そんな世界で生きるため   作:ぶつ切りローマ
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血が滴る。
その目には狂気。
ああ、そうか。

――その心臓、俺に寄越せやデーモン!!! オラァッ!


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やべぇ、ヤベェよ……。
日刊ランキング4位、週間2位とかどうなってんの。まじやべえ。

ありがとうございますありがとうございます!


聖杯の守り手/06

 

 

 

 

 円蔵山の地下深くに存在する洞窟。

 

 天然にできたものとは思えないほどに広げられた空間は、その余りの広さ故に人工的にその空洞が産み出されたことを証明していた。

 その大空洞の中心に、サーヴァントでさえも目を張るほどの大魔力が渦巻いている。

 禍々しくも荒々しく、壮大に蠢くソレ。その魔力の渦こそが、英霊を召喚する為の杯、聖者の血を受けた聖杯の贋作(フェイク)――『大聖杯』

 現代でも、いや――神代の時代ですらこれほどの魔術炉はあったか怪しい。神代の魔術師であるグレムリアならば知っているだろうが――事前に知らされた知識ではなく、実際目にして分かる規模の大きさに、事前に見ていたキャスターこそ落ち着いた様子だが――それ以外が顔を顰めていた。

 

「……なによ、これ。こんなの、超抜級の魔術炉じゃない……」

「これが……」

 

 オルガマリーが、思わずといった様子でつぶやいた。マシュもそれに追随するように頭を上げ、立花は大聖杯を見て感心するように呻いた。

 

『製作したのはアインツベルンと間桐(マキリ)という話ですが、これは……』

「お喋りはそこまでだ。奴さん、気がついたみたいだぜ」

 

 通信機越しに大聖杯を見たのであろうロマニも、驚愕に襲われていた。小さく呟かれた言葉を、キャスターが遮った。

 

 

「――――」

 

 その人影は、いつの間にか大聖杯の前にいた。いや、こちらが気づかなかっただけなのかもしれない。

 注視すればするほど、否応無しに理解する――理解してしまうその、圧倒的なまでの存在感。

 

 彼の王は少女だった。されど、少女の可憐さや愛らしさなどそこにはない。重厚な鎧と手に持った黒く染まった剣により少女特有の可愛らしさは微塵に砕け散ってしまっていた。

 病的に白い肌、温もりすら存在しない伽藍堂な金色の瞳。こちらを見定めるように立つ姿は――さながら、暴君のようだった。

 

「……あれが、騎士王?」

「反転する前はもう少し小綺麗だったんだがな。アレは間違いなく騎士王だ。『約束された勝利の剣(エクスカリバー)』なんて代物を持ってるのはソイツ以外ありえねぇだろうよ」

 

 セイバー――誉れ高きブリテンの王、アーサー・ペンドラゴンを目の前にして、対するマシュも負けじと盾を構える。それにつられ、立花も所長に教えられた簡易魔術を起動し、覚悟を決めたその時だった。

 

「――ほう、面白いサーヴァントがいるな」

「なにぃっ!?」

 

 重々しく、セイバーが口を開く。こちらへと話しかけてきた彼女に、キャスターが驚愕して声を荒げた。

 

「テメェ喋れたのか!?」

「当然だろう。まぁ、何を言っても聞かれている故にな、こうして案山子となっていた訳だが――」

 

 金色の瞳が、蠢く。

 

「――――面白い。そのサーヴァントは実に面白い」

 

 立花とオルガマリーを守るように立つサーヴァント――マシュ・キリエライトを、セイバーはその瞳に映しこんでいた。

 カチャリ。セイバーは地面に突き刺していた黒い聖剣を抜き放つ。柄を両手で握り込み、そして。

 

「構えろ、名も知れぬ少女よ。その守りが本物かどうか、私自ら試してやろう」

 

 大上段に構え――瞬間、魔力が吹き荒れた。黒く煌めく魔力がジェット機のように勢い良く噴出する。空気が振動し、その戦気に全員の肌がピリついた。

 

「行くぞ――」

 

 宝具解放の予兆確認。回避及び防御体勢推奨。

 

「――――マシュッ!」

 

 立花が叫ぶ。マシュが最前列に立ち、盾を地面へと突き刺した。魔力の波動に本能が刺激され、突き立てたマシュの大盾が聖剣に共鳴するように淡い輝きを放つ。

 

 

「卑王鉄槌、極光は反転する」

 

 

「真名――偽装登録」

 

 

 

 

「光を呑め――『約束された勝利の剣(エクスカリバー・モルガァァァン)』!!」

 

 

 

 

 叩きつけられたのは極光の斬撃。線ではなく面で放たれたその一撃に、脳裏に明確なまでの死が浮かぶ。けれど、彼女にはそれを目の前に逃げるなど、そんな選択肢など最初から存在せず――。

 

 

「仮装宝具、展開――」

 

 

 故に、彼女を奮い立たせる唯一のモノは。

 

