園崎リクはジードである   作:彩花乃茶

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お気づきかもしれませんがモスラのモデルはそれぞれ平成3部作モスラとアニメゴジラ(小説)です。


みんなの希望 キングの奇跡

~~友奈~

 

「20時間経過。よし、行くか」

 

 作戦決行時間になったゼロは私と交代して月に向かおうとしていたら、モニターの画面に何かが空に向かって飛んでいくのが映った。

「あの蝶みたいなデッカいやつ。あれがモスラなのかゼロ?」

 

 球子ちゃんはモニターに映る怪獣がモスラなのかをゼロに確認したら、ゼロは頷きながら答える。

「あぁ、前に見たのと翅の色とか顔つきとかは何か違うが確かに2体ともモスラだ。あいつ等も一緒ってなると心強いぜ。シュァ!」

 

 ゼロはゼロアイをかざして光に変わったら星雲荘をすり抜けながらウルトラマンゼロとしての姿に変わった。

『行こうゼロ!モスラ達と一緒にリクさんを助け出そう!』

 

「あぁ!俺達に限界はねぇ!!」

『ウルトラマンゼロビヨンド!』

 

 月に向かって飛びながらゼロビヨンドに変身したゼロはキメラベロスっていう融合獣になっているベリアルの前に着地した。

「来たか・・」

 

「待たせたなベリアル。ったく何度も生き返りやがって」

 

「お前との戦いは血が滾る」

 

「・・・行くぞ!」

 

 駆け出したゼロビヨンドはベリアルに蹴り込んだけどまるで怯まない。

「ハァっ!!」

 

 ならこれならと残像が残っちゃうぐらい早い連続パンチでベリアルを殴りつけたけど、ベリアルはダメージを受けてるようには見えなかった。

「フン!!」

 

「ぐっ!?」

 

 ベリアルの攻撃を受けたゼロビヨンドは背中から倒れ込んだ。

『な、なんだか前よりタフになってない?』

 

「タフなだけじゃない。力も増している。ジードを取り込みつつあるからだろうな」

 

 ジードの力が・・・リクさんがどんどんベリアルに溶けだしてるって事だよね。

『早くなんとかしないと!』

 

「分かってる。・・・あれは・・?」

 

 何とかリクさんを助けようと立ち上がったら月に向かって飛んで来る2体が見えた。ここに来る途中追い越していたモスラ達だ。虹色の翼のモスラは触覚からビームを飛ばしながらベリアルに近づく。

「虫けらが・・!」

 

 モスラをうっとおしいと思ったっぽいベリアルは光球で虹色のモスラを撃ち落そうとしたら、黄色い翼のモスラが金色の粉みたいなのを飛ばして、光球を跳ね返した。

「・・・ッ!」

 

 流石のべリアルもそれには予想外だったっぽくて驚いたようにモスラに視線を向けたら、尻尾で黄色い翼のモスラを締め上げて、虹色のモスラに放り投げてぶつけた。

「やはり物理的な攻撃には弱いか」

 

 たった数十秒でモスラを攻略したベリアルはこっちに向き直す。

『ゼロ!モスラが!!』

 

「あれでもウルトラの父と肩を並べて戦ってた事のある奴だ。それに銀河帝国を築き上げるほどの指揮力や洞察力もある。だからこんぐらいで動揺するな」

 

 ゼロビヨンドはベリアルも実力者だからこれぐらいで動じたら駄目だと言ってきた。

『モスラ達はそこで見守ってて』

 

「あぁ。ベリアルは俺らに任せろ」

 

 せっかく来てくれたモスラだけど、成虫になりたてのモスラじゃ不利だと思った私とゼロビヨンドはモスラに一旦離れてもらう。銀ちゃんが何とかしてくれるまで頑張って私達で凌がないと。

 

 

 

~~東郷~

 

 ジードのもとに銀が意識を送ってすぐ、ジードを助けさせまいと襲撃をかけてきた忍さんから銀を守るため私と園っちが2人で戦っていた。

「くっ・・!早い。流石忍者というだけはあるわね」

 

 私が忍さんの相手を、園っちが忍さんが召喚した2体の宇宙人の相手をしていたのだけど・・・私の銃はことごとく忍さんに躱されていた。

「ほらほらちゃんと狙って。これでもゆっくりめに動いてるんですよ?」

 

ふたご座のバーテックス並の速さでゆっくりめの動きって・・。本気だとどれぐらい早く動くの?

