園崎リクはジードである   作:彩花乃茶

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キミヲオモウ

~~伏井出ケイ~

 

「ケイ、今のままじゃ兄さんには勝てない。何か方法はない?」

 

 とある日の朝、ソラは今のままでは園崎リクに勝てないので何か手段はないかを私に尋ねてきた。

「別にお前が園崎リクに勝つ必要はない。元々お前はウルトラマンと・・ましてやベリアル様の遺伝子を持つウルトラマンジードと張り合えるほどの戦闘力は持たん。お前の力の起源はスカルゴモラ。いくらお前もベリアル様の遺伝子を持つものとはいえ無理なものは無理だ。わきまえろ」

 

 ソラは本来のターゲットである中沢霞よりも園崎リクを優先している傾向がある。とおいうよりは中沢霞を既に眼中に入れてない節がある。ソラは幾らベリアル様の遺伝子を持つ存在とはいえ怪獣娘スカルゴモラであり、怪獣スカルゴモラ。元々ウルトラマンジードに勝つ事を前提には造っていないため引き出せる力には限界がある。

「・・・お前がスカルゴモラとしての力の限界を超えることは確かに可能だ」

 

 そう言った私はライザーと2つのカプセルをテーブルの上に置く。

「EXゴモラとEXレッドキングのカプセルだ。その2つを使えばお前はスカルゴモラとしての限界を超えた力を発揮する事ができる」

 

「ならそれを・・」

 

「ただしこの力を使えるのは1回限りだ。1度この力を使ってしまえばお前は怪獣としてのスカルゴモラに変身する能力を失う」

 

 元々ソラのスカルゴモラへの変身能力はそれに伴った肉体として造られたものであり、フュージョンライズに適したものとして造られてはいない。とはいえソラにもベリアル様の遺伝子情報はあるため、たった一度のフュージョンライズで自我が崩壊したりはしないが遺伝子情報に変化が生じフュージョンライズに適したものへと変わろうとし・・・おそらくはフュージョンライズも怪獣への変化もできないただの怪獣娘になれ果てる可能性が高い。

「力を失う覚悟はある」

 

「お前の役目はウルトラマンジードを倒す事ではない。その仲間達を倒す事だ」

 

 怪獣としての強化は一度限り可能だとしても怪獣娘として更なる強さを与える手段は手元にない。以前小鳥遊忍が持っていたダークリングでもあれば闇の力を増幅させることもできただろうが、既にあれは何処か別の次元へと消えてしまっている。

「今のお前の実力はおそらく満開していない勇者なら3人同時に相手にできる程度。誰か1人でも満開されてしまえば敵う可能性は皆無だ」

 

 ベリアル様の遺伝子によって急速にその戦闘力を向上させてこそいるが満開に匹敵するほどのパワーを得るまでにはあと数回は勇者たちとの戦闘経験が必要だろう。しかし勇者こそ敵わないながらも怪獣娘なら・・・特に本来の標的であり戦闘経験はほとんどない中沢霞なら問題なく始末できる力はある。

「チャンスは作ってやろう。必ず中沢霞を始末しろ。それができたのならこのライザーとカプセルを授けよう」

 

「分かった」

 

 チャンスは作る。しかしソラが中沢霞をきちんと始末できなかった場合は・・・最悪洗脳という手段も考慮して準備をしておくとしよう。

 

 

 

~~銀~

 

「「「「誕生日おめでと~~!」」」」

 

 11月20日。星雲荘に集まったみんなはあたしの誕生日を祝ってくれていた。

「ありがとうみんな!」

 

「はいこれ!私達からのプレゼント!」

 

「ありがとう。開けていい?」

 

「どうぞどうぞ」

 

 讃州中学チームを代表して友奈から受け取ったプレゼントをさっそく開けてみたら、中には赤いマフラーが入っていた。

「もうすぐ冬でしょ?私達で編んだから良かったら使って」

 

「うん。大切に使うよ」

 

 友達からこういうのを貰うのは初めてだから・・なんか照れくさいな。でも凄く嬉しい。

「高校チームからはこれ!」

 

 高校チーム代表のリクさんから受け取ったプレゼントは一着のコートだった。

「みんなでお金を出し合って買ったんだ」

 

「ありがとうございます。ちょっと着てみていいですか?」

 

「どうぞどうぞ」

 

 それを受け取ったあたしはさっそくそれを着てみようとした矢先、樹海化警報が鳴り響いた。

「こんな時でもバーテックスか」

 

