UQ HOLDER! ~闇の福音と空虚の不死人   作:瑠璃色伽瑠摩@氷蓮雪乃
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さっき投稿した話なんですが、感想の方で、夏凛の告白が唐突すぎるということが指摘され、そちらを消して、新たに、桂香がいない裏側の話を投稿しました!

因みに、この話は次話も続き、そのあとにデート編です。


幕間〈1〉
参拾: 桂香と夏凛 ⑴


アマノミハシラでの事件を終え、毎日の日課となる仙境館の銭湯の湯に夏凛は肩まで浸かっていた。

 

「ふぅ、ここは本当に落ち着きますね」

 

夏凛はそう息を吐いて、気持ちよささに頬を緩める。自分一人ということもあり、気が緩む。 夏凛は朝に入る湯が一番気に入っている。 それは、朝ということもあり滅多に入ってくる者はいないため、落ち着いて浸かることが出来るからだ。だが、今回は来客が現れた。 ピチョンと水滴が落ちたような音をあげて湯に波紋が広がる。 夏凛は閉じていた瞼を開き、その音の方へと振り返る。

 

「あぁ、キリヱ。 あなたでしたか」

 

「あら、おはよ、夏凛」

 

と、長い髪の毛を束ねた桜雨が、湯に肩まで浸かり返事をする。時々、夏凛と桜雨の二人はここで他愛のない談笑をしている。だが、ココ最近は二人とも忙しかったため、こうして談笑するのは久しぶりだ。

 

「ねぇねぇ、夏凛」

 

「どうしました? キリヱ」

 

夏凛は不敵な顔を浮かべ、寄ってきた桜雨に尋ねる。 桜雨は、ふふふ、と笑い、からかうような口調で告げる。

 

「最近、桂香とは上手くいってるの? ほら、あいつが田舎から帰ってきた時、一番喜んでたじゃない、あんた」

 

「な、何のことですか?」

 

桜雨の言葉に夏凛は言葉をつまらせる。それが図星と踏んだのか、更に質問を投げかけてくる。

 

「ねぇねぇ、本当はどうなのよ? てかあんた、あの低脳に告白はしないの?」

 

「・・・こ、こ・・・ここ、告白!?」

 

『告白』という単語に、夏凛の顔が真っ赤に染まる。 湯に浸かって身体が熱くなっているものの、それ以上に熱くなる。

 

「ははぁん、やっぱ好きなのね、低脳の事」

 

桜雨は口元に手を当ててニヤニヤとした表情を浮かべる。夏凛は話題をそらするために、必死に話題を考えるが、先ほどからずーと、『告白』という単語が頭の中を駆け巡り、邪魔をする。

 

「あらぁ、二人して恋バナ?」

 

と、若い女の声が話題展開に思考をフル回転していた夏凛の耳に響いた。その声は聞き覚えのある声で、正直関わりたくない女だが、今回は来てくれて感謝と感じた。

 

「いえ、何でもないありませんよ。 レイネ」

 

「ふぅん、そ~お?」

 

バスタオルでスレンダーな体を隠し、鮮やかな金髪に翡翠の瞳をした若い女、レイネ・クロウフィーナは、徳利とおちょこの載った桶を片手で抱いた状態で石階段を降りてくる。 そして、湯に浸かる夏凛の隣に腰を下ろした。

 

「そうえば、キリヱちゃんと会うのも久しぶりだっけ?」

 

レイネは、徳利を傾け、おちょこに中身を注ぎながら、声をかける。 桜雨は夏凛から離れて、返事を返す。

 

「えぇ、久しぶりね。 『不可視の魔女』」

 

「ふふふ、気軽にレイネでいいわよ。 キリヱちゃん♪」

 

皮肉の込められた桜雨の言葉に、レイネは大人の対応をする。そこが桜雨が彼女を嫌う理由の一つだ。 そしてもう一つの理由が、

 

「キリヱちゃん、前より胸成長したわよねぇ。 揉んでいい?」

 

これである。『不可視の魔女』と呼ばれるレイネ・クロウフィーナは、雪姫と、『狭間の魔女』と同じく有名な大魔法使いである。彼女は空間魔法と幻惑魔法を得意とする。更に彼女は、不死身衆(ナンバーズ)と同じく不死人である。 だが、彼女の不死身の種を知るものは雪姫はおろか、誰一人いない。そんな大層な大魔法使いの彼女にはもう一つ異名がある。

 

それが--『変態』 だ。

 

「い、嫌に決まってるでしょ!? バッカじゃないの!?」

 

「ちぇ~、なら、夏凛ちゃんの大きく実るたわわなお胸を揉み揉みしよ~っと」

 

そう言って素早い動きで夏凛の胸を揉む変態ことレイネ。 夏凛の顔が真っ赤に染まり、

 

