園崎リクはジードである   作:彩花乃茶

106 / 106
 今回で「園崎リクはジードである」は最終回となります。


最終章その5 絆Infinity

~~リク~

 

「ここか・・っ!」

 

 サイバー惑星クシアに到着した僕らは警戒しながら辺りを見回してみたら、地面からは中心に赤い球体がある白い機械が飛び出てきた。あれがギルバリスか。

『宇宙に永遠の平和を築くため、不要な知的生命体は全て抹殺します』

 

 戦闘モードになったギルバリスは白い機械から両腕が兵器だらけのドラゴン型のロボットに変化する。

「「やれるものならやってみろ」」

 

「俺達がお前を止める」

 

「愛瑠さんや若葉達から繋がられた宇宙の平和のために!」

 

 僕らはそれぞれの武器でギルバリスへと攻撃を仕掛ける。

「トリニティウムブレイク!!・・・ジュァァァっ!?」

 

 オーブさんの斬撃で怯まなかったギルバリスは至近距離からの砲撃でオーブさんを吹き飛ばす。

「「ルービウム光線!」」

 

 バリアでルーブの光線も弾かれてしまって、ミサイル攻撃が僕らに向かって飛んできた。

 

 

 

 

~~ジャンナイン~

 

「ゼロ達が・・・いや、ゼロは地上に残りジード達がギルバリスと始めたようだな」

 

 兄さんが現在のゼロ達の同行を感知した。これまでは妨害電波が張られていて感知することが出来なかったけど、ジード達がギルバリスと直接戦闘になったことでできるようになったみたいだ。

 

「だがどうする?我々の力だけではあのバリアは壊せないぞ」

 

 兄さんの言う通り、地球を包み込んでいるバリアはとても強力で僕達の一斉攻撃程度では破壊しきれないほどのエネルギーを保持している。

「せめて内側からも攻撃してくれたら・・」

 

『っ・・』

 

 外と内からの同時攻撃でならと考えたが、ゼロは現在ギャラクトロンの改造機3体を相手に戦闘中でこちらに手を回せそうにない。何かほかに良い方法はないかと解析しようとしていると誰からか通信が入った。

「君は・・・誰だ?いったい何処から」

 

 通信を逆探知してみるとその相手は僕らのいる場所と丁度反対側。バリアの向こう側にいた。僕は通信の解析度を上げてその声を聞きとる。

『私はハイパーエージェント。グリッドマン』

 

 グリッドマン・・あのグリッドマンか。

『状況は把握している。私が内側から攻撃する。内側と外側からの最大攻撃でこのバリアを破壊しよう』

 

 通信以外の解析度も上げてバリアの向こうにいるグリッドマンの映像を確認すると、グリッドマンの元に4つの光が飛んできて、グリッドマンはそれと合体する。

「「「「「超合体超人!フルパワーグリッドマン!!」」」」」

 

 ただでさえ少しばかりメカニカルな姿をしていたグリッドマンはそれらと合体した事で僕や兄さん以上に『ロボット』姿となる。全長は・・・バリアのせいではっきりとは分からないが100メートルはある。エネルギー量も僕ら4人を合わせたものとほぼ互角か。

『大丈夫かグリッドマン?先日のギャラクトロン戦のダメージで少々パワーダウンしているが・・・』

 

『フルサイズのフルパワーグリッドマンなら問題ない』

 

 グリッドマンのアーマーからは他の反応も観測できた。その会話の流れの限りではあのエネルギー量でパワーダウンした状態のようだ。おそらく本当の『フルパワー』は更に強力なものだろうね。

「とにかくバリアをぶっ壊せる目処は立ったんだ!派手にぶちかまそうぜ!」

 

「私は華麗に行かせてもらうよ」

 

「タイミングを合わせるんだ」

 

「了解」

 

「おぉぉぉ!俺のこの手が真っ赤に燃える!勝利を掴めと轟き叫ぶ!必殺!爆熱ッ!最強光線!!」

 

 グレンが無駄な事を言い終えるのに合わせて僕らは一斉に必殺技を放つ。

「グリッドォォォ・・」

 

「「「「フルパワー!!」」」」

 

「「「「「フィニィィィシュ!!」」」」」

 

 そしてグリッドマンの方も強力な攻撃技で内側からバリアの破壊を試みる。ゼロ、ジード。もう少し待っていてくれ。

 

 

~~東郷~

 

