うちの姉様は過保護すぎる。   作:律乃

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土日か来週辺りに出来れば、連続更新で暗めの話(私の趣味で書く下の章の2つ)を更新しようとしているので、その前のウォーキングアップというか

ゆる〜い、しょーもない…ほんとしょーもない話を挟んでおきたかった。

ただそれだけの話ですので、会話文多め、説明文そこそこ多め、文字数は多めだがギャグばかりなのですらすら読める量で。
今回だけの話、続きはなし。

内容は歌兎が『ですです』『にゃっにゃっ』して、切ちゃんが可愛いを熱く語り、みんなは其々好き勝手する話デス。

本当しょーもないので、頭は出来る限りからっぽにした上で読んでください(礼)

では、本編をどうぞ!!


くしゃみ

冬も深まり、マンションの窓から外を見ればチラホラと白い結晶がキラキラと冬の淡い光にあたり、美しい白銀の光を放つ。

そんな美しくもどこか肌寒さを感じる風景をマリアとセレナが住むマンションのリビングにある窓から外を覗くあたしは視線をゆっくりと前へと向ける。

真っ直ぐ見つめるあたしの視線の先には、白いソファに包まるもふもふな(かたまり)がある。

 

「‥‥でっすっ。‥‥でっすっ。‥‥にゃっくしゅんっ‥‥すんっ」

 

(かたまり)の主な色は花青緑色の毛布で、その毛布から覗くのはまん丸な黒い瞳が付いている焦げ茶色の布地に白い小さな角、ピンクのまん丸の鼻が付いたもの。

総合的に、"いのしし"のアニマルパーカーといった所だろうか。

 

今朝この"ひつじ"にしようか、"いのしし"にしようか、と悩みに悩み抜いたあたしだったけれどもーー

 

「結局いのししにしたあたし、グッジョブデェースッ!!!!」

 

ぐっ、と力強く両手を天井に突き出して喜び叫ぶあたし。

 

そんなあたしを見つめる、いいや見あげているのはーーソファに丸まっているもふもふな塊で、潤んだ半開きの眠たそうな黄緑の瞳、すんすんと鼻を鳴らし、たら〜んと透明な粘り気のある液体を垂らしながら、あたしが用意した最強最高トンデモの装備(ふく)に身を包むその正体はあたしの最愛の妹・歌兎である。

 

「潤んだ瞳……すんすん鳴ってるちんまりした鼻……赤らんだもちもちな頬……もふもふなトンデモ装備品……まん丸なシルエット……くっ、これがーー」

 

ーーこれこそが可愛い……可愛いなのデスね……っ!

 

 

 

可愛い。

 

人はその感情をどんな時に思い浮かべるのであろうか?

自分よりも小さいものを見た時?

それとも、まん丸なものを見た時?

はたまた、精一杯頑張っている者を見た時だろうか?

いや、上の案にはないのかもしれない。

 

 

可愛い。

その感情は実に直感的に、瞬発的に浮かんでくるもの。

 

 

そんな可愛いの文字を分解してみるとーー。

 

 

可。

その意味は、それでよいとすること。よいとして認めること。

 

愛。

その意味は、かわいがり、いつくしむ心。

 

総合して、よいとして認めて、かわいがり、いつくしむ心。

 

 

それこそが可愛いッ!!

 

 

故に可愛いは、全ての世界で、全ての属性において頂点に君臨(くんりん)するものだといえよう!

 

 

 

Kッ!

 

Aッ!

 

Wッ!

 

Aッ!

 

Iッ!

 

Iッ!

 

 

 

 

KAWAIIッ!!!!

 

 

 

 

そう、KAWAIIこそが人間が永遠に追い求めるテーマであり、この世界を生き抜くための(かて)ッ!!

 

 

 

 

「‥‥でっす。‥‥でっす。‥‥にゃっくっしゅん、にゃっくっしゅん」

 

 

 

 

あぁ……こんなKAWAII存在が今まで居たでしょうかっ。いいえ、居る筈がないのデスッ!!

