お魚海賊団に!俺は会う!(一旦完結)   作:てっちゃーん
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強くて New game ?? 《中編》

〜 ??? 〜

 

 

 

 

 

「はぁ!? 嘘やろ!? うそやろぉぉ!?」

 

 

 

どうも、海ノ 幸旗、またはフラッグです。

 

 

 

なんか記憶が曖昧だけど死神に出会って強くてニューゲームを受けたくらいは覚えてます。

 

しかしそれ以外はあまり記憶に無い。

 

ただ「強くてニューゲームだ」って教えられなら「じゃあ行って来い」程度のアッサリとしたやり取りだった……はず?

 

うーん?

 

あれ? ええと…どんな感じだったか?

 

その途中で何か他の者にもあったような気もするが……うーん。

 

いや、でもまぁ、覚えてないということはそれほど大した出来事でもないってことかな?

 

まぁええか。

 

そのうち思い出せばいいし。

 

 

とりあえず…

 

 

 

 

「開幕『雪のほこら』の入り口はあり得ないだろ」

 

 

 

 

そうなるとここは天界から落ちてきた大地なんだろう。

 

 

なるほど…

 

周りは天使まみれか…

 

 

 

いや、まぁこっちは強くてニューゲームだ。

 

だからそこらの天使に遅れを取ることは無い…

 

 

「訳ねーだろ! 種族故にまず戦闘能力違うってのによぉ!? しかもハーピーの羽も動かないし! ここは何か結界にでも包まれてるのかよなぁ!?」

 

 

 

あまりにも不親切すぎるニューゲーム。

 

早速殺しにかかってる。

 

こぇぇぇ…

 

 

 

「はぁ…とりあえずミラージュコロイドとかで姿を消しながら移動するか」

 

 

 

まぁこっちには打開策が多量にあるマキブ使いだ。 エクバの力で頑張って乗り越えていこう。

 

 

 

「ここが天界だとしたら、村は北にあるよな?」

 

 

 

スノウヘブンに行けば天使の村があるだろう。

 

そう考えて俺は流れている川沿いに歩いた。

 

 

 

 

だが、一つ、違和感を覚える。

 

 

 

 

「野良天使が一人もいない…?」

 

 

 

 

なぜか敵とエンカウントしないのだ。

 

いや、戦闘にならないのはありがたいが…

 

 

 

「……まぁいい、急ごう」

 

 

 

 

少し歩き疲れたのでドダイを召喚すると低空移動を開始。

 

川沿いにドダイを走らせた。

 

しかし冷たい空気が満遍なく頬を撫でて寒い。

 

結局ケドラフのタイヤに変えて進むことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なっ!? …スノウヘブンが……無い…だと?」

 

 

 

これは一体どういうことか。

 

雪越えの山の入り口近くに村が出来ていた筈だがこれは一体??

 

 

 

「………っ」

 

 

 

感覚を研ぎ澄ませてもこの付近に誰も気配が無い。

 

もしかして崩壊した世界!?

 

いや、まて、それはおかしい。

 

だって水も生きてるし、草原も生い茂っている。 雲も綺麗に流れている。 崩壊してる世界にしてはまだ活き活きとしている。

 

いささか肌寒いが、ここは北西だから気候の関係で寒いのだろう。

 

いずれ雪も降るはず…

 

 

 

 

「……もしや俺の降り立ったこの世界って?」

 

 

 

 

ルカさんが旅立つ【30年前】だったりするのか?

 

 

 

「いや、これはあり得るぞ。 まず天使が住まうスノウヘブンが無いこと。 さらに敵としてエンカウントする筈の野良天使がいないこと。 そしてまだこの大地が雪原ではなくて草原であること。 これらを判断材料とするとまだこの大地は世界からすると突然現れた謎の大陸と言うことだ」

 

 

 

俺は原作知識を思い出しながら答えあわせをする。 しかし一体何を考えてこんな時系列に強くてニューゲームをしたのか?

