UQ HOLDER! ~闇の福音と空虚の不死人   作:瑠璃色伽瑠摩@氷蓮雪乃
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今回はタイトル通り、キリヱだけが経験したことを覚えているIF世界での話です。

それと、感想で、拾陸話の話が拾捌話で矛盾していたこと指摘されましたので、今回のアマノミハシラでの話は、夏凛を迎えにいくとかではなく、オリキャラを迎えにいく話に切り替えました。




弐拾弐: 桜雨キリヱだけが覚えているIF

「いい? この能力は、他の人には未来予知として通してる。 何故なら、死んだら戻りますよ、なんて言う意味不明な事を信じる人は普通いないからよ。 だから、今はここにいるあんたとこいつと私だけの秘密よ。 いいわね?」

 

桜雨はそう念押しするように言う。 刀太は戸惑いつつも頷くが、疑問があるらしく問いかける。

 

「てかよー、その能力ってどういう仕組みなんだ? 死んだら戻るって言われてもなぁ、よく理解出来ねえしよォ」

 

「それもそうね。 私の『リセット(リセット)OK(&)な人生(リスタート)』は、セーブポイントを作り、さっきみたいに死んだら、再びセーブした場所、時間に戻れるってわけ。 要するに、ゲームでいう所のコンティニューよ」

 

桜雨は木の陰に盛られた砂山の上に先端に火の玉がついてる棒を指差して説明する。 刀太は何となく理解したのか頷く。

 

「なるほどなぁ。 そう考えると、お前の能力ってすげぇなァ! 最強じゃん!!」

 

刀太は興奮したような顔で叫ぶ。

 

「な、他人事だと思って! 死ぬのって痛いんだからね!? しかもそれを6回・・・いや、7回も死んだのよ! 責任取りなさいよ、この無能!!」

 

桜雨は刀太に向かって蹴りを放とうとするが、それよりも早く桂香が首根っこを掴む。

 

「落ち着け。 少し船の出航時間を遅らしてもらったんだ。 まずは、あの時、お前を殺した奴と体験したことを説明しろ」

 

「ふ、ふん! そんなこと分かってるわよ!! だから離しなさいよ! この低脳!!」

 

「時間は10分程度しか引き伸ばしてもらえなかったから、簡潔にな」

 

「そのくらい時間があるなら詳しく話せるわよ」

 

桂香に解放された桜雨は服のシワをのばし、コホンッ、咳払いをする。 そして、桂香と刀太に正座させて再度口を開く。

 

「いい? 今から話すことは私が体験した事よ。 耳の穴かっぽじってよーく聞きなさいよ」

 

そう言って、桜雨の体験談が語られ始めた。

 

 

アマノミハシラの駅。桂香達は、九郎丸・桜雨と桂香・飴屋・刀太・夏凛に分かれた。 九郎丸達2人は近くのカフェに。 桂香達4人は出航手続きに。

 

「そうえば、刀太君はどうして塔に登りたいの?」

 

「それは、一旗揚げるためですよ、先輩! 田舎のダチと約束したんすよ、皆で塔を登るって!!」

 

「幼稚な目標ね、近衛刀太」

 

飴屋の何気ない質問に刀太は、瞳をキラキラとさせながら答える。ぼそっと、夏凛の毒舌が吐かれるが刀太の耳には届いていない。

 

「へぇ、それは君もかい? 桂香君」

 

「いや、興味無い。 俺の目標は、行方の消えた妹を探す事だ」

 

「あぁ、そうえば妹がいるって初めて会った時に言ってたね。 その娘が行方不明になったのはいつなの?」

 

「それが全く思い出せなくてな。 うっすらとは出てくるんだが、ハッキリとはいかない」

 

桂香は淡々した声で答える。その話に、刀太と飴屋は気の毒そうな顔をする。

 

「まぁ、いつか見つかるって! 桂香!!」

 

「叩くな、意外と痛い」

 

「嘘こけ、全く痛そうな顔してねえじゃんかよ!」

 

刀太は更にバシバシと背中を叩いてくる。 桂香は反抗する気も失せてなすがままに叩かれることにした。その後も他愛のない中身空っぽとまではいかない会話をしながら歩き、手続きのカウンターが見えてきた。

 

「それじゃ、僕は手続きして来るから、そこで待ってて」

 

飴屋は桂香と刀太、夏凛にそう告げて、カウンターに立つ受付嬢に声をかける。 暇になった3人は近くのベンチに座り、外を眺める事にした。 というかそれしかすることが無い。 数十分経ったぐらいだろうか、突如、駅全体を不気味な雰囲気が覆った。 桂香達3人は瞬時に察知し、ベンチから立ち上がり、不気味な雰囲気が感じる方面に視線を向ける。 その中にソレはいた。 人がごった返す中で、悠然と、誰も近づけぬような雰囲気を醸し出すソレ。 通る道にいる人達が自然と道を開けていくようにソレはゆっくりとゆっくりと歩を進めている。互いの視線が不意に交わる。 桂香達は咄嗟に得物を構え、刹那、ソレは人形のような感情の感じさせない不気味な笑みを浮かべた。心臓に刃が突きつけられたかのような感覚。 ヨルダよりは弱いが、それでも勝てないと理解する。 桂香は隣の刀太と夏凛を見やると、得物を構える両腕は震え、顔中冷や汗だらけになっていた。 その間にもソレはこちらへと近づいてくる。 その時だ。

 

「・・・ぐっ!?」

 

ソレは白髪の髪に白のスーツを着た男性だった。 瞬きの間に、ソレは刀太の首を掴んでいた。よく見ると、足元から徐々に石化している。ヒヤッとする感覚に、桂香と夏凛は体が震える。 歯がガチガチと小刻みに揺れる。