「ここまでのようね。・・友奈ちゃん、ゼロ・・」

 

 満開・煌の発動時間だけでなく満開も使い果たした私達はゼロクロニカルとギャラクトロンMkⅡ3体との戦いを見上げる。他のウルトラマンにギルバリスを任せ1人のこの場を請け負ったのがこの状況。

「トライデントスラッシュ!!」

 

 大きな刃と槍の二刀流で3体のギャラクトロンMkⅡに連続切りを浴びせたゼロクロニカルだったが、流石というべきか傷ついてこそいるものの3体はまだ倒れない。

「ゼロツインスライサー!・・・チッ、やっぱり硬いな」

 

 ゼロクロニカルの胸の光が赤く点滅し出す。あの姿は変身にも幾つかの条件があるだけでなくゼロの体力を大幅に消耗してしまうらしく、変身していられるのは僅か1分程度なのよね。

「ゼロ!時間がもうないわよ!」

 

「分かってるっての!ハァァッ・・・」

 

 光の弓を作り出したゼロクロニカルはそれに力を集束させ始めたけれど、あまりにも隙だらけなその姿はギャラクトロンMkⅡ達の恰好の的となってしまっていた。

「ゼロ!!」

 

「問題ない」

 

「そうそう。満開もカプセルも使わない組ももう少し活躍を見せてやらないとね」

 

「怪獣娘の力も見せましょう」

 

「勇者のみんなほどじゃないけど、私達にだって!」

 

「あたしのウイニングボールも喰らえ!」

 

 棗さんと雪花、そして怪獣娘3人の同時攻撃で1体の攻撃の軌道が逸れる。だけどまだ完全に当たらない軌道ではない上に、他の2体も狙ったまま。

「モスラ!」

 

「バトラ!」

 

 銀とソラの指示で2体のモスラとバトラはそれぞれギャラクトロンMkⅡに体当たりをすると、そこにグクルシーサーも飛びかかって、3体のギャラクトロンMkⅡはその場に転倒する。

「っ!」

 

 だけど転倒してるギャラクトロンMkⅡのうちの1体は倒れたままの体勢でゼロクロニカル向けて光線を放ってきた。幸いにも直撃するような軌道ではないけれど、このままじゃゼロクロニカルの脚を掠めてしまいそうね。

「雀!」

 

「えっ!?いやいや無理無理無理ム~リ~~~っ!!」

 

「オラ!気合い入れろ雀!!」

 

「ファイトですわ!」

 

 雀さんの盾でそれを受け止め、芽吹さん達防人の皆さんがが雀さんを支える。

「い、生きてるぅ」

 

 おかげでゼロクロニカルには当たらなかったけど、雀さんは腰が抜けてその場にヘタレこんでしまった。

「サンキューお前ら!おかげで充分だぜ」

 

 弓に力を集束させ終えたゼロクロニカルはその射線を3体のギャラクトロンMkⅡへと向ける。

「ファイナルクロニカルゼロ」

 

 光の弓はそれそのものが矢として放たれ、3体はそれこそ魔法陣のような防御手段を用いて防ごうとしていたけれど、あの姿のゼロにそんな防御程度は意味をなさず、あっさりとその防御は敗れて矢は3体に命中した。

「フィニッシュ!」

 

 通常のゼロへと戻ると同時にギャラクトロンMkⅡは一斉に爆発する。これでようやく地上での戦いも決着がついたわね。

「あとはリクさん達の勝利を信じて待つのみ・・・ね」

 

 

~~リク~

 

『知的生命体は平和を望みながら争いを望む事も星を汚す事もやめられない。矛盾と欠陥を抱えた弱い存在』

 

「「シュァ!?」」

 

 僕らは何とかミサイル攻撃を耐え凌いだけど・・・その火力は凄まじくてオーブさんはカラータイマーが赤く点滅し出して、ルーブもロッソとブルに戻ってしまった。

『宇宙の平和のため、全てをリセットするのです』

 

「そんなの屁理屈だろ!!」

 

「凄い技術で作られたAIのクセに思考回路はポンコツか!」

 

 ロッソとブルはそれぞれスラッガーを手にして接近戦で挑んでいったら、オーブさんは光の剣を出現させる。

「そうだ。破壊の先に・・・本当の平和は築けやしない!オォォォォブ!!」

 