 

 

「――『擬似展開/人理の礎(ロード・カルデアス)』!!」

 

 

 

 守りたい、という。

 たったそれだけの、小さくも強い――覚悟だった。

 

 宝具が開帳される。

 キャスターとの訓練でも、マシュは真名を突き止めるには至らなった――されど、宝具の展開は可能にした。

 即ちこれが、この宝具こそが彼女の心の在り方そのもの。

 『守る』――それが彼女が得た英霊としての宿命。彼女の本質。

 マシュ・キリエライトというサーヴァントの真の姿だった。

 

「はぁぁぁあああ――っ!!」」

 

 彼女の盾が聖剣の一撃を受け止める。黒の奔流を正面から受け――それでも彼女の(こころ)傷つか(くだけ)ない。

 命を断つ。ただそれだけに徹した熱量を前にしても、溶けず、崩れることもなく。

 後ろの人を守り抜く。それが、マシュの決意そのものである。

 

「――やるではないか!」

「行くよ、マシュ、キャスター!」

「はい!」

「応とも!」

 

 盾は全てを受け止めた。後ろにいる者全てを守りきり、そしえて聖剣の極光は無くなった。盾の左側から、キャスターが杖に炎を灯しながら飛び出した。

 戦いはまだ、始まったばかり――。

 

 

 

 

 

 ▽▽▽

 

 

 

 

 

 ――後には何も残らなかった。

 あれほど激しい存在感を発揮した剣軍や閃光も、ましてやアーチャー自身の姿すらそこにはなく、ただ静かに燃え盛る街並みだけがそこにはあった。

 アーチャーの霊体が完全に消失したのを確認し、グレムリアは魔本を閉じる。権能(ほうぐ)の全力行使ではないと言え、結構な量の魔力を消費してしまった。マスターに負担を強いられない以上、魔力を易々と使えないのが痛い。相性がいい――いや、()()()()()()()()()()()()()()。世界一つを上書きするなんて魔力の消費が馬鹿にならない上、アレを展開された状態での戦闘は難しいものがある。

 

「…………さて、」

 

 やはり、ここは一人で――今の立花たちに任せなくて正解だった。そう思った直後、魔力の爆発を感じ取る。どうやら向こうも戦闘を始めたらしい。相手はあの騎士王だ。マシュがいるとはいえ、早々に合流した方がいいだろう。

 コートに着いた埃を払い、グレムリアはアーチャーとの戦闘場から体を前に出す。最早その道を邪魔する者は誰もいない。グレムリアは脚力を強化しながら立花たちの後を追う――。

 

 

 

 

 

 

「――アンサズ!」

「ふんっ!」

 

 炎の槍が大気を突き抜ける。瞬間にして多方から殺到する数多の刃を前にして、セイバーはそれを一瞥し斬り伏せた。キャスターが続けざまにルーンを刻みこみ――それを見越したセイバーが魔力を噴射しキャスターへと肉薄せんとする。

 

 いやぁぁああ! 声が響いた。マシュが二人の間を遮るように現れ、直ぐ様盾を振りかざす。叩きつけるような地面へと突き刺したソレと、セイバーの振るう剣が交錯した。ガキィと金属同士が発する鈍い音が鳴る。

 マシュを前面へと押し出し、キャスターを背面に配置して只管高火力の魔術を放たせる。先に彼女の対魔力を突破できるのか、とオルガマリーが聞けば、自信ありげに頷いていた。ならば立花は信じるのみである。彼らは人類史に名を刻んだ英雄たち。それを信じずして何を信じるというのだ。

 

 一方のマシュも、時を追うごとに動きが機敏になっていく。その身に宿した英霊の技巧継承が完全に終わるのだろう。傍目にも目に力が宿っているのが解る。

 魔術での援護に徹する中で、立花は幾度となく警告を発していた。キャスター曰く、セイバーの剣は王道そのもの。ならば注意すべきは奇をてらった攻撃ではなく、魔力を上乗せしたその剛剣だろう。

 それがわかっているのか、セイバーは盾役のマシュに剣を叩きつけ、キャスターに馬鹿みたいな魔力を込めた卑王鉄槌(ウォーディガーン)を放ちつつも、徐々にその聖剣へと魔力を貯め始めていた。一発逆転の聖剣の一撃を放つ腹積もりなのだろう。

 

 喰らえやオラァ! ――キャスターの次弾詠唱が完了する。セイバーの周りを囲うように、四方に炎の筒が出現した。こんなもの――とセイバーは軽く呻きながら聖剣を横に薙ぎ払った。

 炎筒が直ぐに炎の欠片と散っていく。セイバーは前を向き、そして反射的に目を見開いた。驚愕を露わにしながら顔を歪める。

 ――目前に迫っていた、盾の少女に。

 

「せやぁぁあああッッ!!」

 