 

 

ありがとう神様、ありがとう仏。ありがとう、歌兎……あたしの妹に産まれてきてくれて……。

 

 

 

「‥‥で、で‥‥ででで‥‥で、にゃっくっしゅん!」

「歌兎、鼻水が垂れてる。ほら、しゅーんしよ」

「‥‥ん、しゅーん」

 

 

 

ふふふ、でへへへ……鼻水をかんでる姿もKAWAIIデス……。

あらあら、鼻のてっぺんが真っ赤じゃないデスか……エヘヘヘヘ。

 

 

 

「‥‥でっす。‥‥でっす。‥‥にゃっ‥‥っ、にゃっくっしゅん!」

 

 

あぁ……どんな姿もKAWAII。

うちの妹がKAWAIIすぎるデス。

 

 

時折、KAWAIIは正義という言葉を耳にするけどもうなづけるデス。

 

 

そう、今の歌兎はーーううん、KAWAIIこそがーー

 

 

「ーー正義なんデスよぉおおおお!!!!」

「ちょせぇ!!」

「にゃっふっ!? い、痛いデスよ……クリス先輩、なんで本気で蹴飛ばすデスかぁ」

 

顔から床へとダイビングしたあたしを見下すのは、何故か両手いっぱいに毛布を持ったクリス先輩。

 

「自称トンデモ過保護がいつにも増して馬鹿な事を言ってるからだろーが!

たっく……妹が風邪をひいたみたいで死にそうだから助けてくれっていうから来てやったってのに……あたしやバカ、先輩たちに働かせて……お前はのうのうと妹見物か?」

「そういうわけじゃないデスけど……歌兎があたしが見えなくなったら心配するかと思ってデスね」

「言い訳はいいから、こっち待ちやがれ」

「ぐふっ!? こ、これ前が見えんデス」

「あと数歩だろ、我慢しろ」

 

そのクリス先輩に近づくのは、毛布に包まる歌兎の世話をしている調である。

 

「クリス先輩、毛布ありがとうございます。切ちゃんもありがとう」

「えへへ、こんくらいどってことないデスよ」

「なんでお前が偉そうにしてんだよ……あいつらの部屋から毛布を掻き集めたのはあたしでここまで運んだのもあたしだろーが」

 

肩を落とすクリス先輩。その隣にいる筈の翼さんにあたしは小首を傾げる。

 

「クリス先輩。翼さんは?」

 

その問いの瞬間、マリアとセレナの部屋の辺りからドッチャンガッチャンガッタンコと凄まじい騒音が渡り廊下に響く。

 

「あれで察してくれ。頼む」

 

あぁ……なるほど。そういうことデスか。

 

クリス先輩と翼さんで毛布を持ってくる係に任命され、二人で毛布を持ってくる時に翼さん立ち寄った部屋だけ不運に不運という名の押入れの中にある物の雪崩れが重なり、立ち寄った前と後ではすごい差が付いてしまったと。

翼さんは義理堅い性格デスから、なんとか不運が起こる前の状態に部屋を直そうとして、その度に不運が重なり続けていくと。

 

「クリス先輩、お疲れ様です」「デス」

 

頭を下げるあたしと調にクリス先輩はなんともいえない顔をしていた。

恐らく、翼さんがやらかしてしまった後始末に頭が痛いのだろう。

 

そして、歌兎はあたしたち三人の手により、更に毛布のぐるぐる巻きになってしまい、それを見たクリス先輩が言ったセリフは"毛布の雪だるまだな"であった。

 

「ここまでぐるぐる巻きにすれば、風邪も忽ち直るデスよ!」

「うん、そうだね」

「流石にやり過ぎだろ。身動きすら取れなさそうじゃねーかよ」

「歌兎には悪いデスが、これも風邪を治す為なんデス」

「でも、トイレ行きたくなったら言ってね、歌兎」

「‥‥で、すっ……すんっ」

 

うなづきにくそうにする毛布雪だるま状態の歌兎。

そんな歌兎を見たあたし達は毛布を肩や膝の部分だけにかけることにしたのだった。

 

「これで良しか。おい、他にすることあるか?」

「他はマリアとセレナの様子を見て来てもらっていいですか? 奏さん、未来さんが二人のおうえんをしに行ってくれたんですけど……時間が経っている様子なので」

「分かった。ほら、姉様も行くぞ」

「そんなセッションな!!」

「……お前、辛辣(しんらつ)とか文字数多い難しいのは覚えてんのに。なんで、セッショウをセッションって間違えてるんだよ……色々と残念なやつだな、ほんと」

「……へ? 何が違うんデス?」

「お前ってはやつは……あいも変わらず、妹が大好きなだけの成長しないただのバカだよな」

「それどういう意味デスか!?」

 

暴れるあたしの首根っこを掴んだクリス先輩はズルズルとキッチンへと向かって歩いて行き、絶句していた。

その理由は、マリアと奏さんコンビが高級そうな濃い緑色のガラスに入った紅い液体を鍋に投入して、ぐつぐつしていたから。

それにどちらも顔を赤くしているところを見るとぐつぐているものを一杯……ううん、数杯は味見と言い張って、ひっかけた様子。

 