「最近現れないと思ってたら誕生日会の最中とか空気読みなさいよ」

 

 みんなそれぞれ愚痴りながらも樹海へと向かおうとしたからあたしも立ち上がろうとしたんだけど・・・ひなたさんがあたしを止めた。

「三ノ輪さんは今日の主役なんですからお休みでいいですよ」

 

「えっ?でも・・」

 

「今回の規模はわざわざ全員で行くまでもない。銀以外の勇者だけで充分だ」

 

「大丈夫よ銀。早めに片付けてくるから」

 

「そうそう!なる早で帰ってくるから~」

 

 そう言って東郷達は行っちゃって星雲荘にはあたしと風さんを除いた高校勇者部組、そして霞さんが残された。

「まぁ風達なら大丈夫だと思うしパーティーの続きを・・・」

 

『展望台周辺にてシャドウの出現が確認されました』

 

「え~、こんな時にかよ。しゃーない、あたし達も行ってくる」

 

 更にシャドウが現れたせいで響さん達も出て行っちゃってとうとう3人だけになって・・・別に仲が悪いってわけでもないのにちょっと気まずくなってしまう。

「う~ん・・。あっ!ちょっとボク追加の飲み物を買ってくるね!」

 

「えっ、ちょ。霞ぃ!?」

 

 霞さんもあからさまな言い訳で星雲荘を出て行って・・・レムを除けばあたしとリクさんだけになってしまった。

「「・・・・・」」

 

 いざこうして2人きりになると何を話せばいいのか分からなくなって更に無言になってしまった。こういう時に限ってレムも何も言ってくれないし・・。気まずいから何か言ってよ。

『リク、霞がソラの襲撃にあっているようです』

 

「なんだって!?」

 

 何か言って欲しいとは思ったけど、そんな事は言われたくなかった。

「ごめん銀。誕生日なところ悪いけど僕だけじゃ厳しいから」

 

「分かってますって。急ぎましょう」

 

 あたしとリクさんは急いで霞さんの元に駆けつけたら怪獣娘姿のソラに対して同じく怪獣娘に変身してる霞さんが光線銃で応戦していた。

「このっ!!」

 

 勇者に変身したあたしは斧を振り下ろしながら2人の間に割って入る。

「兄さん以外全員出ていったと思ったのに・・・1人残ってたんだ」

 

「その言い方だとバーテックスもシャドウもそっちが仕向けたみたいに聞こえるけど・・」

 

「そうだよ。そこのペガッサ星人の怪獣娘を倒すためケイがやってくれた」

 

 星雲荘の件以降襲撃されることなんてなかったからもう大丈夫かなって思ってたけど、やっぱりまだ伏井出ケイは霞さんを狙ってたんだ。

「でもあんたは霞さんを狙ってくるとは思ってなかったよ」

 

「正直私はペガッサ星人の怪獣娘なんてどうでもいい。でも倒さないと兄さんと戦っちゃ駄目って言われたの」

 

「どうでもいいならいっそ気にしないでもらえるとありがたいんだけど」

 

 そう言って通じる相手でもないか。

「でも貴女が残ったのは誤算。貴女は普通の満開は使えないくせにカプセルを使った満開だとモスラを2体合体させて強化させてしまう」

 

 あたしは警戒してないけどモスラを呼ばれるのは困るってことかよ。

「そんなに警戒してるなら呼んでやるよ。モスラ!・・・あれ?」

 

 ゼロカプセルの力でモスラ達を呼ぼうとしたけれど何故かモスラ達は来てくれなかった。

「当然万が一に備えて対策は取ってるよ。あの島の周りにバリアの檻を作ってるからモスラ達と空間を繋げられない」

 

 モスラがもう倒されたってわけじゃないところは安心だけど、地味に効くやり方だ。

「人間の姿の兄さんは大した事はないし、ターゲットのペガッサ星人の怪獣娘は戦力外。今の戦力は貴女だけだよ。斧の勇者」

 

「三ノ輪銀だよ。今日が誕生日のね」

 

「それはおめでとう。ついでに命日にしてあげる」

 

 真っ先にあたしに突っ込んできた空の角を斧を盾にするように受け止める。たった一撃受け止めただけなのに受け止めた斧にはヒビが入るほどの一撃。たぶん風さん達が初めて会った時より怪獣娘として圧倒的に強くなってる。

「たった1発受け止めただけなのに超手がしびれてる。なんてパワーだよ」

 