 剣のリング部分を回転させて空に向かって突上げたオーブさんは基本形態のオーブオリジンに戻って戦いを挑む。そしたらギルバリスは光線とミサイル、バルカンといった砲撃技のオンパレードで接近しようとする僕らを吹き飛ばした。

「ぐっ・・」

 

「痛っぇ・・」

 

 ロッソとブル、そして僕も今の攻撃でカラータイマーが点滅する。

「確かに僕達は欠点もある。いや、欠点だらけさ」

 

 風は部長のわりに大雑把だし、樹は油断すると5回に1回は料理がとんでもない事になる。友奈は悩んだら相談って自分で言ってるわりに実はあまり相談しようとしないし、東郷さんは事あるごとに国防だ。夏凜はいつも煮干しかサプリメントだし、園子は何かをいつもメモってる。霞は都合が悪いとソウルライドして影に隠れるし、銀もたまにソラと一緒になってコソコソとこっちを見てる。みんな欠点だらけだ。もちろん僕も。

「でもみんなは僕を信じてくれた。僕らには・・・絆がある!」

 

『絆?理解不能』

 

「共に助け合い、力を貸す。俺達ウルトラマンと地球にいる仲間達との力。それが絆だ」

 

「俺達はその絆を決して諦めない」

 

「繋がる絆が重なって・・・俺達の未来になってくんだよ!」

 

「みんな絆の作る未来を信じて頑張ってくれた。僕をここに送り出してくれた。僕はこれからもみんなと生きていく!」

 

 ギルバリスの弾幕を避けつつ距離を詰めた僕はギガファイナライザーの一撃を叩き込む。そして怯ませたギルバリスから距離を取った僕はギガファイナライザーのレバーを1回上下させてスイッチを押す。

「ギガスラスト!!」

 

 ギガファイナライザーから放つ光線技。正面からそれを受けたギルバリスは後ろに押し下がったけど、それでも倒れない。

「シュァ!!」

 

 ギルバリスの弾幕飛び交う中を掻い潜って背後に周った僕はレバーを2階上下させてスイッチを押し、上空からさっきのよりも強力な光線を放つ。

「ライザーレイビーム!」

 

 ジードの目みたいなエネルギーを帯びた赤い破壊光線をギルバリスに浴びせたら、ギルバリスの砲身の大部分が壊れる。だけどまだ本体には届いていない。

「僕を待っててくれる人がいる。僕を信じてくれてる人がいる。この絆が僕の力なんだ!」

 

『ウルトラマンジードのエネルギーが増幅しています。理解不能。理解不能』

 

「よし。俺達の光線で奴の装甲を破壊するぞ!」

 

「「はい!」」

 

 オーブさんはロッソとブルと同じ動作で両腕を十字に重ねる。

「「「真・トリプルオリジウム光線!!」」」

 

 3人の合体光線がギルバリスに命中したら、爆炎の中からはまるでこの場から逃げるようにギルバリス本体が飛び出てきた。

『理解不能。理解不能』

 

「逃がさない!ここで決める!」

『目覚めよ!最強の遺伝子!』

 

 ジードライザーでギガファイナライザーをスキャンした僕はスイッチを押した後レバーを3回操作する。すると隣にはそこにいないはずの愛瑠さんがいるような気配を感じた。・・・いや、いるんだ。今も僕の隣にきっといてくれている。

「僕らはみんな・・・みんなでウルトラマンなんだ!」

 

 もう一度スイッチを押した僕はギガファイナライザーに力の全てを集束させる。

「クレセントファイナルジード!!」

 

 そして全ての力が集束されたギガファイナライザーでギルバリス本体を切り裂いて、ようやくギルバリスを完全に撃破することに成功した。

「やったよ。・・・愛瑠さん」

 

 

~~ミラーナイト~

 

「よっしゃぁ!マジでできるとは思わなかったぜ!」

 

 内側と外側、両方からの同時攻撃によって地球を包み込むバリアの破壊に成功しました。すると内側にいたグリッドマンは装甲を解除するとともにジャンナインのデータベースで拝見したことのある本来の姿へと戻りました。

「貴方の協力に感謝します。グリッドマン」

 

「私1人の力では不可能だった。ウルティメイトフォースゼロの力もあってこそだ」

 

 私はグリッドマンと握手を交わすと何やらグレンは何か思うところがあるかのように腕を組んで考えている様子だった。

「どうしましたグレン?」

 

「いやよぉ、なんかミラちゃんとグリリバの声が似てるなぁって思ってよ」

 

 またグレンはグリッドマンの名前を間違えている。しかし私とグリッドマンの声はそれほど似てますかね?

