妖精のいる飲食店   作:ふくちゃん

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夢の“残骸”たる理由

な〜にしてるんですか?

 

「え、えっとそれはだな…。」

 

「そ、そのぉ…。」

 

んもう。仕方ない。

 

ローズ?ここでなにしてるの?

 

「えっとね、その二人にリョウは何者だってきかれたから…。これを見せて説明しようかなって。なにも説明しなかったら、騎士としては疑わなきゃいけなくなるだろうし。」

 

 

はぁ…。

 

理解はぁするけど納得はできないね。

 

 

ったく。

 

「ローズは店に戻って。お二人はどこまで説明を?」

 

 

「ええっと、これのサイズと全領域で航行可能であるってことくらいだ。」

 

「なら、僕が引き継ぎますね。ただ、このマリアも一緒になりますが。」

 

 

「わかりました。マリアさん、よろしくお願いします。第五騎士団副団長、アルティンと言います。こちらは団長のアメーリア様です。」

 

「アメーリアだ、よろしく頼む。」

 

「は、はい。マリアです。よ、よろしくお願いします。」

 

「あ、ローズはお仕置きだから。さ、店に行った行った。」

 

さてローズが戻ったところで説明始めるますか。ぷぷっ、ローズの顔引き攣ってたなぁ。

 

ーー

 

「この船は先ほどもあったように全領域で航行できる船ですね。水中、水上、空中どこでも問題なく飛行できます。また理論上の航続距離は無限です。」

 

「全長は約355mだったか、全幅は74.2m。小さな街の住人くらいの人数が乗れるような船が補給なしで航行可能とはな。」

 

感心したようにアメーリア様が言ってきた。

 

「ええ。ただ、船内の設備もかなりあるので客船のような運用を取ると乗客数は1500人程度になりますね。」

 

えっへん。自信作でござる。

 

「なるほど、それでリョウ殿はこれを軍事利用はなさるのですか?」

 

不安そうにアルティン様が聞いてくる。

 

「確かに軍事利用できると便利でしょうね。相手の攻撃が届かない場所を通って敵陣深くに切り込むなんてこともできるでしょう。武装を積まなくても高高度から岩でも落とせばかなりの威力です。でもやりませんよ。この船はそのためのものじゃないですから。」

 

「それは“夢”のためですか?」

 

あれ、ローズはそこまで話したのかな?

 

「ローズから聞いたのですか?」

 

「ええ、この船は夢破れた跡だと。ただ、それだけ伺いました。」

 

「なるほど。ならお答えしましょうか。まず僕の夢は故郷へ帰ること、ないし帰る手段を見つけ手に入れることにあります。」

 

「ど、どう言うことだ。リョウの故郷はどこにあるかもわからないとも聞こえるが。」

 

「ええ、そうです。僕は気がついたら王都のここ、この店の前の主人に拾われてました。王都近郊に倒れていたそうです。文献を見ても言い伝えや旅人の話にも僕の故郷の話は出てきません。帰りたい。が、ルートも場所もわからない。いまは色々あって諦めましたが、当時は文字通りどこにでも行ける手段が必要が必要でした。」

 

「それで作ったのがこの船?」

 

マリアがおそるおそる訪ねてくる。

 

「そう。それで夢を諦めることになって残ったのがこの船。だから夢の跡ってわけです。」

 

「なるほどな。して、リョウはなぜそこのマリアという者を連れてきた?」

 

「簡単ですよ。貸し出すんです。」

 

「「「は?」」」

 

 

この時、三人の気持ちが身分やしがらみ、考えを超えて一つになった。




こんにちは。ふくすけです。

ここで重大なお知らせがあります。
投稿を一時的に停止しようと思います。現在僕は受験生でして、センター試験まですでに100日を切っています。そんな中、作品を書く時間が取れなくなってきました。
なので、この先不定期で投稿することは一度か二度程度はできると思いますが受験終了まではほぼ更新ゼロのつもりでいます。ご了承ください。

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