UQ HOLDER! ~闇の福音と空虚の不死人   作:瑠璃色伽瑠摩@氷蓮雪乃
<< 前の話 次の話 >>

30 / 41
今回で白き翼邂逅編は終了です!

さて、次回は二話ほど、日常編を投稿します。

そんでそのあとに、学園編です!


弐拾玖:一人一問一答

仙境館の地下空洞--そこは、人工的に造られたものでなは無い空間だが、UQホルダーのアジトになってからは強い封印差が施されている。ボロボロの石柱が並び、その石柱の埋込み部分は川ほどの水に埋もれて見えない。バチャンと人影が落ちる。それは白スーツを着た白髪の男性。

 

「!? ・・・ここは?」

 

「説明が必要か? フェイト・アーウェルンクス」

 

白髪の男性、フェイトは、後ろから聞こえてきた声に振り返る。 そこにいたのは、男女6人。その真ん中の青年、桂香が、緑色と青色のいわゆるオッドアイの瞳でこちらを見据え、告げる。

 

「・・・バカな。 僕の多重魔法障壁はあらゆる干渉を防ぐはずだ」

 

「それは、魔法や科学の話だろ? 残念だが、そんな誰もが持ってるようなモンであんたをなんとか出来るとは思っていない。まぁ、詳しくは言えないが、お前はハメられたんだよ、俺達にな」

 

桂香は口角を無理矢理吊り上げ、嘲笑う笑顔を浮かべる。といっても、真似をしているだけで、感情は至って冷静なままだ。フェイトは、小さく舌打ちし魔法詠唱に入ろうとする。 その時だ。

 

「くっくっく。 どうした、最強の魔法使い。 若いのに一杯喰わされて腹でも立てたか? お前らしくもないな」

 

「貴女は・・・」

 

フェイトは声のした方に振り返る。 双眸が鋭くなる。 憎むべき相手を見つけたように。 だが、声の主は不敵に笑うだけ。 微かにいら立ちのこもる声で声の主の名を呟いた。

 

「エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル」

 

「20年ぶりだな、フェイト・アーウェルンクス」

 

雪姫こと、エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルはフッと鼻で笑い、告げる。

 

「僕が腹を立てる? 笑えない冗談だよ、エヴァンジェリン」

 

「ふむ、私の勘違いか。 まぁ、落ち着け。 私はお前と争うために来た訳では無い。 話し合いをしたいんだ」

 

「何が話し合いだ、エヴァンジェリン。 貴女とは二十年前に決裂したはずだ。 万が一.貴女が愚かな考えを翻し、僕につくということでないのなら、話し合う意味は無い! 自堕落な不死人め!!」

 

フェイトは叫び、魔法を展開する。 それに対し雪姫は動じることもなく告げる。

 

「やめておけ。 貴様、不老であっても不死ではあるまい。続けてなんの益がある?」

 

「どうかな? 今の貴女になら勝て無いこともない、が、そのあとに不死人6人を相手にするのは分が悪い。 それにどうやら、ここには強力な封印が施されているようだしね」

 

フェイトはチラッと桂香達の方見て、目を伏せる。 そして、魔法の展開をやめる。それは抵抗はしないという意思表示。

 

「分かった、今日は退こう。 僕をここから出してくれ」

 

「あぁ、いいだろう」

 

雪姫はそう言って封印を解こうとする。 その時だ。

 

「なぁ、フェイト・アーウェルンクス。 お前はネギ・スプリングフィールドの親友でいいんだよな?」

 

桂香が質問する。 雪姫は封印解除の手を止め、フェイトは不敵に笑う。

 

「あぁ、そうだよ。 僕はネギ君の親友だ」

 

「そうか。 ならもし俺が、ネギ・スプリングフィールドに会ったって言ったら? お前は俺達に知ってる情報を教えてくれるか? これは取引だ。受けるか受けないかはあんた次第だ」

 

ピクっと、フェイトの顔に驚きが走る。 しばし考えたあと、フェイトは口を開いた。

 

「分かった、その取引に応えよう。 だが、すべてを教えることは出来ない。 そうだな、『不可視の魔女』を除いた君達の質問に答えよう。 但し、一人一問、相談は禁止だ」

 

フェイトはそう告げる。 重要となる質問。 関係の無い質問やふざけた質問は許されない。今回最後となるような質問だ。もう二度と来ないかもしれないチャンス。 これを逃す手はない。

 

「フェイト・アーウェルンクス。 質問以外の事なら相談してもいいのか? 例えば、質問する順番とか」

 