 

 

 

「っ、ハーピーの羽が使えないのが痛いな。 この大地に食料があるとは限らないし、早くこの大陸から抜け出さないと餓死の危険性もある。 はぁ、強くてニューゲームだとしても餓死には勝てないのね。 ふっ、これが生命が(白目)」

 

 

 

俺はマキブを漁り、飛行手段を考える。

 

だがあるとしてもドダイくらいだ。

 

 

 

 

 

「うーん、とりあえず雪超えの山の洞窟抜け出すか。 氷の魔女は強いけど、まともに戦わなければ良いだろう」

 

 

 

一応これでもニューゲーム前の世界ではアポトーシスの大軍を一人で退けている。 それも二度も退けている実績を持ってる。 だから俺にはそれほどの実力はあると言うことだ。 だから戦闘面は今のところ問題ないし、実際に氷の魔女なら凌駕できると考えてるくらいだ。

 

 

 

「まぁ、それも【フルセイバー】の武装があるからこそできた話だよな」

 

 

 

あとは半永久的にスタミナや意識を覚醒し続ける危ない薬のアイテムを飲んで、寝ずに3日間戦った。 その状態でクアンタフルセイバーの武装を使えば、サン・イリア、サバサ、グランドノア、グランゴルド、これら4つの大国が持つ兵士全員分の力を発揮することが可能だった。

 

そもそもフルセイバーの力は原作だとエルスすら根絶するらしい。 ガンダム馬鹿の機体は伊達じゃ無なかった。

 

 

 

まぁ…

 

そのあとは死んだけどね…

 

だって体は人間だ。

 

流石に持たなかった。

 

3回目の大群はブレイブの覚醒技で特攻して…

 

俺は光になって消えた。

 

アレを行ったあとはどれだけ守れたのかはわからないけどな…

 

ニューゲーム前の記憶はそこまでである。

 

 

 

 

 

「あー、やめやめ。 しんみりとした記憶はここまでにしよう。 とりあえずこれからの方針として雪越えの山………っ!?」

 

 

 

 

 

そんなことを考えていた、次の瞬間だった。

 

脳よりも先に体から動き、ビームサーベルを召喚しながら横に振るうと…

 

 

 

 

「っ!」

 

 

「な、なに!? 防がれた!?」

 

 

 

ガギン っと、強烈な音を立てて混じり合う。

 

 

そして目の前には…

 

 

美しい羽をつけた……天使だ。

 

 

 

 

「なぜここに人間がいるのです! もしやあなたがこの大陸を落としたと言うとでも!」

 

 

「いきなりのご挨拶だけどそれについては俺は知らないね!! そもそもつい10分前に俺もこの大地にいたから……なっ!!」

 

 

「!」

 

 

 

俺は武器を振り下ろしてきた敵に対してビームサーベルで弾き飛ばすと、丁度考えていたフルセイバーの武器『GNガンブレイド』に変形させて叩きつける。

 

 

 

「武器を変えただと!? あなた何者!?」

 

 

「文字通り変わってる人間だよ!」

 

 

 

 

GNガンブレイドの剣先を天使に伸ばすとトリガーを引く。 そして重たいビーム砲が放たれた。

 

 

 

「っ!」

 

 

 

天使は武器を守りに使おうと固め、ビーム砲を受け止める。 直撃した爆発でビームが弾け飛んだ。 それから煙が晴れるとまだそこに天使はいた。 だがボロボロになった武器に苦しい顔を表す。 しかし彼女も戦士の一人なのか退こうとは思わないようだ。

 

 

 

「あんたこそ、なんで攻撃してきた? 人間初めてか?」

 

 

「黙りなさい! 罪深き人間は裁かれてなさい!」

 

 

「おいおい、対話すらできない真面目な新兵かよあんたは? てことはまだ名は授かってないくらいに幼いとか?」

 

 

「失礼な! 私にはキュリーって名がある! たしかにまだ新兵だが下等生物の人間如きにーーー」

 

 

「トランザム!!」

 

 

「っ!?」

 

 

 

