そんな世界で生きるため   作:ぶつ切りローマ
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これでオルレアン編プロローグは終わり!!
戦争系のやつって書きにくいなぁ、これは要練習ですわ。


宴の始まり/11

 

 

 

 

 ――時は移ろい、一四世紀ヨーロッパ。

 

 

団長(エティ)、敵襲だ!! ヤツらが来たぞ!」

 

 慌てふためいた、動揺を隠し切れない絶叫と、鈍く響き渡る鐘の音。それを背後に扉を蹴破るような勢いで執務室へと転がり込んで来た、仲間より告げられた言伝。

 それを聞いた瞬間、男は舌打ちと共に両親から受け継いだ魔術礼装(ミスティックコード)を右腕に引っ掛けながら立ち上がった。

 クソが、と短く嘯き、仲間へと視線を向ける。

 

「状況は!」

「敵進行方角はサウスイースト、敵数は五、種別は――ワイバーンだ」

「またかよくそったれ。……行くぞ、戦闘準備だ」

 

 勢いよく扉を開いて廊下へと飛び出す。酸っぱい匂いが鼻をついた。

 先の戦闘で消費した大砲の弾や被害状況を確認しながら、男は簡易的な作戦を組み立てる。敵ワイバーンの数は五。ギリギリ対処可能な範囲だが、一体でも援軍に来られてしまうと、一体どれ程の損失か――だが、それはそれだ。今オレが考えるべきは一人でも多く生き残らせることだろう! 自分自身に喝を飛ばしながら、連絡役である部下の一人へと、作戦を城壁にいる兵隊に伝えるよう指示を出す。

 

 

 そこは、激しさを増す百年戦争の最中に存在する、男の率いるとある軍隊――王を殺めた魔女への反乱軍、レジスタンスの本拠地。

 最前線たる血が染み着き荒廃した城塞都市――その名をリコン。

 魔竜の巣食うフランスの、今現在唯一の『人の住む街』だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 空を埋め尽くす、鳥にも似た五つのナニカ。

 鱗があり、牙があり、翼があって、尻尾と角もある――物理法則を超えたソレは。

 夢幻の中にだけあった、かつての星にいたとされる化外の種族――幻想種。神話の中に生息した、物理法則により世界が移り変わっていくと同時に世界の裏側に消えていった代物。

 

 ――オオオオオォォォォォッッ!!

 

 大気を揺るがす、四方からの咆哮。

 瞬間、街は阿鼻叫喚の地獄絵図へと――移り変わることはなく、絶叫こそはあるが、市民たちは落ち着いて行動できていた。兵隊の指示に従って避難所へと誘導されている。この状況こそ、この街に拠点を置くレジスタンスの功績の一つと言えるだろう。

 そして、そのレジスタンスは――

 

「砲撃隊、()ぇッ!」

 

 砲身から伸びる麻紐に火をつけ、兵隊の一人は小さく伏せた。

 轟くのは爆音。火薬の弾ける音と共に、砲撃が炸裂した。

 現フランスに存在する対竜兵器、大砲。今このフランスで最も普及している弓矢ではワイバーンのいる高度へと届かず、届いたところでそも威力が圧倒的に足りていない。故に、これほどのものでなければ竜種に僅かでもダメージを与えることができないのだ。

 

 直撃を受けた竜種、ワイバーンが呻いた。

 続き様の指揮官の声。砲台についていた兵隊たちがボウリング玉のような大きさの弾を、敷き詰めた火薬の上に詰めこむ。

 再度の一斉掃射。流石のワイバーンも弾丸を避けようと軌道を変更し――

 

「――狙撃(Sniper)

 

 狙い澄ました一撃が、寸分違わずワイバーンの脳天を撃ち抜いた。

 だが、それでも竜種は死にはしない。彼ら幻想種の生命力を侮ってしまえば、その末路は『死』のみしかあり得ない。

 再度弓を番え、男――『反乱軍(レジスタンス)団長』エティエンヌ・ライは鉄製の弓矢へと魔力を回す。自身のキャパシティを上回る魔術回路のオーバーワークに、弓を番える右腕が痛みが走る。さながらそれは、体の内側から針で突き刺されるようなものだった。歯を食いしばって狙いを定め、礼装の本領を発揮する。

 

『油断をしてならない』――その戒めは、仲間の死と共に、嫌というほど知っている。

 

 ――右翼一体撃破、残り四。

 

「――テメェら! さっさと弾込めて砲弾打ち込めェ!!」

「ラジャー!!」

 

 血反吐を吐くようにしながら指示を出して、しかし現れてしまって一瞬の硬直。

 その刹那を縫うように、ワイバーンは()()()()()()()

 

「くそったれが!!」

 

 戦いは終わらない。

 幾千も重ねた竜種との殺し合い。その最中に得た、竜種のある行動パターン。

 ()()()()()()()()を聞いて、エティエンヌは苦しげに口元を歪ませた。

 徐々に近づくナニカに、気がつかぬまま。

 

 

 

 ▽▽▽

 

 

 

 

 

 レイシフトが完了する。

 今度のレイシフトはコフィンを使った正規の手順でのものだった為か、特に問題無く意識が覚醒した。傍を見ると、共にレイシフトしてきたマシュとグレムリア、死相を浮かべたエミヤと――何故かアホ毛を逆立てているヒロインX。

 新しいアルトリアの匂いッ!! とか叫んでいる。もう嫌な予感しかしない。事前の作戦通りではあるのだが、索敵に出たエミヤは逃げるような顔だった。

 

 ふぅ、と一息ついて立花は周りを見渡した。生い茂る木々に、鼻に着く独特の匂い(フィトンチッド)。どうやらここは、何処かの森の中らしい。

 マシュが強張った声で立花へと告げる。

 

「……先輩、時代を特定しました。1431年のフランスです」

「うん、ありがとうマシュ。……えっと、その時代だと」

「中世フランス……しかも百年戦争の終結、そして聖処女ジャンヌ・ダルクの処刑があった年か。……それよりも、マスター、気が付いたか?」

 

 頭を捻る立花に情報を教えながら、空を見るように促した。それに頷いて、立花は空を見上げる。

 

 文明開化以前の鮮明な空が、頭上には広がっていて。

 

 

 ()()()()()()が、圧倒的な存在感と共に横たわっていた。

 

 

 な、とマシュが思わず驚愕の声を洩らした。グレムリアが目を細める。

 カルデアとの通信の繋がった。ラインを介してグレムリアがロマニに空を調べるように言い、驚きの声色でアレがアメリカ大陸程の大きさであると教えてくれた。

 なるほど、と嘯きながらグレムリアが腕を組む。

 アメリカ大陸レベルの光の環――これほどの異常があると、現状を嫌という程に理解してしまう。

 

 その傍らで、立花へとエミヤからの情報が送られてきた。簡易的なハンドサイン――ロマニを介して行われたそれ。立花とマシュが情報を整理する。

 

『こちらへの敵影はなし、武装集団あり。南東にて交戦中、籠城戦、フランス軍と幻想種の戦闘、種別は竜種。

 援軍を提案』

 

「……なるほど、確かにこれはオカシイな」

「この年代であれば、戦争は行われていなはずです」

「それじゃあ――」

 

 

 

 

 

「行くよ、みんな!」

 

 進軍方向は南東。

 目標(ターゲット)は――現地人からの情報収集である。

 

 

 




感想、評価などお待ちしてます。
くれるとマジでやる気に繋がります、狂喜乱舞します。
それじゃあおとぼけ〜







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