「あぁ、それは構わない。 但し、少しでも質問に関する相談をしたと僕が判断すれば、そこで質問時間は終了だ」

 

「あぁ、分かった」

 

桂香はそう頷き、刀太達を自分の近くに集める。

 

「えーと、まず誰から質問する?」

 

九郎丸は困ったような顔で尋ねる。 それは全員で、未だどんな質問をすればいいのか答えは決まっていなく悩んでいる。

 

「それじゃ、一番関係ない僕が先に行こうかな。 それでいいかい?」

 

一番最初に何を質問するか決めたらしい飴屋は桂香達の輪から抜ける。 そして、フェイトを見やり、口を開く。

 

「フェイト・アーウェルンクス。アンタほどの強い人が、そこまで必死になって、刀太君と桂香君を奪って、一体何に利用するつもりなんだ?」

 

「それは簡単な質問だ。 利用する・・・という言葉は不本意だけどね。 刀太君、君の祖父、ネギ・スプリングフィールドを救うためだ。 だからこそ、君の力が必要なんだ。 因みに桂香君には仲間になって欲しいだけだよ。 『黄昏の姫御子』と『造物(ライフ)(メーカー)』の力を持っているからね」

 

フェイトは刀太、桂香を順に見て告げる。その言葉に動揺が走る。 前者の言葉、『ネギ・スプリングフィールドを救う』、それは刀太にとっては一大事とも呼べるものだ。何故なら、祖父はもう既に死んでいると聞かされていたからだ。 雪姫本人に。

 

「・・・は? 救う・・・って、いや・・・え? だってじいさんは死んで・・・いやいや、待て! どういう事だよ、じいさんは生きてんのむがっ!?」

 

「待って!!」

 

「今のは質問じゃないわ」

 

夏凛と九郎丸は慌てて刀太の口を塞ぐ。一人一問という貴重な権利を無駄使いしなくて済んだ。

 

「そうだ、刀太君。 そして--君の祖父、ネギ・スプリングフィールドを救う事は、太陽系百二十億の全人類を救う事と同義だ」

 

「・・・は?」

 

「だからこそ、君はこちらに来るべきだ。 君が世界を、自分の祖父を、その手で救うんだ」

 

フェイトは再び、刀太を誘う。

 

「はぁ? あんた何言ってんだよ!? 世界を救う? じいさんを救うだ? 訳わかんねえぞ!?」

 

「落ち着け、貴重な質問をそんな事に使うな」

 

「いやいや、結構重要なことだろうがよ!」

 

「そうかもしれない。 が、どうやらこの事は雪姫も知っている様だ。だから後で雪姫に聞けばいい」

 

桂香は、顎で雪姫を差す。

 

「桂香の言う通りよ。 それで次は私が質問してもいいかしら?」

 

夏凛は、刀太を制止し、前に出てフェイトに質問を投げかける。

 

「近衛刀太の祖父、ネギ・スプリングフィールドを最も愛していたのは誰かしら? アナタ? それとも雪姫様?」

 

「いや、ちょっと! 人にはくだらない質問するなとか言っといて、何なのそのふざけた質問!! ダメ先輩!?」

 

「金と女は常に重要な要素(ファクター)よ。 因みにアナタの祖父と雪姫様は愛人関係にあったという噂があって、私はとても気にかかってるわ」

 

夏凛は文句を垂れる刀太に納得するような理由を挙げず自分がただ知りたいということを告げる。

 

「--夏凛」

 

石柱の上に立つ雪姫から怒りの篭った声がかけられる。

 

「ハッ、雪姫様」

 

「後で私の部屋に来ること」

 

「ハッ」

 

「怒られてんじゃん!? 担任の先生に職員室に呼び出されてる感じになってんじゃん!?」

 

刀太のツッコミが地下空洞に響いた。

 

「フッ、それは勘違いだ。 雪姫の想い人は、更にその父--曾祖父のナギ・スプリングフィールドだよ。 まぁ、雪姫とネギ君の実際の関係については・・・僕からの言明は避けておこう」

 

フェイトは背後から感じた雪姫の殺気に、やれやれ、とその続きをいうことをやめる。

 

「なにぶんネギ君は、モテる男だったからね。 最も彼を愛していたのは誰だったか・・・僕としてはあまり興味のない話だね」

 

「アナタはどうなの?」

 

「僕は人を愛さない」

 

「--嘘ね」

 

夏凛はしばしフェイトを見てそう呟いた。

 

「それじゃ、あと質問は三つだ。なんでも聞くといいよ。 桂香君が知りたい事も、刀太君が知りたい過去でも、僕は知っている。 さぁ、次は誰の番かな?」

 

