EX-AID・A・LIVE ~SPIRITS LOVERS~   作:エルミン

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お待たせいたしました!


第七話 明かされるAmbition!

士道が退院して三日後。十香と四糸乃も新しく建てられた精霊マンションに住み始めたが、食事等は五河家で一緒だった。

 

今日も四糸乃がやって来た。

 

 

「こ、こんばんわ・・・」

「やっほー、四糸乃とよしのんが来たよ~!」

 

「うむ、いらっしゃいだぞ四糸乃、よしのん」

「おぉー、いらっしゃいだぞー!」

 

「あぁ、二人ともいらっしゃい・・・・・・ところで、何で四糸乃はもう片方の手に戦車のパペットを付けているんだ?」

 

士道の言うとおり、四糸乃は左手によしのんを、右手に丸っこくデフォルメされた青い戦車のパペットを付けていた。

 

士道は以前、初めて四糸乃の姿を見たときに「戦車のパペットは付けてないのか」と呟いたが、まさかそれが現実になるとは思っていなかった。

 

「えっと、あの・・・よしのんが、どうしてもって・・・」

「だってね、ウサギと戦車はベストマッチなんだよ?付けるしかないじゃん」

 

「いや何でだよ?」

「・・・・・・さぁ?」

「知らないんかい!」

 

そんなコントもありつつ、四糸乃は戦車のパペットを外して十香の隣に座った。

 

 

「シドー!今日の夕飯は何なのだ?」

 

「今日は親子丼。鶏肉と卵を使った丼料理だ」

 

「おぉ!」

 

親子丼と聞いて目を輝かせる十香。四糸乃も興味深々といった感じだ。

 

士道が親子丼を作っている間に、十香と琴里と四糸乃はテレビを見る。今やっているのはニュースだ。

 

今ニュースでやっているのは、天宮市で多くの人が倒れ病院に搬送されたあの事件だ。

 

 

グラファイトが撒いたバグスターウィルスのせいだが、バグスターウィルスの存在は衛生省によって秘匿されている。

 

しかし、それによって住民に余計に不安が広がっているという。

 

そこで、衛生省ではもうすぐバグスターウィルスの存在を公表する事を決定。今、その準備を行っている事を士道は聞いていた。

 

そんな事を考えている内に、親子丼が完成。四人で食べていく。

 

十香と琴里からは絶賛され、四糸乃は目を見開き、机をバンバン叩いた後にサムズアップした。その後に美味しいと実際に言ってくれた。

 

士道は十香に四糸乃、二人の精霊を救い普通の生活を送らせる事が出来ている。

更に、グラファイトのバグスターウィルスに感染した人々に自分の命の恩人である日向 恭太郎も救えた。

 

ここまでは順調ながら、士道は何故か胸騒ぎを・・・そして嫌な予感を感じていた。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

翌日、学校が終わった所でCRから連絡が入る。ライダーの四人、更に手伝いとして十香と四糸乃も加わった合計六人でCRに寄る。

 

CRでは壇 黎斗が江原 剛太と話し込んでいた。更に、琴里(黒リボン)と令音も同席して話を聞いていた。

 

 

「黎斗さん・・・」

「やぁ、五河君。お邪魔しているよ」

 

六人も席について話を聞くことになった。

 

「黒いエグゼイドはバグスターと組んで活動している。これはご存知ですね」

「はい」

 

「黒いエグゼイドが使用しているゲーマドライバーと、プロトマイティアクションXのガシャットは、過去に私が開発した物です。

 

シャカリキスポーツガシャットも、完成直後に盗まれてしまった」

 

黎斗は茶を啜って、続きを話す。

 

「それらを奪って使用しているのです。どうか、黒いエグゼイドを倒して、ゲーマドライバーとガシャットを奪還して欲しい」

 

「・・・わかりました、やります。黒いエグゼイドを止めて見せます」

「ありがとう、よろしく頼むよ」

 

黎斗は笑顔で礼を言うが士道はその笑顔に、初めて会った時に見た笑顔と同じ「違和感」を感じた。

 

そして、黎斗は会社へ戻っていった。

 

「・・・・・・」

「士道?どうしたの、難しい顔をして・・・」

 

「いや、黒いエグゼイドの対処法を考えてて・・・」

本当は黎斗の事を考えていたが、確証が無いため言わなかった。

 

