ドラえもん のび太の聖杯戦争   作:悪・猫

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38.聖杯戦争開始七日目/脱落者~聖杯にこの身を捧げて~Ⅰ

衛宮士郎は魔術師ではない、魔術師としての知識や技量も半人前以前の問題であり、魔術師の常識も半端にしか知らない『魔術使い』である。

しかし、そんな半人前以下の衛宮士郎ものび太が起こした行動に思わず眼を疑った

 

英霊の宝具の使用…それはどんな魔術師であろうと不可能な物。

それは衛宮士郎も理解していた、いくら半人前でもそれは英霊(サーヴァント)同士の戦闘を見れば誰にだってわかる

英霊の聖剣や聖槍、神装は到底、人間の域にいる限り使用する事は不可能だと

 

しかし、そんな論理はすべてのび太の行動によって壊された。

 

桜のサーヴァント・弓兵(アーチャー)の宝具であり、彼が二十二世紀の英霊だと象徴である秘密道具の使い手である。

その宝具がどこで渡ったのか分からないが、のび太はその宝具を当たり前のように使いこなし、この場にあるすべての銃器の時間を出荷直後まで巻き戻した…

そして、その姿がなぜか、弓兵(アーチャー)の姿と一瞬だが被った、確かに似ている所はたくさんある、すべての近代兵器を最大限に活用し、秘密道具を器用に使いこなし、あらゆるピンチを打破する

 

最初はそれは同じ銃器を扱う者同士であり、尚且つ秘密道具の存在を知っているからこそだと持っていた

 

 

だが―――――――――――――――ある矛盾に衛宮士郎は気づく

 

二十二世紀の英霊なら…なぜ、第二次世界大戦から今現代の銃器を好んで使用する

本来なら二十二世紀の銃器達を使用するはずだ…なのになぜ、彼は古い銃器を好む…?

 

 

その結論は彼は二十二世紀の英雄ではないと言うことだ…だが、その先はとてもじゃないが信じたくはない

あんなに淡々と英霊とマスターの命を狙う英霊が…心優しいのび太などと、とても信じられるものではなかった

 

 

「あいつの…過去?」

 

のび太は槍兵(ランサー)の言葉に首を傾げながらもオウム返しをする。

どうやら、のび太自身、自覚がないらしい、あの時も、今も…その姿が桜のサーヴァントと一致することに

 

「先輩…その力を…どこで?」

 

桜は震えながらものび太に問いかける…しかし、それを阻止するかのように遠坂は桜を庇うように出て、ゆっくりと首を振る

俺みたいな鈍感ではないので、遠坂自身、どうやら感づいていたらしい、そして、それがもし本当ならばそれが桜にとってどれほどのストレス(負荷)が掛かるが分からない

ただでさえ、彼女の過去の傷は未だに癒えてないのに、さらなる傷をつけるわけにいかないと心配しての判断だろう

 

「野比君、その力については何も聞かないし、さっきの槍兵(ランサー)の言葉も気にしなくていいわ、それよりもさっきの光景を見る限り、今、ここにある銃はもう使用できるの?」

 

「うん、取り合えず出荷直後にまで時間を巻き戻したから後は自分が使いやすいように調整するだけど…また僕、ありえないことした?」

 

「いいえ、別に何もないわ、あなたはあなたなりに戦えばいいわ、野比君、これから私達は衛宮邸に戻るけど、あなたはどうする?」

 

「僕?できればここで自分が扱かったことがある銃の中身をいじってみたいけど…」

 

「ならそうして、私達はあなたの友達の様子を見てくるから…」

 

動揺を隠し通しながら遠坂は俺達を連れて、速やかに地下室を後にし…静かに再びあの和室に戻った

 

「まずはあなたの見解を聞かせもらうわ、衛宮君」

 

遠坂は俺に先程の光景の見解を聞いてくる。

 

「なんだよ、遠坂、さっきま半人前半人前って言ってた癖に俺に見解を聞いてどうするんだよ?」

 

「いいから!!あなた、小学生の頃からの付き合いなんでしょ!?いいから答えて!!」

 

無茶ぶりである、付き合いと魔術、何の関係があるのさと言い返したい所だ

だけど、断れるような様子ではない、俺はため息をつきながらも自分なりの見解を答える

 

