ドラえもん のび太の聖杯戦争   作:悪・猫

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49.聖杯戦争開始八日目/私情

士郎視線

 

突き付けられた事実と言葉に俺はタイムパトロールの男に何一つ言い返せなかった。

そんなこと考えたこともなかった、のび太が『悪者』になる未来など、とても考えられなかった

 

正直、こいつが言っていることが【嘘】だと信じたい…だが、あの早撃ちに生き残る術を模索し、実行するあの姿はどう考えても『のび太』そのもの

否定要素などなかった、どんなに否定する材料を探しても見つからない、なぜならのび太とNOBITAの根本的な考えも思考も同じなのだから

 

 

やばい――――――――――――。

 

俺の理想が一つの選択肢を出してくる、そうそれは――――――――――『野比のび太の抹殺』

 

今ここであいつを殺し、NOBITAも殺せば全ての時間軸が破滅の経路を辿ることはない

『小』を切り捨て…『大』を救う…それが間違っているとは言えない

 

しかし、親友一人を切り捨てて、なにが『正義の味方』だ…

 

考えろ――――――――――考えるんだ!!!

 

そんなときだった…突然、部屋のドアが思いっきり開き、無邪気な笑顔で考える俺の元へ飛び込んでくる

 

「士郎~!」

 

「ずごはぁ!!」

 

幼き幼女が俺の腹に飛び込んでくる…しかも偶然なのかワザとなのか膝が溝にめり込み、刺された箇所に激痛が走る

 

「お前は…イリヤスフィール!」

 

イリヤスフィール・フォン・アインツベルン。狂戦士(バーサーカー)のマスターであり、教会訪問後、すぐさま俺たちの前に姿を現した『マスター』である

なぜ、敵であるイリヤスフィールがこんなところにいるのであろうか?そう疑問思っているとタイムパトロールの男は俺の疑問に答えた

 

「お前が刺された後、真っ先にお前を助けに来たのはイリヤスフィールだ。そして、このお屋敷もアイツンベルンが所有する別荘だ、つまり、この別荘はアインツベルンの『拠点』だ」

 

それを聞いた時、俺は背筋が凍りつく――――――――――――――なんでさ?なんで、初日早々、殺しに来た少女が俺達を…拷問でもするつもりなのかと…激痛に耐える俺の気も知らないで嬉しそうに下から俺の顔を見つめるアインツベルン

 

「イリヤ…イリヤスフィール、これ以上、衛宮君の腹の上でじゃれるのはやめた方がいいぞ…」

 

タイムパトロールの男は苦笑しながらも苦痛に歪む俺を見ながら言う

すると、ピタッとじゃれるのをやめ、そしてすぐさま…

 

「士郎の馬鹿ー!なんで、あんな真夜中にブラブラと歩いてるの!私がせっかく教えてあげようと襲撃してあげたのに!!」

 

「馬鹿!!あれはあれで死にかけたんだぞ!」

 

「いや、イリヤスフィールの言葉は正しい、あんな真夜中にセイバーとデートとは…まったく」

 

「すまない、なんかお前にだけは言われたくない気がする」

 

 

なぜだが知らないが取り敢えず、こいつにだけは言われたくないので突っ込んでおく

 

どうやら彼女は俺とタイムパトロールの男に敵意はないそう確信しただけで少々安心した

 

「衛宮士郎、さっきの話だが、まあどちらにせよ、あいつを止めなければ『すべての時間軸』が消滅してしまう、だから嫌でも協力してもらう…今日は休むがいい、イリヤ、いくぞ」

 

「は~い」

 

タイムパトロールの男はそう言って、イリヤスフィールと共に部屋から出て行った…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エミヤ視線

 

イリヤスフィールの部屋

 

「ねぇ、タイムパトロールさん、士郎…とても悲しい顔してたよ」

 

「!?」

 

イリヤの言葉にさすがに問い詰めすぎたかと少々動揺する俺、しかし、覚悟がない奴が『NOBITA』を倒せるわけがない

だが、イリヤがまさか盗み聞きしているとは思ってもみなかった

 