「士道さん・・・・・・」

「どうした、四糸乃?」

 

「さっきの人・・・怖かった、です」

「あぁ、四糸乃はまだ人に慣れてないから・・・」

 

「違うん、です・・・」

「え?」

言いにくそうにしている四糸乃に代わり、よしのんが説明した。

 

「あの人はまるでね、笑顔の奥に怖ーい何かを隠しているような感じだったんだよねぇ」

「はい・・・よしのんの、言うとおり・・・です」

 

「シドー、それは私も感じたぞ。何というか、こう・・・ゾワゾワする感じだったのだ」

 

「・・・・・・」

 

 

十香も四糸乃と同じような事を言う。士道がその事について考えていると、琴里が士道に言う。

 

「士道、私も十香や四糸乃と同じような感じを壇 黎斗には抱いたわ」

 

「琴里も・・・なのか」

 

「まぁ、女の勘ってやつだけど。今日初めて会った私達が嫌な感じを抱いたんだから、何かがあると思うわ」

 

「そうか・・・」

 

「一応、壇 黎斗にはラタトスク機関の事は話してないわ。士道の妹で、令音と一緒にCRの外部協力者という立場にいる・・・とだけ伝えたわ」

 

琴里は黎斗を警戒し、ラタトスク機関や精霊については一切話さなかった。

 

十香と四糸乃も警戒心を抱いたのか、自分から話すこともしなかった。

 

しかし、黎斗は既に精霊の存在を知っている事を、士道達は知らなかった。

 

「士道、あんたが好きなゲームの開発会社の社長だから複雑だろうけど、警戒は怠らないで」

「・・・・・・わかった」

 

「じゃあ、私はフラクシナスに行くわ。いつも通り、バグスターとの戦闘映像の記録とすぐにサポート出来るように動く準備をしておくわ」

 

 

ラタトスク機関とCR及び衛生省が同盟を結んで以来、フラクシナスの高性能カメラで戦闘映像の撮影や機関員を派遣してのサポートを行うようになっていた。

 

ちなみに、ステージセレクトでゲームエリア内の景色が変わろうとも撮影が可能になるプログラムは衛生省が開発、フラクシナスへと提供されている。

 

それを利用して撮影や音声記録が行われている。

 

 

その時、CRに連絡が入る。剛太が受話器を取って話を聞く。

 

「はぁい、CRよん・・・・・・わかったわ」

受話器を置いて士道達に言う。

 

「ゲーム病患者の人が搬送されたわん。すぐに制服に着替えてオペの準備を!」

 

士道達は頷いて、すぐに準備に入る。

 

それから、搬送されたのは大学生位の男性。機材で確認すると、シャカリキスポーツのバグスターウィルスに感染していた。

 

しかも、確認を終えた直後にバグスターが現れた。頭にシャカリキスポーツガシャットが刺さっている、コラボスバグスターだ。

 

どうやら、CRに運ばれる前から相当のストレスが溜まっていたらしい。

 

士道達がゲーマドライバーを取り出した所で、コラボスバグスターは士道達に背を向けて走り去って行く。

 

「待ちやがれ!」

士道達は慌てて追いかける。コラボスバグスターは、士道達と付かず離れずな距離を維持しながら走る。

 

 

「自転車がバイクより速いなんて、生意気だよ!」

 

「いやいや、今の栞は生身だろ!俺達は自分の足で走ってるからな!?」

 

「今はボケとツッコミを自重してえぇぇぇ!」

 

栞と士道と折紙がそんなやり取りをしながらも、コラボスバグスターを追いかけていく。

 

四糸乃は、十香がお姫様抱っこをして一緒に追いかけている。

 

そんな中、狂三は懸念を抱いていた。まるで、どこかに誘導されているようだ、と・・・。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

同時刻、無人の屋外バスケットボール場。そこに壇 黎斗がいた。

 

「そろそろか・・・」

 

黎斗は呟き、ゲーマドライバーを装着。

ガシャット本体が紫のカラーになっておりラベルに描かれているマイティも同様に黒くなっている、プロトマイティアクションXガシャットを持つ。

 

 

「計画第一段階、最終フェーズを実行する」

 

《マイティアクションX!》

 

ガシャットを起動すると、紫色のゲームエリアが展開し、背後にタイトルが表示される。

 

「変身!」

 

