うちの姉様は過保護すぎる。   作:律乃

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この話は歌兎視点となってます。


003 にげまどうもの

3.

 

 姉様が必死にあのサソリのような、ムカデのような、なんとも言えない巨大な鋏を持つ青鈍色の小山一つ分くらいある蟲から逃げ切ろうとキグザグに走ってくれている中、誤って地上に空いていた穴を踏み抜き、そのままその穴へと落ちていってしまった……僕と姉様はお兄さんのおかげで岩場で怪我をすることがなかったのだが……代わりにお兄さんの方が背中と腰を岩へと叩きつけ、重傷。

 

「お兄さん、ごめんなさいデス……」

 

 姉様は悶絶しているお兄さんに向かって、ひたすら謝り、僕はお兄さんの手を握り、メギンギョルズでお兄さんの"回復力"を倍増させていると……暫くして、お兄さんが不思議そうな顔をして、地面から起き上がってくれた。それに姉様と僕は安堵のため息を同時に着くとそんな僕たちを見つめているお兄さんへとズイッと身体を寄せる。

 

「…良かったのデス……もう痛くないデスか?」

「あぁ……自分はもう大丈夫だ」

「…本当に良かった。僕のメギンギョルズがお兄さんにも効いて…」

「メギンギョルズ?」

 

 そうお兄さんが怪訝そうな声を上げた瞬間だった、あの薄気味悪い足音が聞こえてきたのは……三人して、肩を震わせると薄暗い岩道を照らしてくれている頭上の穴を見つめ、そして縦穴が続き、先が見えなくなっている洞窟の奥へと目配せする。

 

(こんな所にずっと居たら、姉様もお兄さんも僕だってあ蟲に食べられてしまう……)

 

 その動作、そして僕が考えていることも姉様とお兄さんは考えているようで……三人で素早く立ち上がると勢いよく岩場を走っていく。

 岩場は自然に作られたような岩を剥き出し、時には尖った物も転がっている上に上から水滴がポタポタと落ちては薄暗い空間へと音を響かせる。

 

「……デ…、デデ……う、ううう歌兎。怖くはないデスか……?」

 

 三人並んで走り続けている中、そう言ってこっちを見つめてくる姉様の表情と視線は真剣でもあるが何かに怯えているようにも……あ、さっき水滴が落ちた瞬間、肩をビクつかせた。

 

(な、なるほど……そういえば、姉様って服装や装飾品には好んで、悪魔や死神などオカルト系を選んでいるけど……その本質は怖がりさんなんだよね……)

 

 ずっと前も教室に教科書かノートを忘れてしまって、シラねぇとマリねぇを引き連れ、取り行ってたっけ。

 僕も付いて行きたかったんだけど……姉様とマリねぇに"暗い道を歩かせるなんて出来ません"と二人に諭され、セレねぇと一緒に待つことに……帰ってきた姉様とマリねぇが顔を真っ青にして居たのはシラねぇが怪談噺を披露したからとか。

 そんな怖がりさんな姉様がこの薄暗い空間の中でポタポタと水滴が落ち続ける音や水滴に恐怖を抱かないかといえば無理かもしれない。

 なので、僕はそっと姉様の方へと手を伸ばすと水滴が落ちるたびにピクピクと小刻みに震えている両手の片方をぎゅっと握りしめ、先を走っていくお兄さんの背へと追いつこうと走っていくのだが–––次の瞬間、ぞくっと悪寒が背筋を駆け回り、なんともいえぬ恐怖に身体を震わせていると方向進行から見たくなかった青鈍色が現れ、前を走るお兄さんを巨大な鋏で引き裂こうとあげるのを見て、乱暴にお兄さんの病衣を握るとグイッと自分の方へと引き寄せる。

 

「うわっ……」

「にゃっ……」

 

 お兄さんはいきなり後方に向かって引っ張られたことでバランスを崩し、僕と手を繋いでいた姉様を巻き込むようにして尻餅をつくのをチラッと見てから前を向くとそこにはやはりあの蟲が行く手を塞ぐように立ちはだかっていた。

 

「ギギィギィ……」

 