「そらそら!どうした勇者サマよぉ!!」

 

「アナタはこの時代最強の勇者なのですよね?この程度なのですか?」

 

「っ!!」

 

 園っちの方も2体の宇宙人を相手に戦っているけど・・・2体とも相当な手練れなのか園っちですら押され気味だった。

「園っち!」

 

「よそ見をできる状況かしら?」

 

 私は園っちの方を気にしていたらクナイが顔目掛けて飛んできた。それを拳銃を盾にして防いだ私はそれを投げ捨てながら跳び下がりつつ散弾銃を忍さんに浴びせようと構えたけど、銃口が向けられようとしてる事に即座に反応した忍さんは近くの石を拾い上げると的確に銃穴にそれを投げ入れて散弾銃を詰まらせた。

「いけないっ!」

 

 すぐさま散弾銃を投げ捨てるとさ、散弾銃は暴発して四散した。私の銃撃を全て躱しきるほどの素早さに銃穴に投げ入れるほどの精密性。ただ造反神側についただけの怪獣娘とは思えないわ。

「貴女はいったい何者なの?」

 

「難しい質問ですね。何者か・・・強いて言うならそう、引っかき回し隊ですかね?」

 

 ふざけてるのは分かってても酷い答えね。

「他の怪獣娘の皆さんは自分達の世界でなくともこの世界を守ろうとしてる。貴女はそうではないのね」

 

「私は他の怪獣娘とも違う世界の出身ですし。そもそも私は他の世界はおろか自分の世界がどうなろうと構いません。・・・いえ、やっぱり構いますわね。滅びゆく世界の最後の足掻きにはトキメキを感じます」

 

「そうですか・・・」

 

 この人は絶対に私達の味方になることはあり得ない。分かり合う事はできない。そう悟った私は銃口を忍さんに向け直す。

「やっぱりあなたは私達の敵なんですね」

 

「何を今更・・」

 

「サァァ・・ガァァ!!」

 

 一方で胸の光が早くも回復していた園っちはその力を発動し、光そのものになるような瞬間移動で枝に似た触手を伸ばす宇宙人の攻撃を避けてその懐へと飛び込むと紫色に発光する槍を振り上げて1体を撃破した。

「もう1人!」

 

「ぬぅ!?」

 

 片方がやられた事に動揺している隙に伸ばした槍を振り下ろして残る1体も撃破した園っちは私の隣に並び立ってくる。

「まったくもう・・・乃木さんちの園子さんったら、宿してるリトルスターの力はあれだなんてシャレにならないですよ。貴女を相手にするには分が悪すぎるし・・・今日はこれにてドロンさせてもらいます」

 

「待ちなさい!!」

 

 私は逃げようとする忍さんを追いかけようとしたけれど、忍さんは煙玉で目くらましをしてこの場から撤退してしまった。

「逃げられてしまったわね」

 

「うん。だけどミノさんを守れてよかったよ」

 

 忍さんを捕まえることは出来なかったけど、結果的に銀を守ることはできたので良しとしよう。

「銀、頑張ってね」

 

 あとは銀にかかってる。なので銀の帰りを待とうとしているとカプセルをしまっているポケットから光があふれ出ていた。

 

 

 

 

~~銀~

 

 ウルトラマンキングに導かれてウルトラマンジード・・・リクさんがいるベリアルの意識の中へとやってくると、ベリアルのような赤い目になっているジードはゼロビヨンドを攻撃し、追い詰めていた。

「いいぞ。息子よ」

 

 ジードがゼロビヨンドを殴るたび、うっすらとだけど現実のゼロビヨンドも見えた。どうやら現実のゼロビヨンドもキメラべロスにボコられていた。

「ァァッ!?」

 

 圧倒的な力を振るうキメラベロスにゼロビヨンドは背中から倒される。

「目を覚ましてくれ!ウルトラマンジード!」

 

 あたしは叫んだ。あたしの信じるウルトラマンジードに向かって。

「ジュァ!!」

 

「グァ!?」

 

