うちの姉様は過保護すぎる。   作:律乃

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大変、大変お待たせいたしました!(汗)
過保護な切ちゃんと歌兎の波乱に満ちたお泊まり会ですが…最初は前半戦をどうぞ。
理由は本編を見ていただけるとわかると思うんですが…切ちゃんの『手紙』が思った以上に長くって…(汗)
前半、後半で分けることなってしまいました…本当にすいません…。

そして、今回の話の流れですが…

最初が【歌兎】⇨【切歌】みたいな感じまで書ければと思ってます。

また、切ちゃんと調のクラスメイトは私が考えたオリジナルキャラですので…どうか、そちらもよろしくお願いします。


*また、翼さんの部屋の家具や飲み物は私のイメージですので、どうかよろしくお願いします。


003 お泊まり

青い髪を揺らして、僕を部屋の中へと招き入れてくれた翼

お姉ちゃんの後をリュックを揺らしながらついていくと、リビングが現れる。

 

(…あれ?クリスお姉ちゃんが翼お姉ちゃんの部屋は汚れてるって言ったけど…そうでもない?)

 

黒と青を基調とした家具が置かれている。小綺麗に整えられているそれの上に、ほこりまたはその他のゴミを見せることはかなり難しい。僕が不思議そうに部屋の中を見ていると翼お姉ちゃんが冷蔵庫を開きながら、僕へと話しかけてくる。

 

「歌兎。そこにでも荷物を置くといい。疲れたであろう、何か飲み物でも飲むか?何がいい?」

「…んー、苦いものじゃなければなんでも」

「ふっ。なら、茶でもたてようか?抹茶は飲めるか?」

「…ん。大丈夫…だと思うよ」

「ふふ、何も経験だ。少し待っていてくれ」

 

翼お姉ちゃんが何か道具を取りに奥の部屋へと向かった瞬間、僕の視界の端に白いものが映る。それを拾い上げてみると、そこにはこう書かれていた。

 

(…あっ、これ)

 

小さいメモ帳の切れ端には綺麗な字でこう書かれていたーー【歌兎さんが来るとの事でしたから、いつもよりも念入りに掃除しておきました。緒川より】

 

「………」

 

僕はそれをなんとも言えない顔をして、静かに戻すと同時に、奥の部屋で道具を取りに行っていた翼お姉ちゃん帰ってくると、その翼お姉ちゃんのところへとトテトテと走っていく。そして、翼お姉ちゃんが見事な腕前で立ててくれた抹茶を和菓子共に飲んで、一息いれるとそこで姉様に渡すように言われていたものを思い出す。

 

「…あっ、これ、姉様から翼お姉ちゃんへって」

「うむ?なんであろうか?」

 

翼お姉ちゃんは僕が猫耳がついたパーカーから出した手紙を受け取るとそれを開くとその形良い眉をひそめる。

それを抹茶をすすりながら見ていた僕は翼お姉ちゃんに近づくと、その手紙の内容を盗み見る。そして、そこに広がっていたは…僕のよく知る姉様の残念すぎる文章たちで、大真面目な顔で真剣に解読しようとしている翼お姉ちゃんへと僕にも見せて欲しいと頼む。

 

「むむ…これは切歌から私に対する暗号なのか?切歌は私を試そうとしてるのやもしれぬ。この私が歌兎を守りに値する防人かどうかを!これは何としても解かねば、民を守る防人としての誇りとして!」

「…そんな大げさなものじゃないよ、翼お姉ちゃん。ちょっと、僕にも見せてみて」

「ああ」

 

翼お姉ちゃんが僕にも見えるように傾けてくれたおかげで、残念すぎる手紙の内容が露わになる。以下が、その残念すぎる手紙の内容だ。

 

【拝啓、つばさサン。

 

歌うの事、アズかっていたダキありがとうござイマス( ̄^ ̄)ゞあたしも調といっしょに友達のいえでの音鞠貝たの死んでキマス!(*'▽'*)

着きましては、つばさサンにお願いしたいコトがあるデス(>_<)

 

それは、歌兎の事デシ手…歌うは姉のあたシがいうのも難ですが、とても千歳な子なのデス(>_<)

ナノで、以下のことを顔つけて上げてくだ材デスm(__)m

 

一つ、木が絵はてつだって揚げて下さい。お願いしマス。

二つ、漁リは辛いモノか宙カヲ棚であげください。二つとも、歌兎の鉱物デスのでよろ昆布と思うデス。

三つ、おふ炉は一緒に入って、身体やあた間を洗って揚げて下さい。また、アガった後はかみの毛をよく吹いてあげてくだ材デス。風を弾いたら、恐いデスから。

四つ、お風呂のあトハ、濱餓鬼を詩テ挙げて星いのデス。最後のシア気磨きは絶対お願いシますデス。貴重面に見えて、歌兎はザツなのデ…そういうとコロを見て欲しいとデスよ。

五つ、錬るトキはトナリで寝てあげて星いのデス!歌うはサミシ狩り屋デスから、手をギュっと二切手あげるとイイと思うデス。

 

以上の五つの事と歌兎の麺ダウ、どうかよろしくお願いしマスデスm(__)m

Biきりか】

 