会話中にトランザムを行うと一歩踏み込む。 紅い残像を残しながらの急接近に反応出来ないキュリーの懐に入ると、肘で喉元を一度突く。 突如襲う痛みにキュリーは呼吸が止まり、体が硬直してしまう。 その隙に武器を弾き、無力化するとマキブを後ろに放り投げながらキュリーの背後に回った。

 

 

 

「戦闘中にベラベラと受け答えするとは本当に新兵らしいなぁ!」

 

 

「なっ!? いつのまに!?」

 

 

 

キュリーの腕を回しながら足払い。 そのまま地面に押し付けたあと、ビームマグナムを召喚する。 大きな銃口を頭に押し付けた。

 

 

 

 

「ぐっ…しまった」

 

 

「変なことはするなよ? トリガーを引けばお前の頭なんざ一撃だぞ?」

 

 

「っ」

 

 

 

 

相手が人間の何倍も強い天使と言えども、まだ新兵で助かった。 武器を構えた時に緊張で震えていた事と、ベラベラと喋っていたくらいだから、戦闘経験と修羅場の数は少ないと踏んだ。

 

そうやって勝てる見込みがあったから戦闘を継続して地面に押さえつけることに成功。 だけど天使級の強さを秘めてるのは紛れも無い証拠なので俺も一歩間違えればおじゃんしてたかもしれない。

 

なので少しだけ怖かった。

 

まぁ別に天使と戦った事ないわけじゃ無いけど、できれば天使と荒事に持ち込みたくない。

 

 

 

 

「そこ、何をしているのです?」

 

 

「…!」

 

 

 

新手だ。 でも落ち着いている天使であり、まず対話から始めてくれるのは助かる。 もしなりふり構わず攻撃されたら次こそは全力で逃げないとならない。

 

 

 

「しかもなぜ人間が…」

 

 

「あー、話すと少しだけ長くなるぞ?」

 

 

「ふむ……では馬乗りになってるその天使兵を解放してくれないか?」

 

 

「危害を加えない保証が無いぞ?」

 

 

「私がいる」

 

 

「じゃあイリアス様から作られた存在の名にかけて自分の首元に十印をつけろ。 それで信用してやる」

 

 

「わかりました。 このイリアス様の名にかけて」

 

 

 

躊躇いもせず、素直に爪で首元に十字を作り、約束が決められる。

 

 

 

「じゃあ解放」

 

 

「!」

 

 

 

すんなりと退いた俺にキュリーは心底驚くが、解放されたことを再確認すると素早く上司の元まで下がった。

 

 

 

「では再度ご質問を。 なぜ天界に人間のあなたがいるのですか?」

 

 

 

 

うーん。

 

これはあまり嘘つけなさそうだ。

 

まじめに答えてみるか。

 

 

 

 

「前世で一度死んでしまって、気づいたら祠の前に降り立っていた」

 

 

「嘘だ!」

 

「キュリー、少し黙りなさい。 それではこの天界が地に堕ちたことにあなたはご存知ですか?」

 

 

「知ってる。 イリアス様が消えてしまい、この天界に力を無くしてしまって堕ちたんだろ?」

 

 

 

半分は嘘だ。

 

ちゃんとした理由が存在するが……今はこの程度で良いだろう。

 

 

 

「……なるほど」

 

「エデン様! やはりこの人間が!」

 

「落ち着きなさいキュリー」

 

 

 

「とりあえず、この天界は地に落ちてしまった。 まだこの地に聖素は残してあるけど地上の空気に触れ過ぎているんだ。 そんな訳で君たちは物理的な干渉も許してしまえば、寒さを感じることになるぞ? 何せ落ちたこの場所は北の大陸だからな、冷たい気候に包まれてるせいでいずれかこの天界も雪に包まれる。 そうなると寒波を防げなければ人間と同じように凍えるだろうな。 あと少なからず空腹や睡眠欲も現れるはず。 早めに打開策を考えないと死ぬぞ」

 

 

「…随分とお詳しいですね?」

 

 