 だけどそれでもジードは止まらず、起き上がったゼロビヨンドに回し蹴りを決め込んでゼロビヨンドを沈めた。

「よくやった息子よ。これからは父と一緒に歩もう。さぁ、来い」

 

 ベリアルの広げた両腕にジードは寄り添おうと振り返る。あの手に吞まれたら本当にジードは闇に吞まれる。

「リクさん駄目だ!ベリアルに惑わされちゃ!あなたはリク・・園崎リク。思い出して!!」

 

 あたしはそれを止めようと呼びかけると、ベリアルは目障りそうにこっちに視線を向けてきた。

「キングか。余計な真似を・・・ッ!!」

 

「フンッ!」

 

 ベリアルが放った電撃光線を実体じゃないはずのウルトラマンキングがバリアを張って守ってくれた。

「忘れないで!仲間のことを!!地球の事を!アナタの夢を・・・」

 

 あたしはジードに向かって叫ぶ。みんながリクさんを信じてることを伝えるために。

「あなたはみんなのヒーローなんですよ!!」

 

 

~~リク~

 

「あなたはみんなのヒーローなんですよ!!」

 

 何処かからか声が聞こえて・・・僕はあの時の事を思い出した。10年ぐらい前、施設のみんなとショッピングモールではぐれて迷子になっている時、偶然ドンシャインの握手会が開催されていたんだ。

「さぁ、みんな!大きな声でドンシャインを呼ぶよ!せ~の!」

 

「「「「ドンシャイ~ン!」」」」

 

「ヒィァウィーゴー!ありがとう、ありがとうみんな」

 

 僕ははぐれたこともあって泣いてしまっていると・・・ドンシャインがその事に気づいたのか、こっちの方へと近づいてきて僕の目線に合わせるようにしゃがみ込んだ。

「君の笑顔を取り戻す。ヒィァウィーゴー」

 

 ドンシャインのやさしく向けて来てくれた拳に僕も拳をぶつける。この出来事が僕がヒーローに憧れるようになったキッカケ。僕がヒーローを目指す始まり。

「大きな声でドンシャインを応援するよ!せ~の!」

 

「「「「ドンシャイ~ン!がんばれ~~!」」」」

 

「リクさん。そろそろ行こう」

 

 そのままヒーローショーが始まってそれを眺めていると銀の声が聞こえてきた。

「銀?」

 

 声をかけられて『今』に戻った僕はデパートの外へと出ると、空に穴がある事に気づいた。あそこから外の世界に出られるってことか。

「ん?銀、なんかポケットが光ってない?」

 

「えっ?・・ウルトラマンキングの力で意識だけ飛ばして貰ってるのに何でカプセルがポケットに?」

 

 銀はポケットから3つのカプセルを取り出す。1つはいつも銀が使っているゼロカプセル。もう1つは今回は星雲荘に置いてきてて・・・何故か銀に反応するように現在進行形で光ってるシャイニングウルトラマンゼロカプセルだ。

「シャイニングゼロは時空間だって操れるらしいからね。その力のおかげでゼロカプセルを持ってこれたんじゃないかな。・・・ていうか1つ知らないカプセルがあるんだけど」

 

 ゼロカプセルとシャイニングウルトラマンゼロカプセル意外にもう1つ、6人のウルトラマンが描かれてる知らないカプセルがあった。

「ウルトラ6兄弟カプセル。霞さんがウルトラカプセルの力を解析してレムやAIBの人達と一緒に作ったカプセルなんだって。フュージョンライズには使えないけどリクさんを助け出したら渡してくれって頼まれたんだ」

 

 霞のやついつの間にそんなのを作ってたんだよ。それにAIBと一緒にだなんて気づかなかった。連絡を取り合ってたんだ。

「リクさん。これを・・・」

 

「ありがとう。ジーッとしてても・・・ドーにもならねぇ!!」

 

 3つのカプセルを受け取った僕は空の穴へ向かって跳び上がる。そしてべリアルの外に出ながらウルトラマンジードに変身して着地した。

「・・・!」

 

 離れた場所には青い星が・・・地球が見える。ここはどうやら月らしい。

「遅いぞ。ウルトラマンジード」

 

「主役は遅れてやってくる。前にそう言ってましたよね」

 

「言ってくれるじゃねぇか」

 

