ドラえもん のび太の聖杯戦争   作:悪・猫

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63.聖杯戦争開始九日目/追憶の古傷.後編【2】~希望の木編~

「どういうことよ、衛宮君…あなたがケガだなんて…」

 

路地裏で倒れた衛宮の体内に入りこんだ、呪いをなんと浄化する遠坂…なんとか、【全て遠き理想郷(アヴァロン)】の効力と遠坂自身の魔術の掛け合わせて呪いを浄化できた

しかし、少し遅れれば致命傷ともいえるであろう、そもそも、衛宮自身【別の時間軸のアーサー王】。負傷することなど滅多にない…剣術も技術もすべてあの頃の衛宮士郎とは全く別物である

 

その気になれば【英霊】とタイマンも可能だ。もはや衛宮士郎は【別の時間軸のアーサー王】であり、そしてタイムパトロールでは警視視総監に任命され、【時空犯罪者】からは【アーサー王伝説の守護者】とさえ言われるほどの実力者だ

しかし、今回は話が別だ…英霊とタイマンできるほどの衛宮士郎に手負いを負わせるほどの実力者などもはやこの世界には存在しないはず…しかし、衛宮士郎は手負いを負っている…

 

「のび太に会ったんだ…のび太に八年ぶりに」

 

「なんですって!!」

 

士郎の言葉に思わず声を上げる遠坂…八年間、姿を消し、のび太を慕う全員が捜索したものの、その足取りすらつかめなかった…

 

「まあ、相当気まずかったんだろうな、お得意の早撃ちと重機関銃をお見舞されてしまったよ…」

 

「何言ってんのよあんた!!お見舞どころの話じゃない、あいつは殺す気であなたに銃器をぶっ放したのよ!!!八年立ってもその鈍感さは変わらないわねホント!!まったく…別の時間軸とはいえあなたが【アーサー王】だなんて呆れるわ…まあその選択をしたときもやっぱり抜けてると思ったけど…」

 

遠坂は士郎の鈍感さにあきれながらもため息をつく…そして、すぐに本題に入る…

 

「あいつがそれほどのことをしたってことはあいつにとってそれなりに不都合だったということよ…まさか、こんな辺境なところにいるなんて…それでなにがあったのよ…」

 

「例の殺人犯を見つけた…狙撃して、ちょっと申し訳ないけど魔眼を回収しようとしたんだが…」

 

「はぁ…野比君に邪魔されたということね…もうどうしてよりにもよって盗まれた【聖遺物】が【メドゥーサの魔眼】なの!!そして、なんであいつがこの件に絡んでくるのよ……!!」

 

頭を掻きむしる遠坂…頭を掻きむしりたくなるのも仕方ない…そもそも、この事件の発端はつい最近に起きた、魔術協会で降霊科から聖遺物が盗まれ、その盗人を捕まえてほしいと言う依頼をロード・エルメロイ二世が引き受け、推理した

そして、聖遺物を取り戻すため、ロードと共にこの国に降り立ったのだ、本来、この件は降霊科の役目だが、借金まみれのロードが借金を返済するために魔眼を回収する依頼をも受け、その付近に住んでいる自分たちに護衛を依頼されたという流れだった

 

しかし、この事件はさらに複雑化した…只でさえ魔術師の盗難事件はかなり複雑だ…特にこの件は魔術協会や聖堂協会とは違う裏の【魔術組織】が絡んでいる…そこへのび太が加担したとなると状況は最悪だ。

 

「もう野比君にはあんな思いしてほしくないのに…この件だけは野比君に首を突っ込ませてはいけない…首を突っ込ませていけない戦いよ」

 

「あぁ…でももう手遅れだ…あいつは一度関わったら絶対に最後まで眼を背けない…それにあいつがこの件に首を突っ込んだ時、ちょっとだけ安心したんだ…」

 

「どういうことよ…それ…」

 

「本来なら…殺すつもりでいた…彼女はもはや【英霊】と変わりない…このままだとこの地で身を隠している【アルトリア】にも被害が及ぶからな…でもできなかった…だって、魔眼の持ち主は…桜と【瓜二つ】だったからな…」

 

「えっ?」

 

