ドラえもん のび太の聖杯戦争   作:悪・猫

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59.聖杯戦争開始九日目/嘘

最悪だ。

 

遠坂 凜は最悪な相手と遭遇してしまった事に対し、思った事はその一言だった

本当ならたくさんの自分自身の運無さに対し、文句を言うところだが、今回ばかりはそんな余裕はなかった

 

最初に対面とした時は違う、魔力の放出量――――――――――――――いや、さっきと言えるだろうか?

その殺意は明らかに私達と合流した衛宮君とイリヤに向けられていた、正直、衛宮君、あなたは何をしたの?と聞きたいがそんな冗談まがいな質問をしている場合ではない

 

やばい―――――――――殺される。

 

あいつは言っていた、次に会った時は敵だと、つまり、今この場で出会ったと言う事はもちろん、標的対象は増えたであろう

 

「久しぶりね…最初と出会った時と違って、印象が全く違うけど…イメチェンでもしたのかしら?」

 

その禍々しい殺気に発せられた言葉がそれだった――――――――あいつは冷たい眼で私達を見ると腰に装備しているトカレフTT-33を抜き、スライドを引き、銃本体に弾を送り込む

 

「あぁ…俺の目的は失敗に終わった。ならば、第二の目的を達成するまでだ――――――第二の目的上…お前たちは邪魔なんでね」

 

「そう…」

 

邪魔者―――――――それはここにいるサーヴァントを含め、この場に入る全員が彼の標的と言う事…それはマスターである桜も同様である

 

「それはつまり…マスターである桜も殺すと言う事?あなたの目的は桜を守ることじゃなくて?」

 

「あぁ…だが、その目的は既に破棄した――――――――今の俺の目的は全時間軸をすべて破壊することだ」

 

「全時間軸の破壊……まあそんなところだと思ったそんなことをして何になるの?ねぇ、野比君、あなたの時間軸の結末は私達は知らない、あなたが何を怨んで、何を見てそうなったかはわからない…でもそれはあなたの時間軸の桜は望んでいるの?」

 

優しさを捨てた野比のび太…それはこの時間軸でもあり得た可能性、それには必ずそこまで追いつめられた答えがあるはずだ。

すると、野比君は冷たい言葉で遠坂に対し、こう答えた…

 

「桜と士郎は知っているだろ?ドラえもんの秘密道具を…未来の科学はこの世界の魔術と平等…つまり、同じ類だ…しかし、中には魔法と匹敵する道具が存在する。様々な時代に時間旅行が可能な『タイムマシン』。

行きたい場所に自由に行き帰りできる『どこでもドア』…その類の道具たちは魔法と言う非現象的な結果をもたらす力に最も近い…そして、もし、【パラレルワールド】に行き帰りできる特殊な道具が存在するとしたら…さて、どうかな?」

 

「!?」「!?」

 

士郎と桜はNOBITAの言葉にある憶測に至る――――――――――――特にドラえもんの力を知っている士郎と桜はその憶測にたどりつくまでにそう時間がかからなかった。

非現実的な力で現実的な現象・結果を起こすのは【魔術】、そして――――非現実的な力で非現実的な現象・結果を生むのが『魔法』…ドラえもんの道具は科学の力で魔法の類に到達している

それは何を意味するか?魔術・魔法と言う概念が存在する中に突如としてやってきた概念…未来の科学…そして、NOBITAが言っていた【パラレルワールド】に行き帰りできる特殊な道具…

 

「のび太…おまえ、この元々、時間軸の人間じゃ…ないのか?」

 

士郎はその憶測を質問に変え、NOBITAに問いかける…すると、NOBITAは士郎の質問に答えた

 

「あぁ、つまり、この世界は道具が作り出した結果、つまり―――――桜の過去を作り出したのもこの道具」

 

「えっ…」

 

桜は動揺した表情でNOBITAを見る―――――――――でも、桜はすぐに気付いた…………彼はそう、嘘をついている

しかし、桜の姉である遠坂は違った…妹を傷つけた起因…その元凶がそこに居るのだから……

 

「よくわかったわ…………あなたが桜のヒーローではなく…桜を傷つけた…元凶だとね!!」

 

怒り狂ったかのように手の甲に刻まれた令呪に力を込めた。

 

「やめろ!!マスター!!ここは離脱することが優先だ!!こんなところで真正面から対決する必要はねぇ!!」

 

