園崎リクはジードである   作:彩花乃茶

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今回からオリジナル融合獣を登場させていこうと思います。


最後まで生きる

~~リク~

 

「なぁ霞。気づけば星雲荘も人が増えたよな」

 

「そうだね。最初はボクとリクしかいなかったのに・・・気づけば住人が6人だもんね」

 

 この地下基地に来たばかりの時は僕と霞だけだった。若葉がここにやってきてこの場所の名前が星雲荘になって・・・銀を助けた翌日からひなたが大赦で用意されていた宿舎を出てここに来た。そして歌野の事後処理が片付いた今日から球子と杏も星雲荘入りして6人というわけだ。

「それにしても凄いなぁここは!まるで秘密基地みたいだぞ!」

 

「みたいじゃなくて実際秘密基地なんだよタマっち先輩。・・・ご、ごめんなさいリクさん。タマっち先輩が騒がしくしちゃって」

 

「いやいいよ。たしか2人は昨日まで大赦の方で用意してもらったホテルにいたんだよね?」

 

「あぁ。初代勇者組だってことでベッドは凄いし、出される料理も豪華だったんだがなぁ・・何かずっとあの仮面の連中に監視されてるようであまり気は休まらなかったな」

 

 確かに大赦の人のあの仮面ってなんか怖いよね。威圧的というか圧迫感というかさ。

「神樹様に呼ばれた初代勇者メンバーということで丁重に扱ってくれるのは有難いことなのですが・・・そのせいで大赦の宿舎にいるとかなり行動が制限されていたんですよね。説得するのに中々骨が折れました。結局園子さんの協力を仰ぐ形になってしまいましたし」

 

 ひなたですら説得が難しかったのか。

「というかどうやって説得したの?大赦の用意してくれてる宿舎を出て自分達だけで暮らすって・・・」

 

 もしかしてこの地下施設バレたりしてないよね?

「園子さんの家に行くと半ば無理やりですね」

 

 確かに無理やりだ。下手をするといないってバレちゃいそうなぐらい。

「なぁなぁ、だんだんタマ達も揃ってきたしここ丸亀城って名前に改名しないか?」

 

「駄目だよタマっち先輩。家主はリクさんなんだから」

 

「は、ハハ・・。ところで揃ってきたって言ったけど、西暦組のメンバーはまだ何人かいるの?」

 

 あと10人とかだったら流石に部屋の数が厳しくなるかもしれないし・・・残りの人数は確認しておこう。

「あと2人だな。千景と友奈だ!」

 

 えっ?友奈?友奈ならいるけれど・・・西暦組にも友奈がいるってこと?

「郡千景さんと高嶋友奈さんの2人です。千景さんはシャイな方で、友奈さんは驚くほど結城さんにそっくりですよ」

 

 ひなたがいつも友奈のことを結城さんって呼んでいたのはもう1人「友奈」がいたからなんだ。

「ところでリク。そろそろ集合時間じゃない?」

 

「あっ!そうだった!それじゃ僕は部活に行ってくるから!」

 

 そういえば今日は讃州中学の勇者部と合同で海のゴミ拾いだった!

「レム!海まで・・・」

 

「駄目だ。幾ら時間がないからと言って非常時でない限りエレベーターを頼るなと言ってるだろう。そのためにこの間自転車を買ったんじゃないか」

 

 日ごろから鍛えろと言ってくる若葉はこう言ったことには厳しくて・・・僕は渋々遅刻を覚悟しながらエレベーターで展望台まで上がって、そこから自転車で集合場所へと向かった。

 

 

 

~~杏~

 

「はぁ・・・」

 

「どうしたあんず?元気がないな?」

 

 私がため息をついていたらタマっち先輩が心配そうに私に声をかけてきてくれた。

「何か悩み事か?タマに分かる範囲でなら相談に乗るぞ」

 

「タマっち先輩はさ。私達が1回死んじゃった時の事を覚えてる?」

 

「・・・はっきりと覚えてるってわけじゃないが、ポックリ逝ったって自覚はあるな」

 

 やっぱりタマっち先輩もバーテックスにやられて一度死んだっていう自覚はあるんだね。

「私達はこんな世界の危機だからってことで神樹様が用意した体に魂が入れられているんだって・・・ひなたさんが言っていたの」

 

 私達はもうとっくの昔に死んでいるんだったら極力今の時代の人達と関わらない方がいいんじゃないかな?

