デュエル・アカデミアの占い儀式天使の先生   作:天野京司
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今回はデュエル無し回。

前回のあらすじ
・教員採用試験デュエル
・占術姫リバースたーのしー
・シナトが強かったって?知らん管轄外だ
・カイザーからデュエルを申し込まれた


第二話 忙しい先生

 青い空! 流れる雲!! 見渡す限りの広い海!!! そして暖かい気候!!!!

 

 アカデミア本校へとヘリコプターで降り立ったオレは一人で興奮していた。最後にここに来たのはおよそ2年前。交流デュエルの時だがこんな風景と気候に感動するような余裕は無かったため、初めてここに来たかのような感覚だ。

 

 

 

 

 

「よくそこまではしゃげるマスーノ……誰が学生かわからないノーネ」

 

 オレを出迎えてくれたのはクロノス先生だ。

 

 先生方は秋休み中、生徒がアカデミアに来る前に本校に来て授業や入学式の準備をするのだ。そのため、教員試験に見事合格し採用されたオレももれなく早めに本校に乗り込んだ。

 

 そういえば、デュエル・アカデミア本校は秋から新学期らしい。つまり秋に入学式をやる。欧米諸国はそれが普通らしいが、日本では大抵の学校は春始まりだ。デュエル・アカデミア……なんという国際的な学校なんだ。

 

 ちなみに本校以外関わりを一切持たないノース校は普通に4月始まりの学校だったなぁ……。まぁ、周りが氷と雪の世界だったから年中冬みたいなもんだったが。

 

 

 

 

 

 オレはクロノス先生の案内で学校を回っていく。なぜクロノス先生が一緒かというと、なんでも授業面でのオレの教育係はクロノス先生に押し付け……任されたそうだ。

 

「それにしても広いし、設備もいいですし、快適ですね~」

 

「そうナノーネ! この学校は未来の有能なデュエリスト育成校、オーナーからの期待も高い証ナノーネ」

 

 じゃあノース校の謎西部風の校舎というか街は何なんだったのだろう……。

 

「それでは、一通り案内したから、後は地図をよく見て行動するノーネ」

 

 クロノス先生から地図を渡されたが、アカデミアの校舎が奇抜すぎてよくわからない地図だ……。

 

「あとはしばらく授業は私の後を付いて来るノーネ」

 

「分かりましたー!」

 

 入学試験デュエルで遊城君だっけ、その子に負けてしまったとは言え、実技最高責任者であるクロノス先生の授業に一緒に行けるとは、色々と学ぶことがありそうだな。

 

 そうだ、遊城君は受かったのかな? 後で確認してみよう。

 

「あとーハ新任の教師は最低ランクのオシリスレッド寮に住むことになる決まりナノーネ。生活面は寮長に聞けば良いノーネ」

 

 オシリスレッドかぁ……。この学校は上からオベリスクブルー、ラーイエロー、オシリスレッドという風に寮でランク分けされている。それは待遇にも現れていて、寮はブルーが城、イエローがカントリーな家、レッドはプレハブみたいなアパートに住むことになっている。女子は全員ブルー配属でこれもまた豪邸に住んでいる。

 

 新任がレッドということは、ここで暮らして上を目指せよってことかな? ちなみにクロノス先生はブルーの寮長らしい。

 

 オレはそこでクロノス先生と別れて、オシリスレッド寮に向かうことになった。

 

 

 

 

 

「ここがオシリスレッド寮……」

 

 坂を越えて海沿いにプレハブのようなボロいアパートが見える。急な長い坂を越えてやっとこさ来た。レッド寮は校舎から一番遠いらしい。

 

 だが良いところもある。背後には海、眺めも良いし、うまい具合に行けば魚も釣れそうだ。

 

 オレは、教えられていた部屋の前まで来る。ここには寮長の大徳寺先生がいるらしい。

 

「すみませーん。大徳寺先生はいらっしゃいますか?」

 

 数回ノックすると、部屋からは長い髪を後ろで縛っている、糸目でメガネを掛けている人が、猫を抱きかかえながら出てきた。

 

「どちらさまにゃ~?」

 

 にゃ!? う……うん、色んな人が居るのであえて突っ込まないでおこう。

 

「今年度からこちらの学校に新任教師として採用されました、渚琳太郎と申します。オシリスレッド寮の所属となりますので挨拶に伺いました」

 

「ふむふむ。こちらこそよろしくにゃ。じゃあ、渚君は副寮長任命するにゃ。部屋は2階の部屋だにゃ」

 

 大徳寺先生は鍵をオレに渡した。というか副寮長ってそんなにカジュアルに任命してもいいのか? さっぱりわからん。

 

「それじゃあ多分荷物は校舎の方に届いているらしいと先程連絡が来たから取りに行ってらっしゃいにゃ」

 

 え……あの坂を荷物を持って往復だと……。ダンボール2箱分のオレの荷物全部持てるのか……?