「そうよ!姉さん!!やめて!!彼は私達に嘘を…」

 

「黙りなさい!!こんな奴…こんな…奴を信じてた私が許せない!!令呪を持って、命ずるわ!!槍兵(ランサー)!あいつを『全力』で潰しなさい!!」

 

手の甲に刻まれた三画の令呪の内、一画が解き放たれる…それと同時にかなりの速さで絶対命令権に従う槍兵(ランサー)はその朱紅の槍を突きに掛かる。

 

しかし、その突きは裏拳で槍を上にあげる―――――――――――

 

「かかったな…」

 

長物の弱点である重心が最も掛かる位置に裏拳をあげるNOBITA、しかし、彼も槍術はその程度では崩れない

上にあげられたのなら、振り下ろせばいい話だ、その槍を力いっぱい振り下ろした、しかし、NOBITAは簡単に槍を避ける、だが、地に槍を叩きつけた反動を利用しながら宙に浮き、宙から格闘戦をしかけてゆく

しかし、NOBITAにとって、格闘戦は十八番である。それが例え、【クランの猛犬】であろうと、油断すれば命取りである

 

宙からの足けりを防ぎ、同じく、蹴りを繰り出すNOBITA…しかし、突如として、地面に突き刺さった槍がク―・フーリンの手元に戻り、蹴りを遮る形で、槍を地面に突き立てた

 

「ちっ!!」

 

事前に足裏に仕込んでいたスパイクを起動し、槍を蹴り飛ばそうとするものの、深く突きささった槍はビクともせず、衝撃波は地面に流される

 

「甘ぇよ!!」

 

地面に着地したと同時に槍を引き抜き、横に振るうクー・フーリン、しかし、NOBITAも得物であるトカレフTT-33の引き金を引く。

しかし、クー・フーリンの身体は貫くことはなく、弾丸は彼を避ける形で外れてしまう

 

「………何かのスキルか」

 

的確に脳天に命中させるはずに放った弾丸はまるでク―・フーリンを避ける形で外れた事に疑問を覚えるNOBITA。

サーヴァントにはスキルが存在する、英霊が有する逸話、技術、特殊能力などが具現化したものである

先程の弾道のズレは自身の時間軸の『第六次聖杯戦争』での戦いで身に覚えがあった…まさか、ランサーにもその『スキル』が備わっているとはNOBITAは知らなかった

 

「どうやら、考えなしでこちらにぶつけてきたわけでないようだな」

 

遠坂 凜をどこかで舐めていたのかもしれない。それもそのはずだ、NOBITAが知っている遠坂 凜とはどこか違うのだから。

NOBITAの時間軸の遠坂 凜は魔術師として、冷酷な一面を見せることがあった、しかし、この時間軸では彼女の魔術師の冷酷な一面は薄い…

現に彼女は感情的にサーヴァントを自身にぶつけてきている、しかし、どうやら考えなしで自身にぶつけてきたつもりではないらしい、全力で戦闘を行えと令呪を持って命令した。

 

つまり―――――――この場で俺を脱落させようとランサーをぶつけてきたと言う事だ

 

「当たらなければどうにもならないとでも思っているだろうが…俺は銃器以外も使えるぞ…?Pocket.ON(透明マント)

 

突如として姿を消すNOBITA…瞬時に姿を消したNOBITAに対し、動揺する素振りも見せず、槍兵は槍を地面に突き刺す。

 

「見事だ、姿を消すだけでなく、気配すら完璧に消せるとは…おまえは本当に努力家だったんだな、アサシンのマスター、だが、なぜ悪の道を選ぶ?おまえなら別の道を選べたはずだ。

おまえは英雄の中でも最高位の位置に属するほどの力を持ち、優しさを持っていたおまえならもっと別の選択肢があったはずだ、お前の過去に何があったかはわからねぇ、だけど、そうぺらぺらと話せるような過去ではないことはわかる

だけどな、英雄とだったおまえがどうして悪になりたがる?おまえからは善側の雰囲気しかない…悪になりきれていない…そんな雰囲気しか…」

 

突如として真上に姿を現す、NOBITA…手にはサバイバルナイフが握られており、首を掻き斬るつもりで刃を振るう。

そんな殺気剥き出しの襲撃はランサーのマスターの手によって防がれた

 

「かかった!」

 