「前世のことも関係して俺はそこそこ理解してる。 とりあえず俺のことは一旦無害だと認知した上で、この現状を一緒に打開しないか? 俺も結界貼られたこの元天界から出ないと死んじゃうしさ」

 

 

「…いいでしょう。 しかしもしあなたが__」

 

 

「流石に上級の天使に勝てる訳ないだろ。 変なことしないって」

 

 

 

一旦和平的なモノが結ばれ、天使を相手に安全が保障された。 しかしここは天界。 人間の食い物は無い。 道具袋にはビスケットだけが入ってる。 だが節約して食いつないでも2日が限界だ。

 

 

 

「なぁ、ここは他所から干渉されないように結界が張られているんだろ? それは解除できないのか?」

 

 

「もしあなたがいう前世の経験を活かすなら解除の仕方は自分でわかりませんか?」

 

 

「わからないね。 前世ではこの大陸に来たことあるけど、その時は結界のようなモノは無かったし、ハーピーの羽などで移動は可能だった。 でも俺が降り立ったこの世界……いや、今はそれを『現世』って言っとくか。 そんで現世だとこの天界は空から落ちたばかりらしいじゃん? 本来の効果は薄まっているし、いずれ解かれるかもしれないが、それでも未だに結界は張られて続けられてるわけだ。 で、長々とせつめいしたが、要するに解除方は分かんないヤーい」

 

 

「そうですか。 ではとりあえず私の仲間と合流しましょう。 それぞれの打開策はこれからです」

 

 

「わかった…と言いたいけれど一つ問題がある」

 

 

「?」

 

 

「俺のこと、ほかの天使にはなんて伝える?」

 

 

「イリアス様のお導きにより来れし救世主とでも伝えときましょう。 何せこの大地は生身の人間では侵入不可能。 そうなれば後は何者かによるお導きしかありません。 そして最終的答えに辿り着かせるならイリアス様のお導きによりこの地に遣わされたと言えば良いですから」

 

 

「なにそれすごいプレッシャー」

 

 

「…と、言うことでキュリー、このことは他言無用です」

 

「……わかりました」

 

 

 

渋々と頷くキュリーに俺は苦笑いするしか無かった。 でも原作知識持ちの俺からしたらこの現状を打開する方法を知っている。 それに色んなところを旅した者としてあらゆる場所の貿易も理解してるため、天使が住まうことになるだろう村を豊かにさせれる筈だ。

 

だから救世主と言うのは俺の働き次第では間違いでもないかもな。

 

 

 

さーて、これからが大変だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから一年が経過した。

 

今思い出せばここまで本当に上手くいったと思う。

 

 

しかしまず最初に、天使からの信頼を得るのは非常に大変だった。 やはり人間ってのは下等生物って枠に収まる存在であり、半数以上が見下してきた。 なので俺は一つ切り札を引いた。

 

それは『トランザムライザー』だ。

 

刹那・F・セイエイのように意思共有を行い、互いに誤解なく真実を話し合った。 これが出来る理由として、俺は前世でイノベーターの種族になっていたからだ。 それが現世でも引き継がれていたので使えた感じだ。

 

それでごく数名程だが、融通が効く上級天使には俺の話を信じてもらうことができた。 これが大きな後ろ盾となり、地上でこれから始まる0円生活の経験が無い天使達を束ねることが可能になった。

 

もちろん反感を買われてしまい、俺の元から離れられたり、心の奥底から気にくわないだけで命狙われたりもした。 だが慕ってくれる天使達から守られた。 弱き者を守る天使達まじ天使。 でもそんな時こそ実力を示すチャンスであり、俺はエクバの力をフル活用して返り討ちにしたりと力を見せつけた。 わざわざ自らも争うことも無いと思われるがこれは一度くらい必要な事である。 これは彼女達と関わり合って理解したが、天界に住まう天使の前でも実力主義が通用することがわかり、俺はそこをついた感じだ。

 

結果的に天使にも負けない力を持っている俺の強さに惹かれた天使もいたようで、俺に対する信頼は強まったりと上手くいった。

 

 

