EX-AID・A・LIVE ~SPIRITS LOVERS~   作:エルミン

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お待たせいたしました。

四章の第三話、小星との会話シーンを一部修正。

第四話でリボルを倒した後に、黎斗がリボルのデータを回収するシーンを追記しました。


第五話 狂三とのデートはExciting?

真那のゲーム病を治療した翌日。

 

「令音、失礼するわよ」

 

フラクシナスの解析部屋の扉を開けて、琴里が解析部屋へと入る。令音は座っている椅子を琴里の方に向ける。

 

「・・・琴里、これを見てほしい」

 

令音が解析していたデータが映っているモニターを指差す。それは、士道と真那のDNA鑑定だ。

 

真那が五河家を訪れた際に、コップに付着した唾液からDNAを採取、士道のと合わせて解析していたのだ。

 

 

「・・・見ての通り、シンと崇宮 真那は血縁関係にある、本当の兄妹だ」

 

「・・・・・・そう、真那が言っていたことは本当だったのね。でも、どうしてASTに入隊をしているのかしら?」

 

「・・・・・・そのことなのだが、彼女はもともとASTの隊員ではなく、DEMインダストリーから派遣された社員のようだ」

 

DEM(デウス・エクス・マキナ)ですって!?」

 

DEMインダストリー社。正式名称、デウス・エクス・マキナ・インダストリー社。

 

イギリスに本社がある大企業で、電子機器、半導体、情報通信機器、医療機器などの製作している。

 

しかし、それは表の顔。裏の顔は世界中の軍や警察に顕現装置を供給している会社だ。

 

魔術師によって構成された特殊武隊も有し、精霊をターゲットにしている為、ラタトスクとは相容れない関係にあたる。

 

「なぜ真那は、DEMで魔術師なんかやってるわけ?」

 

「・・・詳しい理由はわかっていない。だが・・・」

 

普段は冷静な令音が、奥歯を噛み締めて拳を強く握り、憤りや怒りを露わにしていた。

 

「何があったの?」

 

「・・・これを見てくれ」

 

令音は画面に真那の身体の映像といくつかピックアップされた場所には、細かな数値が表示されている。それを見た琴里は驚きのあまり絶句する。

 

「ちょっと!これって!?」

 

「・・・真那の全身には、限界を超えた魔力処理が施されている。異常な強さを得られるが、寿命もかなり少なくなっている。計算した所、十年くらいだ」

 

DEM社の顕現装置はラタトスクのよりも性能が未熟なため、それを補うために人間の脳に依存せざるを得ない。

 

脳波を強化するために、頭の中に小さな機械を埋め込んでいるのだ。AST隊員も同様の処置をしている。

 

しかし、真那の場合は明らかにそのレベルを逸脱した処置が施されており、今の真那は()()()()()()のようなものだ。

 

「何とかこの事実を伝えたい・・・そして治したいと思うけど・・・あの子、素直に聞いてくれるかしら?」

 

「・・・聞いてくれると信じて、交渉するしかないかな」

 

「それは・・・そうね。令音、話は変わるけど・・・例の新しいガシャットの件は?」

 

「・・・順調だよ。後三〜四日で完成する」

 

「そう、引き続きお願いね。データは見させてもらったけど、中々凄いじゃない。あれ、栞と話し合って決めたんでしょ?」

 

「・・・あれは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。きっと、栞達の力になってくれるだろう」

 

令音は画面を切り替えて、開発中のガシャットのデータを映す。そこには、栞の新しい力の形が映されていた。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

天宮駅の電光掲示板の横にある時計が、午前十時を示す。

 

士道は先に目的地に到着しており、目的の少女が到着を待っていた。すると電話が掛かってきた。

 

画面を見ると美九の名前が出ていた。出てみると、開口一番に自分の感情を伝える。

 

『だーりん、今の私はちょっと”おこ”ですぅ』

「急にどうしたんだよ、美九」

 

ここ最近(第四章から)、私の出番が無かったんですよぉ!

 

この世界の私は序章から出番があって、すでにだーりんにメロメロというナイスな特徴があるのに!

