ドラえもん のび太の聖杯戦争   作:悪・猫

37 / 67
36.聖杯戦争開始七日目/嵐の前

「………………」

 

「………………」

 

「………………」

 

「………………」

 

「………………」

 

「………………」

 

 

衛宮邸のリビングはここまで静かな物だっただろうか?いや、静かなわけがない、ここは衛宮邸の中でも一番騒がしく、賑やかな場所なはずだ

しかし、今この場は完全に氷河期と例えてもいいほどの寒さと静けさ、そしてそれに加えて魔術師の因縁、私念も混じり込んでいた

 

話には聞いていたのだが、まさかここまで魔術師の因縁という物が怖いか、今この場にいて士郎と僕は分かった

この世界のしずかちゃんは遠坂に負けないくらいの魔術師だが、出来杉家の圧倒的な力に反抗できず、出来杉一族に取り込まれた源家の長女

魔術の世界、遠坂によれば魔術師同士が出会えば一触即発、殺し合いが始まるか、又は様々の思考と言葉を巡らせ、相手を陥れるのも躊躇しないとのことだ

 

それに、遠坂もどうやら、源家に煮え湯を飲まされた経験があるらしく、遠坂の眼はとても怖い…

だけど、遠坂よりも怖い人物&サーヴァントが他にもいる…

 

それはジャックと桜だ、ジャックはとてもとても不服らしい。

お母さんがあんな大けがをしたのも、そもそも、あの女のせいである、この女がしっかりしていればお母さんがかわりあのライダーの魔力供給をしなくて済むのに…と不満を積もらせていた

 

ちなみに桜はうまくは言えないが、彼女の存在が気に入らない…のび太先輩が怪我をしたことに関しては本人があまり気にしていないので私も触れないようにしているものの。

やはり、のび太先輩が傷つく姿は見たくはない…しかしそれ以外にも…気にしていることがあるからこそ、桜はしずかに違う意味の敵対行動をちょっと取っていた

 

 

「あらあら、源家の御長女様が勝手に人の"お風呂”を借りるとはいい度胸をしていますわね?しかも男の前で裸になろうとするなんて源家の長女はいつから淫女を極めたのかしら?」

 

第一声を発したのは遠坂だった…しかも嫌味と罵りを乗せた第一声…その言葉を聞いた隣の槍兵(ランサー)が小声で遠坂につっこみを入れようとした直後

真っ先に遠坂の拳が槍兵(ランサー)後頭部に突き刺さり、地面に沈む…これは僕達への警告だろうか?突っ込んだら殺すと言う脅迫を行動で表した遠坂に僕と士郎は苦笑いを浮かべることしかできなかった

 

「そのことに関してはこの屋敷の家主に謝罪させていただきます、私も意識が朦朧としているとは言え、許可なくお風呂場借りたことは謝罪します…しかし、男の前で裸になった覚えは…」

 

昔のしずかちゃんとは全く違う言葉使いに僕は改めてしずかちゃんが遠坂に匹敵する魔術師であり、源家のご長女だと認識する

だけど、眼差しは昔のままで、根はやはり昔のしずかちゃんだなと感じた

 

「あら、意識が朦朧とし過ぎて忘れたのかしら?あなたはそこにいる衛…」

 

遠坂が敵意むき出しで何があったのか説明しようとした直後、今度は衛宮の拳が遠坂に軽めにぶつかる

この行動に思わず、口を僕と桜…衛宮の表情は笑顔、だけど、そのことに触れぬなと言う表情が出ている…あと、この雰囲気を何とかするためでもあった

 

「はいはい、魔術師のいがみ合いはお終いだ!まったく!リビングを魔術師の修羅場にするな!取り合えず、朝飯にする、桜と遠坂はくつろいでくれ、のび太は…その怪我だ、安静にしておいてくれ

セイバーはお茶を源さんに出してくれ、色々と混乱していると思うからじっくりと休んでくれ、あとは俺が朝飯の支度をするから」

 

「士郎、大丈夫なのですか?体の方は…」

 

「大丈夫だ、問題ない、セイバーもお茶を出したら休んでくれ、たぶん、この人数だから大したものは作れないかもしれないが、ここは俺の腕の見せ所だ」

 