 ギャラクトロンの時に言っていた言葉をそのまま返した僕はベリアルと向き合う。

「べリアル!僕が相手だ!」

 

 跳び膝蹴りを決めた僕は頭を掴んで頭突きを決めようとしたら、逆に掴まれて首を絞めつけられた。

「何故俺の洗脳が解けた?」

 

「僕には・・・仲間がいたからだ!」

 

 仲間がいたから僕は戻ってこられた。覚悟を決めた僕は両腕にエネルギーを集束させると腕を十字に重ねて光線を放つ。

「レッキングバァァァスト!!」

 

 月に向けて放ったレッキングバーストの勢いで僕は地球へと飛んでいく。みんなが待ってる地球へ・・・。

 

 

 

 

~~芽吹~

 

 

「メブぅ~疲れたよぉ~」

 

「それは私もだけど、護衛するって言ったのは私達だし・・・もう少し頑張らないと」

 

モスラが月に飛んで行ってから数十分後、リトルスターを宿している子達を引き続き護衛するためAIBの施設へと私達は戻って来た。自分達からお願いした手前きっちり守らないと。

「ってメブ!空から何か落ちてくるよ!」

 

「何かっていったい・・」

 

 雀が指差す先に視線を向けてみると『何か』が大地へと落下する。大量の土煙から出てきたのは怪獣のような姿となっているベリアルが出てきた。

「べリアル!地球に戻って来たのね。・・・ん?」

 

『ソリッドバーニング!』

「ジュァ!!」

 

 土煙にもう1つ動く影が見えたから向き直すと・・・炎と蒸気が土煙を吹き飛ばす。赤いロボットのような姿のウルトラマンジードだ。

「ウルトラマンジードが復活したということは・・・モスラはやってくれたのですわね」

 

「えぇ・・。8時間頑張ったかいがあったわね」

 

 ウルトラマンジードは背中のスラスターで勢いを付けながら燃える右拳を叩き込む。そしてべリアルの攻撃を弾きつつも、左拳で2撃目のパンチを決めると右拳と肩から排熱をしつつ、拳をベリアルの懐に押し付けた。

「ストライクブゥゥゥストォォォ!!」

 

「小癪な!」

 

『リーオーバーフィスト!』

 

 ゼロ距離からの熱線を浴びせたウルトラマンジードは上に跳び上がりつつ、もう1つの赤い格闘形態に姿を変えた。

「バーニングオーバーキック!!」

 

 炎を灯した両脚で連続蹴りを叩き込んだウルトラマンジードの攻撃でベリアルが怯んだ反応をすると・・・無数の光がウルトラマンジード目掛けて飛んで行くのが見えた。

 

 

 

~~友奈~

 

「が、頑張れ。ウルトラマンジード」

 

「頑張れぇぇぇぇっ!ジィィィィドォォ!!」

 

 ジードから少し遅れて地球に戻ってきたら、最初は疑心暗鬼だった人達が少しづつジードの事を信じてくれて・・・みんなしてジードを応援しだした。

「やったねゼロ」

 

『あぁ、そうだな』

 

 ジードが信頼を取り戻した。そんな安心をしていたら勇者部のみんなと若葉ちゃん達西暦チームが集まって来た。

「ジードが・・・リクが復活したんだな。みんな、リクに私達の光を・・・ウルトラカプセルを預けよう」

 

 若葉ちゃんの言葉に頷いたみんなはジードに向かってカプセルを投げ渡したら、ベリアルの攻撃を跳び下がったジードは着地と同時に姿を変えた。

『フォトンナイト!』

 

「まずは私のガイアね!ジード!ガイアの力、見せつけてやって!」

 

「ナイトストリーム!」

 

 歌野ちゃんはガイアの力から使われた事に反応をしたら、ジードは光の剣で回転斬りを決めて、花びらのようなエネルギーを舞い散らしながら光線を放った。

『ユスティーツシューペア!』

 

「シューペアクラッシャー!」

 

 今度はアンちゃんのジャックカプセルを使ってる姿に変わったジードはランスを力いっぱい投げたけど、そのランスはベリアルに弾かれちゃった。

『エルドウィナー!』

 

「ハァァァァッ!!」

 

