ドラえもん のび太の聖杯戦争   作:悪・猫

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55.聖杯戦争開始九日目/アーサー王伝説の守護者

「アルトリアぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

放ったしまった光の斬撃、剣撃は泥に完全に汚染されてしまったアルトリアの真横を横切った…

間に合った…しかし、令呪による拘束が切れたセイバーオルタはたちまち、その邪剣の刃を俺の首筋に突き付けた…

 

「…………かろうじて、軌道を変えたか」

 

残念そうにセイバーオルタに刃を突き付けられているエミヤを見つめた…エミヤからは怒りが感じられた、そう今までにないほどの…

 

「のび太…!おまえ!!」

 

泥に汚染されたとはいえ、アルトリアはアルトリアである。愛した女を斬り伏せられるほど…エミヤには度胸はない

だが、斬り伏せられれば…それはそれでよかった…自分と同じ苦しみを味わうエミヤの顔を見てみたい…そんな『悪意』に満ちた作戦を令呪一格を利用して試してみたのだ

しかし、拍子抜けである、まさか、あそこまで動揺した声をあげるとは思ってもみなかった…

 

「のび太…!!」

 

「おまえに憎まれる覚えはない…おまえは俺が最も許せなかったあの英霊を逃した…あいつだけは許せなかったのに…あいつだけは!!」

 

四次元ポケットを起動させ、ウィンチェスターM1887を取りだすと容赦なく、城から見下ろすようにエミヤの足を討ちぬいた…

強烈な痛みが襲いかかる中、討ちぬかれた足に開いた風穴は瞬時に修復された

 

「どういう原理かは知らない…だが、おまえは『アーサー王』の体に近づいているようだな…まったく、無茶な奴だ…全て遠き理想郷(アヴァロン)による身体の修復しつつ、本来、投影すれば死に至る可能性がある神造兵器に匹敵する剣の投影…燦然と輝く王剣(クラレント)無毀なる湖光(アロンダイト)転輪する勝利の剣(エクスカリバー・ガラティーン)…龍殺しの魔剣や数々の魔剣、聖剣も紛れ込んでいたか…まったく、見る限り、本当なら何度も死んでいるよ」

 

「……………何が言いたい」

 

「いや何…まったく、気付くのが遅かったよ、エミヤ…いや、もう既にエミヤと言う名も侵食されているか…?なぁ?『アーサー王』…」

 

「!!」

 

「もっと早く気付くべきだった…狂った方法だとは思った、だが、まさかここまでとは思っても見なかった……何があったかは詳しく聞かない。だが、おまえは本当の大馬鹿者だよ、衛宮」

 

 

「……………………ある時間軸で俺は『アーサー王伝説』の歴史を変えた」

 

「なに?」

 

NOBITAはエミヤの言葉に思わず、眉を細めた…『アーサー王伝説』の歴史を変えた。それはエミヤにとってとても避けたい事であるはずだった。

アルトリアが築き上げてきた物…アルトリアはとっては辛い思い出かもしれないが、それを守る…そのためにエミヤは『タイムパトロール』に入隊したはずだった…

 

「俺の最初の任務が『アーサー王伝説』の歴史を守ると言う任務だった…しかし、任についた時点で『アーサー王伝説』は既に別の時間軸として、【確立】されてしまっていた…抑止力は働かず、ただ【アーサー王伝説】が壊れてゆく様子を見るかしかなかった…見るしかなかったんだ!!」

 

勝利すべき黄金の剣(カリバーン)を地面に突き刺し、エミヤは感情的に叫んだ…。

 

「お前だけだと思ったか!おまえだけが辛い思いをしていると思ったか!!俺の妻がいない未来…妻が築き上げるはずだった国が崩れる様子を見てられると思うか…!!だから俺はお前と同じ、修羅の道を選んだ、俺が『王』となることで…滅びる国をこの手で救った…俺が【王】としてな…」

 

「言ってることは分る…だが、それは大バカ者がすることだ」

 

「あぁ、確かにそうさ、俺は大バカ者だ…だが、それはお前だってそうだ…NOBITA、お前がしていることは…俺と同じ事だとなぜ気付かないんだ…」

 

「………俺が大バカ者だと?大きく出たな、それは王としてのプライドか?それともタイムパトロールの上の者の立場によるプライドか?」

 

「どっちもだよ…!!」

 

突如として、放出される魔力…その魔力量に思わず、セイバーオルタは吹き飛ばされる…

 

「第一…第二!!限定解除!!」

 

鞘から抜かれた約束された勝利の剣(エクスカリバー)は今まで以上の魔力で撒き散らす…セイバーオルタとの距離が離れたと同時にエミヤは魔力で加速しながらセイバーオルタを蹴り飛ばし、さらにNOBITAに斬りかかる