 まともに受け止めようとしたら次の一発で斧が砕けて、あの角がグサリだな。でもあたしにできる小細工っていえばゼロカプセルのワープで回り込むぐらいだし。今のあいつにそんな小細工が通用するとも思えない。

「勇者は根性!イチかバチかの正面突破だ」

 

 相手はスカルゴモラの怪獣娘。半端な攻撃じゃ通用しない。全力の一撃であいつをぶっ叩く。

「ハァァァッ!!」

 

「フンッ!」

 

 あたしの一撃とソラの一撃が交差するようにぶつかりあう。一応精霊バリアが働いて大した怪我はないけど、精霊バリアと斧が割れて勇者の変身が解けるほどのダメージは受けた。

「たかが勇者1人じゃ私には勝てないよ」

 

「確かに・・・あたしだけじゃキツそうだ」

 

 この場にいる勇者は確かにあたし1人だ。だけどこの場にいるのはあたし1人ってわけじゃない。

「ジャンスターダスト!」

 

「スカル振動波!」

 

「タァッ!!」

 

「くっ!?」

 

 霞さんの銃撃をスカル振動波で相殺したところにリクさんがタックルをする。変身してないとはいえウルトラマン。変身してる勇者とか怪獣娘に近い身体能力のリクさんのタックルにぐらついたソラを3人がかりで取り押さえようとしたら、ソラが紫色に光り出した。

「みんな離れて!スカルゴモラになる!」

 

 ソラがスカルゴモラになると思ってあたし達はすぐ距離を取ったけど、それはただのフェイクで怪獣としてのスカルゴモラには変身しなかった。

「中々妹ちゃんに愛を伝えられずにいるようね。ウルトラマンジード」

 

 そんな中いつの間にか後ろにウォレンさんが立っていた事に気が付いた。

「ウォレンさん。AIBの監視も付いてるはずなのにどうしてここに?」

 

「監視なら付いてるわ。ほらそこのドローン」

 

 あっ、ホントだ。飛んでる。

「ウルトラマンジードにアドバイスを言いに来たんだけど・・・その前に・・」

 

 あたし達の前に出たウォレンさんはソラに何かを言いたげに視線を向ける。

「ソラちゃんと言ったかしら?お父さんであるべリアルのため、伏井出ケイに従うのは本当に貴女の意思?」

 

「・・・・」

 

 ウォレンさんの問いかけにソラは何も答えない。

「だんまりって事は貴女の意思はやっぱり別にあるのね。貴女の本当の意思は?本当は何がしたいの?」

 

「EXゴモラ。・・・EXレッドキング」

 

 ライザーとカプセルを取り出したソラはその2本のカプセルを起動させてナックルにセットした。

「私は・・・兄さんに勝つ!それが私の使命でなくとも・・・それが今の私にある唯一の感情だから!」

 

 想いを爆発させたソラは感情任せにライザーでナックルをスキャンしてその力を解放した。

 

 

~~ソラ~

 

「私は・・・兄さんに勝つ!それが私の使命でなくとも・・・それが今の私にある唯一の感情だから」

『フュージョンライズ!』

 

 これを使えば私はスカルゴモラへの変身のウ力を失ってただの怪獣娘になり下がると言われた。だけど構わない。これで兄さんを倒せるのなら・・今この瞬間に力の全てを。

「ここにエンドマークを!!」

『EXゴモラ!』

『EXレッドキング!』

『ウルトラマンべリアル!EXスカルゴモラ!』

 

 カプセルの力を解き放った私はライザーから湧き上がる強大な力をこの身に取り込む。そして私は闇に包まれるとともにスカルゴモラを超えたスカルゴモラであるEXスカルゴモラへと変貌を遂げた。

 

 

 

~~伏井出ケイ~

 

『ウルトラマンべリアル!EXスカルゴモラ!』

 

「あの馬鹿め。やはり勝手にライザーとカプセルを持ちだしていたか」

 

 こうなる可能性は予想されていた。あいつもベリアル様の遺伝子を宿していて、実のところ園崎リクに勝てる可能性も僅かながらあった。だが今はまだ条件も悪ければ経験も不足している。だがもうソラはライザーによるフュージョンライズをしてしまった。今のあいつではロイヤルメガマスターを使われた時点でその敗北が確定する。勿体ないがソラはここまでだ。

「遺伝子に刻まれた戦闘力こそあれど、我が強く兄妹揃って私の描く物語通りに従わないか」

 

 まったく・・。流石はベリアル様の遺伝子だ。私ごときにその手綱は握らせないという事か。

 

