ドラえもん のび太の聖杯戦争   作:悪・猫

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53.聖杯戦争開始九日目/離脱

「どうやら、効果は抜群だったようだな…」

 

憎しみの表情でギルガメッシュに斬りかかるNOBITAを見ながらエミヤは少々気を落とした表情で英雄・ギルガメッシュの様子を窺う

正直、この手だけは使用するつもりではなかった、しかし、今の状況は思った以上に酷い、その状況化での決断だった

 

「だが…さすがに…割り切れないな」

 

この行為がNOBITAの憎しみを増加させることはわかっている。

全く皮肉なものである、今のNOBITAと言う原型を生み出すきっかけとなったサーヴァントを自らの手で開放し、その発端にその処理を任せる――――その行為が再びNOBITAを傷つけることなどわかっていた

親友が傷つく姿を…辛い姿を見るのは…反英霊となった今でも同情する…

 

私情を優先するのならもしかしたら俺はギルガメッシュと言う、今この場の最強の切り札を斬り捨てていたかもしれない

俺もあいつには怨みがある…桜を殺し、のび太を傷つけたあいつを許せるわけがなかった。

 

あいつのせいでのび太は憎しみを…怨みを…呪いを背負った

その呪いは少しつづ綺麗だったあいつの感情を汚していった…『人類悪』に分類されるあの泥はのび太と言う心を魂すらを汚した

身代わりになれたなら…喜んで俺は身代わりなっただろう、だが、俺もあの時は必至だった『アルトリア』と言うを守ることで…

 

だが、余裕がなかったのはのび太もそうだ…他人に頼れるほどの余裕もなく、ただ只管に他人を絶対に救え、命を救える存在になるためにその泥を利用できるようにと自分を犠牲にして、鍛錬を重ねた。

だからあそこまで強くなった、あいつが強くなったのは『起源』の影響じゃない、あいつの意思が英霊すら凌駕する力を手に入れるきっかけを手にしたんだ

 

しかし、その努力を俺の価値観で壊してしまった、のび太に怨まれてしょうがない、でもどうしても彼女が苦しむ姿をのび太には見せられなかった

桜と同じ境遇の彼女を見せたくなかった…魔術回路に喰われてゆく彼女を…

 

俺は確かに『アルトリアだけの正義の味方』になった、その事実は今も変わらない。今もこうして、『アルトリアの歴史』を守るためにこの場に居る

もちろん、同情も残る――――――――だが、これは…のび太自身のためでもある

 

 

投影開始(トレース・オン)

 

洋弓を投影し…弓を構える――――――――――――――そして、ギルガメッシュに対し、サバイバルナイフで襲いかかるNOBITAの頭蓋に弓矢を放った。

 

「!?」

 

光速を超えた速度で迫る弓矢…しかし、それすらもいとも簡単にNOBITAに斬り落とされてしまう。

 

「ちっ…どこでもドア!」

 

スペアポケットからどこでもドアを出し、イリヤと士郎がいる場所に移動するエミヤ。

あそこにいればあの二人の戦闘に巻き込まれてしまう、ギルガメッシュは本気でNOBITAを殺そうとしている、もはや慢心などしていない

だが、それはNOBITAも同じことだ、もはやギルガメッシュを再び拘束しようとは思っていない、本気で殺しにかかっている

 

「イリヤ!!士郎!!逃げるぞ!!」

 

どこでもドアで士郎達の場所に移動したエミヤはすぐさま手を差し出した、しかし、それは愚策だった

 

「馬鹿者!!すぐに逃げろ!!」

 

ギルガメッシュの怒声が聞こえてくる…漆黒の魔力を乗せた聖剣を容赦なく、振るわれた

 

「セイバー!!」

 

かろうじてイリヤと衛宮士郎を突き飛ばしながらもその一撃をかわした…しかし、彼女の目的は俺達を殺すことではない

彼女の目的、それはこの場から遠くへと離脱することが可能な逃走手段である『どこでもドア』の破壊だった

 

「くそ!!!」

 

すぐに二撃目が来る!!そんなことは分っているが盾も、剣も投影する余裕がない!!

