EX-AID・A・LIVE ~SPIRITS LOVERS~ 作:エルミン
デアラ最新刊二冊を読みました。全部が凄かった!
士道は栞から"接点"を聞き、栞が士道に親しかった理由を知った。
「・・・・・・」
「士道・・・私のせいであなたに大変な目に合わせてしまった。本当に・・・ごめんなさい」
涙を流しながら謝る栞。士道は少し考えて、自分の素直な気持ちを伝える。
「俺はお前を悪いなんて思ってない」
「え・・・?」
栞は驚いて士道を見る。
「あの時の俺は、栞を助けたかったから助けたんだ。今、俺が救った命である栞はこうして生きている。それがわかっただけでも嬉しいよ」
士道はそっと栞の手を握る。
「栞がお姉さんの分も頑張ろうって一生懸命なのは良い。栞のお姉さんを大切に思う心の現れだから」
でもな、と士道は続ける。
「もう自分を責めなくていい。栞がそうやって無理している姿を見るのは辛い。お姉さんだって辛いと感じる筈だ」
士道は栞にわかってほしいと思いながら、優しく言う。
「今は俺が・・・いや、俺達がいる。辛い時や苦しい時は遠慮無く吐き出してくれ。
俺達はお前のお姉さんの代わりにはなれない。でも必ず受け止める。必ず支える。だから、お前はお前らしく走っていけばいい・・・少しずつでも前に進もう」
「・・・士道・・・・・・士道ぉ・・・!」
栞は士道の胸元に顔を埋めて泣き出した。今まで我慢していたのを吐き出すように。
士道は栞を優しく抱き締めて、頭をそっと撫でた・・・・・・。
ーーーーーーーーーー
それから数分後、栞は泣き止んで士道から離れた。
その表情は、久しぶりの笑顔だ。
「士道・・・私は、前に向かって走っていくよ。もう大丈夫、無理はしない」
「本当に良かった。やっぱり栞は笑顔が一番だ、かわいいし」
「はうっ!?」
「ん?・・・・・・あ」
士道は栞に笑顔が戻った安心から、思っていた事を口にした。
栞はその発言にドキッとして顔が真っ赤になり、士道も自分が言ったことを理解して顔が赤くなる。
「いや、あのな・・・変な意味じゃ無いぞ?」
「うん・・・わかってる、から・・・」
「「・・・・・・」」
お互いに恥ずかしさから黙りこんでしまう。
「甘いわあぁぁぁぁぁ!!」
「「!?」」
「おにーちゃん!栞と甘々な空気になりすぎだぞー!」
「よくわからないが、何かモヤモヤするぞ!」
すると、ヤキモチを焼いた琴里と十香が乱入。折紙も慌てて入り、二人を落ち着かせる。
話を聞くと、購買から戻って折紙と合流して栞の病室のドアを開けようとしたら、士道が「本当に良かった」と言った辺りからの会話が聞こえたらしい。
その後、栞は改めて自分の事や姉の事、士道との接点を皆に説明。
本当の栞の事もちゃんと受け入れて貰え、皆の結束が強くなった時間となった。
「何か、私だけ仲間外れにされた気がしますねー」
同時刻、アイドルとしての仕事を終えて控え室で休んでいた美九が呟いた。
後日に美九にも栞から同じ説明がされて、仲間外れになることは無かった。
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栞は無事に回復し、病衣服からCRの制服に着替えて改めてCRに向かった。
ゲンムと共に姿を消したコラボスバグスターは、丁度街中で市民を襲っているという連絡が入り、士道と栞と折紙の三人で向かう。
十香と琴里はCRで待機となった。
少しして、現場に到着。コラボスバグスターは士道達が来たのを見ると、ウィルス達を召喚した。
三人は襲いかかる戦闘員の群れに対処していく。
士道は一番前の個体の頭を掴んで地面に叩きつけ、周囲から襲いかかってきた群れには片手で地面に手を付けて、それを支えにして体を回転させて、回転蹴りで周囲のウィルスを一掃。
残っていた一体に時計回りの回し蹴りをお見舞いした。
折紙は走ってきたウィルスの足に自分の足を引っ掻けて転ばせ、倒れている隙に持っていた剣を奪い、倒れている戦闘員を刺してからすぐに引き抜き、周囲の戦闘員を切り裂いていく。