そう、士郎は張り切りながら台所へ向かう、だが、それ同時に深いため息もつく…

これ以上、家を壊されでもすればとても大変だし、ここは一旦、落ち着いて貰って話し合った方がこの先も楽だろう思い、思い切って、話を中断してみたがなんとかことがいい方向に進み安心する

問題はこの先である、出来杉英才と言う強敵を倒したのは良しとするが問題は残りのマスター達だ…7人の内、一人脱落し、残りは6人

6人の内、5人はマスターの正体がわかっている、俺、のび太、遠坂、桜、源、そして、バーサーカーのマスターであるイリヤスフィール…

 

俺とのび太、遠坂は一時的に共闘しているものの、この先どうなるかはわからないし、それにまだサーヴァントはまだ一騎も脱落していない

と言うよりも敵である魔術師(キャスター)も、騎兵(ライダー)も撃破できる雰囲気ではなくなった、マスターである源さんがまだ、所有権を持っているものの、一時的に協力関係となった騎兵(ライダー)今では良き、仲間とも捕えることができるほど俺ものび太も心を許している。魔術師(キャスター)もそう悪い奴ではないのかもしれない…出来杉と言う頭がいい天才に色々と令呪の縛りを加えられ、操られていた被害者

それこそ、出来杉英才と言う男がこの聖杯戦争で強敵だったと分かる、自分でも分かる、英霊(サーヴァント)を操るなどどんなマスターでも無理だ、しかし、出来杉英才は令呪と言う絶対命令権を駆使し、ミスなく、騎兵(ライダー)魔術師(キャスター)を操りきった…そんな敵をすぐに倒せたのはとても大きいが…。魔術師(キャスター)騎兵(ライダー)…彼らと戦うのはとても辛い…だが、それはのび太はともかくとして、桜、遠坂と戦うのも同じだ…友達や、今まで共闘してきたマスターと敵対するのはとても辛い…とこの先の事を考えながらも卵を割り…皆の朝食を作る……この先が憂鬱だなと思うながら…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

出された朝食を黙々と口に入れるみんな…士郎とのび太はその静かさに苦笑いしながら顔を合わせる

本来なら初顔合わせであるしずかちゃんについて、遠坂、士郎、桜について話すべきなのだが、眼は変わってないとはいえ、しすかちゃんと会うのは7年ぶりで、容貌も何もかも変っているため話しかけ辛い

そもそも七年と言う月日はあまりにも長過ぎた…小学の頃は引っ越してから何度かドラえもんと一緒にしずかちゃんや、ジャイアン、スネオと連絡を取り合っていたが、中学に入り、僕がサバゲー部に入部してからは忙しくて、連絡を取る機会がなくなって行った…そして気付けば7年、夏休みや冬休みは必ず、海や山へキャンプへ行こうと約束していたはずなのに、いつの間にかそんなことすっかり忘れていた

そんなこともあって、しずかちゃんとは顔を合わせず、僕は黙々と士郎が作る朝食を口に運ぶ…

 

だが、そんな沈黙を破って、遠坂が口を開く

 

「ねぇ、野比君、源さんとはどういう関係なの?」

 

遠坂の言葉に少しづつ飲んでいた味噌汁を思わず吹く僕…いきなりの話題に士郎も桜も少々、苦笑いしながら僕を見る

 

「前も言ったと思うけど…しずかちゃん、ジャイアン、スネオは僕の友達だよ、まあ、7年前に冬木に引っ越してから一度も会ってないけど…」

 

「そう…まさか、桜と言う『彼女』がいながらこの子とも付き合ってるのかと思って冷や冷やしたわ」

 

「!?」

 

遠坂の言葉でリビングに静けさが到来する…

桜の顔を真っ赤になり、もちろん、僕の頬を真っ赤になる…士郎は口を大きく開け…僕をゆっくりと見て、肩にポンッと手を置く

 

「のび太…やっぱり、お前ら…そう言う関係だったのか…全く、俺は心配したんだぞ、中学と高校、女の子にモテているのに関わらず、一向に彼女も作らず、ただただ、トイガンばかりいじってるから、このまま銃一筋で突き進んでしまうのかと藤ねぇと一緒に心配したものだ」

 

「士郎…そこまで心配しなくてもいいよ…しかもなんだよ!僕はトイガンばかりいじってないよ!!そ…そうだよね?桜…」

 