 

「愚かな…【アーサー・ペンドラゴン】!!!」

 

対物ライフルM82A1を四次元ポケットから取り出すと片手で標準を合わせ、約束された勝利の剣に対し発砲する。

しかし、聖剣はビクともしない、ただその弾丸を蹴散らし、自身を懐に迫る

 

「エミヤァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!」

 

M82A1を投げ捨て、ククリナイフでエミヤに斬りかかる…しかし、聖剣と魔力で強化したナイフとは天と地の差なのは明確だ。

 

「愚策だ!!」

 

約束された勝利の剣の輝かしい剣が魔力で強化されたククリナイフを斬り飛ばす…そして、すぐさま…NOBITAの首を撥ねに掛かる。

 

勝負は決したと思われた…しかし、その聖剣は首に届くことはなかった…

 

ギギギギギッと不協和音の音色が鳴り響く…NOBITAの首を守った物…それは何本のも髪が紡がれた一本の髪だった。

 

「忘れたか…僕が早撃ちの名人であると同時に、あやとりの名人だと言う事を…!!」

 

「くっ…」

 

絶ち切れぬ糸…その糸には数々の呪いが収束された物だった、しかし、その糸から生命が感じられた…そう、懐かしき優しいの香り…そして、禍々しくも白き髪に…

 

「桜の…髪…」

 

白き髪…それはNOBITAが生涯、愛した女の髪…その髪こそ聖杯の泥に汚染されているとはいえ…美しかった

 

「桜…お前まで…」

 

どうして、NOBITAを守る?NOBITAが間違っているのは分っているはずだ…ジャックも…桜も……

こんなの間違っている…NOBITAはお前達が望んだのび太を捨てた…黒いのび太だ、優しさを捨てた…

 

「桜!!やめろ!!そんなの…そんなの!!」

 

力を入れてもその髪だけは絶ち切る事が出来なかった…ジャックのククリナイフも折る事さえできなかった…それはジャックと桜の気持ちがとても強いからだ。

そう、NOBITA以上に…想いが…そして、死なせたくないのだ…桜もジャックも…

 

「のび太ぁぁぁぁぁぁ!!!!」「エミヤァァァァァァァ!!」

 

同時に叫びながらエミヤは剣をふるい、NOBITAは愛する者の髪を紡いだ髪で剣を防ぐ。

斬れぬ髪―――――この髪は決して、彼の首に剣を通さぬだろう…どんなに強力な魔剣でも、聖剣でも…

 

「俺はお前を止めて見せる!!倒して見せる!!おまえの行動は【アーサー王伝説】をも壊す…ならば、俺はおまえを殺す!!」

 

「漸く本性を露わにしたか!!結局、おまえは大を救うためなら小を切り捨てる、お前はそう言う奴なんだよ!!」

 

NOBITAは桜の髪を器用に操りながらエミヤの首に巻きつけようとする、しかし、その髪は聖剣から繰り出された暴風によって妨げられる

 

「あぁ…元々、俺はおまえを救うつもりはなかった…俺がおまえを救おうとしたのはアルトリアが望んだからだ…だが、もうおまえを助けられる自信が…俺にはない!!それにおまえだってそうだ、小を救うためなら大を切り捨てる…お前は俺と同じく【エゴイスト】なんだよ…!!それに俺は信じていたさ!!俺が【大】を救うなら本来切り捨てられるはずの【小】をおまえが救う…それで万人を救える、そう思った…!!だが、現実は違う!!おまえは反英雄になった…!!間違っていると…桜やジャックが望んでいないのにおまえは望んでしまったんだ!!【最悪の望み】を…【最悪な存在】を!!!」

 

再びエクスカリバーを振るうが桜の髪が絶たれる気配がない…桜の意思がそれほど強いと言う事だ…そして、それを操るNOBITAの意思も…

 

「もう……終わらしてやる!!!」

 

NOBITAが本気を出した―――――――――――圧倒的な魔力を放出し、エミヤを吹き飛ばす…そして、ジャックのナイフを鞘から抜き、城の屋上から地に降りた

 

そして―――――――――――詠唱

 

「今宵は地獄、我は炎、雨…復讐の化身…我、この世全ての英雄を断罪する者…我、この世全ての魔術を否定する者…我、この世界を断罪する者…英雄の地獄と化せ!!この世全ての英雄に断罪を(ヒーロー・オブ・ジャッジメント)!!」

 

世界を侵食する…NOBITAの心境世界…その世界は英雄と言う存在にとって、地獄――――――――――――――そして、その世界で…NOBITAは笑みを浮かべながらウィンチェスターM1887に次弾を装填した

 

 

 

 

 

 

 


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