「もしかしてこっちに来てからずっと元気がなかったのはそのことを気にしていたからか?」

 

 タマっち先輩・・。気づいてくれたんだ。

「ほらサッカーとかでタマにあるだろ延長戦。・・・えと、お・・オバ・・オーバーロード?」

 

「オーバータイムだよね?」

 

「そう!それそれ!オーバータイムだ!・・・あんず、確かにタマ達はもう死んでるよ。だけどな・・・もう死んじゃってるから今の時代の人達とは関わらないって考えをしてるんだったら・・・それは間違いだぞ」

 

「えっ?」

 

 まさかタマっち先輩にそこまで考えを読まれてたなんて。

「え・・?もしかして図星だった?何となくそれっぽいこと言ってみただけだったんだがなぁ」

 

「そ、そうだよね。まぁタマっち先輩らしいというかなんというか・・」

 

 タマっち先輩はここに来ても私の知ってるタマっち先輩でいてくれるんだね。

「ねぇタマっち先輩・・・確かに私達は一度死んでいて、この体は仮のものだとしてもだよ。それでも痛みは感じるし、お腹も減るし眠くもなる。生前と何も変わらない。だからせめて今度は最後まで生きよう」

 

 きっと私達が『生きて』いられるのはベリアルに組する造反神の問題が解決するまでだと思う。数年単位で戦うことになるかもしれないし、明日にでも戦いが終わるかもしれない。だから・・・生きれるだけ最後まで生きてみたい。タマっち先輩と一緒に。

「あぁ。あんずは今度こそ絶対タマが守るからな」

 

「私も。タマっち先輩を絶対守るから」

 

 

 

~~ひなた~

 

「あぁ。あんずは今度こそ絶対タマが守るからな」

 

「私も。タマっち先輩を絶対守るから」

 

「・・・・」

 

 困りました。レムさんにお話があって中央指令室に来たのですが、何だかあのお二人が良い雰囲気で入ることが出来ません。

「何をしているんだひな・・・はぐっ!?」

 

 私は若葉ちゃんの口を塞いで静かにさせるともう少しだけお二人の様子を見守ろうと中を覗き観ようとすると・・・

「い、いきなり何をするんだひなた!!」

 

 若葉ちゃんは私の手を除けて大声を出してしまいました。そのせいでお二人も私達に気づいてしまったようです。

「えっ?若葉さんにひなたさん!?いつからそこに?」

 

「私はついさっきだ。ひなたは私よりも前にいたようだがな」

 

「バレてしまってはしょうがないですね。話は途中から聞いていましたよ。・・・私のお伝えしたことで杏さんを不安にさせてしまって申し訳ありません。巫女は勇者の皆さんをサポートするのが役割だというのに・・」

 

 私は杏さんと球子さんに頭を下げました。不安にさせてしまったこともありますが、その事でお二人が良い雰囲気になっていた事にワクワクしてしまっていたことも含めてです。

「い、いえ。ひなたさんが謝るようなことじゃありませんよっ」

 

「そうだぞ。むしろはっきりと言われたから今後どうするかがはっきりしたぐらいだからな」

 

「今後がはっきりした?それはどういうことだ?」

 

「タマ達の『今』があるかぎり、タマ達も今を生きる。そう決めたんだよ」

 

 確かに神樹様が特別に肉体を与えてくれている『今』はおそらくそれほど長くないでしょう。

「とりあえずあれだな。何かバイトでもしてみるか!」

 

「そうだねタマっち先輩!」

 

 球子さんと杏さんはさっそくと言わんばかりにリクさんがテーブルに残していたままの求人募集を確認し始めました。

 

 

 

~~リク~

 

「これが今日のゴミ拾いをする範囲と注意点だけど、何か質問はある?」

 

 それぞれの自己紹介をした後、部長の風がゴミ拾いをする範囲と注意点を説明してくれた。元讃州中学勇者部部長だけあってみんなその指示に従ってるね。

「そんじゃ散会」

 