「ヒック……お? クリスに切歌じゃねぇーか。お前らもどうよ、一杯飲んでく?」

「いやいや未成年だから飲めないですよ……っていうか、あんたら何楽しく断熱グラスで飲み交わしてるんだよ!? あのチビの世話に来たんだろ!? 違うか!?」

「固い事は言いっこなしだぜ、クリス。それに熱でアルコール飛ばしてんだ、普通のぶどうジュースと変わりしない」

「ぶどうジュースと赤ワインは大違いデスよ、奏さん……あと、あたしはクリス先輩じゃないデス」

「奏の言う通りよ。あまり眉間にシワを寄せると可愛い顔が台無しよ、クリス。切歌もお疲れ様さま、歌兎の様子はどうかしら?」

「マリア……そっちはクリス先輩で、あたしはこっちデス。

お酒に酔っていても間違えるなんて酷いデス、あたし達が一緒に暮らした数年はそんなに安いものだったんデスか……」

「あら、ごめんなさい。切歌、わざとじゃないのよ」

「だから、そっちはクリス先輩デスって言ってるでしょうぉおおおおおお!!!!」

 

酔っ払いの顔を無理やりあたしの方に向ける。

 

「あらほんとね、こっちが切歌だわ。あら? 切歌が二人? ここで分身の術を使うなんてお茶目さんね」

「何を言ってるデスか、この酔っ払いろくでなしマリアっ!

もうどんだけ飲んだんデスか、吐く息がお酒くさいのデスーーって、本当どんだけ飲んでるんデスか、この酔っ払い達ッ!?」

 

ろくでなしマリアから視線を流し台に向ければ、そこには一本二本三本どころじゃない七本のガラス瓶が置かれており、酔っ払い奏さんに絡まれているクリス先輩が絶句してる……いいえ、呆れてものが言えなくなっている。

 

「おいおいマジかよ……味見と評して、六本ひっかける奴が居るかよ……」

「これも歌兎の為なんだって……ヒック……、なぁ? マリア」

「えぇ、そうよ。私達は調から頼まれたの……そう究極のホットワインっていうのを。

究極というのは、これまでに類を見ないという事。即ち、歌兎の舌を唸らせるホットワインを作り出さねばならないということよっ!!

このマリア・カデンツァヴナ・イヴと天羽 奏に妥協の二文字はないわッ!!」

 

そう無駄にカッコいいセリフとキメ顔をして、温め終えた赤ワインを奏さんと自分の断熱グラスに注ぐ酔っ払い駄目駄目マリア。

 

その瞬間、あたしとクリス先輩からハイライトが消えた。

 

「クリス先輩、こいつらどうしようもない駄目駄目大人代表デス。もう手に負えないくらいの醜態(しゅうたい)を晒してるデス」

「あぁ、珍しく意見があったな、姉様。酔っ払いはここに置き捨てて、もう行くぞ」

「デスデス」

 

"か〜んぱぁい"と優雅に断熱グラスをぶつけ合い、グビグビとホットワインを飲んでいく駄目駄目酔っ払い達をキッチンに置き捨てたあたしとクリス先輩は今度はセレナと未来さんの様子を見に行く。

二人の担当は風邪の時に食べる胃に優しいもの……即ち、おかゆという事だ。

そんな二人はキッチンをあの酔っ払い達に手渡した為に、隣の部屋を大家さんに許可を貰って、貸してもらっている。

 

「フ。マンションの大家さんですら(とりこ)にしてしまう歌兎の可愛さはやはり偉大デスよ。前世が天使なだけあるデス」

「無駄口叩いてないで行くぞ、過保護バカ。前世がそんなファンタジーなわけあるか、バカ」

「そんなバカバカ言わなくてもいいじゃないデスかっ」

「バカにバカ言って何が悪いってんだ」

 

クリス先輩が軽口を叩きつつ、マンションの扉を開けて、隣の部屋に続く渡り廊下を向いた瞬間、疲れたように顔を覆った。

その理由をあたしもすぐ知ることになる。

 

「うぐっ、むぐっ、美味しい!ごはん&ごはん、美味しいっ!」

 

駄目駄目な人がここにも居ました。

 