「私はそろそろ行く。また何処かの宇宙で会おう」

 

 バリアが完全に消滅するとともにグリッドマンはデータになるように消えてしまいました。彼の協力なしではバリアの破壊は不可能でした。改めて心から感謝します。電光超人グリッドマン。

 

 

 

~~霞~

 

『謎の惑星が消滅しました!世界各地でデータ化されていた街や人々が元に戻っています!ウルトラマンジードです!ジードとその仲間達がまたも世界を救ってくれました!ありがとう我らのヒーロー!』

 

ジードが・・リクがギルバリスを倒してデータにされていた人達も無事みんな元に戻った。どこのニュースもジードとその仲間のおかげと賞賛の声をあげている。

「やったねリク」

 

 またリクが世界を救った。やっぱりリクは立派なみんなのヒーローだよ。

 

 

 

~~ウルトラの父~

 

「ゼロとオーブ、ロッソにブル。そしてジードがやってくれました!」

 

 ゾフィーがジード達の戦いの結果を報告してくる。それを聞いた我々は勝利を喜び、宇宙にまた平和が戻ったことに安堵する。

「ジードも一人前のウルトラマンになったのですね」

 

「あぁ。我々の未来を託せる新たな勇者の誕生だ」

 

 ベリアルの息子として生を受けたジードがよくぞここまで・・。凄い子だとは思ってはいたがタロウや宇宙警備隊では成し遂げられなかった偉業を君は成し遂げたのだ。君はもう立派な光の戦士の一員。これから先の時代を任せる事ができるウルトラマンだ。

 

 

~~リク~

 

「これにて一件落着」

 

「よくやったな。ジード!」

 

 地球に戻って変身を解いたらゼロが、ウルティメイトフォースゼロのメンバーが僕らの前に着地してきた。前は帰るタイミングを知らなくてちゃんと言えなかったけど、今回はちゃんと言おう。

「ありがとうゼロ!ウルティメイトフォースゼロ!」

 

 言えた。今回はちゃんとゼロにお礼を言えた。

「へっ、良いって事よ」

 

「騎士として当然の事をしたまでだ」

 

「あっ、ちょ、前に立つなよ!被ってんだろ!」

 

「うぅむ・・」

 

「どうしたの兄さん?」

 

 ジャンナインは僕をジッと見ているジャンボットを気にかける。

「いや、誰かに似ているような・・」

 

どうやら僕は誰かに似ているらしい。もしかしたらベリアルに似ていると言われるのかと少し心配したけど、ジャンボットは予想外な事を言ってきた。

「すまない。ちょっとジャンファイトと言ってみてくれないか」

 

 ジャンファイト?横でなんかゼロも「確かに」なんて納得してるし。その横でグレンファイヤーが「何言ってんだ?」って言ってるけど。まぁいいや。とにかくやってみよう。

「ジャ~ンファイト!!」

 

 それっぽいポーズを決めながらジャンファイトを叫んだ。さぁ、どうだろう?

「何か違う」

 

 せっかくやったのに違う扱いされてしまった。ゼロもまた「確かに」なんて納得してるし。

「何だそりゃ。お前何処か壊れてんじゃねぇか焼き鳥!」

 

「焼き鳥ではない!ジャンボットだ!」

 

「あ~あ~うるっせぇなったくよぉ」

 

「ハイ、どうもサーセン」

 

「とにかくだ。この地球は任せたぜリク!いや、ウルトラマンジード!」

 

 僕にこの地球を「任せる」と言ってくれたゼロはウルティメイトゼロに変わる。

「カプセルはこのままお前らに預けておくぜ」

 

「ゼロも頑張ってね!私も勇者部、頑張るから!」

 

「あぁ。『勇者部7箇条1つ。なるべく諦めない!』だろ!これからもリクを支えてやってくれ」

 

 友奈と別れを済ませたゼロは空に次元の穴を作り出す。

「ゼロ!・・・またね!」

 

「・・・オウ!」

 

 最初の頃、ゼロと色々あった銀は改まった顔で「またね」と言うとゼロもそれに頷いて、他のウルティメイトフォースゼロのメンバーと一緒に次元の穴に飛び去っていった。

「・・あっ・・」

 

