ドラえもん のび太の聖杯戦争   作:悪・猫

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第三章:約束の正義の味方~EMIYA~
51.第三章:約束の正義の味方~EMIYA~聖杯戦争開始九日目/天秤


まさか、のび太と親父との約束を天秤にかけるとはこの時、衛宮士郎は思ってもみなかった。

衛宮士郎の使命とも言える理想…そう、それが『正義の味方』と言う万人を救う理想だった…しかし、衛宮士郎は正義の味方とは何なのか…それすら今もずっと…掴めてすらなかった

だけど、それでも衛宮士郎は『正義の味方』と言う存在にならなかった…しかし、あのタイムパトロールの男の言葉…その言葉がとてもじゃないが信じられなかった

 

いや…内心は俺はわかっていた。初めて弓兵(アーチャー)…いや、復讐者(アヴェンジャー)が未来ののび太だと言う事は…

あの銃捌きにサーヴァントに対しても勇敢に立ち向かうの『心の強さ』…野比のび太にしかできない物だった…

 

だけど、のび太とはちょっと違った雰囲気だった…俺が知っている野比のび太は全員を救える”思いやり”を持った人物だった。

でも、あの未来ののび太は違う…あいつは優しさ捨てた野比のび太だとすぐにわかった

 

あいつがやっている事はわからなかった、だけど正直、今も奴がしていることにあまり理解ができなかった

『世界の崩壊』…そんなことを願って、あいつにメリットなどあるのだろうか?

『時間軸』の崩壊は全ての世界の崩壊を意味する、もちろん、それは未来もそうである…どうして、未来と関わりがあるのび太がそのような願いを込めるのかはわからなかった

タイムパトロールの男は言っていた、『俺の残された道は二つ…己の理想のため…親友を手にかけるか…もしくはお前の理想を裏切るか』…

それはつまり、時間軸は違うとはいえ、未来の野比のび太をその手にかけるか…理想を捨て、親友を討つ事をあきらめるか…と言う事だろう

 

「俺があいつを討つ…?そんなの…時間軸は違うとはいえ…親友ののび太を…そんなの無理にきまってるじゃないか!!そんなの…そんなの…」

 

しかし、あのサーヴァントをほったらかしにすれば…あのタイムパトロールの男曰く、全ての時間軸は崩壊し…世界を滅ぼす。

それに俺にはそんな実力等ないに等しい…あいつは『化け物』だ…あの剣士(セイバー)を圧倒し、挙句の果てには取り込んだ…

 

俺にそんな化け物を討つ力もない…なのになぜ、あの男は俺にあいつを討つ案を持ち込んだのかわからなかった。今の自分の力不足は十分にわかっている…しかし、俺が使える魔術は『強化』しかない…

 

 

「俺にどうしろって言うんだ…あの英雄を…どうやって倒せって言うんだ…!!」

 

「ひっ…!」

 

苛立ちを隠せず…思わず拳を机に強く叩くとびっくりした子猫のような可愛らしい声が聞こえてきた

 

「えっ…イリヤスフィールか?」

 

ドアの隙間を覗き込む、イリヤスフィール…俺の荒々しい声にびっくりしたのか、少々怯えているようにも見えた

 

「すまない、イリヤスフィール、突然大きな声を出してしまって…」

 

「大丈夫、ちょっとびっくりしただけだから♪ねぇ、士郎!一緒に遊ぼうよ!」

 

「えっ?遊ぶ?」

 

「うん!もう士郎は『マスター』じゃないんだから、それとイリヤスフィールじゃなくて『イリヤ』って呼んで!」

 

突然のイリヤの提案に戸惑う俺…イリヤスフィールと言う少女はもっと冷酷で容赦ない人物だと思っていた。

俺達に対し、バーサーカーを放って来た時も彼女は本気で俺達を殺そうとしていた、しかし、今では殺そうとしていた相手を助け、さらには遊びに誘っている始末…

何を考えているのかわからなかった…だけど、今の彼女に敵意の欠片も感じられなかった

 

「わかったよ、イリヤス…いや、イリヤ、だけど遊ぶ前にいくつか聞かせてくれないか?」

 

「なに?」

 

「あのタイムパトロールと言う男とどういう関係なんだ?それとどうして、俺を助けた?」

 

まず、それだけが聞きたかった…あのタイムパトロールの男は的確に俺の『理想』を突いてきた。初対面で俺の理想を言い当てられた時、「こいつとはなり合いたくない」とそう思った

それとイリヤとの関係…そして、なぜ俺を助けたのか?何日か経っているとは言え、イリヤは俺達を確実に殺しに掛かっていた、そんな彼女がなぜ急にマスターである俺を助けたのか疑問だった

何か企んでいるのではないのか?そう言う警戒をしている中、イリヤは『アハハハッ』と笑いながら俺の質問を答えた

 