彼女の二撃目は容赦なく俺の首を撥ねようと迫って来る…しかし、そんなピンチを突然、宙から降ってきたバーサーカーによって救われる

 

狂化しているとは思えぬ剣撃で『反転』したセイバーを斬り飛ばすバーサーカー…それと同時にNOBITAと戦闘を行っているのも関わらず、斬り飛ばしたセイバーに対し、大量の宝物を投擲し、時間を稼ぐ

 

「ゆけ!!オレの許しをなくこの場にいる者が死ぬことは断じて許さん!!特に『エミヤ』!!おまえにはまだ利用価値がある!!此処死んだら許さぬぞ!!」

 

ギルガメッシュはそう言いながら斬りかかるNOBITAを宝物の剣で防ぐ…

 

「ギルガ…メッシュ!!」

 

黒い魔力をサバイバルナイフに纏わせながらギルガメッシュの剣を断ち切るNOBITA。

しかし、それと同時に藏を360°展開し、一斉にその宝物の武具を発射する

 

ギルガメッシュは笑みを浮かべながら転移する宝物を使用し、その場から離脱する

 

「…………………よもや、英霊の枠に収まっていないとは」

 

360°全方位からの宝物の武具の掃射…しかし、掃射したはずの武具はNOBITAに何一つ傷をつけてはなかった

 

「オレの宝物で傷つけられぬ英霊等存在しなかった…増しては聖杯の泥の『適応しただけの人間』風情がオレの宝物で傷つけられぬ等…もはや、おまえは人間でも英雄でも…増しては『英霊』でもない…おまえは『化け物』だ」

 

「化け物…か…俺からすればお前の方が世界が生み出した化け物に見えるがな…」

 

睨み合う両者……まるで北極いるような身の凍る雰囲気。

互いに古代の宝物、そして、近代を兵器を展開する――――――――――――

 

まるで古代兵器と近代兵器の戦争を見ているようだった

 

「愚かな人間だ…『自分が間違っている』と自覚しながらも間違って方向へ進もうとする…救いようがないとはこのことだな、だが…おまえはどうやら『人』しては相当好かれていたらしい…さもなければ今頃、おまえの中の『人類悪』はとうの昔に溢れだしていただろうに…おまえは一つ勘違いしている、おまえ一人が『人類悪』を背負っているわけではない、おまえの友が仲間の想いが『人類悪』を食い止めていたと思え…」

 

「………………」

 

ギルガメッシュの言葉に聞き耳持たず、巨大な改造兵器を展開してゆく、NOBITA…そして、開戦の火蓋を切った。

 

「黙れ……」

 

地に設置した大量の戦車から掃射される砲弾…それをギルガメッシュは小声で「愚か者が…」と言いながら蔵から盾を展開し、砲台を防ぐ

 

「よもや…此処まで進行しているか…これは…早々に決着をつけねばなるまい」

 

高威力の砲弾…もはや、近代兵器が伝説の武具と互角の威力である…

 

「エミヤよ!おまえに転移の宝物をくれてやる!おまえの言う仲間の元へ逃げろ!!」

 

転移の宝物をエミヤに渡すギルガメッシュ…その言葉から何やら焦りを感じた。

確かに、NOBITAのあらゆる情報をギルガメッシュに与えてから少々焦りを感じたが、今はその焦りが一層強まっていることに気付いた

 

「ギルガメッシュ!!おまえはどうする!?」

 

「ここで足止めする……よもや、此処まで進行しているとな…このままだと俺でも”勝利”することは難しい」

 

王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)を広げ、さらに伝説級の宝物を容赦なく放つ…

 

Pocket.ON(無敵砲台、透明マント)

 

無敵砲台を設置し、掃射された宝物を防ぐNOBITA、さらに透明マントで姿を消しつつ、すばやくギルガメッシュの後に回り込む

 

「ふん…おまえが英霊殺しに特化した化け物なら…それくらいの攻撃など予測できる」

 

すぐさま盾を展開し…NOBITAの攻撃を防ぐギルガメッシュ…しかし、笑みを浮かべるNOBITA…

 

「!?」

 

突如として一応、展開していた自動防衛の盾が真正面から迫る弾丸を弾き飛ばした。

透明マントを使用する瞬間…ギルガメッシュでも見えぬ速さでコルト・SAAを放ち、銃弾よりも早くギルガメッシュの後に回り込み、視線をずらした…

 

「ギルガメッシュ!!」

 

「つっ…まさか、拳銃の弾丸が俺の自動防衛の盾にヒビを入れるとは!!」

 

蔵から剣を出し、NOBITAに斬りかかるギルガメッシュ…しかし、接近戦に入ればNOBITAが有利である剣を蹴り飛ばし、再びコルト・SAAの引き金を引く

高魔力によって強化された弾丸は再び自動防衛の盾に弾かれるものの、自動防衛の盾は後一度、二度防げるか程度にまでひび割れが進行していた

 

「くっ…千山斬り拓く翠の地平(イガリマ)万海灼き祓う暁の水平(シュルシャガナ)!!」

 

二本の数十mの巨大な神造兵器…その巨大な神造兵器を蔵から引きづり出した事に驚くエミヤ。

確かに威力は絶大だ…しかし、その真下にはNOBITAだけでなく、ギルガメッシュ自身もいる…転送の宝物がない以上、そこから逃れられるのは簡単ではない

 