さて、信頼を得た後は雨風を凌げる場所を作る必要が出てきた。 これまで空高くあった天界も、大自然に囲まれてしまった大地に降り立ってしまった。 雨も降り、雪も降り、吹雪に襲われる。過酷な自然界で活動しなくてはならない。

 

まず木を倒し、加工し、組み立て、家を作る。 ヤマタイで見てきた技術を活かして木造建築から始める。 その間に他の天使は人の姿に化けてレンガの家で作る方法も学ぼうと旅立った。

 

そして彼女達が雨風凌げる住まいを作れることを理解すると、俺も一時的に旅立った。 この時少しだけ急いだ感じだ。 急いだ事に関してはそれには理由がある。 まず天使達と共にいて分かった事があるが、彼女らは物事の吸収力が非常に高い。 大雑把に申すなら天使と言う種族はスペックが頗る高いのだ。 その中で頭脳は人間以上であるためレンガ作りの家の技術はすぐに覚えてくる事になる。 だけどそのための材料が無い。 同胞のために急いで覚えてきたにしても、作れる環境が整ってないのなら意味をなさないのだ。

 

なので、俺はその環境を整えるために急いで資材集めにサバサへ向かったり、資材の強度を上げるためにマステギアまで魔法のアイテムを入手したり、ついでに薬を手に入れようとサルーンに向かったりとあらゆる場所まで忙しく飛び回ったものだ。

 

あとこれは余談だが、サルーン付近の海沿いにとある海賊船が停まっていた。 それは『お魚海賊団』と言われるグループだった。 俺はその存在を知っていたけど前世から30年前の世界であり、まだ小さな海賊団だった。 すると鮫肌を持つマーメイドの姉貴分に出会い「何故かわからないが君と運命を感じるのは気のせいかい?」って言われた。 そんでもって遠回しに勧誘を受けた。

 

申し訳ないが、運命を感じる云々はブラハムで充分なんだよ、ごめんね。

 

でも俺は彼女と………アシェルって名を持つマーメイドに出会えて何故か心が落ち着かないでいた。 別に『トゥクン』とかそんな風に高鳴る事なかったのに変な気分だ。

 

あのときの気分は一体なんだったのか?

 

そんな疑問を抱えながらも、今の目的を真っ当するために頭を切り替えた。 迷えし天使達のために世界を飛び回り、建築のための資材を持ち帰り、それはとても喜ばれた。

 

 

それから天界の土で野菜を育て、それを色んな地方に売り捌いた。 この頃に【スノウヘブン】と名がついた村で作る野菜は大いに祝福を受けているため、お得意様の間ではとても評判がよかった。 そうやって生計を立て、貿易を捗らせ、道楽を手に入れ、一年という短い期間でスノウヘブンは完成したのだった。

 

 

 

しかし予想外のことが二つ起きた。

 

 

 

まず一つ。 それはこの村は原作の数倍大きな町となってしまった事だ。 当然の事ながら、多くの天使がこのスノウヘブンに寄り添うようになったことだ。 この村の村長に任命させたエデンにも「これは予想外」と言った。 ラナエルも「良い意味でヤバイね」と俺の働きを褒めてくれた。

 

 

 

そして二つ目。

 

村長を『誰にするか?』って事で選挙が行われたが…

 

 

エデン…70票

俺(フラッグ)…69票

ラナエル…30票

上級天使…20票

その他…20票

 

 

まさか俺が総選挙で2位に入る事だった。

 

 

 

「ふぁ!?」

 

「惜しいですね」

 

「違う、そうじゃない。 てかおい! 俺は人間やぞ!? 村長になったらなったで荷が重すぎるだろ…」

 

「そう言いますがあなたの影響力は下手な上級天使よりも高いです。 何せ村を……いや、今では町と言った方が良いでしょうか? まぁスノウヘブンを作った上に、この短期間で天使の住まえる場所を導いたのは紛れもなく貴方ですよフラッグ。 あと貴方は人間じゃなくてイノベーターでしょう」

 

「本質は人間と変わらねぇよ! ただ少し寿命が延びて、本来3%しか動かない頭脳が30%以上働くだけだし!」

 