突如として投げられる10cmほどの宝石…NOBITAの真上に固定された同時にとてつもない重力がNOBITAに襲いかかった

 

「つっ…!!」

 

地面に叩きつけられるNOBITA…しかし、10秒も立たずに無理やり立ちあがり、ナイフを投げ、宝石を破壊する。

 

「その程度の魔術…」

 

「なら俺ならお前の首が取れるだろうよ」

 

朱槍がNOBITAの首に迫る、それに気づいたNOBITAはジャックのナイフを抜き、その朱槍にぶつける。

 

「なに!?」

 

一本のナイフが宝具である朱槍を折れずに防いでいる…それどころか、押し返している…いや――――――――――――

 

「あぶねぇ!!」

 

すぐに交えるのやめ、後退するク―・フーリン―――――――――――――――――先程の嫌な感じ…いや、明らかにこの槍に込められた呪いと魔力を暴走させようとしていた。

 

「そのナイフ――――――――――只のナイフではないな」

 

冷や汗を拭いながらもNOBITAの手に握られたサバイバルナイフを見つめるクー・フーリン。

するとNOBITAは拍手をしながらクー・フーリンの問いに答えた

 

「あぁ、このナイフは俺の時間軸でジャック・ザ・リッパーに渡したサバイバルナイフ…このナイフは俺が持つ武器の中でも一、二を争う得物だ、空間を捻じ曲げ、内部の魔力を暴走させ、爆発させる…そう言う物だよ」

 

「空間を捻じ曲げる…だと?」

 

「起源と呪いの因果によって付与された副産物みたいな物だ、任意で接触した物の空間を捻じ曲げ、穴をあけ、内部を弄くり回す…つまり、万能鍵みたいな物だよ…だからこんなこともできる」

 

突然、そのサバイバルナイフで空を斬りつけるNOBITA…するとNOBITAの後に巨大なタイムホールが開かれる

 

「この孔は言ってしまえば『タイムホール』、過去と未来の流れ道だ…今ここで、お前のマスターごとこのタイムホールに引きづり込んでも構わない…だが、それでは聖杯にお前をくべる事は出来ない、だから………」

 

突如として、軽く後に下がり、タイムホールの中に投げナイフを投げ込むNOBITA。

その行為に驚愕するクー・フーリンだが、すぐに奴の目論みがわかった…

 

「そんなのありかよ!!」

 

突然、血眼になりながら、朱槍を手に取り、マスターである遠坂に突進してゆくクー・フーリン。

タイムホールは言ってしまえば時間の孔…それを任意で開け閉めできると言う事は簡易的な時間旅行が出来るはずだ

 

それは言ってしまえば瞬間移動みたいな物だ、タイムホールの『始点』をこじ開けたのはNOBITA自身、ならば『終点』、つまり、始まりあれば終わりもある

NOBITAが投げたナイフは使い物にならないから投げたわけではない、これは攻撃、時間を飛ばした攻撃である

 

「マスター!!!」

 

マスターの頭上に現れたタイムホール…そこから投げられたナイフが遠坂に襲いかかる。

クー・フーリンは間一髪のところで朱槍を投げ、遠坂に襲いかかるナイフを破壊する

 

「ランサー…」

 

「何なの…今の攻撃………」

 

見たこともない攻撃―――――――――――――――――――その思いがけない攻撃法に思わず、苦虫を潰したかのような表情でNOBITAを見るクー・フーリン。

遠坂も唖然としており、合流したイリヤスフィールも思わず口を開いた…

 

「どうやら、坊主…おまえが言っていた推理、間違ってないようだな…あいつの起源は【成長】、【成長】と言う概念には『時間』と『始まりと終わり』言う概念も混ぜっている。

植物は時間を掛けて成長し、成長しきればかれて朽ちる…だが、野比のび太は違う―――――――自らが望めば時間と言う概念を飛ばし、その望んだ姿を上書きする一種の時間飛ばし…おまえがさっきやったのはその応用…

簡単に言ってしまえば、簡易的な『時間旅行』…始点と終点を設定し、未来のマスターに対し、襲撃を行ったと言う事だ…」

 

ク―・フーリンは先程の攻撃手段を分りやすく遠坂達に伝える。しかし、いつものような余裕はなく、表情は相変わらず苦虫を潰したような表情だった

その表情に不安を覚える遠坂、先程は感情的になり、令呪を使用してしまったが…今、冷静になれば自分の指示騎兵(ライダー)は間違いだと気付いた

 