ポトンと包帯を手から落としてしまう遠坂…これほど残酷な運命などあるのだろうか?手を出さないはずがない―――――――――もはや彼には関係ないとは言い切れない。

正直、納得してしまった、そうでなければ八年間も必死で捜索して見つからなかった”あいつ”が姿を見せるはずもない…ほっとくはずもない…運命は野比君をこの【事件】に遭遇させた、それが吉なのか凶なのかわからない。

只、この先…彼が負の道へ続くことは可能性は十分にある…あの聖杯戦争の時もそうだった…強大な力が負の連鎖を生み出した…その結果…”あいつ”は士郎と同じ”領域”に立っている。

 

「衛宮君…わかっているわね?絶対にあの組織と野比君を遭遇させては駄目よ…野比君にとって苦痛で辛い境遇になる…それだけは絶対に避けないと…桜が好きだった”野比君”が壊れる」

 

遠坂の言葉にゆっくりと頷く士郎…残った痛みを胸にしながらも―――――――――――だが、その未来は回避することなどできるはずもなかった。

 

なぜなら…もうこの時には動き出しているからだ……壊れたはずの歯車が…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっと眼を覚ましたか?」

 

彼女が眼を覚まし、ホッとしながらも声をかける…その問いかけに彼女は動揺しながらも俺を見る。何が起きたのかどうやら全く理解してないようにも見えた

もしかすると彼女は【魔術】と言う存在も知らないのかもしれない、そう思いながらも暖かいお粥を彼女に渡した

 

「あなたは…誰?」

 

彼女は英語で俺にそう返した…あまり、英語に対し知識がない俺は四次元ポケットからほんやくこんにゃくを取り出し、食べやすいサイズにカットし、彼女に渡した

最初、彼女は警戒しながらも渡されたほんやくこんにゃくを口に入れた

 

「俺の言葉わかるか…?俺は野比…いや、【NOBITA】だ…その様子だと今、自分が置かれている状況を理解できてないようだな」

 

「わかる…あなたは…NOBITAって言うのね」

 

どうやら想像通り、何も理解できてないようだ。そのことに半分安心しながらも安定している彼女が粥を食べる光景を見る

彼女が暴走している理由…それは魔力不足による欠陥暴走…魔眼が魔力を補填するため人間の遅い、血をすすっていたのだ…つまり、意識がない中、魔眼の捕食本能だけで

 

「変な質問をするんだが…君は【魔術師】か?」

 

「魔術師…?何を言ってるの?」

 

やはり、彼女は魔術師ではない…彼女自身認識していないが彼女には魔術回路が微かだが存在する。

しかし、彼女は魔術や魔術師の存在を理解しておらず、俺の不可解な質問に疑問の表情を浮かべる…

 

「それよりもお兄さんはどうして、私と一緒にいるの?どうして、服が血まみれなの…?私――――――――眼が治すために病院にいたはずなのに…」

 

「病院?」

 

「うん、眼の移植手術………なのにどうして、こんなところにいるの?」

 

「そうか…そのお父さんか、お母さんも一緒だったのか?」

 

「………私は【孤児】、父も母もいません、私を育ててくれたのは【孤児施設】…希望の木(ホープ・ツリー)で育ちました」

 

希望の木(ホープ・ツリー)…?」

 

聞き覚えがあった、この辺境な町にしては裕福な施設で病院も完備している珍しい施設である。

一度、その施設の入り口付近を通ったことがあるが、そこの子供たちはとても元気で幸せそうだった――――――――――

 

「君の名前は…?」

 

「えっ?」

 

「君の名前…教えてくれないか?」

 

「No.6599」

 

「なに?」

 

「名前…それが私の名前」

 

その時―――――――――――俺の中で何か黒い物が動いた。嫌な予感と言うよりも悪感…魔術回路は突如として活動しだし、血圧も高い

ナンバリングに聞いた時、俺は確信してしまった、あの施設はそう【魔術】と関係している、そして彼女はその【実験体】…

 

「そういうことか、そういうことかよ」

 

拳を握りしめた…その闇に震えながらも野比のび太はその真実をただひたすら恨んだ…

その時だった、彼女に向けて、放たれた一本ナイフ…そのナイフか確実に彼女の命を奪うために放たれたものだった


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