 僕らは散らばってそれぞれ海に流れ着いているゴミを集め出す。

「てっきり勇者ってさ、なんかこうこうめっちゃ勇者として訓練された厳格な集団ってイメージがあったけどそんなことはないんだな。フレンドリーで安心したよ」

 

 響は勇者をまるで軍隊のような厳しい集団だと思っていたらしいけど、全然そんなことはなかったので安心していた。

「風があんなカンジなんだからそんなわけないじゃん」

 

「あっ。それもそうか」

 

 僕と響はあの自称『女子力女王』の風へと視線を向けると、それに気づいた風がこちらに振り向いた。

「ん?2人ともこっちを見て?もしかしてアタシの圧倒的女子力で見惚れちゃった?」

 

「・・・話を聞く限りだと勇者として訓練を受けてるのは東郷と園子。それと夏凜の3人だけらしいよ」

 

「ちょ、スルーしないで!・・・まぁ、いくら勇者って言っても私達はまだ学生ってことよ。そんな『私が勇者として世界を救うんだ』なんてストイックな考えをしてんのなんて勇者部に入部したばかりの頃の夏凜ぐらいよ」

 

 夏凜がかぁ・・納得。

「おいこらそこ。何納得しらような顔してんのよ!・・・確かにあの頃は完成型勇者としてあたしがっては考えてたけど・・・今は勇者部の部員としてって考えにちゃんと変わったわよ」

 

 顔を赤くしながらも夏凜は勇者部に出会えて変われた事を告げる。

「夏凜・・」

 

「な、何よ?」

 

「ナイス、ツンデレ」

 

「だ、誰がツンデレよ!!」

 

 このツンデレのお手本みたいな夏凜のように志保たちも少し変われるキッカケにしてあげれればいいんだけどな。

 

 

 

~~???~

 

「さぁ、いよいよ決勝戦です!」

 

「・・・・・」

 

 300年後の世界へとやってきてから一カ月。だんだんとここでの生活に慣れてきた私はとあるゲームセンターで格闘ゲーム『ノックアウトファイター6』の大会へと出場していた。

「輝く流星の如く現れた天才ゲーマー!Cシャドウ!」

 

 郡千景。それが私の名前。乃木さんがこの時代の勇者と一緒になって怪獣やバーテックスと戦っているのは知ってはいるけれど・・・私は彼女達と合流せずに行動をしている。

「優勝は天才ゲーマーCシャドウだぁぁぁ!」

 

 この時代で戸籍がない私はこうして賞金の賭けられたゲームの大会を転々としてお金を稼ぐしかない。戸籍さえあれば正式なプロゲーマーとしてスポンサーが付いたりしてもっと稼げるけれど、今は一日に2~3か所の大会に出て交通費とかが引かれたりして手取り2万円ぐらいが限界ね。まぁ大会がない日とか負けた日は一円も稼げないけど。

「ふぅ・・。今回は少し危なかったわね」

 

 私がこんな生活をしながら行動をしている理由は1つ。一緒にこの時代に来たはずの高嶋さんが黒い何かに憑りつかれてしまったから・・・つまり高嶋さんを守るためだ。私の大切な友達の高嶋友奈さんにはその黒い何かが憑りついたままの状態なの。

「やったねぐんちゃん!」

 

「・・・えぇ、ありがとう」

 

 憑りつかれていると言っても・・・本人に自覚はないのか、それとも今の高嶋さんがその黒い何かが高嶋さんを演じているのか・・・あまりにも私の知っている高嶋さんだから判断がつけられない。そんな今の高嶋さんをつれたまま乃木さん達と合流してはいけないのは・・・アイツのせいだ。

「ぐんちゃんの試合も終わった事だし、私はバイト探しに行ってくるね!」

 

「えぇ、気を付けて」

 

 ゲームセンターを出ると高嶋さんはバイト探しをしてくると別行動を取り始める。

「ごきげんよう郡さん」

 

 すると気に入らない男・・・伏井出ケイが高嶋さんと入れ違いになる形で話しかけてきた。

「・・・お仕事の依頼ですよ。郡千景さん」

 

「・・・嫌よ」

 