 遠心力を乗せ、詰め寄ったその速度と共に水平に振るわれる盾。盾の重量、マシュ本来の身体能力――それらを乗せた盾の一撃はセイバーの脇腹にめり込んだ。

 ぐふっ! セイバーが空気を吐き出しながら、大気の弾ける音と共に吹っ飛ぶ。空中で聖剣を振り回し、重心を整理して直ぐに受け身をとった。土煙が舞う。

 

 チィ――鋭い舌打ち。迫るマシュに対し、セイバーは剣を構えて溜め込んだ魔力を解放する。起死回生、その一撃を放つべく聖剣の魔力が風船のように膨らみ始め、黒い極光となって現れる。鉄壁の守りであるマシュをいなし、瞬間的な魔力放出で距離を取る。そして遂に騎士王が逆襲へと走る。

 

「――『約束された勝利の剣(エクスカリバー・モルガーン)』……ッッ!!」

 

 解き放たれる黒い斬撃。漆黒の極光。キャスターへと放たれたそれは、燐光を放つ盾に防がれる。逆転の為の聖剣は、やはりその盾に遮られる。けれど、その次にとったセイバーの行動に、立花とオルガマリーは思わず目を剥いた。聖剣の振り終わり、即ち宝具の解放を終えた聖剣には、未だ莫大な魔力が込められていた。

 

「どこまで防ぎきれるかな、小娘! 『約束された勝利の剣(エクスカリバー・モルガーン)』!!」

 

 潤沢な魔力供給があって初めてなされる宝具の連続解放。聖杯からの魔力供給はやはり末恐ろしく、セイバーは聖剣の連撃でもって彼女の守りを突破するつもりなのだ。

 魔力が衝突して辺りに撒き散らされる。突風が巻き起こった。アァァ――ッ! マシュが張り裂けるような声を発しながら、全力で傾く盾を支える。マシュの魔力は底をつきかけている。限界は近かった。

 

 ――まだまだ終わらんぞ、『約束された勝利の剣(エクスカリバー・モルガーン)』!!

 

「――マシュ!!」

 

 そんな彼女に、思わず、立花は後ろへと走り込んだ。ぎゅうっと、抱き締めるように彼女を支え込む。歯を食いしばり、彼女の手へと自身の掌を被せ、告げた。

 

「令呪を以って命じる、マシュ、防いで――!」

 

 流し込まれた魔力に、体が漲る。もう一度歯を食いしばりながら目の前の敵へとその瞳を向ける。まだ、倒れる訳にはいかない!

 更に、立花は力を振り絞る。爆撃の中ですら、その声は周りの者に聞こえていた。重ねがけて命じる、マシュ――ッッ!!

 二画もの令呪に、マシュの体に魔力が溢れた。――ォォオオッ!! 絶叫と共に、セイバーの猛攻を耐え凌ぐ。永遠に感じられるその刹那。筋肉が軋み、マシュの魔術回路が悲鳴をあげる。――だが、耐えきった。聖剣に装填していた魔力が切れたのか、瞬間攻撃が止む。

 かくん、と。マシュの体が崩れ落ちる。立花はそれを支えて、――左手を握り、空に掲げて叫んだ。

 

「キャスターァァ――!! 最後の令呪を以って命じる、セイバーをやっつけて――!!」

「任せぇろォ――――っ!!」

 

 それに応じるはケルト神話の大英雄。アイルランドの光の御子。影の女王スカサハに授けられた原初のルーン。それら全てを虚空に描き――それと同時に起動した。

 真名が解放される。全霊の言霊で、キャスターは唱えた。

 

大神刻印(オホド・デウグ・オーディン)! さぁ、善悪問わずに燃え尽きなァッ!」

 

 光が迸る。魔力が吹き荒れる。

 ランクAにして、対城宝具。対魔力すら貫通しうる爆撃。炎は檻の形をなし、そしてその全貌が現れる。

 

「オラ、全部持ってきな、騎士王ッ! 『焼き尽くす炎の檻(ウィッカーマン)』!!」

 

 ――それは、正しく巨人だった。全てを燃やし尽くす、炎の巨人。

 胸の中央にある檻にセイバーは閉じ込められ、その血肉は炎に焦がされる。巨人は抱擁するように両手を回し、セイバーを炎が包み込む。音はなく、けれど莫大な光と共に、巨人は砕け散る。

 今までとは比にならないほどの熱量が、洞窟を満たした。

 

 

 

 

 




遅くなりました。ちょっと納得がいかなかったんです。ごめんなさい!



……あ、僕の嫁鯖はエミヤです(錯乱)


我がカルデアのパーティー編成→
エミヤ・孔明・ジャック・マシュ・巌窟王・マーリン(サポート)

あれれー? おっかしいぞー?
なぜ我がカルデアには男鯖しかいないのだ……! それかロリっ子……! いぃやぁぁぁぁ!!
夏イベは端末がいってもうて出来へんかったし!



僕の嫁鯖はエミヤ(オカン)です(死亡)



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