フェイトは教えを乞う教信者に神託を与える神の使いの様にそう告げた。

 

「それじゃ、次は僕が行く。 重要な質問だ」

 

桂香達にそう告げて、前に出る。 刀を鞘からすぐ抜けるよう握り、質問を投げかける。

 

「問おう、フェイト。 今の話は急ぎか? 貴様がいますぐ刀太君を奪い去らねば、刀太君の祖父は死に世界が滅びると言ったような切迫(タイムリミット)した(のある)事態なのか?」

 

「ふむ、いい質問だね。 確か九郎丸と言ったかな。 事態は切迫していない。 なにしろ二十年も待ったからね」

 

「では、いますぐ刀太君が貴方と共に行く必要はないと認める?」

 

「そうなるね。だが、桂香君。 君だけは早めにこちらに来てもらわなければ困る。 彼女は、何百年もの間、ずっと君を探していたんだからね」

 

フェイトは、桂香に視線を向けて言う。 『彼女』という単語が誰を指すのかは既にわかっている。 空洞鏡華、桂香の妹。

 

「・・・そうか。 あいつも俺を探していたのか。 なぁ、フェイト。 俺からの質問は自分の事でも仲間に関することでもない。 これだけ教えてくれ。 妹は、望んでお前と共にいるのか?」

 

桂香は尋ねる。心がなくても、彼は昔から妹の事だけを考えてきた。 一人で泣いていないか、苦しんでいないか、元気にしているか、そればかりが行方が分からなくなってからずっと抱えていた疑問だ。 そして、久しぶりにアマノミハシラで会った妹は楽しそうで、そして、悲しそうでもあった。

 

「あぁ、鏡華君は自ら、僕と来ることを選んだ。 君とまた二人で暮らす為に 。 それが彼女の望みで生きがいだ」

 

「・・・そうか。 フェイト、向こうに帰ったら、鏡華に、まだ帰れない、とだけ言っておいてくれ」

 

「あぁ、分かった。 そうだ、君にだけ僕のアドレスを教えておこう。 気が変わったらいつでも電話してくれ」

 

フェイトはそう告げ、桂香の前に現れる。 刀太達が意表をつかれ、得物を構える。 しかし、桂香は懐から自身の携帯を取り出して、渡す。 しばしの静寂。 携帯の操作音だけが地下空洞に響く。

 

「よし、交換は終わった。 それじゃ、最後は、刀太君。 君の質問だ。何が聞きたいんだい?」

 

フェイトは再び元の場所に戻り、刀太に尋ねる。 武器を構えていた刀太はそれを下ろし、フェイトを見据える。

 

「アンタさぁ、ここまでの話を聞いた感じじゃ、そう悪いやつって訳では無さそうだよなぁ。 でよ、俺の父母を殺ったのはアンタか?」

 

「--あぁ、そうだ」

 

フェイトは冷静に動揺することも、悪びれることもなくしれっと答える。

 

「そうかよ。 じゃあ、やっぱアンタは俺が、この手でボコらにゃならねえみてぇだな!!」

 

刀太が大地を踏み砕く。 爆風が生じ、刀太の足元の川の水が吹き飛び、ゴツゴツした地面が現れる。

 

「それでも世界は救われねばならない。 僕には全人類全ての魂を救う手段がある」

 

「別に憎しみや復讐って話じゃねぇ、けじめってやつだぜ」

 

刀太は拳をぐっと構え、

 

「首を洗って待ってろよ、フェイト・アーウェルクンス。 次は必ずこの手でぶん殴ってやる」

 

不敵に笑い宣戦布告する。

 

「よかろう、腕を上げて来るがいい。 まぁ、最も、桂香君にも勝てないようでは僕には勝てないだろうけど、期待しずに待ってるよ、あの塔の上でね。 あぁ、それと、桂香君。 ネギ君と会ったという話は後日、電話で話そう」

 

「あぁ、分かった」

 

「それじゃ、君達が僕の元に来ることを待っているよ」

 

フェイトは桂香と刀太に視線を配ってから、封印が解かれた地下空洞の天井を破壊して地上へと飛び出していった。

 

 

 

 

 




さて、今回は戦いは皆無の質問回でしたね。 因み次回出す2話分の日常回は、チンピラに絡まれる程度のバトルとは呼べないシーンもありますが、本格的なバトル展開はございません。

それではまた次回に!!







※この小説はログインせずに感想を書き込むことが可能です。ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に
感想を投稿する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。