ドラえもん のび太の聖杯戦争   作:悪・猫

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43.聖杯戦争開始八日目/悪に成りきれぬ者

「イリヤスフィール・フォン・アインツベルン…」

 

想定外の事態だった…セイバー亡き今…衛宮士郎を殺すことなど容易いものだと思っていた…だがしかし、過去の失敗がまさか最悪の状況を生み出してしまうとは思ってもいなかった

どれもこれもエミヤの邪魔によって生まれた状況、彼の介入がここまで状況を悪化させるなどとても予測できるものではない、状況は最悪。

 

さらにエミヤ、ドラ・ザ・キッドとの戦闘による疲労・ダメージの蓄積、相手はギリシャ最大の英雄…今の状態でも相手にできるものの、手負いでの戦闘は避けたかった

手負いだが、今の衛宮士郎等簡単に殺せる…と傷など如何にでもなると高を括ったのがまさかこうも裏目に出るとは…

唯一の幸いは最初の戦闘でヘラクレスの宝具『十二の試練(ゴット・ハンド)』の12の命の内、8つ削っていると言うことのみ…あと4回、だが、最初の戦闘から5日も経っている…ストックが回復していることを踏まえても6回…奴を殺せば沈黙する。

 

「ちっ…どうやらこっちも罠にハマったようなものだな」

 

イリヤスフィールの『殺せ』の命令を聞いたヘラクレスはもう止まらない。

 

令呪でも使わぬ限り、奴は相手を殺すまでその獰猛な石斧剣を振るうのを止めぬであろう

だが、衛宮士郎を殺す手段はいくらでもある―――――――――――なんせ、強力な手駒がいるのだから

 

「オルタ、命令する…ヘラクレスの宝具を消費させろ!」

 

命令を聞いたアルトリア・オルタは襲いかかるヘラクレスの石斧剣を邪悪な聖剣で防ぐ

激しく…そして、漆黒の十字の魔力が放出され、ヘラクレスのその胴体に斬りかかった、しかし、理性を失って言えど、身体に染みついた俊敏性、そして、感は鈍ってなどいないヘラクレスはすぐに回避行動を取りつつも、獣のようにアルトリア・オルタに体当たりしてくる…地面を転がるオルタ…そして追撃を仕掛けるヘラクレス…

 

互角だ。ヘラクレスも、アルトリア・オルタも一歩も引かない…

本来ならここで自分も援護に回るべきだが、ここは傍観に徹すると同時に衛宮士郎の殺害とイリヤスフィールの心臓…云わば聖杯の器の捕獲を実行する

 

誤算だったが、ここで聖杯の器を手にするのはとても有利な状況にひっくり返すことができる…最悪な状況だけはない、これはチャンスでもある

 

すぐに状況を把握したNOBITAはサバイバルナイフを手に士郎のもとへ向かう…もちろん、そこにはイリヤスフィールもいる

士郎は戦闘不能、イリヤスフィールも魔術は使えるものの、只でさえ、魔力の消費量が半端ではないバーサーカーを使役している以上、そう複雑な魔術を長時間使用できることは不可能。

 

そうなれば短期で事が済む―――――――――――――

 

 

「あなたは一体、何者なの…?サーヴァントでありながら、サーヴァントのルールその物を無視している、ねぇ?復讐者(アヴェンジャー)

 

「ほぅ…さすが、聖杯の器…やはり異端なサーヴァントに対しそれなり反応するか…確かに、俺はアーチャーと偽り、偽物のアーチャーと行動した、だが、クラスを偽るのはルール違反ではないだろ?」

 

「確かにね…でもあなたから二つの核が感じられる、一つは禍々しいサーヴァントの核…もう一つは人間の…!」

 

本来、あり得ぬことである、二つの核を持つサーヴァント等存在するはずが無い

しかし、実際に彼は二つの核を所持し、この世に現界している…

 

「確かに…俺は特別なサーヴァントだ、霊体化だって、秘密道具で誤魔化しているだけだ、いいだろう、イリヤスフィール、お前の疑問に答えてやる…俺はまだ、生きたヒトであり、そして、サーヴァントでもある」

 

NOBITAは淡々と自分の正体を明かしながらゆっくりとイリヤスフィールの元へ歩んでいる

 

「俺は大聖杯の中身と契約し、人間でありながらサーヴァントになった…だが、聖杯の中身は俺の人格を支配できなかった、たったそれだけだ…後は大聖杯にちょっとしたお願いをしたら、この世界に桜に呼ばれ、やってきた…それだけの話だ」

 

それだけの話―――――――――しかし、それは簡単ではない、いや、出来るはずが無い行為である

サーヴァントの魂と人間の魂の質は天と地の差だ、それを取り込め等人間ではあり得ぬことであり、それにサーヴァントはヒトして死を迎えなければ本来、召喚されないはずの物…その摂理をNOBITAと言う人間は壊したのだ

 

「それじゃあ最後に聞かせてよ…あなたが大聖杯にしたお願いを…」

 

「………………」

 

イリヤスフィールの言葉に足を止めるNOBITA―――――――――――――悲しげにその手のサバイバルナイフを握りしめた。

 

 

そして、眼を見開き、感情的に歩を早め、イリヤスフィールの首を刎ねようと感情的にサバイバルナイフを振るった

 

「惨めなヒトね、悪になりたくても演じることしかできない、本当の悪を取り込んだって…あなたの魂はとっても綺麗なのだから」

 

 

 

 

 

 

 

 

その刹那だった――――――――――――――――――――――――――突如して、襲いかかる『死』

 

数々の戦場を駆け巡り、魔術師も、魔法使いも…サーヴァントをも蹴散らしてきたNOBITAすら凍りつくような死の匂い

 

 

 

 

 

サーヴァントではない、もっともっと別格の存在だ。

 

 

振り向くな、反撃するな…防ぐことのみ集中しろ――――――――――――――

 

 

 

 

 

ガキンッと言う乾いた金属、そして、火花…NOBITAは振り向かず、瞬時にアキレウスの盾でその暗殺者無しからぬ大剣を防いだ。

 

しかし、すぐに距離を取り、掠った首筋の血を眺めた

 

「ほぅ…我が初撃を防ぐとは…未来の軟弱者と思いきや…やる時はやるようだな…」

 

亡霊のように姿を現した謎の亡霊。

ただの亡霊ではない、ヘラクレスにもアキレウスと同格、いやそれ以上の『死の亡霊』―――――――――――

 

思わず、NOBITAは舌打ちをする、予測はしていた、だが、ここまでの大物を送り込んでくるとは思ってもいなかった

 

「我が初撃を防いだ者よ、汝の名は何と申す…」

 

「NOBITA…」

 

突然、現れた死の亡霊は初めて、俺の前に姿を見せる…青白く光り眼光…死神の鎌と例えも良かろう大剣…

その姿を視野に入れた者はいないと言われる伝説の暗殺者――――――――――伝説の山の老翁…

 

 

「NOBITA…か、名はないが名乗ろうではないか、未来の英雄よ、我は山の老翁…ハサンを殺すハサンなり」

 

 

眼の前に死神に等しい姿を見たNOBITAは溜息しか出なかった…そして、黙って、SVDを出現させ、弾を内部に送り込んだ。

 

 

 

 

 

 

 


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