 

~~リク~

 

 

「伏井出ケイの命令を無視してまで・・・僕にこだわるのか」

 

 伏井出ケイの命令を無視してライザーとカプセルを奪い取ったソラはスカルゴモラを強化したような姿にフュージョンライズした。

「ウルトラマンジード、あの子は貴方を倒すことが唯一の感情と言っていた。ならその想いを受け止めた上で、彼女と戦ってあげなさい」

 

 愛を語るウォレンさんは受け止めた上で戦うべきだと僕に告げた。

「意外でした。てっきり止めてあげろっていうかと・・・」

 

「あの子の心は今とても不安定になっている。ただ止めるだけなようならまたいずれ暴走して、そう遠くないうちに壊れるわ。だからこそそうならないようにここで決着をつけてあげなさい」

 

「・・・はい!」

 

 ソラを救うにはここで決着をつけるしかないなら全力で行く。そう決意を固めた僕はジードライザーを取り出して強く握る。

「リクさん!」

 

「ジーッとしてても、ドーにもならねぇ!」

『ウルトラマンジード!マグニフィセント!』

 

 銀からゼロカプセルを受け取った僕は最初からマグニフィセントに変身してEXスカルゴモラの前に降り立つ。

「ジュゥァ!!」

 

EXスカルゴモラの突進を正面から受け止めた僕は角からの電撃で攻撃をしつつ、押し返そうする。だけどスカルゴモラよりもパワーアップしているEXスカルゴモラはマグニフィセントのパワーですら押し返す事は出来なかった。

「タオスタオスタオスゥゥゥゥ!!」

 

「様子がおかしい。レム、これは・・・?」

 

『元々スカルゴモラの力を宿しているソラが更に力を上乗せする形となったので、力を制御しきれず理性が失われつつあるようです』

 

 伏井出ケイがペダニウムゼットンになった時も似たように理性が吹っ飛んでいたっけ。

「ジュァ!!」

 

 こんな状況化でどうでもいいことを思い出してしまった僕は距離を取りつつ光の手裏剣を投げ飛ばす。その手裏剣はEXスカルゴモラに直撃こそしたけれどそこまで効いているようには見えなかった。

「なら・・・!!」

 

 僕は必殺光線のビッグバスタウェイを放つためにエネルギーを集束する。ビッグバスタウェイでも今のソラに勝てる保証はないけど、ダメージは与えられるはずだ。

「ジュァァッ!!」

 

 ビッグバスタウェイを放つと同時にEXスカルゴモラもスカル振動波を発動して僕の光線を撃ち消した。まさかビッグバスタウェイがこうもあっさり打ち消されるなんて。

「ならこれだ!ジードクロー!」

 

 ジードクローを手にした僕はそれで突きかかろうとしたけれど、EXスカルゴモラの尻尾にあっさりと弾かれてしまう。だけどそれぐらいは想定内だ。

「ディフュージョンシャワー!!」

 

 至近距離からの光線の雨。避け様のないこの攻撃なら打ち消せもしない。少なからずダメージは入ったはずだ。

「タオス・・!」

 

「しまっ・・・ジュァ!?」

 

 爆煙の中から飛び出てきたEXスカルゴモラに対応しきれなかった僕はスカル振動波を正面から受けてしまって背中から倒れ込んでしまう。

「パワーもだけど・・・なんて耐久力だよ。こっちの攻撃がまるで通じてない」

 

 ソラ相手にはできれば使いたくなかったけど、こうなったらもうロイヤルメガマスターを使うしかない。

「変えるぜ運・・・」

 

「タオスゥゥゥゥ!!」

 

 ロイヤルメガマスターにフュージョンライズしようとした矢先、EXスカルゴモラの衝撃波が逸れてみんながいる場所に向かっていってしまった。みんなは勇者に変身しているとはいえ無事では済まないかもしれない。そう思った僕はみんなの方に駆け出していた。

 

 

~~銀~

 

「マズい。こっちに来た!?」

 

 EXスカルゴモラの攻撃がこっちの方に向かっ飛んできた。いきなりだったせいで樹もカプセルの力を使う事もできなくて避ける事もできないと覚悟して途端、あたし達と衝撃波の間に巨大な影が割って入った。

「ジード・・」

 

 衝撃波から庇ってくれたジードはその場に膝をつきながらも振り返る。

「みんな大丈夫?」

 

「う、うん。でもジードが・・」

 