「イリヤ…どこまで話を聞いていた…」

 

「最初から最後まで…ねぇ、タイムパトロールさん、『正義の味方』…それって切嗣の…」

 

「あぁ…おまえの『実父』で士郎の『義父』…衛宮切嗣の理想だ、此処まで歪んだ時間軸はもうどうしようもない、それならいっそのことこの時間軸の『正義の味方』を生み出した方が都合がいい」

 

『正義の味方』の誕生への後押しをする…皮肉なものである一度は『正義の味方』を否定した男が今度は『正義の味方』の誕生への手助けをしている…

しかし、そうしなければNOBITAを倒せない、この時間軸の衛宮士郎には英霊『エミヤ』や俺以上の力を手にしなければ『NOBITA』には敵わない」

 

「そんなこと聞いてない…士郎は…士郎は本当に『正義の味方』になることを望んでいるの?」

 

「…………」

 

イリヤの言葉に思わず黙り込んでしまう俺…やはり、未だに俺の心の隅には『正義の味方』と言う理想が残っている…しかし、アルトリアの『アーサー王伝説』を守らなければ約束は果たせない…

 

「望んでいるかどうか…それはわからない、だが、『正義の味方』になるかどうかはあいつ自身が決めることだ、イリヤ…」

 

「ッ…」

 

「だが…おまえは士郎を殺したいのだろ?」

 

「殺したい…だけど、士郎が望んでいないことは私も望まない…」

 

イリヤの言葉に少々苦笑する俺…正直、どっちなのさと突っ込みたいが今は突っ込まないようにする…俺の時間軸のようにこの時間軸のイリヤと士郎の接点は少ない

『姉』としての無意識な自覚か?それとも親友と理想…どちらの選択肢に悩む士郎への同情か…

 

 

 

どちらにせよ……イリヤと士郎が分り合えるチャンスがある――――――――俺とイリヤは分り合えなかった…最初から最後まで…殺しに殺し合った

 

それが彼女にとっての救いだと自負していたからかもしれない…しかし、この時間軸のイリヤを救うなら…今しかない

 

俺はドラ・ザ・キッドの四次元ハットに手を突っ込んだ…そして、そこから『タイムテレビ』を取りだした

 

「イリヤ…おまえは言ったな…士郎が望まないことは自分も望まないと…ならお前は知るべきだ…お前の父のことを…そして、許してやれ、父をその父の理想を継いだ少年を」

 

俺はタイムテレビを起動させ…切嗣の過去を…そして、自らの過去を映し出す…その画面に釘つけになるイリヤ…俺はイリヤの部屋を出た

 

そして、すぐさま、ドラえもんの形見であるスペアポケットからどこでもドアを取り出し、とある場所へ出向く…

 

扉を開くとそこは蟲藏…そう…ここは間桐の拠点である。

俺は蟲の死骸を踏みつけながらもさらに地下へ続く階段を下りてゆく…

 

 

 

正直―――――――――――気は進まない、いや決して気が合う相手ではない、しかし、一つの可能性を自らが潰してしまった以上、自分自らが折れるしかなかった

 

「何者だ――――――――――貴様は」

 

地下に足を踏み入れたと同時に泥だらけの『王』。もう精神も身体も擦り切れており、身体に喰い込んだ天の鎖(エレキドゥ)は王の肉を傷つけていた

身体には拷問の後…指は二.三本ほど切り落とされており、その光景から想像に絶する拷問を受けたようだ

 

だが、同情の気持ちなど一つもない、俺はただ『こいつ』を武器として使用するだけだ。現時点で『NOBITA』を屠れる可能性があるのは『こいつ』だけ

 

『英雄王』…ギルガメッシュ、俺と取引きをしないか…俺が今からお前を助け、俺はお前の臣下として付き従い、全力でお前を侮辱したあの英雄を倒す手助けをする、その代り、おまえは必ず…本気であの英雄を殺せ」

 

俺は出会って早々に英雄王に条件を突き付けた…アルトリアを守るために自らの私情を切り捨てながら…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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