そして、最後に持っていた剣をウィルスに向けて投げ、命中し倒れた。
栞は一番前の一体の腹を蹴り、体を回転させてもう一体も蹴りつけた。
武器を突きつけてきた二体の腕を掴んでお互いをぶつけさせて投げ飛ばし、ジャンプして襲いかかってきた個体を殴り、背後から奇襲してきた個体にも反応して蹴り倒していく。
ウィルス達を変身せずに倒した士道達。コラボスバグスターも刀を抜いて構える。
しかも、コラボスバグスターの隣にスポーツゲーマを纏い、レベル3となっているゲンムも現れた。
《マイティアクションX!》
《タドルクエスト!》
《爆走バイク!》
「第二」
「ステージ2」
「セカンド・ギア」
「「「変身!」」」
三人はレベル2となる。折紙はガシャコンソードを持ち、ゲンムの相手を引き受ける。
士道はバイクとなった栞に乗ってハンドルを捻る。
そして一気に加速!さらにガシャコンブレイカーを剣にしてコラボスバグスターに斬りかかる。
栞は走っている間、まるで体が軽くなったような感覚を感じていた。
体に巻き付いていた重い鎖が無くなり自由になったような、とても軽やかな気持ちだ。
心の重荷が取れた今の栞は、今までよりも良い戦いが出来るだろう。
コラボスバグスターは居合い斬りの体制で待機し、すれ違い様に切り裂こうとする。
士道は加速したままガシャコンブレイカーにエネルギーを集中。タイミングを見計らい、士道はコラボスバグスターを斬る!
コラボスバグスターも抜刀して切り裂こうとしたが、刀身がぶつかった瞬間、コラボスバグスターの刀が折れてしまう。
バイクの加速エネルギーを上乗せした一閃の方が勝ったのだ。
士道は栞のゲーマドライバーから爆走バイクガシャットを抜いて、ガシャコンブレイカーのスロットに入れる。
《ガシャット!キメワザ!》
「一人では越えられない困難な事があっても!」
「仲間と一緒なら、共に走れば・・・乗り越えられる!」
《BAKUSOU!CRITICAL FINISH!!》
爆走バイクのクリティカルフィニッシュを発動する。
ガシャコンブレイカーの刀身に爆走バイクのエネルギーを溜め、コラボスバグスターの回りを何度も高速で走り回転しながら連続で斬る。
《GAME CLEAR!》
最後の一閃でコラボスバグスターは倒され、ギリギリチャンバラガシャットを無事に入手した。
「やった!」
「うん、私達の勝利だね!」
士道と栞はコラボスバグスターを倒し患者の五十嵐を救えた事に喜んだが、まだゲンムが残っている。
折紙はゲンムの足止めをしていたが、ゲンムがクリティカルストライクを発動する。
《SYAKARIKI!CRITICAL STRIKE!!》
タイヤにエネルギーを纏わせて投擲。タイヤはブーメランのように高速で動き、折紙、そして士道と栞を攻撃。
その攻撃で三人の変身が解けてしまう。
「・・・・・・まだ戦える!」
栞は力を振り絞って立ち上がる。士道も折紙の手を取って助け起こしてから、栞に先程入手したギリギリチャンバラガシャットを渡す。
「必ず勝て」
「もちろん」
栞はギリギリチャンバラガシャットを受け取り、もう片手で爆走バイクガシャットを持って構える。
「前に進み人々を救う、その為の力なんだ!」
《爆走バイク!》《ギリギリチャンバラ!》
栞の背後に、爆走バイクとギリギリチャンバラのタイトル画面が表示され、ギリギリチャンバラの画面からチャンバラゲーマが出現。栞の前で止まる。
「よろしくね」
栞の言葉に頷き、再び栞の周囲を飛ぶ。
二つのガシャットをドライバーに入れてレバーを開き、変身する!
「サード・ギア!変身!」
《爆走!独走!激走!暴走!爆走バイク!!》
《アガッチャ!ギリ・ギリ・ギリ・ギリ!チャンバラ!》
まずレベル2のバイク形態になってから、チャンバラゲーマが自動で両手足と顔のパーツに別れる。
そしてバイク形態から形が変わり、そこにゲーマのパーツが合わさり人型になった。
仮面ライダーレーザー、チャンバラバイクゲーマ・レベル3!変身完了!