「遠坂が言いたいのはのび太が英霊になる可能性があるか?ってことだろ…最初に言っておくが十分にあり得る、ドラえもんに聞いたことがある、のび太は様々な時代や別次元を探検して、そして、その時代や別次元のピンチを救っているんだ、信じられないかもしれないが、ドラえもんの道具を使用しながらも様々な時代も別次元も救っている…聖杯って万能なんだろ?それなら過去だけでなくその先も未来の英霊を呼び出せるはずだ、その可能性は否定できない、それに弓兵(アーチャー)は言っていた、「自分が『二十二世紀』の英雄」だと、だけど、それじゃあドラえもんが言っていることと弓兵(アーチャー)が言っていることには矛盾しているんだ

ドラえもんがいた二十二世紀は戦争も争いもない未来だと聞いている、そんな未来に英雄が必要だと思うか?だけど、弓兵(アーチャー)は二十二世紀の英雄だと発言事態が嘘なら、使用している銃器を見る限り、のび太の未来の姿と言う見解もできないわけでもない」

 

士郎は自分の考えをまとめ、遠坂に答えた。

だが、まだ疑問点がいくつか存在する、そしてその一つは――――――――――――――――――――――――――のび太と弓兵(アーチャー)の決定的な疑問

 

 

「姉さん…」

 

「桜、黙っていてごめん、出来杉家の当主との戦闘の時、私は既に気づいていたの…野比君と弓兵(アーチャー)の共通点を」

 

「だけど、姉さん…弓兵(アーチャー)は二十二世紀の道具を…それに!弓兵(アーチャー)はあんな事…あんな事…」

 

桜は未だに信じられないわけがあった、そう、それは俺が思っている事と同じ、そうそれは――――――――

 

 

「遠坂…だけど、仮にあのサーヴァントがのび太の未来の姿だとして弓兵(アーチャー)は出来杉家の当主が化け物に変化した時、あいつは躊躇なくあいつの頭蓋に銃を突きつけていた…

のび太はどんなに悪い奴でも、どんなに酷いこともしても、あいつは出来杉を救おうとした、だけど、弓兵(アーチャー)がした事は間逆、あいつは出来杉を殺そうとしていた、これは別人の可能性も配慮したほうが…」

 

「そうね…考えすぎだと言うのは分かっているけど…これは例えよ?本当に例えよ?もし、今、行われている聖杯戦争が本来、進むべき方向ではなく別の方向に進んでいるとすれば?弓兵(アーチャー)と言う未来の英霊がイレギュラーで召喚された事によって本来の道から外れているとすれば…」

 

「と言うと…?」

 

「彼は別の時間系列の未来の野比のび太と言う可能性もある…と言うことよ」

 

「!?」

 

遠坂が言っていることは難しかった…だけど、言っている事は何となく理解できた、映画で良く見る設定だ、並行世界とか、パラレルワールドとか言う物だ。

人生に分岐点はつきものだ、例えば好きな人がいて、告った未来と告らなかった未来が存在する、その些細な分岐点がその先の運命を大きく左右してしまうこともある

もし、あの弓兵(アーチャー)が未来ののび太なら、彼は壮絶な人生に歩み、あのような姿になってしまったと考えれば説明がつく

 

「なるほど、さすが俺のマスターだ、んで、あの弓兵(アーチャー)をどうするつもりだい?あいつの技術は過去の英霊とも引けを取らない、全く恐ろしい物だね、宝具でもないのに俺達、英霊に致命傷を与えかねない得物と二十二世紀の道具を所持しているとなれば、さすがの俺でも仕留められるかどうか…」

 

「それだけじゃない…弓兵(アーチャー)はもう一つ、俺達、英霊に強大な影響を与える得物を持っている…ただの英霊とはとても考えられない」

 

槍兵(ランサー)の言葉に助言をかける騎兵(ライダー)

騎兵(ライダー)弓兵(アーチャー)と一度戦った時、未来の英霊でありながら、神でなければ傷つけられないこの体に傷を負わせた

弓兵(アーチャー)自身になにかカラクリみたいな物が存在するのかもしれない、それに彼との戦闘は英霊との戦いに慣れている様子もみられた…

神の加護すら、侵食する…いやな感覚を騎兵(ライダー)は決して忘れられなかった

 

