fate/Grand Order ~何故俺が英霊の座に?~ 作:沢田空
駄文ですがどうぞ
目を開ければそこには草原が広がっていた。
目頭を揉みつつ周囲を見回すとやや離れた場所に立香達がいるのを確認する。
立香らのもとへと歩く。
「あ、翔!これでみんな揃ったね」
そう言う立香の後ろににはマシュ、エミヤ、アルトリアがいる。
俺だけ少し離れて、レイシフトされたのか?
まぁいいか。それよりも――
「そっか、それはよかった。それで、ここはどこ?」
「ここは……わかりました。どうやら1431年のようです」
「1431年?」
「はい。百年戦争の真っ只中のようです。ただ、今は、戦争の休止期のようです」
「休止?」
「はい。百年戦争は、その名の通り、百年間継続して戦争を行っていたわけではありません」
比較的のんびりとした戦争が散発的に起こっていた。それがこの百年戦争だとマシュは語る。
「なるほど――え?」
「先輩? どうかなさいましたか。空をみあげ――て……え?」
「おいおい、なんだよ……」
「……なんですか、アレは……」
「いったいあれは……」
「よーし、通信が繋がったぞ。って、あれ、どうしたんだい、みんなして空なんかみあげちゃって」
「ドクター、映像を送ります。アレは、なんですか?」
空を見る。空には、何かがあった。光の輪だった。
「なんだ、これは……衛星軌道に展開した魔術式か? なんにせよ巨大すぎる。
1431年にこんなことは起きていない。間違いなく、未来消失の理由の一端だ。アレはこちらで解析するしかないな……君たちは、現地の調査を」
「了解です」
そういうわけで、まずは街を探す為に歩き出す一同。
しばらく歩くとエミヤと翔の耳が捉えた。
「マスター、この先で何者かが戦っている」
「それも片方は人じゃない。俺達が先行して見てくる、アルトリアとマシュはマスターを守りながら来てくれ」
「わかった、任せるよ二人とも!」
その声を聞き、二人は駆け出した。草花生い茂る草原を颯爽と駆け抜ける。
翔はそこである違和感を感じた。襲われているはずなのにあまりにも負傷者が少ないことに。
「おい、エミヤ」
「分かっている。あまりにも負傷者が少ない。どういう事だ…?」
エミヤも強化した視力で確認が出来た。二人の頭にはグルグルとそれだけが回り始めた。その思考を端へと追いやり、駆ける足に力を入れる。
着いてみればそこは確かに戦闘の痕跡が残っていた。
だが負傷者どころか
「おいどういう事だこれ。確かにこっちから戦闘音はしてた、なのに何で血の一滴すら無い」
「ふむ…、考えられるなら私達が確認する前から既に避難を行っていた、或いは血すらも流さずに迎撃した、のどちらかだろう」
エミヤの建てた仮説に怪訝な顔をしておかしいだろうと繋げた。
「そんなバケモンみたいなこと出来るやつこの時代にいるのか?」
「可能性は無いに等しいだろう。だが現に目の前でそれが起こっていたのだ。そういう仮説が建ってもおかしくはないだろう」
そこで少し行った先──街の城壁付近で大きな爆発音、それと
「まさか…!」
「おい!翔!」
エミヤの静止も聞かずにただその場へと走る。そんな事があるのか、アイツが同じようにいるのか?だとすれば──!
と走りながら頭の中はそれだけだった。
自分が死ぬまで共に戦ってきた仲間が、家族があそこにいるかもしれない。
自然と胸は高鳴っていた。状況が状況なのにも関わらず。
「そこにいるのか君月、三葉…!」
──────────
「ハァハァハァ…クソ…!まだ来るぞ!」
いい加減にしろと思いながらも金髪を二つ結びにした女は持っている斧を構える。
「分かってる!それよりも息が上がってるが大丈夫なのか?」
息を上げながらも双剣を構えるピンク髪のメガネの男に話しかける。
「お前こそ似たようなモンだろ」
それに対してフッと鼻で笑い駆け出した。
「援護頼むぞ
「任せろ君月!」
────────
急げ、急げ、急げ!
あそこにアイツらがいる、戦っている。もう二度と家族は失わない。みんなで帰るんだ。
鬼の力で強化された視力で捉えた。黒い軍服にピンク髪に金髪。双剣に斧。
「君月ィィ!三葉ァァ!」
声を荒らげ家族の名を呼ぶ。聞こえた二人はワイバーンと対峙しながらもこちらに視線を向けた。
驚いた顔をしている。
なんて顔してんだ。まるでお化けでも見たみたいじゃねぇか。
自然と口元が緩む。だけど肩に担いだ斬月の柄をしっかりと握る。
「ウチの
叫びながら二人の近くにいたワイバーンの首を落とす。
まず一つ、残り二十二。
「ハァァァ!!」
瞬歩を使って確実に首を落としていく。
今ので八、後は飛んでるヤツらだけ、なら──
斬月が青白く光る。下段に構え空へと振り上げる形でそれを放った。
「月牙天衝っ!!」
打ち上げられた月牙天衝で残りを一掃する。
フゥと一息いれ、斬月を肩へと担ぎ直す。そうすれば柄についてる包帯が鞘替わりになる。
…いつまで経ってもこれの原理はよくわかんねぇ。
そんなことよりも今は──
「なんて顔してんだお前ら、ったくいい事でもあったのか?」
そう言う俺の顔は笑顔だったんだろう。でもなんでだろうな、久しぶりの再会なのに視界がボヤけるわ、なんかしょっぱいな。ったくよ、こんな再会夢でしか見た事ないってのに。
そんなことを考えていると二人は泣きながら抱きついてきた。
「本当に翔なのか…?」
「ああ、そうだよ。二人とも、ただいま」