「貴女は断る事はできないはずだ。貴女が断ると言うのなら・・・高嶋友奈さんがどうなることやら・・」

 

 この男は高嶋さんに黒い何かが宿っていることを知っていて、唯一高嶋さんから黒い何かを取り祓うことができる可能性がある人物だ。だけどこの男はそれを良い事に私を脅迫し・・・怪獣娘と言う勇者に似てるようで根本的に違う連中から『力』を奪うように告げてきた。

「・・・高嶋さんから黒い何かが離れたら真っ先にその首を掻っ切ってあげるわ」

 

 この300年後の世界では何処で歴史が変わったのか東京や諏訪どころか海外もバーテックスに滅ぼされてないものになってた。そしてコイツに怪獣娘の力を奪わされているうちに何となく気づいた。この世界には宇宙人ってのが潜んでいるって。乃木さんが宇宙人らしき存在と戦うのに気づいた。ナックルとかいう白い毛皮を着てるようなのをだ。この男はマーキンドとかいう虫顔の商人から怪獣カプセルを買っていたし・・・間違いなく地球人じゃない。なら今は人の姿をしていようと何のためらいもなく切ることができる。

「それは承諾してくれた。と受け取ってもよろしいですね。・・・今回のターゲットなのですが・・・」

 

 だけど今の私には高嶋さんのためにも伏井出ケイの指示に従うしか選択肢はなかった。

 

 

 

~~伏井出ケイ~

 

「ではターゲットの説明は以上です。ライザーは持っていましたね」

 

「えぇ、白鳥歌野さん・・・だったかしら?彼女が落としたライザーを回収したものならね」

 

「貴女はこちら側の勇者ではないので通常の手段ではフュージョンライズすることは不可能ですが・・・ちょっとした裏技を使いますか」

 

 そう告げた私は勇者へと変身するアプリが入っているスマホを取り出す。

「これを使って勇者に変身した状態でなら、フュージョンライズが可能なはずです」

 

「・・・私達の使っているスマホとは違うってことよね」

 

 当然郡千景は警戒をしてくるが、彼女はこれを使わざるえない状況のため渋々それを手に取った。

「・・・・っ」

 

 そしてアプリを起動して勇者としての姿へと変わる。

「衣装に変化はないのね・・」

 

「衣装に手を加えるのはしていませんが・・・勇者システムはこの時代のデータを盗み出して作り上げた最新型にフュージョンライズを可能とする機能を追加したものです。確か貴女が今現在確保しているカプセルは・・・」

 

「これよ」

 

 ケンドロスとパズズ。それとサタンビゾーか。フュージョンライズできる組み合わせはないな。

「これをお使いください」

 

 私はひとまず郡千景にゼットンの怪獣カプセルを渡す。

「そのゼットンのカプセルとサタンビゾーのカプセルでならフュージョンライズができるはずです」

 

 あとはまぁ・・・作戦通りフュージョンライズして樹海で適当に暴れていてくれていいだけだがゼロもきっと現れてしまうはずだ。

「先に手を打っておくか。・・・ハイパーゼットンデスサイス」

『ハイパーゼットンデスサイス!』

 

 ハイパーゼットンのカプセルを起動した私はそれをナックルへとセットしてライザーでスキャンをする。

「エンドマークを打ってこい!」

 

 ライザーから放たれた光によってハイパーゼットンが召喚される。流石にハイパーゼットンクラスとなればジードではなくウルトラマンゼロが動かざる得ないはずだ。

「さぁ、ハイパーゼットンがウルトラマンゼロをしてくれます。その間にお願いしますよ」

 

 

 

 

~~友奈~

 

『友奈!怪獣の気配だ!』

 

「えっ?ホントに!?」

 

 ゼロが害獣の気配を感じたらしいから私はすぐにナックルを触ってレムさんに確認をした。

「レムさん、怪獣が現れたって本当に?」

 

『はい。場所は丸亀市。丸亀城前にハイパーゼットンデスサイスが出現しました』

 

『ハイパーゼットンだと!?・・・となるとジードじゃ難しいな。友奈!俺らで何とかするぞ!風たちからカプセルを!』

 

「分かったよ」

 

