UQ HOLDER! ~闇の福音と空虚の不死人   作:瑠璃色伽瑠摩@氷蓮雪乃
<< 前の話 次の話 >>

25 / 41
毎日投稿を無理ですが、1週間に2話分投稿できるよう頑張りたいと思ってます。

それでは本編どうぞ!


弐拾肆: 捕獲作戦⑴

「お、おお〜、め、めめ・・・眼からビームとか!! すげえ、一空先輩! ロボッスね、完全に未来ロボっスね!」

 

「ハハハ、戦場じゃこれくらいの装備は珍しくもないけどね」

 

超星仔を吹き飛ばしたビームに興奮する刀太に、飴屋は苦笑いで答える。

 

「ってヘンタイがいねぇ!? ば、爆散して粉々に・・・? !?エ・・・エグイ」

 

刀太を超星仔がいた辺りを指差して叫んだ。

 

「いや、どうやら逃げたみたいだ」

 

「うん、かなり出来るね、あの男」

 

「いやぁ、僕達よりよっぽど不死身だねー、アイツ。 また来るかも」

 

桂香、九郎丸、飴屋は、刀太の言葉を否定する。 彼ら三人はしっかりと捉えていた。 あの暗殺者が、ビームに直撃する手前に、姿を消したことを。その言葉に刀太は驚く。

 

「まぁ、これでやっとイレギュラーは、排除できたわけね。 あーもー全く、誰かさんのせいでヒドイ目にあったわ」

 

桜雨は、飴屋着ている白衣をギュッと掴んで告げる。 そして、今度は桂香の方を見やる。

 

「もう少しで倒せたのに、逃がすなんてほんと低脳ね、桂香」

 

「悪かったな。 それよりも、夏凛が居ないようだが何処にいるんだ?」

 

桂香は飴屋達が来ていた時から疑問だった事を尋ねる。 その問に、飴屋はニヒルに笑い自身の口に親指を当てて答える。

 

「それは僕の口からは言えないよ」

 

「・・・トイレか?」

 

「・・・・さ、さぁね」

 

飴屋は、冷や汗を垂らして、そっぽを向く。 桂香は、その行動が図星である証拠ととらえる。

 

「・・・こんな時にトイレとは呑気なも--」

 

突如、桂香の体が前のめりで顔面から、地面へと叩きつけられた。 頭突きにより、地が砕ける。そして、硬い何かが後頭部に乗っている。と、桂香の耳に聞き覚えのある少女の声が聞こえた。

 

「どうやら死にたいようですね、桂香」

 

淡々とした声音のはずなのに、怒気が孕んでいる夏凛の声。 瞬時に理解する。 現在、頭に乗っている硬いもの。 それが何なのかを。 一瞬、後頭部に当たる硬いものの感触が消える。 再びすぐに頭に硬いものが落ちてくる。だが、桂香は障壁を展開、硬い何かを防ぐ。キィッンという金属音が響き、夏凛の舌打ちが聞こえた。 桂香はグルンっと身体をうつ伏せから仰向けに入れ替える。 と、目の前に白い飾り気のない下着が映った。

 

「・・・・下着が見え--」

 

頬に叩きつけられる鋭い風。 それを発生させたのは、夏凛が振り下ろしたハンマーだ。 しかし、それは桂香に直撃することなく、手前の障壁に防御される。その時に、上からこちらを見下ろす夏凛の瞳が、ドス黒い殺意の色に彩られているのに気づく。

 

「本当に死にたいようですね」

 

と、夏凛がつぶやくと、突如、振り上げたハンマーから先程とは比べ物にならない程の風が纏われているのを感じた。 それも、その風の正体は、魔法アプリの一つ、障壁破壊系のモノだ。桂香は自身の前に盾を顕現、更に障壁を何重に展開する。 全てがかなりの防御力を持つシールドだ。しかし、障壁破壊の力を纏ったハンマーは、紙を破っていくように盾、障壁を破壊していく。 急速の速さで消失していく障壁が、残り2枚となった時、ハンマーの勢いが止まる。