(…もう、ツッコミどころしか見つからない…。見つからないよ、姉様…。なんで、姉様は普段は素敵で頼りになるのに…こういうところは残念すぎるんだろ…)

 

僕は翼お姉ちゃんの方をチラッと見ると、手紙の一箇所を指差す。

 

「…これは【濱餓鬼】って書いてあるけど、本当は【歯磨き】って書きたかったんだと思う」

「歌兎は読めるのか?この暗号が」

「…うん。姉様が無意識に築き上げてしまった黒歴史を隣で見てきたから…」

 

姉様とねぇやたちと共に、刑務所で捕まっている時に、二課の皆様から届いた包みの中にあった“あの手紙”の存在に気づいて、『それは!それだけは見てはダメデェース!!歌兎!!』と必死になってそれを取ろうした結果、その場に居たみんなへと“あの手紙”を見られてしまった姉様の顔は、羞恥心で真っ赤にして、涙目になって後ずさり、近くにあったドアへと弁慶の泣き所を思いっきりぶつけてしまった姉様は余りにも惨めというか…可哀想だった。そして、僕は姉様の隠れた趣味(?)に愕然としたものだ。

あの時から比べたら、姉様の文章力も上がったと思っていたのだが、そうではなかったようだ…。そっとため息をつく僕の頭を何を思ってか、翼お姉ちゃんがポンポンと優しく撫でててくれた…

 

 

◆◇◆◇◆

 

 

一方、妹に同情されてると知らない切歌は調と友達と共に、ジェンガなるものを楽しんでいた。勝負も終盤へと差し掛かり、わざとブロックをみだしておいた策士の活躍もあり、切歌の出番となった頃にはいつ崩れてもおかしくないとこまで来ていた。

緊張のあまりプルプルと震える切歌に隣座る調が声をかける。そんな調の声援に応えるように気合を入れ直した切歌は、何故か“勢いよく”グラグラしている中心部分を引き抜くーーそれには、調も周りにいるクラスメイトもぽかーんとしていた。

 

「…ここ、行くデスよ!」

「切ちゃん、落ち着いて。そんなに緊張しなくても大丈夫。切ちゃんなら出来るよ」

「はいデス!調の期待に応えるデスよ!うりゃー!!!」

 

ドヤ顔を浮かべる切歌めがけて、ジェンガが倒れてきて、ブロックに目やら頭やらを打った切歌は涙目で周りにいるメンバーを見つめる。だが、ルールはルールはそう簡単に曲げるわけにはいかないのだ。

 

「痛タァ…デース…。ぅぅ…あかねぇ…みずはぁ…はずきぃ…しらべぇ…嫌デスよ…」

「いや、そんな目してもダメだから、キーの負け。負けだから」

「ごめんね、切歌。私もこればっかりは助けられないかな」

「暁さん、どうしてドヤ顔でそんなところを抜いたんですか?まだ、勝ち目はあったのに」

「…切ちゃん、ごめんね。私もみんなと同じで力になれそうにないよ」

「…うゔぅ…嫌デス!もう、あのトンデモ飲みたくないデス!」

 

連敗が続く切歌は目の前に置かれた凄まじい色をした飲み物をみては顔をしかめて、隣の調へと助けを求める。だがしかし、調は静かに首を横に振り、それを見て、覚悟を決めた切歌は目をギュッと瞑るとその黄土色した飲み物を一気に喉へと流し込む。

そして、一気に弾け出す様々な味覚達。切歌はカップを机へと置くと苦しみ出す。

 

「辛!?苦!?甘!?いや…これは苦い…ウプッ、かと思ったら…激甘がきたデスよ…。ヴエェ…」

 

バタバタと苦しんだ切歌は水を持ってきた調に助けてもらいながら、なんとか一命をとりとめたのだった…。

そして、そんな切歌の様子を見て、ゲラゲラ笑うこのトンデモ飲み物を生み出した元凶を一瞥すると、その元凶に向けてもうひと勝負を挑む切歌。

その後の展開は、彼女達のみが知る…。だが一つだけ分かるのは、負けたものは毎度『デデデース!!?』と言っては床へと倒れていったそうだ…




次回はこの後半戦を書きたいと思います!

安定の過保護と残念な部分をいたんなく発揮する切ちゃんはお姉ちゃんの鏡なのデス。

歌兎ならそういうと思いますよ(笑)




◎オリジナルキャラクター説明

調、切歌のクラスメイト。

伊勢野 紅音《いせの あかね》
切歌が飲んだトンデモ飲み物を作り出した張本人。とある企業社長の一人娘で、その為料理などは全然出来ずに、誤って食べてしまったものは瞬時に気絶する。

幅井谷 水羽《はばいたに みずは》
紅音とはお隣同士の幼馴染で、暴走する紅音のストッパーである。だが、殆どが間に合わない為、紅音の犠牲者は後を絶たない。

皆之富 はずき《みなのとみ はずき》
紅音作のトンデモ料理の最初の犠牲者。それがきっかけで、二人と仲良くなったが、身をもって紅音のトンデモ料理の破壊力を知ってるので、水羽と共に紅音の暴走を止めるべく奮闘する。

以上、簡単な自己紹介でしたm(__)m

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