「とにかく…現時点で私達に敵対行動を取っていない…今は信じましょう、彼が最後まで私達の側の英霊だと…そして、彼が野比君じゃないことを」

 

遠坂の言葉に俺は激しく同感した、もし、あいつが最後まで俺達の味方ならとても頼もしい

だけど、それと同時に心の隅では最後まで味方…と言うことはまずないと確信していた

 

なぜなら―――――――――――――あいつは俺を見た時…憎しみの眼差しを向けていたからだ

 

 

そして、みんなは知らない、いつか俺はあいつと対峙する時が来ると、そして、あいつは必ず俺と剣士(セイバー)の前に…姿を現すと

だけど、僕は覚悟すらしなかった…そして、俺も剣士(セイバー)も知らない

 

 

まさか、この聖杯戦争の第二の脱落者が、俺達(・・)だと言うことに

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「の…び太…」

 

血反吐を地面にぶちまけ…膝をつくもう一人の衛宮士郎…

地面には何十、何千もの宝具並みの聖剣がへし折りたり、破損した状態で散らばっていた

 

半日にも及ぶ戦闘、最初は衛宮が優先だった、エクスカリバーとカリバーンの二刀流でNOBITAに挑み、彼をあと一歩と言う所で追い詰めた

だが、NOBITAと言う英霊は策略に策略を重ねた作戦や戦闘技術をその身に刻んだ力ですべてひっくり返した。

 

「15時間もサーヴァントなしで良く持ったな…だけど、もう終わりだ、ここでお前の聖杯戦争は終わる」

 

俺の頭に突き付けられたトカレフTT-33、のび太がリボルバー以外で使用していた唯一の自動拳銃である。

安全装置が存在せず、とても危なっかしい拳銃だが、貫通力が高いモーゼル・ピストル弾を使用しており、第二次世界大戦ではトップクラスの貫通力を誇る拳銃だ。

 

聖杯戦争と言う油断を許されない状況化であえて、安全装置もない危なっかしい拳銃を選び、その拳銃を今までずっと使ってきたコルト・SAAにも負けない信用度を誇るNOBITAの愛銃だ

 

「まったく…次々と厄介な得物を…おまえはウェスタン物ばかし好きだと思っていたよ…」

 

傷だらけの体を動かしながらも俺は笑みを浮かべながら言う

 

「ソ連の銃器はとても頑丈でね…整備さえすれば弾詰まり(ジャム)もトラブルもあまり起こすことはない…これほど、魔術師殺しに適した物はないよ、エミヤ」

 

「そりゃぁ…親父の趣味でね…俺じゃなくて、死んだ親父に言ってくれよ…」

 

「そうか、ならお前がその親父のお礼を言っといてくれ、俺の代わりに」

 

容赦なくトカレフTT-33の引き金を引くNOBITA、だが、その弾丸はエミヤの脳天ではなく

肩を貫く、容赦も躊躇もなく放ったはずの弾丸…しかし、その弾丸は突如として放たれた空気の弾丸によってそらされてしまったのだ…

 

「ちっ…どいつもこいつも僕の邪魔ばかりする、まったく君達はどんだけ、僕の邪魔をするんだい…タイムパトロール隊!!」

 

「悪りぃなぁ、衛宮士郎警視総監は俺達、タイムパトロールにとって、最重要人物なんだ、その人物を簡単に殺されちゃぁ困るんだわ…のび太」

 

四次元ハットを深々とかぶり…その右手には使い込まれた二十二世紀の秘密道具、空気砲。

その姿を見たNOBITAは舌打ちをしながら、トカレフをホルスターにしまい、コルト・SAAを抜く

 

「気になることはたくさんある、だけど、あえて聞かないし、ドラえもんの友達だった君には手を出したくない…この場は手を引いてくれないかい?」

 

NOBITAが人間最強のビリー・ザ・キッドなら、彼はロボット界最強のビリー・ザ・キッド。

かつて、ドラえもんと不滅の友情を誓った6人の内の一人…

 

「これは警告だよ?タイムパトロール警部、ドラ・ザ・キッド?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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