「あ、あなたは・・・な、何してるんですかーッ!!」

 

「ブボヴァ!?」

 

夏凛は下方向から胸を揉んでくるレイネの後頭部を湯船に押さえつけ、溺死させようとする。ゴボゴボと泡が出来る。 バタバタと暴れること数分、あれほど暴れていたレイネの身体が動かなくなる。夏凛は、ひと仕事終えたかのように一息つく。

 

「あんた、よ、容赦ないわね」

 

「変態は死ぬべきです。 勿論、近衛刀太も、桂香もです」

 

夏凛はこの場にいない二人に『変態』のレッテルを貼った。無論、単なる八つ当たりに過ぎないが。 途端、レイネの身体にノイズが走る。 ジジジッと砂嵐のような音がなり、そして身体が消失し、人型のノイズが残る。

 

「ちっ、厄介ですね。あの女の不死身の仕組みは。 溺死させても、首を切り落としても、燃やしてもしぶとく生き返るんですから」

 

「ふふふ、ごめんなさいねぇ。 夏凛ちゃん♪」

 

舌打ちをする夏凛に、先程死んだレイネが声をかける。完全に肉体がリセットされた状態のレイネは再び湯に浸かる。

 

「それで、何を話してたのかしら?」

 

夏凛の鎖骨あたりを指で突然なぞる。

 

「さっきも言ったはずですよ。 なんでもありま・・・告白について・・・はっ!?」

 

「へぇ、告白ねぇ。 それって、誰が~誰に?」

 

妖艶な笑みを浮かべるレイネが、夏凛の鎖骨あたりを再び、指でなぞりながら尋ねる。

 

「わ、私が・・・け、桂香に・・・な、何を言わせるんですか!? 」

 

夏凛は、自身の鎖骨あたりをなぞる指を引き剥がす。

 

「・・・さっきのは、魔法!? あなた、私になにをかけ・・・なっ!?」

 

途端、先程までレイネが触れていた鎖骨あたりに五芒星の魔法陣が展開され、身体に吸い込まれるように消えていった。

 

「な、何をしたんですか!? レイネ!!」

 

「まぁまぁ、気にしない気にしない。 それよりも、桂香君って白髪男に誘われてた冷静な子?」

 

レイネはおちょこに注がれている酒を口に含んで、話題を変える。

 

「えぇ、そうです。 というか、今は桂香のことは関係ないでしょう!」

 

夏凛は話題転換したレイネに怒る。

 

「それで、桂香君って夏凛ちゃんの恋人? それとも、単なる同僚?」

 

レイネは怒る夏凛に妖艶な笑みを浮かべて尋ねる。 それに対し、夏凛は面倒くさいと思い否定するために叫ぶ。

 

「違います! 私と桂香は、まだ恋人同士ではありません!!」

 

「ふぅん、『まだ』ねぇ。 聞いたァ? キリヱちゃぁん」

 

レイネは、ふふふ、と笑いながら、隣の桜雨に声をかける。

 

「くふふ、えぇ、聞いたわよ。 『まだ』ってねぇ」

 

「『まだ』って事は、桂香君のこと好きなんだあ」

 

桜雨とレイネはニヤニヤといやらしい笑みを浮かべて、夏凛をからかう。 その態度に夏凛は顔を真っ赤にして、顔を隠すように湯に顔半分を沈める。

 

「そぉれで、桂香君の事が気になり始めたのはいつ頃なのよ? 夏凛ちゃん」

 

「そうよ、教えなさい。夏凛」

 

レイネと桜雨はズイっと顔半分を埋める夏凛に詰め寄り尋ねる。 夏凛は、ブクブクと泡を作りながら、目を泳がせる。 心臓が高鳴り、頭がおかしくなりそうになる。

 

「因みに、教えてくれたら、さっきの魔法解いてあげてもいいわよ」

 

「・・・くっ。 本当ですか?」

 

夏凛は顔を湯から出して、尋ねる。 レイネは、コクリ、と首を縦に振る。

 

「はぁ、話しますよ。 ですが、この話はべ、別に、私が桂香の事を好きになったとかの話ではないので、勘違いしないでくださいね!」

 

「あー、はいはい」

 

「いいからいいから、早く話なさいよ」

 

「分かりました。私が彼を好きに・・・ではなく、気にかかったのは、彼がUQホルダーに入って、五回目の任務の時の話です」

 

そう言って、夏凛は五回目の任務について語り始めたのだった。

 

 




今回は、前回登場した『不可視の魔女』の名前が明かされましたね。

そして、夏凛、桜雨、『不可視の魔女』の温泉での会話です。

それでは次回は、桂香がUQホルダーに入って、五回目の任務の時の話です。 ここで、夏凛と桂香の現在の関係に至る理由が明かされます!

それではまた次回!







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