僕に反逆した…まああの子はついで…蟲に弄くられた体から産み落とされる子がどんな才能を持った子か知りたかっただけさ!!』

 

 

『君は知らないだろうね、彼女は間桐の魔術回路にするために蟲に犯され続けた汚れた女だ!あいつが清潔な女だと思ったか?野比君…彼女は間桐の家の道具であり、我が出木杉家の道具だ…その道具を君は勝手いろいろと振り回した…それがゆるせない…まあ感想を聞いておこうか?どうだった?蟲に弄くられた体は…?』

 

 

 

あの出木杉の狂ったような表情と言葉を思い出す…

あの言葉を思い出すだけで怒りが再び湧き上がってくる

だが、それは自分にもだ、何年も彼女の側にいたのに、僕は気づけなかった

時々、桜は暗い表情をする…その原因は彼女の暗い暗い過去の原因だ…気づていたのに…手を差し伸べられなかった

そんな自分に腹が立つ…

 

「うん…詳しい事はあまり聞いてないけど…でも、桜は桜だよ!!だから…だから…」

 

言葉が出ない…どう話しかけていいのか全く分からない

僕は彼女の過去の一部しか知らない…彼女がどんな壮絶な苦しみを味わったのか分からない

僕が分かるのは間桐の当主と出来杉家が彼女を道具にしようとしていただけ…

そして、これは僕の予測だが、出来杉の話を聞いたところ、彼女は間桐の人間ではないと言うこと…

だが、彼女がどういう理由で間桐の家に入り、どうして、彼女が苦しむことになったのか…

僕にはわからない…魔術と言う世界にどういう法則で成り立っているのか…僕は知らない…

 

ただ…僕ができたのは…

 

「先…輩?」

 

抱きしめる事しかなかった…

 

「うまくは言えない…だけど、僕は…君を守るよ、絶対に…この聖杯戦争から…この魔術の世界から守ってあげるから」

 

そう言うことしかできない…

僕では…彼女の心の傷を癒すことはできないかもしれない

だけど、これだけは言える、彼女をこの魔術の世界から脱する…

 

それくらいしか…本当にそれくらいしかできない…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちっ…それは本当か?」

 

「うん、あいつ…お母さん…どうする?邪魔なら私が解体しようか?」

 

「いいや、危険(・・)すぎる…手出しはするな…いざとなれば俺が奴に永遠(・・)の死を与えてやる」

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ま・た・爆・死・し・た

泣きたい…

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