「その上、天使を凌駕する実力を持って時点で人間の域を超えてます。 あ、ちなみに私はフラッグに入れましたわ。 そして惜しい結果です。 あと少しでしたのに…」

 

「キュリー!謀ったな!」

 

「それよりこの鎧、カッコいいと思わない?」

 

「スルーかよ。 てかこの一年で性格変わったなあんた?」

 

「天界にいたままなら、今の私は貴方と初めて出会った頃のように未熟者だったと思います。 しかしこの大地で時を過ごすことにより、人間と同じ感覚で素性の変化が早まったのでしょう」

 

「…時の流れは早いからな。 一年なんてあっという間だったし」

 

「地球で暮らすというのは、そういう事なんですね。 たしかに……ここは【生きる】って事がよくわかります」

 

最近また一段と大きくなったスイーツ店の隅っこで俺とキュリーは久々に休暇を過ごしていた。 俺は町の発展に力を注ぐ役目を受け続け、キュリーは自警団のような仕事をしている。 そしてたまたま休日が重なり合い、この一年を振替ながらスイーツ店で楽しんでるところだ。

 

 

天使の、スイーツの……最高やな。

 

 

 

 

「あま〜いよね、ここのスイーツ」

 

 

「?」

 

 

 

考えを読まれたかのように横から突然話しかけられたので、横に振り向くと…

 

 

 

「ん、ちゅ…」

 

 

「!?」

 

 

 

不意打ちとばかりに突然口付けを受ける。

 

イタズラの正体は淫欲ピッドで有名なキューピッドだ。 口の中に甘い味が広がり、脳みそが急激に痺れ始めてきた。 この甘さは淫欲ピッド特有の唾液によるものだと思われるが、ショートケーキの味もする。

 

 

 

「ぷはっ。 どう? 私のスイーツ美味しい?」

 

 

「ふぇ、…ぁ、ぉ、おまぇ…」

 

 

 

ほんの数秒程度の甘いキスだが、既に呂律が回らず頭がクラクラとしている。 これが淫欲ピッドの性技だ。 視界もチカチカとして、脳みそが桃色の瘴気に包まれて大変である。

 

 

 

「ピッド、そういうのはおやめなさい。 フラッグがイノベーターじゃなければ大変な事になってますから」

 

 

「大丈夫だよキュリー。 フラッグは強いからこの程度問題ないも〜ん。 それよりもデザートのデザートご馳走さま、フラッグ。 じゃあ……今夜の続きが楽しみだね。 ふふ」

 

 

 

彼女らの言う通り、俺はイノベーター故に精神面が強いからまだ"この程度"で済んでいるたけであり、もし普通の人間が淫欲ピッドのキスを受けてしまったのなら、モザイクをかける必要があるほどのアヘ顔で間違いなく果てている筈だ。 もしくは下半身のGN♂ソードが元気に飛翔してるかもしれないな。

 

あとデザートのデザートって何だよ…

 

てか、なんか最後に宣告されなかったか?

 

あかん、頭がクラクラで良く聞こえなかった。

 

 

「くぁ、はぁ…はぁ……あ、危なかった。 あのまま快楽の波に飲まれて果てるところだった」

 

 

「淫欲ピッド相手に耐える時点で貴方相当ヤバイけどね」

 

 

「てか隣からイタズラのために迫ってきたのなら教えてくれよ」

 

 

「油断してる貴方が悪いわ」

 

 

「あ、あのなぁ? 俺は殺意や敵意と言った悪心に因んだ事を機敏に察知できたとしても、イタズラ心に溢れてる可愛い程度の事は察知できないんだよ。 わかる?」

 

 

「だから隙を突かれるのでしょう」

 

 

 

仕方ないじゃん。

 

あまり神経尖らせても疲れるだけだし。

 

 

 

「で、貴方は今ので気づいてないの?」

 

 

「は?」

 

 

「今日は淫欲ピッドに襲われる日よ」

 

 