癖っ毛の多い栗色の髪、輪郭を隠すように伸びている二つの房にパチリとはめているNマークの髪留め、美味しそうなお粥を見つめる瞳は琥珀ーーーーはぁ……響さん、貴女って人はもう……どんだけごはん好きなんデスか……。

 

さっきの残念酔っ払い年長チーム・ごはん大好きっ子響さんといい……もうなんなんデスか、うちの奏者達。

うちの奏者達、残念すぎるでしょう……。

あたしも含めて、マトモな人居ないんデスかぁ……。

 

「一応聞くデスか、響さん。何してるんデスか?」

「ぐっ!?」

「おっ、バカがむせた」

 

クリス先輩がそう言いつつも、バカビキ……げふんげふん、響さんへと水のペットボトルを部屋に戻り取ってきて渡す。

 

「お前、妹が関わると忽ちに辛口になるよな。普段はぽや〜んとアホ全開の喋り方なのに」

「歌兎の粥を盗み食いした響さんが悪いんデスっ。あたしは悪くないデス……って、クリス先輩あたしのことそんな風に思ってたデスか!? 酷いデス!!」

「ちょせぇ、顔近づけんな。しっしっ……さて、バカ言い訳は思いついたか?」

「すいませんでしたぁ!」

「素直でよろしいデス」

 

睨みをきかせ、見下ろすあたし達の迫力に恐れをなしたのか……コンマ0秒くらいの音速で綺麗な土下座を決める響さんを心が海のように広いあたしは許してあげることにした。

 

「いや、バカビキって言ってる時点で駄目だろ、色々と……」

「クリス先輩はバカビキさんとあたしのどっちの味方なんデスか!?」

「ほら、バカビキって言ってんじゃねーか。……はぁ、これだと話が進まれねぇーな。バカ、なんでつまり食いなんかしてた?」

「あ、美味しそうな匂いがしてからつい……ね?」

「ね? じゃねーよ!ね? じゃ!!」

 

今日も炸裂するクリス先輩の鮮やかなツッコミに聞き入っていると響さんが表情がいつもと違うのと手に持っているお粥から変な匂いが漂ってくるのに気付く。

 

「響さん、なんだか頬が赤くて目がいつもよりもとろ〜んとしているように見えるんデスけど……そのお粥、ちょっと貸してもらっていいデス?」

「へ? 別にいいよ。歌兎ちゃんに食べてもらう前に切歌ちゃんにも食べてもらってって言われたから」

「あ、あたしに? セレナがそう言ったデスか?」

「ううん、未来」

 

ん? んー??

ますます怪しい。

未来さんを疑うわけじゃないけど、あの人は響さんが物事に関わると関わらないとじゃあ危険度と要注意度が月とスッポンくらいに変わってくるデスからね。

 

ここは用心に用心を重ね、毒味はあたしではなくクリス先輩にーーーーここデスっ!!

 

「クリス先輩、あ〜んデス♪」

「むぐっ!? ごほんごほんっ……いきなり、なんてもん食べさせてやがる、この過保護っ!」

 

ペッペッとあのお粥を吐き出すクリス先輩を見て確信する犯人は未来さん(あのひと)だ、と。

 

「やはり、このお粥には怪しい薬が含まれているのデスね。響さん、解毒剤あるデス?」

「げどく? けとく? けっとく? 切歌ちゃん、まだ怒ってるの? 私がお粥食べたこと」

「響さん、あ〜んデス!」

「むぐっ!?」

可笑しな事を言い始めている響さんの口に問答無用で解毒剤をねじ込み、水を流し込む。

ごくんごくんと響さんの喉が鳴るのを見届けて、水のペットボトルを外すとキョトンとした様子の響さんが居た。

 

「あれれ? 私、なんで歌兎ちゃんのお粥を食べてたんだろ……?」

「バカの台詞に今日一の悪寒が走ったんだが……」

「あの二人は組んではいけなかったんデスね」

 

最近、怪しい行動が見られる二人を怪しい薬を近いうちに使ってくると踏み、あたしと響さん、みんな用に解毒剤を作って置いた歌兎の頑張りがこんな所で発揮されるなんて……なんだか、悲しいデス。

 

「これ、響さんに渡しておきますね」

「へ?」

「歌兎特製の解毒剤デス。お礼は後で言ってあげてください」

 

そっと響さんの掌に解毒剤が入ったケースを置き、握らせるあたしを見た響さんは何ともいえない顔をしていた……いいや、状況についていけてないのか、キョトンとしていた。

 