「レーザーが人型になったな」
「うん。栞ちゃん、大丈夫かな」
「信じよう、栞を」
士道と折紙は栞の戦いを見守る事にした。
「アクセル全開!!」
栞は掛け声と共に、弓と鎌が一体化したガシャコンウェポン、ガシャコンスパローを召喚。
弓モードのまま手に持って、ゲンムに向けてエネルギーの矢を複数射る。
ゲンムはもう片方のタイヤを盾にして防ぎ、両手にタイヤを持つ。
そしてタイヤで殴りかかるが、栞はガシャコンスパローのAボタンを押して二つに分離させて鎌モードにして二刀流となった。
ゲンムはタイヤを二つをまとめて投げるが、栞はスパローで斬り払いタイヤを弾く。
しかし、その隙にゲンムは走って接近し、エグゼイドと同じガシャコンブレイカーを呼び出し、剣にして斬りつける。
栞は斬られてダメージを受けながらもすぐにバックステップで距離を取り、着地の直後に足に力を込めて前にジャンプ。
接近しスパローでゲンムを切り裂き、更に着地してから弓モードにしてBボタンを連打、至近距離でエネルギーの矢を放つ。
「ぐうぅぅっ!?」
「まだまだぁ!」
Aボタンを押して再び鎌モードにして、体の回転を利用した変幻自在の斬撃を何度もくらわせる。
最後に力を込めた一閃でゲンムを地に倒した。
レベル3の力を手に入れた栞は、その力をすぐに使いこなし大活躍を見せた。
連続攻撃で大きなダメージを受けたゲンムは己の不利を悟り、シャカリキスポーツガシャットをガシャコンブレイカーのスロットに入れる。
栞もギリギリチャンバラガシャットをガシャコンスパローのスロットに入れる。
《ガシャット!キメワザ!》
《SYAKARIKI!CRITICAL FINISH!!》
《GIRIGIRI!CRITICAL FINISH!!》
二人は同じ、武器にエネルギーを纏わせて攻撃するタイプのクリティカルフィニッシュを発動する。
走り、すれ違い様に一閃!爆発が起こる。
爆発が晴れると、そこにはゲンムしかいない。倒した訳ではない事をわかっているゲンムは栞を探そうとしたら。
《キメワザ!》
「何!?」
《GIRIGIRI!CRITICAL STRIKE!!》
電子音声に反応したゲンムは背後の上を見る。すると、ギリギリチャンバラガシャットをキメワザスロットに入れて、クリティカルストライクを発動した栞がいた。
必殺技がぶつかり合った直後、栞はジャンプしてガシャットをキメワザスロットに入れ、クリティカルストライクを放つ準備を整えていた。
キメワザの連続発動、栞はこれを狙っていたのだ。
「はあぁぁぁぁぁぁ!!」
栞は右足にエネルギーを溜め、飛び回し蹴りを当てた。
その威力は高く、飛び回し蹴りをモロにくらったゲンムは吹っ飛び、近くのビルに激突した。
栞はゲンムを捕らえようとしたが、ゲンムはバグヴァイザーを撃って煙をたてて目眩ましをする。
煙が晴れた時にはゲンムは姿を消していた。
ゲンムがいなくなった事を確認した栞は、ゲーマドライバーのレバーを閉じてガシャットを抜き、変身を解いた。
手に入れたギリギリチャンバラガシャットを見つめ、士道達の方を向いてピースをした。
その表情は、喜びの笑顔だった。
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二日後。士道は栞の自宅に招待された。
「こんにちは、士道君。栞の母のエレナです」
栞の両親は、母親の方は風鳴 エレナ。
栞と同じ白銀色の髪を持つ、ドイツ出身の女性である。
医者になることを夢見て、医療技術がかなり発達している日本に来日。そこで勉強を重ねて念願の医者となったのだ。
医療と科学、双方の知識に詳しい医師であり、天宮総合病院に勤務する医者だ。
彼女もCRの一員であり、昨日までCRを離れていたが戻ってきたのだ。
そして父親は・・・。
「初めまして、五河 士道君。俺が栞の父・・・風鳴 弦十郎だ。遠慮なく名前で呼んでくれ」