 

「離してください、一空」

 

「いやだね。 はぁ、全く君達は。 喧嘩するなら、任務が終わってからにしてよ」

 

夏凛を羽交い締めにする飴屋が困った顔で呟く。桂香はその隙に、身体を地面に擦らせながら、移動して起き上がる。そして、刀太と九郎丸に声をかけて、背中の汚れを払ってもらう。

 

「俺は喧嘩する気は無い。 それよりも、任務だ。 桜雨、時間大丈夫か?」

 

「はっ! そ、そうよバカね! 13時9分までもうあまり時間がないわ! 私について来なさい!」

 

桂香の質問に、焦りの色を顔に出して、駆け出した。 夏凛、飴屋と九郎丸は状況が良くわからないが、とりあえず駆け出し、刀太と桂香もフェイトが現れるという目的地へと駆け出した。

 

外壁モノレール乗り場へと続く店やら家やらが立つ街並みの中に桂香達はいた。

 

「ねぇ、キリヱ。 僕達はまだ説明を受けてないんだけど、13時9分に何が起こるの?」

 

飴屋が、先導して歩く桜雨に声をかけた。 その問はまだ桂香と刀太以外、答えを知らない。

 

「それもそうね。いいわ、歩きならが話す」

 

桜雨はそう言って、これから起こることを全て包み隠さずに説明する。 フェイト・アーウェルンクスの存在、不死身衆の敗北の未来を。

 

「--という事よ」

 

「ふぅん、成程。キリエの未来予知ではそうなるんだね? フェイトが現れて、僕らは負け、刀太君と桂香君が連れ去られる、と」

 

「えぇ、そうよ。 だから、今回は、しっかりとした作戦を練ってきたわ。 それが目的その2よ」

 

「・・・今回は? ねぇ、キリエ。 僕達に隠してることはないか? 」

 

飴屋は桜雨が発した『今回は』という部分に疑問を抱く。 彼女言い方は、先程の事を何回も繰り返してきたかのように聞こえるのだ。

 

「な、何のことかしら?」

 

「君は、先程、『今回は』って口にしたよね? それは、このような事を何回も繰り返してきたかのように聞こえるんだけど、もしかして君の不死身の力と関係があるのかな?」

 

「うぬぬ・・・ど、どうしても言わなきゃダメ?」

 

桜雨は、研ぎ澄まされた刃のような瞳を向ける飴屋を上目遣いで見る。だが、一変も瞳の色を変えずに見据える。

 

「仕方ないわ・・・言うわよ」

 

桜雨は呆れた溜息をつき、観念したように答える。 自身の能力について。

 

「私の不死身のタネは『リセット(リセット)OK(&)な人生(リスタート)』って呼ばれる固有能力よ。 これは、セーブポイントを作り、死んだら、再びセーブした場所、時間に戻れるってわけ。 要するに、ゲームでいう所のコンティニューみたいなものよ」

 

「フー、なるほど、やはりそういうことか」

 

「『死に戻り』・・・それがキリヱちゃんの予知能力の正体なんだね」

 

「まぁ、簡単に言えばね。 で、ここからが大事なとこだけど、このセーブポイントを作る時に、『戻り方』をいくつか設定できるの」

 

桜雨は、自身の能力について詳しく説明する。

 

メモリー『M』→キリエの記憶アリでセーブポイントに復帰

 

バインド『B』→手に触れている人の精神をキリエと一緒に連れ帰る

 

フレンド『F』→手を触れた人の身体ごと、共に連れ帰る

 

スピリット『S』→必ず入れること。 魂の同一性を保持する。

 

「とまぁ、こんな感じよ。 そして今回は、この能力の『戻り方』の1つ、『F(フレンド)』を使うわ」

 

「か、身体ごと? それは物凄い能力だね。 別系統の力と言ってもいいくらい強力な能力だ。 そんな魔法は聞いたこともないよ」

 

「あれ? でも何でキリヱは僕達に今までそのことを隠してたんだい?」

 