《ガシャット!》

 

《レッツゲーム! メッチャゲーム! ムッチャゲーム! ワッチャネーム!?》

 

《アイム ア カメンライダー!!》

 

仮面ライダーゲンム、レベル1に変身。更に、ゲーマドライバーのレバーを開いてレベル2になる。

 

「グレード2」

 

《ガッチャーン!レベルアップ!》

《マイティジャンプ!マイティキック!マイティX!!》

 

レベル2になり、そのまま待つ。

 

 

すると、少ししてコラボスバグスターを追いかけてきた士道達がやって来た。

 

コラボスバグスターはゲンムの隣に立ち、ゲンムは左腕をコラボスバグスターの肩に置く。まるで親しげなのをアピールするかのように。

 

 

「黒いエグゼイド・・・やっぱりバグスターと組んでるのね」

「さっさと倒しちゃおう!」

 

「だったらこれで!」

 

士道がドラゴナイトハンターZガシャットを起動。士道の持つオリジナルから仮想ガシャットが三つ出て栞達の手に渡る。

 

《マイティアクションX!》

《ファング!》

 

《タドルクエスト!》

《ブレード!》

 

《バンバンシューティング!》

《ガン!》

 

《爆走バイク!》

《クロー!》

 

変身用とドラゴナイトハンターZガシャットを起動し、ドライバーにセット。そしてレバーを開いて四人同時にレベル5に変身。

 

「第五!」

「ステージ5!」

 

「第伍弾!」

「フィフス・ギア!」

 

「「「「変身!」」」」

 

全員がレベル5になった所で、戦闘が始まった。士道と栞がゲンム・・・黎斗を、折紙と狂三がコラボスバグスターの相手をするように別れた。

 

黎斗がガシャコンバグヴァイザーをチェーンソーモードにして、士道に斬りかかる。

 

士道は少し身を屈めてドラゴンヘッドで受け止め、一気に体を上に上げる。

 

バグヴァイザーを持った腕が上に上がり一瞬無防備になった所で、栞がエネルギー弾を撃ってダメージを与え、二人で腹部を蹴って壁まで吹っ飛ばした。

 

壁に衝突し、ライダーゲージが減る。

士道達とはレベルに差が出ている上に、ドラゴナイトハンターZの能力によって四人全員のスペックが上がっている。

 

レベル2のままのゲンムに勝ち目は無い筈だが、それでもバグヴァイザーを手に戦いを続ける。

 

 

コラボスバグスターは、タイヤを二つ手に持ってそれをブーメランのように投げる。

 

エネルギーを纏い破壊力の増したタイヤだが、狂三が左腕のガンパーツからエネルギー弾を撃って二つとも撃ち落とし、折紙が素早く接近して切り裂く。

 

ダメージを受けながらも、コラボスバグスターは撃ち落とされたタイヤを回収し、手に持ったまま狂三に攻撃を仕掛ける。

 

遠距離攻撃が出来る狂三から先に倒そうとしたのだ。判断は間違っていないが、狂三には通用しない。

 

「キヒヒ・・・」

狂三は左腕のガンパーツでコラボスバグスターの腹を殴り、左足の上段キックを当ててコラボスバグスターを宙に浮かせる。

 

「はぁ!」

折紙がジャンプして、右腕のソードパーツでコラボスバグスターを斬り地に落とした。

 

同時に、士道のドラゴンヘッドに噛みつかれ、ぶん投げられた黎斗はコラボスバグスターに直撃して止まった。

 

 

「これでフィニッシュだ!」

士道の言葉に合わせて、皆がガシャットを抜いてキメワザスロットに入れてスイッチを二回押す。

 

 

《ガシャット!キメワザ!》

《DRAGO KNIGHT!CRITICAL STRIKE!!》

 

四人が同時に必殺技を発動。四人が付けているパーツにエネルギーが溜まり、それを同時に放った!