 一瞬、岩陰の方に愛瑠さんが見えた気がした。いや、確かに愛瑠さんがいた。愛瑠さんは今も僕を見守ってくれているんだ。

「ありがとう愛瑠さん」

 

 僕には仲間がいるんだ。勇者部っていう大切な仲間が。みんなとならどんな困難だって乗り越えていける。そうだよね愛瑠さん。だって僕らは・・・みんなでウルトラマンなんだから。

 

 

 

~~ガイ~

 

「さてと、俺もそろそろ行くか。ん?」

 

 風呂屋から出た俺はそろそろこの地球を去ろうとするとシーサーのようなぬいぐるみを持ったジャグラーと出くわした。

「なんだ。お前さんそんな趣味を持ってたのか」

 

 随分と可愛い趣味を持ってるじゃないか。

「ちげぇよ。沖縄土産だって勇者部の連中が押し付けてきたんだよ」

 

 押し付けられたものを素直に受け取るとはこいつも丸くなったもんだ。

「あ~あ。てめぇより先にギルバリスの弱点を見つけてやろうと思ったらとんだ災難だぜ」

 

「フッ、そういうところは相変わらずだな」

 

「てめぇと決着をつけるまで死んでも変わってやるもんか」

 

 変わらない・・か。そうだな。お前はそういう奴だよ。

「ジャグラー様ぁぁ~~!」

 

 聞き覚えのある声が近づいてきた。ジャグラーの追っかけをしているどこぞの元・女王様のビランキだ。

「チッ、ここまで追いかけてきやがったか。しつこいやつだ」

 

「しつこいのはお前も一緒だろ。・・・あばよ」

 

 ジャグラーの横を通り過ぎようとしながら、俺はジャグラーに別れの言葉を告げる。こいつとは腐れ縁だ。また何処かの宇宙で会うこともあるだろう。時に敵として剣を交えて、時に仲間として並び立つ。俺達はこれからもそういう仲だ。

 

 

 

~~芽吹~

 

「メブ~。これ、お土産に買っていこうよ~!」

 

 戦闘では頼りなくしていた雀はどこへやら、お土産屋を散策する雀はイキイキとしていた。

「カツ兄!これアサヒが好きそうじゃね?」

 

「そうだな。1つ買ってくか。それと父さんと母さんのお土産も・・・」

 

 湊兄弟もギルバリスとの戦いをした事など忘れたかのようにお土産を見て回ってる。

「数時間前まで沖縄が戦場だったのに、もう営業を再開しているここの営業魂はある意味勇者」

 

 しずくはここのお土産屋の営業魂を賞賛しつつ、いつの間にか買ったソーキソバを食べている。

「私も何か・・・あぁ!お財布を持ってくるのを忘れていましたわ!」

 

 弥勒さんも少し抜けているのは相変わらずのようで。

「亜耶ちゃんは何か欲しいのはある?買ってあげるわよ」

 

「えぇ。そんな悪いですよ」

 

「気にしないで。亜耶ちゃんのおかげで私達も戦えてるってところがあるんだから」

 

 亜耶ちゃんが支えてくれるから私達は防人として戦えているのだから、少しぐらいお礼をさせてほしいわ。

「ではお言葉に甘えて・・・どれにしましょうか」

 

 防人であろうと勇者であろうと関係ない。私達は私達としてこれからも力の限りを尽くしていく。それが私たちの戦いよ。

 

 

~~棗~

 

「ありがとう愛瑠」

 

 グクルシーサーの石像の前、愛瑠へと花を添えた私はペンダントを握りしめる。

「グクルシーサー。共にこの海を守っていこう」

 

 私の言葉に応えるようにグクルシーサーの雄叫びが聞こえる。愛瑠、この海を守りたいというお前の意思。私が受け継いだ。この意思、これからも繋げていこう。

 

 

 

 

~~友奈~

 

「あ~今回も大変だったわね」

 

 無事香川に帰ってきたら風先輩は一安心したようにため息をついた。

「今回もピンチの連続だったもんね」

 

「ホントだよ!何度、どうにもならねぇ~!って思わされたか」

 

「ギャラクトロンがたくさんでてきた時はもう逃げようかな?って思ったよ」

 

 志保先輩と響先輩、そして雪花ちゃんも今回は諦めちゃいそうなギリギリだったっぽい。

「何とかなったのはゼロさんだけじゃなく、他の皆さんもいたおかげですね」

 