「えっ…いや…その…先輩、昼寝とか、私達一緒にいるとき以外は家で持っているトイガンをすべてバラして、グリスアップばかりしていたような…だから私がたまにデートに誘ったり…」

 

「えっ…!?デート!?えっ…えっ?そうだったかな……」

 

僕は苦笑いしながらもゆっくりと後を振りむく…どうやら気づかない内に悪い癖が出てしまったらしい

なにかに夢中になると周りが見えなくなって、いつの間にか時間が過ぎていたと言う事態は何度もあり、下手をすれば24時間不眠で銃をいじっていた事もあった

確かにふと思い出せば桜が時々、僕を外に出そうとどこかへ誘いを受けた覚えがある…

 

「お母さん、グリスアップって何?」

 

「えっ?グリスアップ…まあその…トイガンとかの内部をメンテナンスすることだよ、それをしなくちゃ弾道がしっかりしなかったりするんだ、だから適度な調整が必要なんだよ、今度、アサシンのナイフも研いであげる

銃もナイフも必ずメンテナンスしないと必ずどこで支障が起こすからね、士郎、確か、蔵に研石があったよね?後で借りていいかな?アーチャーから貰ったサバイバルナイフもメンテナンスしたいし…」

 

「ああ、いまから一緒に蔵に行こう」

 

僕はなんとか、話をそらし、士郎、セイバー、そして、ジャックと共に取り合えずこの修羅場から離脱する

この話題はかなりまずい、多分遠坂はこの場で桜に告白させようとこの話題を振ったのだと瞬時に把握し、すぐにこの場から離脱する術を導き出し、この場から逃走するきっかけを作った

やはりこの『あかいあくま』は侮れない、だけど、やはり、桜の事が好きだと言うのは否定できないと言うよりも、遠まわしでもう既に告白しているが、今この場でそれを公表するのは今後の行動に支障を起こすのと…

この戦いが終わったら、人生の大親友に最初に報告したかった…

 

「ドラえもん…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あらあら…ちょっとおちょくりすぎちゃったかしら?野比君がとうとうこの場から逃げ出しちゃったわね…ねっ?桜」

 

ニヤリッと笑いながら顔を真っ赤する妹をおちょくる姉…ランサーは苦笑いしながらも…その姉妹の様子を見守る

 

「桜も行ってきなさい、私は源さんと大切な話をするから…ランサー、あなたも桜と一緒に付いて行ってあげて、大丈夫、何かあったらすぐに令呪で呼ぶし、源さんも今はその気はないらしいから」

 

今行われているのは聖杯戦争、聖杯を呼び出すための儀式そのものであり、魔術師の殺し合い

源さんの隣にライダーがいるのにも関わらず、自らのサーヴァントを外すと言うあまりにも危険な判断にランサーはひそめる

 

だがしかし、あの【弓兵(アーチャー)】が言っていたことを気にしているとなれば、ここは自分の危険を冒してまで、彼女を守りたい、つまり、今優先すべきは【弓兵(アーチャー)】のマスターの命

 

「了解したよ……油断すんなよ」

 

小声で自分のマスターに警告を促すとすぐにこの場から席を外した桜の元へ向かった…

 

 

 

 

「さて、魔術師の因縁とかそう言うのなしにして…真面目に話し合いましょう、まずは源さん、野比君とは"友達”だったと捉えればいいのよね?」

 

遠坂の言葉を聞いた源さんは静かに頷き、口を開く

 

「はい…」

 

「そう、辛いと思うけど、聞かせてもらうわ、源さん、どうして、あなたは許婚である出来杉英才を裏切ったの?まああんなに歪んでいればだいたいは想像つくけど…」

 

一番気になったのは魔術師の婚姻を交わした嫁側である源さんが主人を裏切ったことである。

ライダーによれば、野比君を心配して裏切ったとのことだが、主人を裏切った時点で彼女は真っ当な魔術師ではない、真っ当な魔術師はいくら、主人や嫁が歪んでいようと有能な子孫を生む出すためにそこところは堪えるか、気にしない、しかし彼女は違った、彼女はあの魔術師の世界でもかなりの上位に位置する出来杉家を裏切った、その経路の本当の事を聞きたかった

 