「ちっ!!」

 

相討ち覚悟の手段だろうか?いや違う…これでNOBITAを倒せるとは思えない。

もしかしたら相討ちまで持って行けなくてもNOBITAに重傷を負わせる覚悟で蔵から持ち出したかもしれない…

 

「イリヤ、衛宮士郎…すぐ近くに野比のび太と遠坂 凜がいる…今、走ればNOBITAやセイバーオルタから逃げのびれるかもしれない…」

 

「えっ…でも…」

 

「いいから行け!!衛宮士郎!イリヤを連れて、逃げろ!!俺はあいつを今、此処で失うわけにはいかないからな…行け!!!」

 

エミヤが叫んだ直後、先程、宝物武具による襲撃を受けたセイバーオルタが再び漆黒の魔力を纏った魔剣で襲いかかる。

それに気づいたエミヤは剣を投影し、その魔剣を防いだ…

 

「早く…しろ!!!!」

 

ギルガメッシュに渡された転移の宝物を衛宮士郎に投げるエミヤ。

投げたと当時に様々な聖剣や魔剣を投影し、真上から掃射する…

 

「行け!!念じれば自動的に転移される!!」

 

「くそ、こうなれば自棄(ヤケ)だ!!野比のび太の所へ!!」

 

衛宮士郎はイリヤとバーサーカーの手を掴みながら叫ぶと転移の宝物は起動し、その場から衛宮士郎とイリヤ達を消す…

転移を確認したエミヤはどこでもドアを投影し、すぐさまギルガメッシュの後に行き、ギルガメッシュを救出する

 

「はぁ…Pocket.ON」

 

NOBITAは溜息をつきながら言うと…自身に迫る千山斬り拓く翠の地平(イガリマ)万海灼き祓う暁の水平(シュルシャガナ)が石化してゆく…

その光景にギルガメッシュは驚愕する…神造兵器である武具の効力を消し去る等、同じ神造兵器でなければありえぬはず…だが、いま現に神造兵器は石化し、その効力を失いながらも地に落下する様を見ている

 

「旧型の道具が未来の道具に…勝てるわけないだろ?」

 

想像以上…いや、まさかここまで再現されてしまうとは…先程の秘密道具は『ゴルゴンの首』、光線を当てると対象が硬化する恐ろしい道具である。

まさか、メドゥーサと同じ効力を再現するとは思ってもみなかった…

 

「雑種風情が…我が宝物を…未来の道具如きで無力化するだと…ふざけるな!!!ふざけるなふざけるなざけるな!!」

 

吠えるギルガメッシュ…しかし、NOBITAは眼の色も買えず、銃器を展開する…

 

「ギルガメッシュ……おまえに頼みがある」

 

「なんだ…雑種…」

 

「過去の俺を…頼む」

 

「なに?」

 

ギルガメッシュが眉をひそめると同時にエミヤは四次元ハットを押しつけ…後にあるどこでもドアに押し込んだ…

 

「何をする!!エミヤ…!!」

 

「まだ、拷問の傷が癒えてないだろ…全力も出せない戦で敗れるのはお前の本望ではないだろ、なら、臣下として誓いを立てた俺が時間を稼ぐべきだ」

 

「どういう事だ!!エミヤ!!過去のお前とは一体、何者だ!!」

 

「『衛宮士郎』…正直、おまえとは反りが合わないかもしれない。だが、理解すればお前も気にいるかもしれないな…」

 

「待て!!エミヤ!!おまえに命じたはずだ!!俺の指示なく死ぬ事は許さん!!おまえには理想価値があると言ったはずだ!!!」

 

「えぇ…この場で死ぬつもりはない…それに隙あれば俺がアレを倒すさ」

 

覚悟を決めた眼でどこでもドアの扉を閉めるエミヤ、その行動に思わずギルガメッシュは叫ぶ。

たった一日の付き合いとはいえ、臣下として従うと決めたのならば王である自身の利益をあげるまで許さない…それがギルガメッシュの信条だ

 

「エミヤぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

ギルガメッシュの叫びを遮るかのようにドアを閉じるエミヤ。

さすがに拷問の傷が癒えていないギルガメッシュではNOBITAに勝てない…

 

「エミヤ…」

 

「…………………………」

 

風が吹く―――――――――――それと同時にエミヤは勝利すべき黄金の剣(カリバーン)を投影し、NOBITAに斬りかかる。

愚かなエミヤに溜息をつきながら…NOBITAは配下に置いた『アルトリア・オルタ』を差し向けた。


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