国連組織S.O.N.G.の司令官にして、"シンフォギア装者"を纏めるOTONA・・・風鳴 弦十郎であった。
OTONAこと弦十郎、この世界では妻子持ちになっている。二十年前、二人は運命の出会いを果たし結婚したのだ。
S.O.N.G.司令官としての仕事が忙しいので、あまりエレナ達の元に帰れないが、連絡は取り合っているし家族の絆は少しも変わっていない。
今回も士道に会うために、時間を作って帰ってきたのだ。余談だが薫は弦十郎似で、栞はエレナ似である。
「は、はい・・・初めまして・・・・・・」
「士道、緊張しすぎだよ」
「そう言われても・・・・・・」
カチコチに固まる士道を、何とか落ち着かせた栞。
「君の事は、栞から聞いている。ありがとう、栞の命と心を救ってくれて」
「私からも言わせて・・・・・・栞が生きていられるのもあなたのおかげ。本当にありがとう」
士道の事を知っていた二人は栞を救ってくれたお礼を言った。
「いえ、そんな・・・でも、栞の事はこれからも守っていきたいですし、一緒に戦いたい。そして、二人で前に進んでいきたいって思ってます」
「・・・・・・そうか」
弦十郎は微笑み、士道の頭をワシワシと撫でる。
「わっ!?」
「・・・俺もエレナも、栞がバグスターと戦うのは反対していた。栞まで薫のように消えてしまうと思うとな・・・。栞の決意に折れたが、ずっと不安だった。だが・・・」
弦十郎は士道を見る。その目は、士道を信頼する目だった。
「君になら、安心して栞を任せられる。士道君・・・頼んだぞ」
「私もサポートしていくから、よろしくね」
「・・・はい!」
士道は頷き、皆が笑顔になった。
「では、済まないがこれで失礼する。これから帰らないと明日の仕事に響いてしまう。士道君、もしこの先の戦いが厳しくなっても、俺達は君の味方だ。
困ったことがあったら、遠慮なく俺やエレナにも相談してくれ」
そう言って、弦十郎は電話番号とメールアドレスが書かれた紙を渡す。
「ありがとうございます」
「あぁ、これからもよろしくな!
「・・・・・・え、えぇ!?」
「お、お父さん!?」
義息子発言に士道は驚き、栞も顔を真っ赤にしながら驚いた。
「あら、良いわね。士道君なら私も大歓迎よ、私も是非お義母さんと!」
エレナもノリノリである。
栞は顔を真っ赤にしたまま弦十郎をポカポカと叩く(全く痛くない)。それを笑いながら受け止める弦十郎であった。
「と・・・・・・ところで、弦十郎さんってどんな仕事をしているんですか?エレナさんと同じ医療関係ですか?」
士道は話題をそらす為と、弦十郎がどんな仕事をしているのかを聞いていなかった為に、聞いたのだ。
聞かれた弦十郎は特に慌てずに、「国家公務員だぞ」とだけ返しておいたのだった。
弦十郎が帰った後、士道は栞の部屋で二人一緒だ。エレナが気を効かせて、二人きりにしたのである。
薫の写真を見せてもらい、引っ越していた間の思い出を聞いて・・・・・・二人は同じ時を共有していた。
今、二人はベッドに並んで腰かけている。
「士道・・・本当にありがとう」
「俺はただ、したい事をした。言いたい事を言った。それだけだ」
「それでも、あなたは私を二度も救ってくれた。あなたは私のヒーローだよ」
栞は潤んだ瞳で士道を見つめ、士道と腕を組んだ。
「これからも、私と一緒に走ってくれる?辛い時は、甘えていい?」
「あぁ、もちろんだ」
士道の肯定の言葉を聞いて、栞は心からの笑顔になった。
窓から射し込む日の光が、二人を優しく包み込んだ。
次回予告
時崎 狂三が動き出した。レベル3のガシャット最後の一つを狙って。
第十話 狂三がFlying!(前編)
「これがわたくしの・・・レベル3のガシャット」
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シンフォギアの登場人物、風鳴 弦十郎が登場しました。彼が栞の父親です。
エレナはオリジナルキャラです。
弦十郎と士道の語り合いは、機会があったらまた書きたいです。