「……ええと、あれ? 今夜で満月だっけ?」

 

 

「ええ。 それにピッドの去り際に『今夜』って言ってたの覚えて無いのかしら?」

 

 

 

脳みそが快楽に揉まれてたので完全に聞き流していたようだ。

 

てか今夜はあの淫欲ピッドがお相手って……

 

 

 

「……よし、さっさと支度して旅に出よう」

 

 

「多分無理ね。 その時には捕まる」

 

 

「ですよねー。 天使のスペックに勝てるわけないですよねー」

 

 

 

欲に忠実になった天使は急激にスペックが上昇する。 人間と同じだ。 目的を持つと誰しもその時に力が湧き上がるのだから、似たようなものである。 それが天使の場合だと急激に上昇するらしい。

 

それよりも『今夜』と言うワードは一体どういう意味なのか理解できるだろうか?

 

俺しも何故このようになったのかは不明であり、勝手にそうなっていた。

 

一応心当たりがあるけれど、俺の意見無しで勝手に作り上げられた制度である。

 

 

まず原因は【トランザムライザー】から始まる。

 

 

トランザムライザーに関して説明すると、これは相手と誤解なく対話をするための手段であり、簡単に言えばこれを行うことで心が通じ合うのだ。 しかし、欠点とらしいモノが一つある。

 

それは対話時に意識は謎の無重力に空間に飛ばされるが互いの衣類は自動的にキャストオフされてしまう。

 

もっと簡単に言うと『裸』になってしまうのだ。

 

 

 

この仕様は原作再現であるため、仕方ないとしか言えない。 そんでもって対話の相手は天使であり、皆美しい美貌を持っている。

 

そんでもってトランザムライザーは誤解なく意思共有を果たすため、理性を暴走させないようにする。 そのため対話中に天使たちの裸を見てしまった男の性(サガ)は密かに震え立たち、その時の記憶だけが残る。

 

しかしトランザムライザーを解除すると理性の正義は無くなる。 そして急に生物としての本能が稼働し、興奮を思い出してしまう。 本人の意思に関係無く『女性の体を見た』って事実が記憶から勝手に引っ張り出され、性欲の要求が加算されてしまう訳だ。

 

しかも天使が相手だ。

 

どれもむしゃぶりつきたい程の美貌を持ち、並の男を簡単に惑わせてしまうレベルだ。 見るだけで絶頂に追いやられてしまうこともあるだろう。 サキュバスに負けず劣らずか。

 

 

まぁそんな訳で、俺も男だ。

 

トランザムライザーしなくても周りは女性しかいません。 全てが極上と言えるほどの異性であり、性が着々と疼きます。

 

大変なんです。

 

はい。

 

 

そんでね、ある日の事だ。

 

男として色々ヤバイ状態をエデン様に見破られた。

 

まぁエデン様もそうなると理解してたから特に驚きもせず『人間ならばそれが普通です』と何気なく伝えられ、むしろ『男性なのだから仕方ないですね』と何処か納得もしていた。

 

たしかに、当時の俺は相当やばくて仕方なかった。

 

だって四六時中天使の楽園だ。 しかも際どく女性の神秘を見え隠れさせる服装に、肌の面積をあまり隠さない装備、こちらの欲望を高ぶらせるような肉体を兼ね備え、聖母をそのまま表したような女性達で溢れている。

 

この楽園に耐えれる男性がいるなら是非見てみたいものだ。

 

 

………で、湧き上がる性欲を抱えながら崩壊を始める理性は、欲望を受け止めてくれる聖母を装った大天使を前にして、簡単に撒き散らされてしまう。

 

極上の快楽に抗うことも出来ず、その日は溺れ続けた。

 

…すごかったです(小並感)

 

そして無印で三番目と笑ってごめんなさい。

 

はい。

 

 

 

 

「てか本人の意思に関係なく決定されるとか、本当の意味で人権無さすぎじゃね?」

 

 

「その分まんざらでもないでしょ?」

 

 

「男として素直に心踊る分、あんな身を削るような快楽は遠慮したい」

 

 