「バーサーカーのマスター、一つ提案なのだけどいいかしら…」

 

「なに?助力を貸してほしいの?」

 

「いいえ、その逆よ、あなた達は逃げてほしいの…あいつはあなたと士郎を狙っている、そして、私と遭遇したことによって、確実に私も標的に入れてきている、ここは私とランサーが引き受ける…だから逃げなさい!!」

 

感情的になって、対抗策あったとは言えど、戦闘に持ち込んでしまった遠坂…よく考えれば分ることだ、この場で戦闘を避けるべきだと

だけどできなかった、それは自分の中にまだ、桜への罪悪感が残っているからである

 

「姉さん駄目!!そんなことをしたら―――――――――――」

 

「いいから行きなさい!!此処は私が責任を持つ!だから早く行きなさい!!」

 

魔術回路に魔力を通して、ガンドを放つ遠坂、しかし、魔術師殺しや英霊殺しを行ってきたNOBITAにとってはそのような攻撃など簡単に弾くことなど容易かった。

 

「………………」

 

足に魔力を通すのが見えた。そこから遠坂は眼には見えなかった

気付けば、ク―・フーリンは朱槍でNOBITAのナイフを防いでいた―――――――――――――

 

「ランサー!!俺も助太刀を!」

 

騎兵(ライダー)!野比のび太の指示に従え!!マスターの妹を連れて必ず生きて、この場から離脱しろ!!」

 

「馬鹿を言うんじゃねぇ!!このままだと、マスターもろとも…」

 

「大丈夫だ、問題ねぇよ!!早くしねぇと流れ弾が飛んでくるぜ!!」

 

朱槍を斬り上げ、獣が如く槍を操るクー・フーリン。

得物であるナイフを斬り捨てようとするも、逆にク―・フーリンの得物を取り上げようとするNOBITAに対し、距離を取った

その隙にライダーは桜の手を掴み、士郎とイリヤスフィールと共にその場を離脱する

 

「まさか、あの坊主が此処まで芸達者になるとはなぁ…だが、それは男前とは言えねぇなぁ…のび太」

 

「おまえが想像していたのは…お花畑を作って、身寄りもない子供を助けるヒーローを想像していたのか?そんな馬鹿なヒーローを想像していたのか?」

 

「あぁ、おまえならそれもありだと思うぜ?おまえなら、全英雄が成しえなかった事を成し遂げられると思う、だが、今のおまえには無理だ」

 

対峙するクー・フーリンとNOBITA――――――――――――――――。

 

「一つ聞きたい」

 

「…………」

 

「お前は本当に『悪』なのか?」

 

「…………あぁ、悪さ、遠坂 凜にとっても遠坂 桜にとっても俺は悪その物だ、俺はやはり、のろまでドジで…才能もない人間だったんだ、そんな男が生み出したのがこの世界その物さ」

 

「一つだけ教えておいてやるよ、俺のマスターは感情的になって、つい行動を起こしてしまったが、おまえが守りたかった人はおまえの『嘘』に気づいている…」

 

ク―・フーリンはそう言うと朱槍に魔力を放出させる――――――――――――そう、これは宝具の開帳。因果逆転のその呪いはどんな例え、強力な対軍・対城宝具を耐えるであろう化け物でも必ず死を手向ける呪いの朱槍

それはNOBITAと言う英雄殺し、魔術師殺しに特化した反英雄にとって、恐ろしき槍である、【槍が心臓に命中する】と言う結果を作りながら繰り出される一刺しは必ず敵を仕留める

そして、その魔槍を器用に操り、かわすことすら困難なほどの俊敏性を兼ね備えるクー・フーリンと退陣戦闘しよう物なら命を落とす覚悟で立ち向かわなければならない

しかし、ク―・フーリンの宝具はそれだけではない、彼にはもう一つ、遠距離・破壊に特化した宝具が存在する

 

そう、それが遠坂が『勝てる』と判断したもう一つの理由。飛び道具が効かないのであればNOBITAは接近戦、言わば格闘戦を出向けなければ勝利はない。

しかし、接近戦ではその朱槍が命中すればは【死】が待っている、かと言って、距離を取ろうものなら遠距離宝具が発動してしまう…

 