「のび太さんとドラちゃんを守りたかったから…出来杉さんはのび太さんとドラちゃんを殺そうとした…だから…裏切った…!裏切ったけど…ドラちゃんは救えなかった」

 

洗脳されていたとはいえ、洗脳されていた時の記憶は断片的だが、鮮明に残っている、私のライダーの槍がドラちゃんの腹を貫いた時、私はどれほど絶望したか…

結果、のび太さんがこの聖杯戦争で戦う理由ができてしまった…のび太さんを巻きこんでしまった…この儀式に…

 

「どうやら、洗脳されていた頃の記憶は多少はあるらしいわね…つまり、あなたは友達のために裏切ったと言うことね、ふ~ん、やっぱり、あなたも私と同じく真っ当な魔術師ではないようね…

さて、ここからが本題よ、この先、あなたとライダーはどうするつもり?このまま戦うか…それか降りるか…どっち?降りるのなら…あっそうか、言峰は死んじゃったし…しょうがない、私の家で避難してるといいわ

このまま戦うのなら、今後、私や、衛宮君、野比君や他の敵と戦うことを覚悟してね…」

 

「………私の願いは『ドラちゃんを生き返らすこと』です…だから、わたしはこの聖杯戦争で勝ち残ります、それはのび太さんも同じことなので敵対はしたくないです…なるべく、のび太さんの友達とも…」

 

「へぇ…やっぱり、あなたは真っ当な魔術師じゃないわね…つまり、あなたは私達と共に闘うと言うことかしら?」

 

遠坂の言葉を聞いた源さんは静かに眼を見つめながら頷く。

 

 

「わかったわ、たぶん、野比君も衛宮君も桜もあなたと共に共闘するのは賛成でしょ、ただし、私は今回、キャスターと出来杉英才が気に入らなかったから野比君と協力したことだけは忘れないで…まあ、厄介なサーヴァントが後一騎残っているし…しばらくは野比君と協力する事になると思うけどね」

 

単々と説明すると遠坂は笑顔で源に手を差し伸べた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へぇ、中々武器に扱いになれてるじゃないか!暗殺者(アサシン)のマスター!」

 

「ううん、そんなことないよ…ネットとかで色々と調べただけで後は自己流だよ」

 

ランサーは少々感心しながら、のび太がサバイバルナイフを研いでいる姿をジーッと見る

鏡のように磨かれたナイフは見る限り、とてつもない斬れ味あると感じられる

 

「のび太はそう言うことだけは器用なんだよな~、ほら、のび太、新しい研石だ」

 

士郎はのび太に新品の研石を投げる、のび太はそれをうまくキャッチし、今度はジャックのサバイバルナイフを手に取る…

 

「う~ん、刃に以外とダメージがあるなぁ…士郎、そこにある工具借りていいかな」

 

「ああ、いいぞ」

 

のび太はゆっくりと立ち上がり、大量のガラクタがある奥へ歩いて行く

確かそう言えばここでジャックを呼び出すきっかけを作ったんだ…ここで、僕があの魔術の本を見つけなければ僕はジャックとも出会わなかったかもしれない

そう言えばどうして、ここに魔術の本なんてあったんだろう?士郎の事も気になる、士郎は一体、誰に魔術を教えてもらったのだろう?

 

そう思った時だった…ビキッ!と嫌な音が聞こえる…その音を聞いた同時に僕はおでこに大量の冷や汗をが溜まる。

この音を聞いて、落ちなかった事は一回もない、これは絶対だ…いやでもまて、さっきまで地面はコンクリートだったはずだったのに…

 

僕は恐る恐る…下を向く…なんと、一部は木製で…しかも、亀裂が入っている

僕の経験上、このような状況なったら…絶対に

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

落ちる。

 

ガシャァァァァンと言う音共に地下に落ち、尻を強く打つ僕…

鋭い痛み…そして、鼻を突くようなほこりの臭いとあの懐かしのにおい

 

半年ぶりと言うべきだろうか?あの火薬においと鉄のにおい…グアムの射撃場に来るたび僕の鼻を突いたあのにおいだ

ほこりが晴れると僕の眼に飛び込んできたのは信じられない光景が広がっていた…

 

「なんじゃこりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」

 

僕の眼の前に飛び込んできた物…それは大量の銃器と金色に光る大量の弾薬だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
Twitterで読了報告する
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。