 確実に獲物を仕留められると振りかぶった巨大な鋏に何もヒットしなく、邪魔をした僕が許せないのか……無機質な丸い目へと明らかな敵意を含ませながら、今度は取り逃がしてなるものかと慎重に僕らを壁際に向かって追い詰めていく。

 互いの背中でゴツゴツした岩の感触が伝わってきた瞬間、血の気が一気に引いていくのが分かる。

 じわりじわりと近づいてくるあの薄気味悪い蟲から僕を守ろうとプルプル震える腕で抱き寄せながら、背へと庇おうとする姉様から漏れ出る声には諦めの色が滲んでいて……

 

「…ここまでなんデスか……」

 

 僕たちの隣にいる巻き込んでしまったお兄さんも同じように呆然とした様子だった。

 

「…自分はこのまま死ぬのか……こんな所で、よくわからないやつに喰われて……そのまま……」

 

 せめてもの抵抗で岩へと身体を密着させる僕らへと更に近づいた蟲はもう我慢できないと言わんばかりに大きく顎を開ければ、僕らを一飲み出来るところまで歩みを進めた上にギギ……と薄気味悪い音を響かせ、ポタポタと涎のような粘液を垂らしながら、大きな口を開けて、ゆっくりと丸呑みしようと近づいてくる。

 

 ––––食べれるッ。

 

 そう直感的に思い、僕は姉様の手を強く握りしめ、巻き込んでしまったお兄さんへと心の中で謝り続けて、その時をずっと待っていた……。




次回はアレとあの人の登場です!!



11月30日から始まった【ゴジラ】とのコラボイベント、そしてガチャの方は皆様如何でしょうか?

イベントの感想は子供の時に見ていたゴジラとそこに暮らす人達と装者のみんなが肩を並べて戦う姿は胸熱ッですし……何よりもどの世界線でもF.I.S.組に嫌われ続けるウェル博士が可哀想なんですが、なんだか笑っちゃうんですよね(笑)
そして、今回のイベントは緒川さんの弟である捨犬くんも出ていましたね! あのイベントだけなのかと思いきや、ここで現れるとはびっくりさせられました……(驚愕)
あと、今回も安定のきりしらでよかった…………にしても、ふわふわもこもこ調ちゃん可愛すぎるだろッ!!

また、今回は交換☆5シンフォギアカードが我らが切ちゃんでしたね!!!(うぉぉぉぉぉ)
なので、もし切ちゃんが交換シンフォギアカードで現れてきた時に最速で交換してあげたかったので……コラボガチャの方を30連回させてもらって【響ちゃん・調ちゃん】をゲット。そこからフレンドの皆さんのお力をお借りいたしまして……イベント開始から約14時間後に無事70レベの上限解放することができました!! フレンドの皆さん、本当にありがとうございますっっっ(土下座)
最速かは分からないですが……コラボギアの切ちゃんを無事上限解放まで育成できたことがよかった……ずっと前のガルパコラボギアは結局最後まで育てきれなかったですから…(やりきった顔)

にしても、今回のコラボギアはどのギアもいいですよね………切ちゃんでいうと待機ポーズの両手を上にあげてから得意げな顔をするところがなんとも……(悶え死)




ロスト・フラグの方は、最初の10連で☆2キウルくんをゲット。その後の10連で☆3クロウさん。その他、ガチャチケットのような巻が結構溜まったので回しているうちに☆3ウルゥル・サラァナちゃんをゲット。

今はネコネちゃん実装を心待ちにして、宝珠を貯め中ってところです。

因みに、ゲーム本来は周回重視の育成ゲーって感じだと私的は思ってます。
思う所は沢山あるし、楽しみにしていた分『ん……ちょっとなぁ……』と残念に思うところもあるけど……まだ始まったばかりですし、今開催しているイベント【剣奴(ナクァン)の灯火】にて私にとって……いいえ、きっとうたわれファンならば間違いなく嬉しい事がありましたので……今後に期待しつつ……今ゲットしているメンバーを育成していこうと思ってます!!

因みに、ウルサラは契約5までいって……イラストが変化して、育成が楽しくなってきてます(笑)






最後にお知らせで……またかと思われると思いますが、メインストーリーの方をいじらせてもらうと思ってます。
色々とごちゃごちゃになると思いますが、どうかよろしくお願いします(土下座)

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