「そ、それは・・・」

 

飴屋の素直な質問に、桜雨は先程の態度とはうって変わり、大人しくなる。 おまけに彼女の瞳に映るのは不安の色。

 

「どうせ、その能力を持ってるせいで、誰かに利用されて殺されるかもしれないと思ったのでしょう」

 

ずっと、沈黙を守っていた夏凛がおもむろに淡々と告げた。 その言葉には、桜雨への気遣いと優しさが込められている。 飴屋達は、なるほど、と頷く。

 

「安心しなよ、僕達は君の仲間だ。 君の能力を利用するために殺したりしない。僕達だって君と同じ不死身衆の一員だ。 誰かが君を利用するなら、ここにいる僕達が全力で君を守る」

 

飴屋は、桜雨の頭に手を乗せて、そう告げる。 それに合わせるように、全員が頷く。

 

「ま、まぁ、いいわ。 それよりも、アイツの捕獲が最優先よ。 てことで、簡単に説明するわよ。まず、むのーは囮。 そして、一空は陽動攻撃、低脳と夏凛は、遊撃手、そんで、九郎丸が私を運んで奴の背後へ。 後は私が触るだけ。 これでゲームセットよ!」

 

「そこまでは分かりました。 ではそのフェイトとやらは、何処に拘束させるのですか?」

 

「あぁ、それはね。 アジトの地下にある大空洞よ。 あそこは、雪姫も出れないって話よ。 因みに、九郎丸も一緒に閉じ込められちゃうけど、まぁ、これは、些細な問題よ」

 

「フー、でもキリヱ、今の話からするとつまり・・・君がフェイトに触れた瞬間、『自殺』するってことになるよね?」

 

飴屋は困った顔で、額に親指を当てて尋ねる。 桜雨は、自身の作戦にケチをつけられてムスッとして、

 

「な、何よ、文句あるの?」

 

と告げる。

 

「いーや、無いよ。 僕達は皆似た者同士だ。 けど、その時間巻き戻しだけど、僕達も一緒に行かせてもらう。 君が自殺した世界に僕らだけ取り残されるなんて後味悪いからね。 例え、この世界もここにいる僕らも消えてしまうかもしれないとしても、それは君の世界の話だ。 てことは、ここは君が死んだ世界ということに変わりはないだろう? なら、平行世界の僕達はそのまま君のいない世界で君が死んだことを悲しみながら生きていくわけなんだけど、そのへんはどーせ、考えたことないでしょ?」

 

「な・・・」

 

「それより僕の陽動攻撃だけどさ、ちょうど上がガラス張りだし、『アレ』を使おう。 手持ちの武器じゃ心許ない」

 

飴屋は天井を仰ぎ見て告げる。

 

「アレって、そんな簡単に使用していいものなのか? 飴屋」

 

「まぁ、いいんじゃないかな。 それに滅多に使えないからね。 宇宙にある雪姫所有の衛星からの攻撃なんてさ」

 

「まぁ、太陽系世界最強の大魔法使いには丁度いいかもな」

 

「でしょ?」

 

完全なるテロ攻撃に変わりない宇宙衛星からの攻撃に驚くこともましてや悪びれもせず飴屋は桂香を納得させてニッと笑う。 その二人の姿に、刀太と九郎丸は完全に引いていた。

 

「それじゃ、作戦開始と行くわよ」

 

「健闘を祈るよ」

 

「りょーかい」

 

「・・・了解」

 

桂香達は桜雨に指定されたとおりに、それぞれの持ち場へと移動し、待機する。

 

そして--不死身衆(ナンバーズ)6人による、

『フェイト・アーウェルンクス捕獲作戦』が始まる

 

 

 

 




今回は、飴屋、夏凛、九郎丸への桜雨の能力説明と、フェイトの捕獲任務の概要についてでした。

さて、次回からは本格的にフェイトとの戦いです。

それでは、また次回に!!







※この小説はログインせずに感想を書き込むことが可能です。ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に
感想を投稿する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。