 

黎斗はコラボスバグスターを掴んで自分の前まで持っていき、前に蹴り飛ばして盾として利用した。

 

四人の必殺技を受けてコラボスバグスターは爆発、倒された。黎斗は爆発を受けて吹き飛ばされ、壁に直撃して倒れた。

 

 

「・・・・・・ガードベントが無ければ、即死だった」

ライダーゲージも、残り3%しかない。

 

《GAME CLEAR!》

 

音声と同時にシャカリキスポーツの絵が出現、ゲームクリアを知らせる。

 

同時に、CRに搬送された男性のゲーム病も消失し、健康な体を取り戻した。

 

シャカリキスポーツガシャットが士道の所に落ちてきて、士道はそれをキャッチする。

 

遂に、士道達仮面ライダーは十種類全てのゲームをクリアしたのだ。

 

 

「むぅ、加勢が出来なかった・・・」

 

琴里からの説明で霊力を封印された状態では、精神状態が不安定になることで精霊の力が逆流し、天使と霊装を不完全ながら顕現出来るようになる事を知っていた。

 

封印される前よりは弱いが、それでもバグスターや敵対している仮面ライダーと戦う士道達の力になることは可能だ。

 

十香はすぐにでも天使や限定霊装を纏って加勢をしたかったが、四糸乃救出の時と同じく展開に時間が掛かってしまい、加勢が出来なかった。

 

 

「よしのん、私達も・・・」

「そうだね~、僕達も十香ちゃんと同じ状態だと思うよ」

 

「うぅむ・・・精神的に不安定になると言っても毎回それをやるというのは・・・。第一、それでは時間がかかる上に不安定ではないか」

 

「・・・士道さんの役に立てないのかな・・・」

「弱気になってはダメだぞ、四糸乃」

 

「十香さん・・・」

「精霊の力を早く使えるようになろう、そして士道達の力になるのだ!」

 

「はい・・・!」

「ヒュー!十香ちゃん、かっこいい~!」

 

十香と四糸乃は、自分達を救ってくれた士道の力となり支えるために、自らに「限定霊装と天使の早急な展開」を行う事を課した。

 

 

一方、士道達は残った黎斗と対峙する。

 

「もうあなたの負けです、ゲーマドライバーとガシャットを渡して、衛生省からの裁きを受けてください!」

 

折紙が降伏を勧告するが、黎斗は無視して辺りを見渡し・・・。

 

「今こそ、"死のデータ"を手に入れる時!」

 

そう言って、開発していた新たなガシャットをバグヴァイザーに装填。

 

そして、プロトマイティアクションXガシャットをゲーマドライバーから抜いて、キメワザスロットに入れてスイッチを二回押す。

 

《ガシャット!キメワザ!》

《MIGHTY!CRITICAL STRIKE!!》

 

紫色のエネルギーを足に纏いジャンプ。そのまま飛び蹴りの体制で攻撃する。

狙いは士道達・・・ではなく、その後ろにいる十香と四糸乃。

 

 

「やめろ!!」

 

士道はいち早く動き、十香と四糸乃を庇うように立って尻尾を大きくして黎斗を叩く。

 

その威力は大きく、黎斗はまた吹っ飛ばされた。

 

「二人とも、大丈夫か!?」

「うむ、シドーのお陰で無事だ!」

「ありがとう、ございます・・・」

 

礼を言う十香と四糸乃。黎斗を見ると、立ち上がったがライダーゲージは先程の攻撃で0%・・・遂にライフが無くなったのだ。

 

「ライダーゲージが、ゼロに・・・」

ライダーゲージがゼロになると、ゲームオーバーで死んでしまう。

 

しかし・・・。

 

 

「この時を待っていた・・・」

 

黎斗は呟き、ガシャット入りのバグヴァイザーを、ガシャコンウェポンの絵が表示されている所にバグヴァイザーの銃口を刺した。

 

黒い煙のような光・・・死のデータがバグヴァイザーに吸い込まれ、装填された白いガシャットに集まる。

 

そして、画面にタイトルが表示され"死のデータ"は白いガシャットにインストールされたのだった。

 

 

「・・・・・・何で死にませんの?」

変身を解いたライダー達は、ライダーゲージがゼロになっても消えない事に疑問を抱いて呟いたが、瞬間・・・。

 

 

「ヴェアハハハハハハハハハハハ!!」

大笑いしだす黎斗。

 

「全て・・・私の計画通りだ!」

バグヴァイザーに装填されたガシャットを見る。

 

「ここまでうまく行くとは・・・流石私だ!やはり私は神の才能を持つ者なのだあぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

「あなた、一体何者ですの?」

「・・・良いだろう、最早正体を隠す必要も無くなった。私の名は、仮面ライダーゲンム」

 

