妖精のいる飲食店   作:ふくちゃん

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リリの修行とご褒美

ジリリリリリ。

 

「うぅ〜ん…。」

 

うるさいなぁ…。

 

目覚ましを止めて起きる。

 

あ、朝ごはんまであんまり時間ないや。

 

起きて仕度しなくちゃ。

 

私の名前はリリ。7歳。

 

「ふくろうの止まり木」で住み込みで働いてる。

 

本当は毎日通うつもりだったんだけど、初日に出勤した時に汚れてたから、いろいろ聞かれて孤児ってばれちゃった時に、住み込みにしてくれたんだ。

 

孤児ってばれた時の店長たちのお顔、すごくびっくりしたようだったなぁ。

 

そのあといろいろ教えてもらって言葉使いも普通になったし、感謝だよね。

 

あ、いけないいけない。遅れちゃうよ。

 

 

ーーーー

 

あぁ〜、緊張してきたよぉ………。

 

カランコロン。

 

 

「い、いいらっしゃいませ。」

 

どうしよう。顔が赤くなるのがわかるよ…。

 

「うふふ。可愛いわねぇ〜。」

 

あーもう!なでなでしないでよぉ!

 

 

ーーーー

 

 

「御注文は何になさいますか。」

 

 

カウンターに座ったお客さんにそう聞くと同時に、店長が会話に入ってきた。

 

「奥さん、今日からリリが紅茶淹れてもいいことにしたんですが、いかがです?」

 

 

て、店長‼︎ それ私のセリフですよぉ!

 

「あら、だからちょっと様子がおかしかったのね。ほんとかわいいんだから。せっかくだしリリちゃん。お願いするわ。」

 

 

ーーーー

 

「お、お待たせしました。『ふくろうの止まり木』スペシャルブレンドです。」

 

「ありがとう。いただくわね。」

 

お客さんが紅茶をのもうとカップを持ち、口に近づけるに従って、私の心臓が早鐘を打ちます。

 

「美味しい……。とっても美味しいわ、リリちゃん。」

 

 

やった!やったよ!

 

「よかったね。これで合格だよ?こんど僕にも淹れてね。」

 

そう言って店長が撫でてくれた。

 

 

「ち、ちょっと店長〜、くすぐったいですよぉ〜。」

 

 

「ははは、ごめんごめん。リリ、今日はもうあがっていいよ。着替えておいで。」

 

え?なんでかな?

 

「不思議そうな顔してるね。ちょっとしたお祝いだよ。新メニューの試食も兼ねてるけどね。」

 

 

 

はい!すぐ着替えてきます!

 

 

 

ーーーーーーーー

 

ただいま戻りましたぁ〜。

 

 

店長!早くくださいな!

 

「はいはい。どうぞ。最近暑くなったって言ってたでしょ。僕の故郷で暑い時によく食べるものだよ。『かき氷』って言うんだ。召し上がれ。」

 

はむっ。

 

冷たくて美味しい!いくらでも食べられるよ!

 

 

「あぁっ。そんなに急いで食べると…」

 

 

 

キーン

 

 

いたたたたぁ…。

 

 

「遅かったか。冷たいものを一気に食べるとなぜかそうなるんだよね〜。あはは」

 

 

て、店長!笑わないでくださいよ‼︎

 

ーーーーーー

 

その日、リリがかき氷を食べてるのを見たお客さんたちが、リョウにかき氷を注文しようとしてまだ値段設定とかしていないから無理と言われ、肩を落としたのはまた別のお話。


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