 

「刀太君から離れろ!」

 

不意に見知った男の声が聞こえた。 それは飴屋の声だ。 更に、声と共にドリルの起動音が響き始めた。だが、それはドリルでは無い。 飴屋の右腕に取り付けられたカッターの巨大版のような無骨な機械の起動音だ。飴屋は背中のロケットブースターで加速をあげ、突撃する。

だが、白髪の男性は無機質な顔でその刃の切先を手のひらで防いだ。 瞬間、男性が防いだ刃を中心に回転が起こり、飴屋の体が捻じ切れる。 完全なる不意打ちは失敗。 しかし、多少の隙は作ることが出来た。 夏凛はハンマーで背後から男性の後頭部目指して振り下ろす。 が、それを見通していたのか、夏凛が回転したのと同じタイミングで腹部に蹴りを叩き込み、空いている左手をかざした。 すると、夏凛の腹部を中心に空間が歪むように捻れ、刀とハンマーを残して消失した。

 

「・・・く、の!」

 

刀太は顔をそらした隙に拳を顔面へと放ったが、易易と受け止められ、逆に石化している腰あたりを蹴りで砕かれる。 そして、男性は、その光景を一人呆然と見つめる桂香の眼前へと姿を現した。

 

「・・・お前は--」

 

「初めまして、空洞桂香君」

 

ただ一言発した男性は、桂香の喉仏目掛けて黒い短剣を突き刺し横へと線を引いた。ドス黒い液体が裂かれた喉から零れ落ちる。 あっさりと、何も発することも出来ず桂香の意識は徐々に薄くなっていく。 その時、微かに、微かにだが、九郎丸の声が聞こえた。

 

「桂香君! 刀太君!」

 

瞬動の音が聞こえ、こちらに向かっているのが分かった。 だが、それさえも見通していたのか、冷静沈着な動きで、九郎丸の真横に移動し、拳を背中へと叩き落とした。 九郎丸の体が逆方向へとクの字に曲がり、体を通して床が砕ける。

 

「大したことはなかったね」

 

男性はそう呟き、刀太と桂香の頭を両手に持ったまま、歩く。 その光景は正に地獄絵図。 桜雨はただ見つめることしか出来ない。 五人の不死身衆(ナンバーズ)があっさりと蹂躙された。 途端、桜雨の視界から男性の姿が消えた。 ゾワリと背中を冷たい刃がなぞる感覚に襲われる。 しかし、間に合わない。 背後から、

 

永久(アイオーニオン)()(ペトローシス)

 

詠唱が聞こえた。 刹那、足がコンクリで固められたかのような感覚に襲われる。 咄嗟に自身の足を見やると、石化していた。 その石化は徐々に桜雨の体を侵食していく。

 

(これは、石化呪文! しかも地系最強の・・・ではこの男は・・・!)

 

「そうだ。 僕は、フェイト・アーウェルンクス。 この少年、近衛刀太の祖父の盟友だ」

 

白髪の男性、フェイトは、桜雨の思考を読み取ったかのように名を名乗った。

 

「近衛刀太と空洞桂香はもらっていく。 僕が本来の持ち主だ。 まぁ、もう一人の彼はあの娘のものなんだけどね」

 

フェイトがそう説明するが、今はそれどころではない。 桜雨は既に上半身の半分を石化に侵食されている。 ギュッと唇を噛み締め、覚悟を決したように、予め自殺用に服の袖に隠していたナイフを取り出し、自身の喉へと躊躇いなく突き刺した。

 

そして、時は逆流した。

 

 

「--と、これが私が体験した話よ。 どう? 理解出来た?」

 

「えーと、その、まずフェイトって誰だ?」

 

「はぁ、そこから話さなきゃならないのね。 あんた、本当にむのーね」

 

桜雨は、やれやれ、と溜息をついた。 そして、軽く咳払いをして説明し始める。

 

『フェイト・アーウェルンクス』--雪姫と仲間であり、刀太の祖父、ネギ・スプリングフィールドの盟友だった男。

 

数ある魔法の中でも、強力な『地』系の現行最強術者であり、『魔法化』されていない軍隊などは相手にもならない。

 

八十年前、火星で起きた事件をネギ・スプリングフィールドとその仲間と共に解決し、救った人間の数は6700万人ともいわれる世界を救った英雄。

 

現在進行中の火星テラフォーミング計画推進の中核人物であり、アマノミハシラの建設を日本に誘致した立て役者の一人でもある。

 

しかし、二十年前、ネギ・スプリングフィールドの死を境に、人格と行動が豹変、その強大な力をそのままに、人類に敵対する脅威となってしまった。

 

「という訳で、この男による私たちの全滅という最悪の事態を回避するのが、目的のその1よ。 ちなみにその2はアマノミハシラについてから話すわ」

 

「だそうだ。 頭がごちゃごちゃしていると思うが、とりあえず船に乗るぞ。 そろそろ、夏凛のハンマーが飛んでくるぞ」

 

「あ、あぁ。 分かった」

 

刀太は、自身の中にたくさんの疑問を抱えたまま、桂香の言う通り船に乗り込んだ。

 

 

 

 




さて、フェイト・アーウェルンクス登場しましたね。 いやー、桜雨の能力ってなかなか複雑ですね。 次回もバトル、バトルと続きます。

戦闘描写、あまり上手くありませんが、頑張っていきたいと思います! とりあえず、原作に追いつかないと。 まだ半分も行けてませんからね!

それでは、また次回に!!







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