ク―・フーリンこそがNOBITAに対し最も天敵とも言える存在であり、最も相性が悪い。

さらに遠坂 凜も侮れない、宝石魔術の中にはもちろん、自分を足止め出来る程度の宝石も混じっている、そんなことされればいくら、いくら閃光や重力に耐性を持っていても、ほんの数秒でク―・フーリンと遠坂 凜に打ち取られてしまう

だが、NOBITAには策があった、そう、ク―・フーリンに対し、最も有効的な手段が…

 

「嘘…か……舐められた物だ、俺は………『絶対悪』…云わば『人類悪』なんだよ!」

 

突如としてあふれ出る殺気と呪い――――――――――――――――そう、二度目の宝具の開帳である。

 

「俺が善人だと思っているのか?大間違いだよ?それがその証拠だ――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                                             宝具開帳、蹂躙せよ――――――――――クラス変換『ザ・ビースト』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突然の嵐のような禍々しい呪いの魔力――――――――――――――――その光景をみたク―・フーリンと遠坂は眼を疑いながらもその禍々しい姿を見つめた。

周りから生まれてくる黒い影は呪いから生まれた物―――――――――この世に存在してはいけないほどの呪いが詰まった物だった

 

 

「マスター……気合い入れろ、此処で仕留めなきゃ、瞬殺だと思え!!」

 

「ええ!分ってるわよ!!」

 

発動から数秒―――――――――――――――あの魔力の放出は云わば暴走状態、まだその暴走状態を制御できていない、だが残り5秒もすれば言葉通り蹂躙されてしまうだろう

だが、5秒あれば上等だった、遠坂はありったけの宝石を投げ、宝石に蓄積された魔力を放出する、眩い閃光と襲いかかる強烈な重力―――――――そして、ク―・フーリンはその朱槍を魔力を最大限に開放しながら渾身の力で投擲した

 

「穿て!!突き穿つ死翔の槍(ゲイ・ボルグ)!!」

 

一軍すら吹き飛ばすであろう朱の魔槍は閃光で真っ白になった世界を朱に染めてゆく―――――――――――――しかし、NOBITAには重力も閃光も聞いていない。

魔術戦において、閃光や重力を何度も何度も経験して来たNOBITAにとってたった数秒の束縛である、しかし、その数秒の内に打ち取られる可能性が最も高いのはク―・フーリンと遠坂だった

 

ならば、宝具を開帳し、力づくでそのチームプレイを克服し、その宝具を『防ぐ』

 

絶望の桜(デスぺラード・チェリー・ブラッサム )!」

 

真っ白に染まった桜の髪を瞬時に木に絡みつけ、まるであやとりのように作り上げた壁。

その壁から閃光で見えないはずの髪はその妖しい魔力を帯び、その存在感を閃光よりも上書きする

 

呪いに犯されているはずの髪は宝石よりも美しく――――――――そして、何よりも悲しい雰囲気が漂っていた

 

「まさか…あの髪は…桜の…!?」

 

嫌な予感がした――――――あの色こそ違うも、桜の髪である。しかし、その髪からは魔力を帯びている。それもNOBITAと同様の呪いの魔力……

その桜の髪の壁と衝突するゲイ・ボルグ…本来なら髪程度、吹き飛ばす事など容易い、しかし、その髪は千切れることも消滅することもなく、NOBITAを守るようにク―・フーリンの宝具を防いでいる

 

「桜………ごめんな」

 

NOBITAはそう小声で言いながら拳を握りしめると桜の髪はゲイ・ボルグを包みこんでゆく…

 

「その呪い貰い受ける」

 

握りしめた拳をゆっくりと開くとそこにはNOBITAの呪いとは違う資質の呪いの塊があった―――――――――

その呪いを見たク―・フーリンの眼は驚愕の溢れた。

 

「ゲイ・ボルグの…呪いが…」

 

「これで終わりだ」

 

コルト・SAAを手に取り、呪いを宙に浮かすとその呪いの塊に対し引き金を引いた

 

静かなる死の弾丸(サイレント・デス・ブレッド)!」

 

呪いの塊を通過した弾丸…まるで先程放った、突き穿つ死翔の槍(ゲイ・ボルグ)と同じ軌道を描きながら驚愕するク―・フーリンの心臓を貫いた。

 

 

「だから言っただろ?俺は善人ではない…俺は【絶対悪】だ」

 

 






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