 

 

 

 

 

『えー諸君らも立派なデュエルキングを目指して――』

 

 この島にオレが来てから数日後、入学式が始まった。入学式は講堂に新入生を集めて、中央にあるモニターに鮫島校長の顔が映され進行していく。どうやら、数クラスに別れて入学式を行う方式のため、校長室から生中継で校長は話をされるのだ。校長の宿命というか、長い長い話が始まった。

 

 どうやら、入学試験のとき、遅刻してしまった遊城君も無事に受かってたみたいだ。今は、立ったまま寝てるけど。

 

「それでは、新任の先生を紹介します。渚先生お願いします」

 

 鮫島校長先生から紹介され、モニターの前に行き、放送係の先生からマイクを受け取り、カメラの前に立つ。

 

「私は、今年度からこの学校に務めさせていただきます、渚琳太郎と申します。年齢は20歳。君たちと少し年が近いので、仲良く慣れたら良いと思っています。まだまだ未熟者ですが、君たちと共に先生として成長していきたいです」

 

 そう言い終わると、拍手がパラパラと出る。他のクラスでも拍手あるといいなぁ……。遊城君みたいに寝てしまう人が居ないのを祈ろう。

 

 

 

 

 

 入学式終了後、軽く片付けをしてオシリスレッド寮へ向かう。歓迎会を開くため、大徳寺先生のお手伝いに行くのだ。

 

「渚君、君はまず、魚を釣ってきてほしいのにゃ」

 

 寮に着くやいなや大徳寺先生にそう言われた。何故魚……。

 

「もしかして歓迎会の……」

 

「そうだにゃ。新入生にはおいしいお魚を食べさせたいのにゃあ」

 

 ブルーやイエローにはコックが居るとは聞いていたけど、まさかのレッドは自給自足先生の手料理なのか……!? それはそれですごいし良いと思うけど、寮長の負担大きくないか?

 

「いい魚を釣ってこないと、おかずがファラオのおやつのメザシになるから頑張ってにゃ」

 

 大徳寺先生の飼い猫のファラオがにゃーと鳴いた。

 

 

 

 

 

「大漁大漁!」

 

 オレは足取り軽くレッド寮に向かっていた。大きい魚が結構釣れたので満足している。傍から見ればスーツ姿でクーラーボックスを4箱担いでいる変なやつだろう。絶対先生に見えない。

 

 ただいまーと大徳寺先生のところに向かうが、不在のようで、しょうがなく寮の食堂の厨房に入る。そこには、大徳寺先生の置き手紙があり「用事のため外出している、歓迎会までには帰るけど、その準備よろしく」のようなことが書いてあった。

 

 オレが、料理するのか? 一応自炊は出来るけど、ごちそうは作れないぞ。

 

 まぁ、とりあえず料理してみるか。

 

 

 

 

 

 一品目はまず魚を焼こう。シンプルに塩焼きが良いな。

 

 二品目は漬物。ちょうどいいところにオレが自分で作ってこっちに持ってきたぬか漬けがある。茄子やきゅうりなど定番のラインナップだ。

 

 三品目は味噌汁。具は豆腐とわかめでいいかな。

 

 鼻歌を歌いながらどんどん料理を作る。レッド寮生はどれくらい居るのかわからないけど、大量に作っておけば問題ないね。ちなみにレッド寮は2年3年になるまでには留年するかイエローに入るらしいから、レッド寮に元からいるのは一人くらいだ。

 

「待ってろよ新入生!!」

 

 

 

 

 

「私は寮長の大徳寺だにゃ。そしてこちらが副寮長の渚先生。よろしくにゃー」

 

 歓迎会、戻ってきた大徳寺先生と無事に開くことが出来た。新入生は赤い制服を着ており、留年生の前田君だったっけ、その子の姿が見えない。何故だろう? 心配なので、後で部屋に行ってみよう。

 

 新入生の中には遊城君がいた。なんだかんだいって彼は目立つなぁ。

 

 歓迎会はオレが作った質素な料理だった。それを食べ慣れてないのか? 全く手を付けない生徒たちが続出する。遊城君はおかわりまでしてたくさん食べてくれているけど。

 

「遊城十代君と丸藤翔君……だったよな。これからよろしく」

 

 オレはおかわりの白米を渡しながら遊城君に話しかける。隣の丸藤翔君はしょんぼりしながらもなんとか食べてくれたみたいだ。さっき名簿見たけど、もしかしてこの丸藤翔君って丸藤亮君の兄弟だったりするのかなぁ。

 

「ああ! 十代で良いぜ、先生!」

 

「僕も翔で大丈夫です」

 

「じゃあ十代君に翔君だな、今日の夕食は美味しいか? オレが作ったんだぜ」

 

 そんな他愛もない話をしながら歓迎会は終りを迎えた。

 

 

 

 

 

 明日からは本格的に授業が始まる。頑張らないと。あ、でもその前に前田君が気になるから少し見てこようかな?

