アリス・マーガトロイドとの戦闘が終わり、気絶してしまった魄颯は彼女に家でお世話になった。
会話の中で、訪れない春の事と瓶の中身、春度の事について知る。
春度を集めるため
そして、この異常現象を終わらせるため
魄颯は異空間へ繋がる穴へ入ったのであった
魄颯「あの黒い空間の穴に入って抜けたはいいんだけど……なにこの階段の長さ」
フィレーネ「そんなの私が聞きたいわよ…。……っ!」
魄颯「どうしたの?フィレーネ」
フィレーネ『何かしら、とても
魄颯「ふ~ん」
そして、えらく長い階段を登っていた時だった。
フィレーネ『ねぇ、あそこに誰かいない?』
魄颯「あ、ホントだ。」
よく見たらなんか白いのを撫でている……いいなぁ羨ましい…………
??「ここは冥界、亡霊たちの住まうところ
命ある人間よ、
引き返すがよい」
魄颯「そういうわけにもいかないんだ。なんせ此処に負けない位寒いからね。」
??「……退く気がないなら、望みどおり此処の住人にしてあげます。…白玉楼庭師・魂魄妖夢、参る!」
そして、ほぼ同時に走りだしそこからは剣と拳の打ち合いだった。
そして、彼女の刀が振り下ろされた。
僕には、抵抗する武器は持ってはいなかった。
なので即座に籠手を惑い腕を交差する形で防いだ。
魄颯「(流石は刀の使い手だけあって、一撃が重い……けど!!)」
妖夢「………!成る程、それなりに戦えると言うわけですか………!!」
それから、暫く同じ状況が続いていた
魄颯「魂魄さん、君は確かに強い。けど…君の剣には足りないものがある」
妖夢「…私は確かに半人前ですが、貴方ごときに負けるような腕ではありません!」
いきなり何を言うんだ、という顔をしながら、妖夢は斬りかかってくる。
それを避けながら、僕はさらに言葉を紡ぐ。
多少とは言え、剣の心得がある僕にとっては、絶対にそのままに出来ない問題だから。
魄颯「……君は、『剣を振るい人を殺す』ことに、一度でも『恐怖』を覚えたことはあるかい?」
妖夢「そんな剣を鈍らせる感情、敵に感じるわけがないでしょう」
そう平然と言い放ち剣を振るう妖夢を見て、僕の考えは確信に、そして怒りへと変わった。
妖夢「きゃっ!?」
そのまま彼女の剣を避け、足元を払い転ばせ、その首に魔力の刀を突き付ける。
魄颯「だったら……君は僕に勝てない」
妖夢「ぐっ……」
魄颯「いいかい?剣は『凶器』で、剣術は『殺人術』なんだ。君は、誰かを守るという大義名分に隠れて、死から目を背けているだけ。それは剣士じゃない、只の殺人鬼だ」
妖夢「何を…「少し黙れよ」みょんっ!?」
魄颯「いいか、死から目を背けるな。前を見ろ。君が誰かを守るために殺した人、守りきれなくて殺してしまった人の顔を正面から見ろ。そしてその顔と、
その時感じた『殺す恐怖』を忘れるな。殺された人も決して君を忘れない」
妖夢「う…うるさい!」ドカッ!
妖夢は半霊を僕の刀にぶつけて払い飛ばし、渾身の一撃を僕に叩きつける。
魄颯「ぐああぁぁぁぁぁぁッ!」
その一撃は、僕の左腕を切断し、それを見た彼女の顔から血の気が引く。
魄颯「そう……それが『人を斬る恐怖』…君が見て見ぬふりをしてきた感情だ。剣士でいたいなら…それを忘れるな……!」
妖夢「……黙れ黙れ黙れェェ! !」
この時、魄颯はここが階段であった事を忘れており、踏み外してしまった。
ザシュ!