 夏凜ちゃんのビクトリーカプセルで変わったジードは右腕をゴツゴツとした黒いのにして地面を叩いて、衝撃波で攻撃したけどそれでもベリアルは怯まない。

『マキシマムエース!』

 

「マキシマムギロチン!」

 

 諦めないジードはぐんちゃんのエースの力を使ったマキシマムエースで巨大な光の剣を振るったけど、その剣はギリギリで避けられちゃった。

「まだまだ!!」

『ノアクティブサクシード!』

 

「ソードレイオーバードライブ!!」

 

『ファイヤーリーダー!』

 

 ワープでの短距離移動でベリアルの懐に飛び込んだジードはエネルギーを纏わせた剣でベリアルに一太刀を決めたら、振り向きざまに若葉ちゃんのカプセルの力を使ってる姿に変わった。

「バーニングフロスト!」

 

『ブレイブチャレンジャー!』

 

「メビュームギガ光輪!」

 

 冷気を浴びせてから火球で攻撃をしたジードはメビウスカプセルを使ってるもう1つの姿になっておっきな光の輪っかでベリアルを切りつけようとしたけど、ベリアルの火球がそれを砕いちゃった。

「オォォォッ!!」

 

『マイティトレッカー!』

 

「フレイムコンプレッションウェーブ!」

 

 強めの火球が飛んできたことに反応したジードはマイティトレッカーのブラックホールみたいなのを出す技で火球を撃ち消す。

『ムゲンクロッサー!』

「マジカルトライデントスラッシュ!」

 

『トライスラッガー!』

「シュァ!」

 

 他にも刃を使うフュージョンライズに連続で変わって切りつけるけど・・・べリアルはそれでも倒れない。

『アクロスマッシャー!』

 

「小賢しい!!」

 

「コークスクリュージャミング!」

 

 後ろにバック転をしながら青い姿になったジードはベリアルの放ってきた熱線をジードクローで弾いたら、爆炎にジードが飲み込まれる。

「ジード!?」

 

『マグニフィセント!』

 

 ジードの戦いを見守る大勢の人達はジードが負けちゃったかと不安に思った次の瞬間、爆炎の中からは銀ちゃんのゼロカプセルでマグニフィセントになったジードが出てきた。

「ウルトラの父・・・ケンの力か。ケンには恨みがある。容赦はしない!」

 

 ウルトラの父に恨みがあるらしいべリアルはさっきまでの軽くあしらってる感じから少し本気になってジードを攻撃しようとしてきた。

「ジュァ!」

『アレストロック!』

 

 ベリアルの爪を受け流しつつ、右手を突き出して押し返したジードはタマちゃんのタロウカプセルを使った姿に変わって連続パンチを叩き込んだ。

「これでどうだ!!」

『ダンディットトゥルース!』

 

「よりにもよって俺とケンの組み合わせとは・・・お前には教育が必要だな」

 

 ダンディットになったジードを見たベリアルはマグニフィセントの時以上に怒っちゃったら火球を連続で飛ばしてきた。それを掻い潜ってベリアルの尻尾を掴んだ。

「ジュゥゥゥワッ!!」

 

「ヌァっ!?」

 

 力いっぱいベリアルを投げ飛ばしたジードだったけど・・・制限時間が近づいてきてカラータイマーが赤く点滅し始めちゃった。

「あっ!モスラ達だ!」

 

 残り時間も少ないと心配になってたら私達より遅れてようやく2体のモスラが地球に戻って来た。

「・・・?」

 

 2体のモスラはジードの真上でグルグルって飛び回りながら光をジードに与えたらジードのカラータイマーが赤から青に戻った。エネルギーが回復したんだ。

「よし!力が戻ったな!」

 

「でもそれだけじゃないようね」

 

 モスラはまだ何かしようとしている。そう思ってたらモスラ達から出てきた『光』が1つになってジードのカラータイマーに入っていった。

 

 

 

~~霞~

 

「リク、みんなの声が聞こえる?」

 

 今、大勢の人が今リクを・・・ウルトラマンジードを信じて応援しているよ。

「必ず勝ってリク」

 

 今の君ならきっと運命を変えられる。みんなの信じる心が・・・みんなの希望が、奇跡が君に集まってるんだから。

 

 

 

 

~~リク~

 