 私は急いでリクさん達と一緒にゴミ拾いをしている風先輩のところに向かう。

「た、大変です風先輩!ハイパーゼットンって怪獣が現れたらしいです!」

 

「怪獣!?分かったわ!ゴミ拾いは一旦中止してみんな集合!」

 

風先輩の声で合同勇者部が集まって来た。

「ハイパーゼットンって怪獣が現れたらしいわ。私は讃州中学の勇者部と一緒に怪獣の対処に向かうから響たちは・・・」

 

「おいおい水臭いこと言うなよ部長。確かにあたし等は勇者ってわけじゃないけどさ、戦える力はあるんだっての。ソウルライド!」

 

 スマホをタッチした響さんはピカって光って怪獣のコスプレ衣装を着たような姿に変わった。

「へぇ、それが自己紹介の時に言ってた怪獣娘ってやつなのね」

 

「何だか勇者システムと似ていますね。スマホで変身するところとか」

 

 夏凜ちゃんはその変身をみて関心してたら、樹ちゃんは私達と同じくスマホで変身していたことを気にしていた。確かに似ているよね。

「えっ?勇者もスマホで変身すんの?」

 

「そうだよ。それじゃ・・・勇者にな~る!」

 

 東郷さん達からカプセルを預かってアプリを起動した私は勇者の姿に変身したら響さんと志保さんは驚いた顔をした。

「へぇ、確かに似てるなぁ」

 

「似ているけど根元から違うっぽいね。私達の勇者システムはアプリに依存した変身だけど、そっちのは何というかこう中にある力の蓋を開けてるみたいな感じかな?」

 

 園ちゃんは1回見ただけで怪獣娘の力がどんなものかを分かったっぽいけど・・・ごめん。その説明じゃ私には難しくて分からないよ。

「その通り。私達には怪獣の魂が宿っていて別にこのスマホ・・ソウルライザーが無くても感情で変身はできるの。けれどこの力は暴走しやすくてソウルライザーは安全に力を使うための制御装置」

 

 希美先輩は私達にそっちのスマホの事を説明してくれた。そっちは必ずそれが必要ってわけじゃないんだね。

『おい友奈。話はそこまでにしろ。いい加減ハイパーゼットンをぶっ倒しに行くぞ』

 

「あっ、ごめんね。すみません風先輩!私先に行きますね!」

 

 ゼロに催促されたから私はすぐさま跳び上がって丸亀城の方に急ぐ。ここからならたぶんエレベーターに乗っていくよりも、こうした方が早そう。

「あっ!あたし等も行くって!」

 

 響さんも私の後を追って付いてきちゃった。

「どうしようゼロ。響さんの前で変身しちゃっても大丈夫?」

 

『あんま良くねぇな。出来れば勇者メンバー以外にバラさない方がいい。ハイパーゼットンのところに行くまでに頑張って振り切れ!』

 

 無茶ぶりされちゃったよ。でもまぁ・・なるべく諦めないでやってみよう。

「飛ばします!」

 

「えっ、ちょ・・速っ」

 

 頑張って後ろを付いてくる響さんと距離を取った私は建物の物陰に隠れてゼロアイを取り出した。

「ジュァ!」

 

 ゼロアイをつけてウルトラマンゼロに変身してハイパーゼットンの前に着地したら、ゼロは何故か辺りを見渡した。

『どうしたのゼロ?』

 

「たぶん伏井出ケイが召喚したんだろうと思ったんだが・・・見当たらねぇな。まぁいい、行くぞ友奈!」

 

『うん!』

 

 ゼロスラッガーを両手に持ったゼロはハイパーゼットンに向かって斬りかかったけど、ハイパーゼットンはシュパっと消えてゼロの真後ろに現れた。何これ?瞬間移動?