 

これも全部、エルミンという人のせいなんですぅ!こうなったらパイプオルガンのパイプで頭を粉砕☆デストロイですよ!』

 

「メタ発言は止めなさい・・・っていうか落ち着けって!後、エルミンって誰だよ!?頼むからもっと平和的解決方法を!」

 

『む~・・・じゃあ今度、私とも一緒に遊んでほしいです』

「了解だ、お互いの都合の良い時間があったらその時にな」

 

『やったぁ!』

 

何とか機嫌を良くした美九。そんな話を終えて通話を切る。

琴里とインカム越しに通信して今回の段取りを話していると。狂三がやって来た。

 

 

「士道さん、お待たせいたしましたわ」

 

狂三は黒一色に統一した、令嬢を思わせる私服を着ていた。

黒い髪が、ロングスカートがそよ風で小さく靡き、太陽の光を受けてキラキラと輝いている様に見える。

 

まさに、文句なしの美少女である。士道は頬を赤く染めながら感想を言う。

 

 

「・・・・・・狂三のイメージにピッタリな感じの服装だな、似合ってるぜ」

 

「うふふ、ありがとうございますわ士道さん・・・・・・それで、今日はどちらに行かれるつもりですの?」

 

士道に褒められて喜ぶ狂三。

 

そして本格的なデートが開始されようとしていた。士道は自分で考えたプランを言う。

 

「あのショッピングモールで買い物でもしよう。あそこは品揃えが豊富だし、衣服や書籍だけでなく、フードコートやアクセサリーショップなどもある」

 

「まあ、それは素敵ですわね。早速参りましょう士道さん!」

 

士道と狂三の二人は天宮駅の近くのショッピングモールを目指して歩き出した。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

目的のショッピングモールに着いた二人が早速向かった先は、アクセサリーショップだった。

 

色々見ていく内に、狂三が気に入った猫のペンダントを士道が買い狂三にプレゼント。

 

喜ぶ狂三に自然と士道も笑顔になる。その後、昼食を食べ終えてから向かったのは・・・。

 

 

「な、なぁ・・・狂三。どうしてもここにいないと駄目か?」

「駄目ですわ。士道さんには、ちゃんと感想を言ってもらいませんと」

 

二人がいるのは、女性用下着売り場・・・つまりランジェリーショップである。

 

狂三に手を引かれて連れてこられたのがここであり、士道は流石に遠慮したが断り続けて精霊を不機嫌にするわけにもいかず。

 

琴里からも「行け」と言われ、中に入ることになった。

 

 

入り口からやたらとセクシーな下着が並べられており、客も九割が女性。

 

残りの一割は、自分の彼女に連れてこられた男性だが、やはり緊張のためかぎこちなかったりソワソワしている。まぁ、士道もそうなっているが。

 

「可愛らしいのがたくさんですわ。士道さん、こういうのはどうですか?」

 

買う候補を見つけた狂三。黒で精緻なレースで飾られた大人っぽいデザインだ。

 

「そ、そうだな。悪くないと思うぞ・・・・・・」

 

士道がしどろもどろになっていると、狂三はクスクスと笑いながら、それを手に持ったまま試着室の方に向かう。

 

「お、おい狂三!?」

 

「試着してみますわ。似合っているかどうか見てくださいまし」

 

「え、と・・・はい・・・・・・」

 

士道が頷くと、狂三は目の前にあった試着室に入り、カーテンを閉めた。

 

何故こうなったと考えながら近くのソファに座る。そこで居心地の悪い空気に辟易する士道の肩がちょんちょん、とつつかれた。

 

振り向くと・・・。

 

 

「「女の園の一つにようこそ」」

 

折紙と栞だった。手に袋を持っているということは、二人も買い物で来たのだろう。

 

「\(^o^)/」

 

士道は終わりを悟って有名な顔文字になってしまうが、二人はそんな士道を優しく受け入れる。

 

「大丈夫だよ、わかってる。士道君、狂三さんに連れて来られたんでしょ?さっき二人で一緒にいるのを見かけたから」

 

「狂三さん、士道に見てほしいっていうのもあるだろうけど、からかいもあるんじゃないかな?」

 

士道の両隣に座りながら、女の園にいる士道を両脇で固める。

 