「これは・・・」

 

 モスラ達から託された光が新しいカプセルを目覚めさせた。これまでのカプセルとはケタ違いの力を感じるウルトラカプセル。

「そうか・・・これが・・」

 

 そのウルトラカプセルを強く握りしめた僕は本能に従うようにその力を発動するためのフュージョンライズをしようとする。

「ユウゴー!」

 

 まず起動したのは僕の起源、ベリアルカプセル。

「アイゴー!」

 

 次に起動したのはモスラ達から授かった奇跡の力、キングカプセルだ。

「ヒィァウィーゴー」

『我!王の名の名のもとに!』

 

 そしてその2つのカプセルをセットしたナックルをジードライザーでスキャンしたら一本の杖が出現する。

「ッ・・!」

 

 僕はナックルからキングカプセルを抜き取りつつ、杖を握りしめる。そしてキングカプセルを杖にセットする。

「変えるぜ、運命!!ジィィィィィィド!!!」

『ウルトラマンジード!ロイヤルメガマスター!』

 

 ベリアルとの因縁を断ち切るため、限りなく本来の力に近いベリアルの力と奇跡がカプセルとなったキングの力を見に纏った僕は青紫の体色に金色のアーマーを纏ったような姿、ロイヤルメガマスターにフュージョンライズした。

「・・・・っ!」

 

 僕がこの姿に変わって地面へと着地したら、空の暗雲が光に掃われて青空が現れた。

「馬鹿な!?その姿・・・貴様、認められたというのか?キングに・・!!」

 

 ベリアルは僕の姿を見てすぐにキングの力を使っている事に気づいて、驚きの声をあげた。まるで自分は認められなかったなに何故僕は認められてるんだと問い詰めるように・・。

「貴方は強い。だが間違っている!」

 

 爪による攻撃をキングソードで受け止めた僕はそれを受け流してベリアルを斬りつける。

『アン!ドゥ!』

「スウィングスパークル!」

 

 左手をキングソードに2回かざした僕は回転しながら刀身にエネルギーを集めて斬撃を飛ばす。その攻撃に怯んだべリアルは爆炎の中から出てくると強力な破壊光線を放ってきた。

「使わせてもらうよ」

『ウルトラ6兄弟!』

 

 それに対して僕は霞達が用意してくれたウルトラ兄弟カプセルを起動してキングソードにセットして、その力を解放した。

「ブラザーズシールド!」

 

 ウルトラ6兄弟の幻影が出現すると正面にバリアを張ってベリアルの破壊光線を防いでくれた。この攻撃でも駄目かと思ったような反応をしたベリアルは翼を広げて空に飛び上がったので。僕もそれを追うように飛び上がる。

「俺をどれだけ否定しようとお前はベリアルの息子。生きているかぎり俺の名前から逃れることはできん!」

 

「逃げるつもりはない!この体が貴方から作られたものでも、この魂は僕のものだ!」

 

「変えられるものか。運命を・・!」

 

「変えてみせる!僕の運命は僕が決める!!」

 

 剣先から光弾を放った僕はベリアルを地上に突き落とすと、僕はジードライザーで杖のように持ったキングソードをスキャンしてそれに宿る力を完全開放する。

『解放せよ!宇宙最強の力!』

『アン!ドゥ!トロワ!』

 

「ロイヤルエンド!!」

 

 キングソードと左腕で十字に構えながら金色に輝く光線を放つ。その光線はベリアルを包み込むと光に耐えられなかったベリアルの体から『闇』が漏れ出す。

「なんだ?この力はぁぁぁぁぁ!?」

 

 そしてとうとうベリアルが爆発して・・・僕らはようやくベリアルを撃破することができた。

 

 

 

~~芽吹~

 

「ロイヤルエンド!!」

 

 黄金のウルトラマンジードが放った光線がベリアルに浴びせられると、その光に吞まれたベリアルが爆発する。ウルトラマンジードの勝利だ。

「「「「ありがとう。ウルトラマン!」」」」

 

 ウルトラマンジードの勝利に喜んだ彼らの胸から光が飛んでいく。リトルスターはウルトラマンに譲渡されることで消えるとアンジュさんが言っていた。きっとあの光はリトルスターで、今まさにウルトラマンジードに譲渡されようとしているのね。