 樹ちゃんの言う通りゼロだけじゃなくウルティメイトフォースゼロや湊さん達。そしてガイさんとジャグラーさんがいたから私達は諦めずに勝つことができたんだ。

「果てしない光の繋がり。それが絆。遥かな絆があったから勝てた」

 

 希美先輩はちょっと難しい事を言ってる。

「・・・でもやっぱり惜しい事をしたわね。ちょっとでもジャグラーから剣を教わるべきだったわ」

 

 夏凜ちゃんはジャグラーさんから剣術を教われなかったのをちょっと悔しがってる。

「すぴ~・・」

 

「こら園っち。立ったまま寝ないの」

 

 東郷さんは立ったまま寝ちゃってる園ちゃんを起こそうとしながらも私の方を見た。

「ありがとう友奈ちゃん。今回もみんなを守ってくれて」

 

「そんなことないよ。みんなが私とゼロを守ってくれなかったら結構危なかったもん」

 

 みんなの勇気があったから。みんながいてくれたから私は・・・私達は勝てたんだ。

「みんなの勇気が私を支えてくれた。1人じゃなかったから怖くなかったんだ」

 

 違う場所で生まれて、違う時を生きて同じ場所にたどり着いた私達。たくさんの出逢いが、たくさんの奇跡があった。

 

 これからも私達はこの勇気のバトンを繋げていく。きっとそれが誰か、未来の勇者の勇気に繋がっていく事を信じて。

 

 

 

 

~~銀~

 

「帰ってきましたね。香川に」

 

「そうだね。今回も大変だったよ」

 

 無事沖縄から香川に帰って来た。みんなを見送ったついでにあたしとリクさんはジャンケンに負けて買い出しに出かけていた。

「そういえばソラの姿がなかったんですけど・・・」

 

「ソラなら瑠兵衛さんのところに沖縄お土産を渡しにいくって帰ってきて早々に出て行ったよ」

 

 ソラのやつ、いつの間にかだいぶ瑠兵衛さんに懐いたなぁ。

「ありがとう銀」

 

「えっ?どうしたんスかいきなり?」

 

「今回の件で気づいたんだ。僕がウルトラマンでいられるのはみんながいてくれるから・・・僕らはみんなでウルトラマンなんだなって。だからありがとう銀」

 

 なんか・・・改めてこうお礼を言われるとテレちゃうな。

「こっちも・・・。ありがとうリクさん。リクさんがウルトラマンジードだからあたし達は、この地球のみんなが生きてるんです」

 

 あたし達はみんな生きてる。同じ時代の地球に。勇気の絆を感じて。

「愛瑠さんだけじゃない。若葉さんたちもリクさんがウルトラマンジードで良かったって思ってますよ」

 

 今を生きてるみんなだけじゃない。若葉さん達西暦の時代から・・・いや、もっと前から勇気のバトンは繋がってる。前のあたしは1人よがりだった。けどもう今は1人じゃない。みんなからたくさんの勇気を貰えた。だから勇気を出してこの想いを伝えよう。

「リクさん。あの・・・っ!!」

 

 この絆はきっと無限に繋がっていく。明日に。未来に向かって。

 

 

 

 

 

 

~~リク~

 

 

「ここが光の国・・・。父さんの故郷」

 

 ギルバリスとの戦いからそれなりの月日が流れて1年後の高校最後の夏休み。僕は初めてベリアルの・・・父さんの生まれ故郷である光の国へとやってきていた。光の国はその名の通り眩い光に満ちた国で・・・そこにはたくさんのウルトラマンがいた。

「・・・っ!」

 

 干渉に浸っていたら空から黒い靄のようなものが少し先に落ちてきた。

「光の国、ウルトラの星など破壊してくれる!」

 

 何だか分からないけど悪いヤツなのは確かみたいだ。

「ジーッとしててもドーにもならねぇ!」

 

 そんな相手を見過ごすわけにもいかなかった僕はその相手のところへと駆け出して、向かい立つ。

「何者だ貴様!」

 

「僕はジード!ウルトラマンジードだ!」

 

 僕はこれからも戦い続ける。ウルトラマンとして宇宙の平和を・・・繋いだ願いを守るために。

 

 

 

 

 園崎リクはジードである 勇者の章 Fin

 




 約一年半もの間お付き合いいただきありがとうございました。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。