 

「な、なぁ・・・俺はこういう時、どうすればいいんだ?」

 

二人は顔を見合わせて、少し笑うと声を揃えて・・・。

 

「「ちゃんと狂三さんを見て、しっかり感想を言う事♪」」

 

可愛らしく死地へ送り出した。

 

この場を切り抜けるにはそれしかない。がっくりとうなだれる士道であった。

 

 

そして遂に、試着室のカーテンが開かれる。

 

「どうでしょうか・・・?」

 

狂三が少し恥ずかしそうに足を摺り合わせながら、高校生にあるまじき黒い下着と、それとは正反対の白い肌を晒した。

 

「あら?折紙さんに栞さん・・・いらしてたんですの?」

 

「・・・・・・・・・・・・」

「「わぉ・・・・・・」」

 

士道は狂三の美しさに見惚れ、折紙と栞は女同士であってもドキドキするほどの魅力を感じ取っていた。

 

「その・・・・・・凄すぎだろ。マジで似合ってて見惚れちまった」

「まぁ・・・・・・ありがとうございます♪」

 

その後、正気に戻った士道はしどろもどろながらもちゃんと感想を言って狂三を喜ばせた。

 

 

ちなみに。

 

神無月以外の男性陣の川越、幹本、中津川は狂三の下着姿の映像を言い訳を述べながら保存して持ち帰ろうとしており、椎崎と箕輪によって阻止されて。

 

「士道君のサポートに集中しなさい!WRYYYYYY!!」

「「「ギャアアアアアアア!!」」」

 

狂三が自分のタイプでは無いためか、変態化することなく真面目モードの神無月に三人がお仕置きを受けていた。

 

「・・・・・・騒がしくてごめん、士道。そのままデートを続けて」

『あ、あぁ・・・』

 

インカム越しにうるさい事を士道に謝罪し、琴里は士道のモニターに集中する。

 

 

そして今。狂三は士道に褒められた下着を購入。やっと開放されたのであった。

 

「お疲れ様、士道君」

「ちゃんと感想を言えて、偉かったよ」

 

「あ~・・・アリガトウゴザイマス」

「うふふ♪」

 

そして、デートの邪魔をしては悪いからと折紙と栞が離れようとしたその時、声をかけてくる人物が現れる。

 

 

 

「久しぶりね、時崎」

「あら・・・恵子さん!?」

 

その人物は長身で黒い髪をポニーテールにまとめている女性だった。

 

「恵子先生・・・!お久しぶりです!」

「お、鳶一か。元気そうじゃん。それに、風鳴妹も」

 

「もぉ、栞でいいって言ってるじゃないですか・・・お久しぶりです、恵子さん」

 

狂三、折紙、栞はこの恵子と呼ばれている女性を知っているようだ。恵子は士道の方を向いて自己紹介する。

 

「どーも、私は牧野 恵子。普段は外国で医者やってるんだけど、久しぶりに帰ってきたのよ。すぐ外国戻るけど」

 

「あ、初めまして。五河 士道です。狂三達とは仲良くさせてもらってます」

 

「はいよろしく。しっかし、私の知り合い三人を囲むとは中々のプレイボーイね」

「えっと・・・・・・」

 

「もぉ、初対面の人に失礼ですわよ・・・士道さん、この方は四年前、わたくしと薫さんと同じく仮面ライダーとなって戦っていたお方ですの」

 

「私のブレイブのプロトタイプである、プロトブレイブになって戦っていたの。それに、幼かった私を治療して助けてくれた人なんだ」

 

「私はお姉ちゃん経由で知り合って、それ以来仲良くさせてもらってるの」

 

「・・・・・・その通りだけど、時崎が仮面ライダーの話をするって事は、あんたも仮面ライダー?」

 

「はい、エグゼイドです」

士道はゲーマドライバーとマイティアクションXガシャットを取り出して見せた。

 

「・・・・・・そうか。まぁ、適合者として色々大変だろうけど、頑張りなよ」

 

士道は再び聞いた「適合者」という知らない言葉について、チャンスと考え思い切って聞いてみた。

 

 

「あの・・・適合者って何ですか?」

「「「「え・・・・・・?」」」」

 