「あの男は言ってしまえば『協力者』…あなた達が言う『復讐者(アヴェンジャー)』に邪魔…いや、あれは襲撃と言うべきね、あいつは確実に私と狂戦士(バーサーカー)を殺しにかかっていた…そんな時、彼が離脱を手伝ってくれたのよ…彼のサーヴァントを単騎で突入させてね、どうやら、あの男はあのサーヴァントと相当の因縁があるらしくてね…私にとっても最悪な存在だったから同盟を結んだ…それだけよ。士郎を救った理由はあの『男』が士郎を重要視してたから」

 

「重要視してた…?」

 

「うん、士郎の事、ずっと監視してたんだよ、柳洞寺の時も…士郎が『復讐者(アヴェンジャー)』に刺された時も…士郎はあの人のこと知ってるの?」

 

 

知っている…と言うよりも本当に身近な人物。言ってしまえば他人ではないと言うのは確かだった…しかし、顔は直接、見たわけではない…

赤礼衣を身にまとい、顔を隠していた…とてもじゃないが『タイムパトロール』には見えなかった。簡単には言えないが『暗殺者』と『弓兵』…そして『剣士』を混ぜ合わせたような雰囲気を纏った男だ

 

「いや、あいつとは初対面なんだ…だけど、あの男は他人ではないと言うのは確かだと思う…」

 

「士郎も?私もそうなんだ…あの人は…その…士郎に似てる言うか…」

 

「俺に?」

 

イリヤの意外な言葉に眉を顰める…それは俺にとって、あまり褒め言葉ではない…

俺は決してあんな男にはならない、だが、俺はこの時、知っていて知らないふりをしていたのかもしれない…

 

 

"あいつ”は俺に"似ている”…そして、あいつは未来ののび太をこの時間軸にやってきた。その理由の意味を…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まったく…やはり『サーヴァントの殻』借りても…状況と言う物はうまく進んでくれないな」

 

片目を失ったNOBITAは溜息をつきながら左目に残った弾をピンセットで取りだした。

『抑止力』によって召喚されたあの『暗殺者』はこの聖杯戦争に参加する『英霊』以上に厄介な存在…油断すれば即座に首を斬られる『抑止力の代行者』

片目を失ったのは痛いがその強大な存在の片腕を奪え、さらに生還できただけも不幸中の幸いと言える。

 

「片目を失った今…俺は狙撃と言う手段を失った…とあいつらは思うだろうな」

 

弾を抜いた後…損傷した眼球を丁寧に手術用ナイフで取り除き…そして、変わりとなる眼球を移植し…眼帯を取り付ける…

 

「代わりの眼球が定着するまで…ざっと二日程度…魔術礼装であるSVDはそれまで使えない…だが、俺には"これ”がある」

 

コルト・SAAのホルスターに触れながら…NOBITAは改めて覚悟決めながら…髑髏のフェイスマスクを装着した…

 

「状況――――――――――――――――開始」

 

泥と傷まみれの身体を再び動かす…もはや、いつこのサーヴァントの霊核が砕けるかわからない。

しかし、それを恐れていては残る五騎のサーヴァントと抑止力の代行者を屠る事は出来ない

 

責任はすべて取る…それが野比のび太と言う一人の罪深き『罪滅ぼし』であり、俺ができる『遠坂 桜』と『ジャック・ザ・リッパー』…そして、『親友』への最後の手向けなのだから…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「キッド…」

 

一体の猫型ロボットが激戦の地でロボット界の『ビリー・ザ・キッド』ドラ・ザ・キッドの残骸を見て涙した…

残骸の元に手向けられた二つの白い花束…そして、金色に輝くテレカだった…

 

「キッド…あなたの意思は私達が継ぐわ、お願い…『ドラえもんズ』、私に力を貸して!!」

 

金色に輝くテレカを手に持ち、かつて不滅の友情を誓いあった友達に対し、願った――――――――――――――そして、彼らはやって来る『キッド』の願い、そして、NOBITAを止めるために

 

 

 

 

 

 

戦いは前よりも激化してゆく―――――――――――――――――――――――

 

ドラえもんを救いたい――――――――――野比のび太

 

お母さんの助けになりたい――――――――――ジャック・ザ・リッパー

 

愛する者を助けたい――――――――――――遠坂 桜

 

家の悲願を達成したい―――――――――遠坂 凜

 

第三魔法の発現――――――――――――イリヤスフィール・フォン・アインツベルン

 

罪人を救いたい――――――――――――エミヤ

 

自らの罪を償いたい――――――――――NOBITA

 

 

 

それぞれの願い持つ魔術師、魔術使い、英霊(サーヴァント)――――――――――その運命は最悪な形で進んでゆく

 

 

 

 

 

 

 

 

激化する戦いの中、願いなき少年は自らの理想に答えを出す…その答えは…

 

 

 

 

 

 

 

 

突き進む災厄の運命すらも食い止める…いや、全ての時間軸の災厄の運命を歪めるほどの―――――――――――――――――――――決意だった

 

「約束する―――――――――――俺は正義の味方になる、だからお願いだ…俺に力を貸せ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

ドラえもん のび太の聖杯戦争・第三章:約束の正義の味方~EMIYA~

 

 

 

 


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