「響さん、未来さんに薬を盛られた時にでも使ってください」

「未来を酷く言わないで!未来は私にそんなことしないよ。未来はいつだって私の陽だまりなんだからっ」

「いや、同居人に怪しい薬盛る陽だまりがあってたまるかよ」

「でも、そこは未来だし。私はどんな未来でも……ううん、未来だからこそ側にーー」

「あーあー、末長く」

「お幸せに、デス」

 

恥じらいなく甘々なセリフを言ってのける響さんをおさがりにあしらったあたしとクリス先輩は追ってきた響さんと共に隣の扉のドアを開く。

 

「おかえり、響。あれ? クリスに切歌ちゃんもどうしたの?」

 

未来さんはきっとあたしとクリス先輩が乗り込んできた理由を知っているはずなのに……それなのに、こんな温かい笑顔を浮かべられる未来さんはーー。

 

「未来さんの笑顔に悪魔だって真っ青顔デス」

「お、お前な……」

「へ? へ? 何で未来の笑顔が悪魔だって真っ青顔なの?」

「はぁ……。今この場所にはバカしかいないのか」

 

疲れたようにそういうクリス先輩。

確かにここに辿り着くまでに、クリス先輩は至る所で律儀にツッコんでいたからそれは疲れてしまうだろう。

 

へ? 違うデス?

お前もバカと一緒に引っ込んでろ?

クリス先輩、何だが酷いデス。

 

「おい、こいつじゃ吐きそうにないからお前に聞くな。お粥に変な薬入れたの、お前達か?」

 

クリス先輩の問いにキッチンに立ち、あたふたしていたセレナが観念したように言う。

 

「は、はい……小日向さんに言われて……そのごめんなさい……」

 

おずおずと差し出される怪しい薬の瓶の量にあたしもクリス先輩もあの酔っ払い達よりも絶句して、未来さんをマジマジと見る。

そんな私たちの視線に未来さんは可愛らしくテヘッと舌を出していた。

 

「これぞまさに地獄からテヘペロちゃんデス」

「そ、そうだな」

 

クリス先輩はそういうと怪しい薬を回収した後に、お粥を作ると慎重に歌兎がいるリビングへと持っていこうとした時だった。

 

「見てくれ、雪音!私なりに整理整頓なるものを実行してみーーあっ」

「ひゃあ!?」

「……へ?」

 

突然、翼さんに声をかけられ、肩を叩かれたクリス先輩がびっくりして可愛い悲鳴をあげて、慎重に持っていたアッツアツなお粥がよそってあるお盆を勢いよくひっくり返してしまい、その中身は綺麗な円を描き、あたしへとーー。

 

「あっちちちっ、あっちちっデス」

 

頭から服にかけて、アッツアツの粥まみれになったあたしは大慌てで服を脱ごうと裾を掴もうする前に翼さんの手があたしの服を掴む。

 

「火傷してはいけない。服を脱がせるぞ、切歌」

「デデデっ!? 翼さんっ!? なっ、何を!!」

「元はというと、私の不始末が招いた事だ。それに切歌に火傷をさせたなのとなると、歌兎とマリア達に申し訳が立たないからな」

「いいい、いいデスっ。自分でするデスからっ」

 

翼さんの手を振りのけたあたしはリビングへと走っていき、もうすっかり出来上がった様子のマリアから服を借りることで火傷は低度ですみ、歌兎もみんなの……っていうよりもクリス先輩と調、あたしの頑張りによって風邪が治ったのだった––––。




ということで、約7000文字ちょいのしょーもない話どうだったでしょうか?

シンフォギアらしいドタバタと騒がしい感じとスピード感が出せていたならば嬉しく思います。


さて、少しこの話について語らせてもらうとーー最初にこの話を書こうと思ったのは、私がくしゃみをしている時に【歌兎のくしゃみが『でっすっ』だったから可愛いだろうな】って思った事からでした。

そこから、戦姫絶笑RADIOを聴いたりして、話に糊付けをして……お披露目になったという感じデス。


切ちゃんに可愛いを熱く語ってもらったり、マリアさん&奏さん年長チームを酔っ払いにしたり、セレナちゃん&未来ちゃんチームを怪しい薬を使うやばい人扱いしたり、翼さん&クリスちゃんを最後の最後でドジっ子キャラにしたり、響ちゃんを『バカビキ』とか書いてしまったりしたけれども……まずは一つだけ、それぞれのキャラのファンの皆様すいません!!(汗)
偶にはこういうぶっ飛んだのもいいかなぁーと思い、書かせてもらいました!

機会があり、話のネタがあれば後々に……ではでは。

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