 

 歓迎会の片付けが終わって少し一息ついていると、そんなことを思った。それにしてもレッド寮はなぜ先生の負担が大きいのだ……。たしかに体力のある新人の先生が配属されるの納得だな。

 

 前田君の様子を見ようと、部屋に向かう。もしかして今、先生っぽいかも。

 

 部屋をノックするが、返事は無い。そういえば時刻は12時近くだったと思い出す。その時だった。唐突にドアが開いたかと思うと、そこから十代君と翔君が駆け出していった。

 

 状況が飲み込めずにいると、部屋から声が聞こえた。

 

「彼らはオベリスクブルーノの奴に誘われたデュエルをしに行ったんだな」

 

 この声は多分前田くんの声だと思われる。オレは無断だが部屋の中に入った。

 

「新任の先生、十代と翔を追いかけたほうが良いと思うんだな。場所は多分校舎のデュエル場なんだな」

 

 十代君たちのことを少し気にしていると察したのか、前田君は十代君がいる場所を教えてくれた。

 

「ありがとう前田君。あと、オレの名前は渚琳太郎。これからよろしくな!」

 

 そう言い残して十代君達を追いかけに全速前進走った。

 

 

 

 

 

「君たち散れ散れ!! 深夜のデュエル場無断使用は校則違反だぞ!」

 

 オレはデュエル場に着くなりそう言い放った。

 

 そこでは、十代君とオベリスクブルーの奴がデュエルしていた。いかにもプライドが高く傲慢そうなやつだ。翔君は心配そうに見ている。

 

「水差さないでくださいよ! 今は万丈目さんとオシリスレッドのドロップアウトボーイが大事なカードを賭けてデュエルしてるんです!」

 

 観戦していた二人のオベリスクブルーの生徒の一人ががそう言う。多分、あの傲慢そうな奴……万丈目君? の取り巻きみたいな奴らだな。

 

「賭け事も禁止だ! オレが別の先生を呼んでくるか、警備が来る前にさっさと撤収しろ!」

 

「学校来てまだ一日の先生が何を言っているんだ。デュエルで俺たちに負けたらそのまま帰ってもらおう!もちろん他言禁止だ」

 

 取り巻きがそう言い放つ。このまま去っても良いんだけど、どうやらオレのこと下に見てるようだし、決闘言語(デュエル・ランゲージ)で理解してもらうしかなさそうだな。

 

「良いだろう。デュエルだ!」

 

 

 

 

 

「待って、警備が来るわ!!」

 

 後ろを振り向くとそこには女子生徒がいた。気づかなかったのだが。その顔には見覚えがあった。確かクロノス先生から写真を見せてもらったアカデミアの女王――名前は忘れた。

 

 そして確かに言われてみれば靴音が聞こえる。

 

「あなた達、先生も言っていらしたとおり、デュエル場の無断使用、そしてアンティルールのデュエルは校則で禁止されているわ」

 

「え? そんな校則あったっけ?」

 

 と十代君

 

「ちゃんと生徒手帳を読んでおきなさい!」

 

 女子生徒は十代君を一喝する。

 

「そろそろ警備が来る。流石に撤収しよう。見つかったら君たちは退学だし俺は解雇だ!!」

 

 俺は十代君を翔君と一緒に引っ張っていってデュエル場から逃げる。流石に一日で解雇はヤバいって。

 

 

 

 

 

「どう? オベリスクブルーの洗礼を受けた感想は」

 

 女子生徒が十代君に聞いた。

 

「まぁまぁかな。もう少し強いかと思ってた。ラストターンのカードは《死者蘇生》。へへっこれを使えば今頃俺の勝ちだったさ」

 

 《死者蘇生》で《E・HERO フレイム・ウィングマン》を蘇生して攻撃ね。確かに。

 

「ちょっと待ってよアニキ~」

 

 十代君は眠いのか大きなあくびをしてなんでもないような感じでレッド寮に帰ろうとしている。それを翔君は追いかけていた。

 

「今更ですけど、はじめまして渚先生。教員採用試験と入学式で見ました」

 

 女子生徒が俺に話しかけてきた。

 

「あ、ああ。それはどうも」

 

「私は天上院明日香。明日香でかまわないわ」

 

「はあ、どうも明日香さん」

 

「明日から授業ですよね、クロノス教諭の教科のアシスタントをするとか。そこで、実技のデュエルの相手していただけませんか? あなたのデッキに興味がありまして」

 

 明日香さんは毅然とした態度でそう言った。明日香さんは本当にデュエルが好きなんだな。

 

「時間と機会があればですが是非」

 

 だが、これは願っても見ない機会。アカデミアの女王の実力が気になるところだ。だがこれであっさりオレが負けたらお笑い草だな。

 

「あまり夜更かしはしないように。すぐに帰ってください。それでは」

 

 オレはそう言うと明日香さんと別れた。心配だから本来なら寮まで送っていきたいところだが、あまりよろしくない誤解をされそうだったので取りやめた。

 

 今日はなんだか疲れたなぁ……。入学式に出て、魚釣って、料理して、校則違反デュエル見つけて……。前途多難だ。

 

 そうしてオレの波乱万丈のデュエル・アカデミアの教師生活は幕を開けた。




フレイム・ウィングマンはアニメ効果で墓地から蘇生できるなのはお約束。

作者も就職試験が目前に迫ってるんですよねぇ……。

細かい言葉遣いを少し修正しました。(2017/9/17)





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