「ゼットォン・・」

 

「ぐおっ!?」

 

 いきなり後ろに瞬間移動してきたハイパーゼットンの鎌で切られたゼロは背中から倒れちゃう。ゼロが先手を打たれちゃうなんて本当にこの怪獣は強いんだね。

『ゼロ!全力を出していこう!』

 

「あぁ!俺に限界はねぇ!」

『ネオ・フュージョンライズ!』

『ウルトラマンゼロビヨンド!』

 

 ゼロビヨンドに変わったゼロはすぐに起き上がって体勢を立て直した。

 

 

~~千景~

 

「あっちの戦いが始まったわね」

 

 ゼロとハイパーゼットンの戦いが始まった。そろそろ私も動かないといけない。

「ゼットン・・。サタンビゾー・・」

 

 私は伏井出ケイから渡されたゼットンのカプセルと先日怪獣娘の1人から奪った力のサタンビゾーのカプセルを起動してナックルにセットする。

「ゲームスタートよ・・」

『フュージョンライズ!』

 

 そして白鳥歌野から回収したライザーでナックルをスキャンしたら・・・ライザーが紫色に輝いてカプセルの力が解放された。

『ゼットン!』

『サタンビゾー!』

『ウルトラマンべリアル!ゼータビゾン!』

 

 カプセルから解放された力が私を包み込むと・・・私はゼットンとサタンビゾーの力を宿す黒い魔獣・・。ゼータビゾンへと変身してしまった。

「・・・ここは・・樹海?」

 

 ここまで来たらやるしかない。そう決意を固めると、いきなり花びらに包まれて私の目の前にはよく知る樹海の世界が広がっていた。ステージのセレクトは強制なのね。まぁ街中で暴れるってのは気が引けるからこっちの方がいいけど。

「ミッション開始」

 

 

 

~~リク~

 

 

「ここは・・・樹海・・?」

 

 友奈の後を追いかけようとしていたらいきなり辺りが樹海化してしまった。だけどゼロと、ゼロと戦っているっていうハイパーゼットンの姿がないってことは融合獣が現れた時の簡易結界ってことかな。

「リク!左の方を見て!」

 

 風に言われて左の方を向いてみたら黒い怪獣が僕達を狙うようにこっちを向いていた。

「レム、あの怪獣は?」

 

『ゼットンとサタンビゾーの融合獣です。名称はゼータビゾン』

 

 融合獣だって!?・・・銀も歌野ももうライザーを手放しているし、可能性があるとすれば伏井出ケイ本人か歌野のライザーを奪っていったあのフードの相手だよね。

「どうするリク?」

 

「決まってるさ。戦って真相を確かめる。ジーッとしてても、ドーにもならねぇ!」

『フュージョンライズ!』

 

「決めるぜ覚悟!ジィィィィィ」

『ウルトラマン!』

『ウルトラマンべリアル!』

『ウルトラマンジード!プリミティブ!』

 

 ジードへと変身した僕はゼータビゾンの前へと着地して構える。

「お前は・・・誰だ?目的は何だ?」

 

「・・・・・」

 

 しゃべらない。・・・答える気はないってことか。ならやっぱり戦うしかないよね。

「シュァ!」

 

 ゼータビゾンに飛びかかった僕は膝蹴りからの両手を大きく広げての引っ掻く追い討ちをかける。この間のグランドキングとは違って滅茶苦茶硬いって訳でもなく僕の攻撃でも通る。これなら僕1人でも勝てる。そう思った矢先のことだった・・。

「えっ?」

 

 いきなりゼータビゾンが7体になって僕を取り囲み、一斉に火球を放ってきた。

 




ウルトラナビアプリ

ウルトラマンビクトリー
身長 ミクロ~無限大
体重 0~無限大
得意技 ビクトリウムシュート

 地底世界の勇者であるビクトリー、その最大の特徴はスパークドールズをリードすることで右腕を怪獣の一部に変化させ、自らの力として扱うことのできるウルトランスです。幾つもあるウルトランスの中でも絆が深い聖獣シェパードンの力を用いたシェパードンセイバーを用いた剣戟を得意としているようです。

ウルトラマンX
身長 45メートル
体重 4万5千トン
得意技 ザナディウム光線

 サイバーウルトラマンであるエックスは自身をデータ化させることで電脳空間での活動も可能とし、電子機器などのデバイスに入り込むことも可能としています。それの応用としてサイバーカードをロードすることで様々なサイバーアーマーを纏って様々な戦術を用いて戦います。

次回「驚異の七人御先!怪獣娘の力、お借りします!」

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