その質問に、恵子だけでなく狂三達も固まってしまう。先に我に返った恵子が言う。

 

「いやいや、何言ってんの?仮面ライダーになるための必須条件よ」

 

栞が士道に詳細を説明する。

 

「えっと、ね。適合者っていうのは、体に少量のバグスターウィルスを入れて、バグスターウィルスの”抗体”を作る適合手術を受けた人の事なの。

 

それが、ゲーマドライバーやガシャットを使用する条件なんだけど・・・・・・」

 

「いや・・・俺、そんな手術を受けた覚えは無いんだけど」

 

「・・・・・・・・・って事は、何?あんたは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()って事?」

 

「そう・・・・・・だと思います」

 

恵子の言葉に、士道は頷く。

 

今になって気付いたその事実に、皆は驚きのあまり固まってしまうが、栞と折紙はそれぞれが士道の手を握り、狂三は士道を正面から見て決意を込めた声で言う。

 

「士道君、大丈夫。不安にならないで」

「私達は、そういう理由で士道から離れたりしないよ」

「そうですわよ。何であれ、士道さんがエグゼイドなのは変わりませんわ」

 

「・・・・・・!」

 

三人の言葉にハッとなる士道。確かに、適合者の件を知った士道の心には「皆とは自分だけが違う」という事から皆が離れてしまうのでは・・・?という不安があった。

 

だが、それは彼女達が否定してくれた。変わらず士道の側にいてくれると言ってくれた。

 

「その・・・ありがとう・・・」

照れながらお礼を言う士道に、三人の少女は笑顔になった。

 

(やっぱりプレイボーイ・・・っていうかタラシ?)

恵子は内心でそう思いながらも、士道の謎について考えていた。

 

 

そして恵子達は勿論、士道のインカムを通じて聞いていた琴里達フラクシナスクルーの面々にも衝撃的だった。

 

「・・・・・・もしかして私達、とんでもない事を聞いちゃいました?」

「仮面ライダーへの変身に必須の条件を満たしていないのに変身できる・・・確かにこれは驚きですね」

 

皆がざわめく中、琴里は・・・。

 

「皆、落ち着いて。確かにさっきの話は驚いたけど、士道は士道よ。それは変わらないでしょ。

 

それと、こっちでも出来る限り調べてみましょう。でも、狂三の件もあるから無理はしなくていいわ」

 

「「「「了解!」」」」

 

琴里の言葉に賛同し、クルーの皆は返事をする。

 

(そうよ・・・・・・真実がどうであれ、私はおにーちゃんの味方であり続ける!)

 

心の中で決意を固めながら、琴里は支持を出していく。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

士道はあの後、皆で適合手術の件は出来る限り調べてみようという事で話は纏まり、狂三以外の面々と別れて二人で歩いている。

 

狂三へのお礼兼デートの筈が、自分の謎が増える事になってしまった。

 

「まさかあんな話になるとは・・・」

「まぁ、殿方にもミステリアスな一面があっても良いのではないですか?」

 

「ミステリアスの一言で済む問題か?・・・まぁでも、これから明らかにしていきたいな・・・」

 

何故、精霊の霊力を封印出来るのか。何故、適合手術を受けていないのに仮面ライダーに変身できるのか。

 

わからない事だらけだが、今回の件を切っ掛けに、士道は自分自身の謎について意識するようになる。

 

 

そして、その後は何事も無く狂三とのデートは問題なく終了。

 

「狂三・・・今日は楽しかったか?」

 

「はい、とても。またご一緒にデートをしたいですわ」

「そうか・・・良かった」

 

二人の絆は少しずつ、確実に深まっていった。

 




次回予告

琴里は真那から呼び出しを受けて、一人でとある場所に向かう。一方、パラドが遂に動き出して・・・。

第六話 突然のEmergency!

「よぉ、士道」


ーーーーーーーーーー


今回、エピソードZEROから恵子が出ました。恵子との出会いでようやく適合手術の事を士道が知りました。

というか、今回を逃すと士道が適合手術について知るタイミングがなくなってしまうので、少々強引かもしれませんが今回の話に入れました。

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