「僕なら大丈夫だよ。みんなが無事で良かった」

 

 立ち上がったジードは金色に輝きながらロイヤルメガマスターに姿を変える。

「みんなは僕が守る!」

 

 ヒーローオタクでゲームには課金しまくりで残念なところばかりなくせに、こういう時はいつも身を挺してまで守ってくれる。希望の光を与えてくれる。そう思ったらリトルスターはもう宿っていないのに胸が熱くなった。

「・・・・っ」

 

 そこでようやくあたしは自覚した。いや、本当はずっと前から気づいていたけど認めたら今までの関係が崩れるんじゃないかって怖くて目を背けていた。リクさんがジードになって初めてスカルゴモラを倒してくれたあの時からとっくに・・・あたしはあの人に惚れていたんだと。

 

 

 

~~リク~

 

「決着をつけよう。ソラ」

 

 ロイヤルメガマスターにフュージョンライズした僕はEXスカルゴモラの前にもう一度向かい立つ。

「タオス!」

 

 キングソードでスカル振動波を受け止めた僕はゼロカプセルを起動してそのままセットする。

『ウルトラヒーロー!』

「ゼロツインスパークル!」

 

 EXスカルゴモラを押し返して銀色に輝く剣で一閃した。それなりのダメージはあるはずなのにまだ倒れない。

「もう一撃!」

『ウルトラヒーロー!』

「ウルティメイトフラッシャー!」

 

 今度はウルティメイトゼロカプセルを使って弓矢を引く動作で光線を放つ。そのとっておきのダメ押しに射抜かれたEXスカルゴモラは爆発して変身が解けたソラは地上へと落下していく。

「ソラ!」

 

「なんで・・・助けるの?」

 

 それを両手で受け止めると、ソラはダメージもあるはずなのにゆっくりと目を開いた。

「君は僕の妹で・・・僕は君の兄さんだからかな」

 

「兄妹ってそういうものなの?」

 

「・・・家族っていうのはそういうものだよ」

 

 ソラは小さく「そうなんだ」と呟きながら意識を失った。はっきりとは言えないけど気を失う直前に少し笑っていたように見えたし、僕の気持ちはソラにも届いていたんだと勝手に期待している。

「さてと・・・帰って銀の誕生日会の続きをしないと」

 

 

 

~~ウォレン~

 

「どうやら妹ちゃんに貴方の愛が届いたようね。ウルトラマンジード・・いえ、園崎リク」

 

 無事園崎リクはスカルゴモラへと変貌していた妹ちゃんをベリアルの呪縛から解放してあげる事ができた。確かに充分凄いことだけれど・・・本番はここからよ。

「貴方が歩んでいる道は私でも想像することができないほどとても辛い茨の道。貴方はどんな険しい道のりでも立ち向かう事のできる力がある。絆がある。愛がある。そして何より仲間がいる。自分を信じなさい」

 

 私はあの子達に背を向けてAIBへと戻る。たった2日だけどお世話になったののきちんと挨拶してから帰りましょう。

「勝ちなさい園崎リク。貴方自身の運命に」

 

 きっと貴方達ならこの過酷な運命だって乗り越えられる。私はそう信じてるわ。

「この宇宙を愛でいっぱいにするのは貴方に任せたわ」

 

 それじゃ次の宇宙に行きましょうか。次はそうねぇ。1枚のTシャツを巡ってバド星人が繰り広げちゃってる戦争を愛で侵略しに行きましょうか。

 




ウルトラナビアプリ

アナク
年齢 地球人換算49歳
誕生日 不明
出身 クール星
好きな食べ物 食に興味なし
趣味 狩り

 宇宙狩人クール星人の中でも名の売れたハンターであるアナクはロボットや兵器の改造を得意としています。ですがホロボロスを捕獲しようとした際のミスで最終的にはリク達の宇宙にあるAIBにその身柄が確保されることとなりました。

ウォレン
年齢 不明(自称・乙女の秘密)
誕生日 2月14日
出身 愛の溢れたナックル星
好きな食べ物 愛の溢れた家庭料理
趣味 愛の溢れた手作り料理

 ナックル星人ウォレンは自称・愛の侵略者ですが主な活動は様々な宇宙の紛争地域に住む孤児への支援活動、及び和解交渉の仲介人をしています。怪獣保護活動も積極的に行っているようでこれまで救われてきた星も少なくはないようですが、常にその最後はその星の人々に任せるためデータに記載されることはない歴史の影の立役者です。

次回「取引」

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