 

淫欲のキューピッドはヤバイ。

何もかもが身を削られるようで疲れ果てる。

 

抱擁のトリニティは大好だ。

終始柔らかな快楽に留めながら癒してくれる。

 

拷問の天使兵は個体差あり。

味付けが多いって意味ではとても心が楽。

 

戦士のヴァルキリーはそこそこだ。

業務的な態度で遂行するも肉体的に心地よい。

 

上級の大天使達は凄いの一言。

人間と同じ肉体を持ちながらもレベルが違う。

 

 

 

大雑把にこんな感じである。

 

そして三日月、半月、満月のタイミングでそれぞれの天使達が性的な褒美を与えようと順番に相手されるのだ。 そんでもってお相手の天使は一人だけなんだが、そこはクジ引きで誰がフラッグを襲う……じゃなくて、フラッグを癒そうか決めるらしい。

 

ちなみにこの決まりごとは俺がエデン様と交わり合ってるところを天使に見られてしまい、そこから話が広がってこのように事が出来上がっていた。 普通ならエデン様だけがお相手するって形で収めても良かったはずなのに『みんなのフラッグ』って意見が多くなり、喧嘩にならないようローテンションが決まった。

 

そしてクジ引きで誰がフラッグの精を啜るかも話になり、ある意味一つのイベントとなってしまう。 そもそも人間の精は天使にとってエネルギーにもなるらしく、それなりに貴重であるため、天使達にとってご褒美らしい。 そして当時はこのスノウヘブンに娯楽も探していたけど、まさか俺がその餌になり、その楽しみの一つとして身を捧げられることになるとは思わなかった。

 

 

……で、今に至る訳だ。

 

 

 

「しかしアレだな…」

 

 

「?」

 

 

「空から天界が落ちてしまい、天使達はバラバラになった。 けれど離れ去っていた天使達はこのスノウヘブンを必要とし、段々と移住を希望する者が増えている。 生憎建築を得意とする天使達がいるから家に困らないけど、管理が非常に大変になるのは目に見えてる話でな……俺、そろそろ何もやりたくないのですが」

 

 

「でもそれは可能かもしれないわ。 フラッグが天使でも住まえる場所を作ってくてたお陰で私たちはこれからの生活体制だけを考えれば良くなった。 そしていままさに政治体制は整えられつつある。 なのでフラッグはこれ以上の事は手出ししなくても私たちだけであとはやっていけそうよ」

 

 

「その分、共産主義な政治体制にびっくりだけどな」

 

 

「天使には『欲』が無いわ。 いえ、別に欲が無いわけじゃないけど大体が勤勉な者で溢れているため『自分のため』と思って行動する天使は少ないわ。 そもそも天使は女神イリアス様に仕えるための存在として生み出された。 逆らうことも無ければ、何事も『YES』と答える思想が普通なのよ」

 

 

 

そして天使には三代要求を必要としない。

 

この意味を理解できるなら…お分かりだと思う。

 

天使は全てを共産し、平等に分かち合う事を『苦に思わない』生き物だという事だ。

 

一部は除いてだがな…

 

 

 

「スノウヘブンに住まう間は共産主義な政治体制を行ってるけど、もしキュリーの話が本当ならば天界にいた頃の天使達は全体主義な社会を作り上げてる事になるじゃん。 己の欲望と自由を第一に考えてる人間には無理な話であることを考えたら何気にスゲーな」

 

 

「しかし地上に落ちて、地上の空気を味わってしまった天使達は天界にいた頃よりも堕落してしまってるわね」

 

 

「そう言いながらお代わりのデザートを食べるキュリーは素敵だと思うぞ」

 

 

「こんな美味しい物を好きな時に食べてる人間がセコイだけよ」

 

 

 

普段冷徹な顔つきをしてるのに、デザートを頬張ればふにゃふにゃと蕩けてるお顔を作るヴァルキリーのキュリー。

 

そんな彼女に俺は苦笑いするしかなかった。

 

 

 

 

 

next ___

 

 

 





【後編】につづく。





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