魄颯「…っ!」
何とか立てたと同時に、そして彼女の次の攻撃が今まさに決まろうとしていた。
その時だった。まさしく一瞬とも言える僅かな間なのだろう。
時の流れが不自然なまでに遅くなり、それまで見えていた世界が白と黒の色で染まったモノクロの世界になった。
そして────意識が刈り取られた
──────ハズだった
「(──────あれ?意識が、ある?なんで?)」
『──ィ!───おィ!いい加減立ちやがれ!この間抜け野郎が…!』
魄颯「ガッ!?誰が間抜けだ!?ってここは?僕は確か……」
『あン?あぁ、そうだよ…お前は斬られたんだ。情けねェな、それでも俺の来世かよ。
オメェはまだ、死ぬにはちったぁ早過ぎる。』
魄颯「あなたは…一体?」
『取り敢えずオメェの前世だとでも言っておくさ。』
魄颯「そう、僕は『夜椿崎 魄颯だろ?』…知ってたんですね。」
『そりゃあ“見てた”しな。……さていきなりでワリィがよ…』
魄颯「……?」
『魄颯!歯ァくいしばれぇぇぇっ!!』
魄颯「っ!?」
『お前は何のために生き残った?何のために強くなった!死にてぇのかオメェ!!』
魄颯「それはっ!...でも僕にはもう、生き残るための手段がない。君も見てたんでしょ」
『魄颯…お前、自分をなんだと思っていやがる?』
魄颯「え?」
『いいか。ヒトってもんはな、自分が信じれなくなった時点で全てがお終いなんだよ』
魄颯「………」
『……だんまりってか。決めたぜ、奪ってやンよ、あの精霊も含めたお前の全てをな』
魄颯「…い。『きこえねぇな』させないっつってんだァァ!!」
とっさに、失われたはずの拳を突き上げながら立つようなイメージが脳裏をよぎった。
『ふっ。漸くか、来世野郎』
魄颯「ふぇ?」
『取り敢えずだ、オメェは信じろ。 オメェの中の
───可能性って奴を』
(行けよ来世……この死合はまだ始まったばかりなんだからよ……)
ここで魄颯の意識は戻ったのだった。
この後、魄颯は体をひねり、間一髪で避けることに成功したが、胸に薄く切り傷は付いてしまう。
服が裂けてしまった為、破り捨てた。
そして、何故か左腕が再生してるという状況に気付いた。ここで、奴らが脳内会話を試みる。
カラミティウス『魄颯よ…』
魄颯「(カラミティウス、何の用?)」
カラミティウス『お前の腕を貰ったぞ』
『はン、そういうフェチなんだとよ?』
あれ?この声……さっきの───
カラミティウス『断じて違うわ!それより切り落とされた腕だが、腐って価値がなくなる前に喰らっておいたのだ。』
魄颯「…つまり?」
カラミティウス『喰らった腕を代償にドラゴンの腕をお前の肉体に与えたのだ。ついでだ、右腕も同じ様にドラゴンの腕にしてやってもよいのだが、どうだ?』
妖夢「いい加減にあきらめて斬られて下さい!」
魄颯「お断りだァァ!(……あ)」
魄颯はカラミティウスに対して答えたつもりだったが、絶妙にタイミングよく妖夢との会話が成立してしまった魄颯の姿がそこにあった。
妖夢「どうせ無駄!何も変わるわけ……!?なぜ腕が再生して!?」
ここで妖夢は、魄颯の腕が再生していることに気づく。
妖夢(いったい何故!?…いや、それだけじゃない…うっすらとだけど…腕が“六本”に……!?)
死合の最中に考え事とは………
魄颯「さぁ、なんでだろうね?」
そして籠手を腕に纏い、鳩尾をブン殴って気絶させた。
妖夢「───っっ!!!ただの人間のくせにどこから、こんな力が…すみません………幽々子様」
魄颯「──はン、何を勘違いしてる?人間だからこんな力が出せんだよ…人間なめンなよ?」
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フィレーネ『凄いじゃない魄颯!流石ね!』
魄颯「………。(…あんまり褒められるもんじゃないんだけどなぁ)」
『おい、いつまでつったってんだ?』
魄颯「(そうだね、確かにじっとなんてしてられない…けど)」
フィレーネ『けど?』
魄颯「(ちょっと確かめておきたいことがあるんだ。カラミティウス…)」
カラミティウス『なんだ?』
魄颯「(さっき、だれの言葉に“断じて違うわ”って言ったの?)」
カラミティウス『………』
魄颯「(………)」
カラミティウス『……。はぁ、しかたあるまい。私は──『俺に対して返したのさ』……。』
『しかたもクソもありゃしねぇっての。んで?来世野郎もとい魄颯…俺に何か様か』
魄颯「(いや、ね?こっちの名前知られているのに、僕は前世である君の名前を知らないってな思ってさ)」
『はン!ったくいちいち几帳面なこった。俺の名は煉……煉兜だ。いいか?すぐに忘れろ。』
魄颯「(ヤダね断る)」
『はン、勝手にしやがれ!』
魄颯「(わかったよ煉兜 勝手にするね煉兜 これからよろしくね煉兜)」
『……………(ケッ、イカれやがる)』
カラミティウス『急ぐ所すまないが………魄颯よ、お前に一つ渡しておきたい物がある』
魄颯「(………何の?)」
カラミティウス『先程の女は見てくれからしても剣士だった。今後、同じ状況になる可能性がある。そうなると武器の一つもほしいところだ。』
魄颯「(確かに………)」
カラミティウス『今回限りだが、私が刀を一振りお前の為に用意してやった。いいな?折れても次はないぞ…』
魄颯「(わかった!ありがとう!!)」
カラミティウスから刀を貰い、残りの階段を上りきった。
そして、その先に待ち受けていた光景に魄颯は思わず絶句してしまうのであった。
???「フフフ……。
───亡郷「亡我郷 ‐宿罪‐」」
【To be continued】
《補足説明》
因みに、意識は失ったが、精神世界に行ったので、
腕が再生して復活するまで一秒程しか経ってない。
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長い間待たせてしまい申し訳ありませんでした。
それでは次回もお楽しみに!