 

 

 

~~リク~

 

『ジョー二アスカプセル、リブットカプセル、パワードカプセル、グレートカプセルの4つが起動しました』

 

 同年代ぐらい4人から受け取ったリトルスターはまた新しいカプセルを起動させた。そしたら2体の蛾のような怪獣・・・成虫になったモスラは僕の勝利を喜ぶみたいに僕の頭上をグルグルと飛び回った。

「ありがとうモスラ、君達にも心配かけたね」

 

 みんなのおかげで僕は帰ってこれた。みんなにも直接お礼を言うためにも変身を解いて星雲荘へと戻ってくると・・・みんなが揃って僕を迎えてくれた。

「リク、やったわね!」

 

「うん。ありがとう、みんなのおかげだよ」

 

 僕はみんなから借りたカプセルをそれぞれに返すと、友奈と交代したゼロが前に出てきた。

「他の誰にもできないことをお前はやってのけた。誇っていい」

 

「・・・はい!」

 

「さぁさぁ、祝勝会をするわよ!主役は座った座った!」

 

 長年ベリアルと戦い続けてたゼロにそう言われた僕は風に言われるがまま用意された席に座る。どうやら僕が戻ってくるまでにみんながケーキやお菓子を用意してたようだ。

「それじゃベリアルに勝利したことを祝って・・・乾杯!」

 

「「「「かんぱ~~い!」」」

 

「そういや前から気になってたんだけどさ・・・ジードってどういう意味なの?」

 

 全員で勝利を祝って乾杯をしたら・・・響はいきなりジードの意味を尋ねてきた。

「そりゃ口癖の『ジーッとしててもドーにもならない』からでしょ?」

 

「違う違う」

 

 夏凜は何を当たり前の事をと響に反応したけど、僕はそれを否定する。

「遺伝子のGENEと運命のDESTINYの組み合わせだよ」

 

『綴りが一致しません』

 

 レムはモニターに『GENE』と『DESTINY』の文字を表示する。

「アンタ、覚え間違いしてんじゃないの?」

 

「英語、教えてあげようか?」

 

「い、いやさ・・運命をひっくり返すって意味でさ・・」

 

 夏凜の冷たい言葉と希美さんの優しさが胸に刺さりながらも、僕は運命の『DE』の前後を逆にして『ED』にしながら『GENE』の頭の『GE』と組み合わせて『GEED』にする。

「リク、それ今考えただろ?」

 

「ちょっと苦しいと思います」

 

 僕と同じぐらいな成績の響と普段優しい樹にも苦しいと反応されてしまった。一応元からWネーミングのつもりだったんだけどなぁ。

「何はともあれ・・・お帰りリク。それとおめでとう」

 

「ありがとう霞。銀も、連れ戻してくれてありがとう」

 

 みんなのおかげで僕はべリアルに勝てた。みんながいたから僕はここに帰ってこられた。きっとこれからどんな相手が来ても僕らなら何とかできる。そう思っていたけどこっぱずかしいから口には出さなかった。

 




ウルトラナビアプリ

ウルトラマンキング
身長 58メートル
体重 5万6千トン
得意技 キングフラッシャ―

 ウルトラ族伝説の超人であるウルトラマンキングは現在、神樹を中心としてリク達のいる宇宙全土と一体化することで崩壊を防いでいます。肉体こそ失われていますが精神体は健在でインファント島と関わりがあり、エリアスの盾を持つ銀とのみ意思の疎通を可能なようです。

ウルトラマンジョー二アス
身長 70メートル
体重 5万トン
得意技 プラニウム光線

 ジョー二アスは地球にアンバランス現象が起こる事を察知してU40から派遣されてきた戦士です。U40ウルトラマンの特徴としてカラータイマーが星型のスターシンボルになっていて、青から黄色、赤と3段階に色を変化させます。

ウルトラマンリブット
身長 40メートル
体重 4万トン
得意技 ギャラクシウムブラスター

 宇宙の生命を守護するリブットは腕や足に青く発光するクリスタルがあるのが特徴です。東南アジアの伝統武術であるシラットに酷使した独特の戦闘スタイルを得意とし、技の前後には演武の動きを挟みます。

次回「レストア・メモリーズ」

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