妖精のいる飲食店   作:ふくちゃん

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姫騎士 4

「お嬢様、お客様、間も無く公爵家に到着致します。」

 

御者さんに言われて外を見ると公爵家が見えた。広い庭に、綺麗な植物、噴水もあって鳥もたくさんいる。日本の植物園などよりも綺麗かもしれない。

 

これから公爵家当主に会うことになるらしいんだけど、同じくらいの女の子の父親に会うってなんだか結婚前に挨拶するみたいだなぁ。

 

アメーリア様お強いから尻に敷かれそうだけど…。

 

「そうだ、リョウ。」

 

は、はいぃ!すいません。つい出来心で、変な考えしてすいません!!

 

「どうした、びっくりしたような顔になって。

まぁいい、私はこれから着替えてくるように言われている。先に父と会っていてくれ。」

 

はぁ、そういうことか…。わかりました。先に行ってます。

 

ーーーー

 

メイドさんの案内で当主執務室前まで案内された。

 

コンコン

 

「旦那様、お客様をお連れいたしました。」

 

え、ちょっと待って。心の準備が…。

 

なんて言ってる暇もなく、「入れ」と声が聞こえちゃったよ…。

 

仕方ない。入室するか…。

 

お邪魔します。初めまして、リョウといいます。いやお久しぶりですかね。

 

「おや、覚えていてくれたのかい?」

 

「ええ、もちろんです。ゲオルク=アーガイル公爵様。」

 

あ、なんか嬉しそう。この人は師匠のところに今回の依頼の剣を持ってきた人だ。でもあった時からまだ2年と少ししか経ってないんだけどなぁ…。

 

ーーーー

 

挨拶をしてからはもう早かった。この人、師匠とは年齢こそ離れていてまだ若いけど友人だったみたいで…。公爵家後継なのに冒険者してた人で、基本的に武器関連のことは師匠に頼んでたんだって。公爵家前当主が死んで代替りする時に最後の迷宮探索で見つけた剣を直してもらいにきた時、そこで修行してたと僕にもあったってわけ。

 

僕の持ってきたワイン(収納の腕輪に入れておいた。)を飲みながら師匠の話で盛り上がる。この腕輪も師匠につくり方教わったんだけど便利だよなぁ。作る過程で内部時間を止める止めないとか、容量とかもきめれるから楽チン。

 

あ、話が逸れちゃった。

 

互いにそれに気がつき笑う。

 

でも急に深刻な顔になったので、僕も姿勢を正す。「さて、今回君を呼んだ件だが…。」

 

「お心遣い、感謝致します。」

 

言い淀んでいるけどもう全部お見通しです。って意味を込めて、重ねるようにいう。

 

「やはり君は聡明だな。冒険者時代の私を貴族と一目で見抜いただけのことはある。」

 

その言葉、そのままお返ししますよ。あなたこそ、御令嬢に剣を持たせればこの状況になると読んでいたんでしょ?

 

「ん?違うぞ。君こそ今の状況を理解してるじゃないか。」

 

ちぇっ。顔に出てたか。

 

「さてやっと本題には入れる。察しがついてはいると思うが今回の依頼は剣には関係ない。実は私の妻がな、少し特殊な病にかかってしまい…。」

 

「なるほど、エリクサーですか。いいですよ、瓶何本ですか?なんなら在庫全部の100本とかでもいいですけど。」

 

「今回エリクサーを作ってもらうに当たって申し訳ないのだが素材調た……ん?今なんて言った?」

 

えーっと、なるほど?

 

「その後だ。」

 

エリクサーですか、かな?

 

「もう少し後。」 瓶何本?

 

「その次。」あー、在庫全部で100ってと…。

 

「そこだよそこ。なんなんだい君、エリクサーを100本?なに霊薬量産しちゃってるわけ⁈なんなの、君の師匠も理不尽な能力持ってたけどそこまでぶっ飛んでなかったよ⁉︎」

 

ち、ちょっと落ち着いて…。とりあえず、どうどう。

 

ーーーー

 

「すまないね、取り乱した。」

 

いえ、気にしません。これ、接客業の基本ですから!

 

「はっはっは、君らしい。ではエリクサーを買わせてくれないか。お代そうだな、王金貨300枚でどうかな?」

 

 

え…?

 


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