「ゲンム!?」

黎斗はゲーマドライバーのレバーを閉じ、ガシャットを抜いて変身を解除。壇 黎斗の姿を晒した。

 

「社長・・・!?」

 

 

皆が驚く中、士道はショックを隠せず動揺しながら尋ねる。

 

「何でですか・・・・・・あんなにすごいゲームを作り出せる人が、CRの協力者が・・・何でバグスターと!?」

 

初めて会った時の笑顔の違和感で、琴里達の言う怖い感じの話を聞いて、まさかと思った。ある程度は覚悟も決めていた・・・つもりだった。

 

しかし、それでも"まさか"が真実であったショックはとても大きかった。

 

 

近付こうとした士道に、黎斗はバグヴァイザーの銃口を向けて動きを止めた。

 

「データ収集のテストプレイヤーとして、君達を利用させてもらった。全ては・・・究極のゲームを作るために!」

 

「究極のゲーム・・・?その為に色んな人達をゲーム病で苦しめたの・・・?」

 

栞の静かな怒りにも、黎斗は動じない。

 

「・・・・・・やっぱり、私の勘は当たったわね」

フラクシナスからモニターしていたクルー達の驚きの中で、琴里は静かに呟いた。

 

 

「ライダー諸君、このバグヴァイザーに入っているガシャットの完成を持って、計画の第一段階は完了した。そう、計画はまだまだ続くのさ!」

 

黎斗は高々に言う。

 

「それに、バグスターウィルスは既に天宮市の多くの人々に感染している。つまり、いつ誰が発症してもおかしくない」

 

黎斗は言わなかったが、以前取引したバグスターウィルスを渡したファンガイアの事を思い出していた。

 

あのファンガイアは東京で動いていると言ってた為、バグスターは東京にも現れる可能性がある。

 

「揃えた十個のガシャットで、私の計画を阻止できるかは・・・・・・君達次第」

 

バグヴァイザーからエネルギー弾を撃って目眩ましを行い、士道達が見ると黎斗の姿は消えていた。

 

「四年前に、社長が黒幕だと気付いていれば・・・!」

狂三は四年前に、黎斗の本性を見抜けなかった事を後悔する。

 

「黎斗さん・・・・・・」

士道はショックから抜け出せず、しばらく立ったままだった・・・。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

黎斗は幻夢コーポレーション・・・ではなく、旧幻夢コーポレーションの社内に入った。今後はここを拠点とするようだ。

 

中には既にパラドがおり、ゲームで遊んでいた。

黎斗は息を整えながら、バグヴァイザーからガシャットを抜いた。

 

絵とタイトルが書かれたラベルが自動で生まれ、遂に十一本目のガシャットが完成したのだ。

 

「完成した・・・!計画第一段階は完了、全て私の計画通りに進行している!」

狂喜の笑みを浮かべる黎斗。パラドはゲームを中断して黎斗に寄る。

 

「お前は本当に恐ろしいな。自分の命から死のデータを取るなんて」

 

「プロトガシャットの多用で、私の命は長くなかった。ならば長くない命をガシャット完成に捧げようと決めた」

 

 

プロトマイティアクションXガシャットは、他のプロトガシャットと違いモノクロではなく色付きだが、これは正規版ガシャットの完成後にその性能・・・使用者への安全性などを一部取り入れたからだ。

 

しかしそれでもプロトガシャットであることには変わり無いため、他のプロトガシャットよりは少ないが、身体に負担が掛かる事は変わらない。

 

それを長年多用した黎斗の命は、もう長くなかった。

 

どうせ死ぬならば、その命は十一本目のガシャットを完成させる為に必要な死のデータにしてしまおう、と考えて今回の件を実行したのだ。

 

 

「それに、以前も言っただろう?自分の身を可愛がっていては、目的を達成できないと」

 

「心が踊るな!ニューゲームの、スタートだ」

 

興奮を抑えられないパラドに、黎斗は笑みを浮かべて答える。

 

新たなガシャットを完成した。そしてその力は士道達へと向けられる・・・。

 




次回予告

完成した十一本目のガシャット。その力が士道達に牙を向く。


第八話 不死身のZombie!

「闇へと消えるがいい・・・」

ーーーーーーーーーー

次回は遂に、デンジャラスなあいつが出ます。士道達はどうなるのか?

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