来てくれ‥‥頼むからぁ‥‥この通りだから‥‥切ちゃん‥‥(高速土下座を繰り返す私)
と、祈願の念はここまでにして‥‥今回の話の説明をします。
今回の話のサブタイトルは『陽菜荼の誘惑』ってなっていまして‥‥私なりにドキドキ、キュンキュン出来るように話をなるべく詰め込みましたっ!!
なので、読書の方も切ちゃん共に小悪魔・陽菜荼にキュンキュンしてくださると嬉しいです!!
では、本編をどーぞ!!
「‥‥姉様、陽菜荼。留守番よろしくね」
と歌兎が友達の紅里ちゃんと美留ちゃんの二人を伴い、丁度きれていたお菓子を買いに近くのスーパーに買い物に出かけている間、あたしと陽菜荼ちゃんはやりかけのままにしてあったテレビゲームを一緒にプレイしていた。
そう、プレイしていたはずなのにーー
「キリねぇ‥‥はやく‥‥咥えてよ‥‥」
ーー何でそんな事になっているんデスかぁ‥‥
年相応の幼さを残しつつも色っぽさを感じさせるアルト寄りの声‥‥
上目遣いに見つめてくる空のように澄んだ蒼い‥‥何か期待を含んだ潤んだ瞳‥‥
将来美人と言われる事が決まっているかのように適度に整った顔立ち‥‥
薄くスライドしたジャガイモをはちみつとバターを混ぜたスパイスで味付けしたものを若々しくぷるんぷるんと彼女が喋るたびに揺れる桜色の唇‥‥
13歳とは思えないくらいにサラッと細身ながらに引き締まった制服に包まれた幼い肢体‥‥
そのどれもが幼く、触れれば壊れてしまうくらい細い‥‥華奢だからこそ強く拒否することもできずに、あたしは3歳下の子に攻められていた。
陽菜荼ちゃんの左手があたしの肩に置かれ、右手はあたしの左手首を上から押さえつけて、右太ももに座った陽菜荼ちゃんが軽く咥えたお菓子をあたしへと突き出している。
「どうしたの、キリねぇ‥‥?」
そう言い、小首を傾げる陽菜荼ちゃんは年相応に可愛い。
しかし、その彼女が作ったポッキーゲームならぬポテトチップスゲームにあたしは冷や汗‥‥脂汗がだらだらと背中を伝っていた。
あんな小さなポテトチップスの両脇を咥えるなんて‥‥それだけでも顔が近くて、お互いに吐き出す息すらも肌で感じてしまうだろう。
危険と犯罪の匂いしか漂わないポテトチップスゲームをする気満々な陽菜荼ちゃんにあたしは冷や汗を流しながら掠れた声で尋ねる。
「そ、その本当にするデスか?このゲーム」
「ん、だって面白そうじゃん」
そう無邪気に笑う陽菜荼ちゃんは可愛い、だがしかしそんな天真爛漫な子と二人きりでソファの上に密着して座り唇が触れてしまうかもしれないゲームをしようとしている。
(こんなのあかんデス)
そう、あかん。
あかんの三つ文字にかかる。
もしも、限りなくゼロに近いもしもなのだが、唇が触れてしまって‥‥歯止めが効かなくなり、その先に行ってしまったならば、あたしは歌兎にも調にも顔向けできない。
(ということで、絶対やめさせるデス)
「ほ、他のことしませんか?陽菜荼ちゃん。この遊びはお終いにして‥‥あたし、陽菜荼ちゃんに手伝ってほしい、エネミーがいるんデスよ」
目の前の期待を含む蒼い瞳から視線を逸らしたあたしの視界の端で口に咥えたポテトチップスを開いた右手で取った陽菜荼ちゃんは安堵するあたしの耳元でやけに色っぽい声で誘惑してくる。
「キリねぇ‥‥もしかして、事故で唇が触れちゃったことのことを気にしてるの‥‥?そんなの気にしないでいいよ、これは単なるゲームをなんだよ。だから、気楽な気持ちであたしと遊んで欲しい。
それにーー」
(ごくん‥‥)
気付くとそう生唾を飲み込み、あたしは視線を横へと向けて、そして息が止まった。
そこには大きめの瞳を細めて、妖艶に笑う一人の少女が居たのだから‥‥。
彼女から囁かれるセリフは蜜のように甘く、どろりと粘っこくあたしの中へと入り込んでいく。
「ーーキリねぇになら、あたしの初めてあげても‥‥いいよ」
幼い少女が放った色香に当てられたあたしはただただ彼女が再び咥えなおした唇で軽く挟むくらいにしているポテトチップスに釘付けになっていた。
間近にある蒼い瞳があたしの顔を見た後にポテトチップスの端を見る。
その仕草に誘われるようにふらふらっとあたしはパクパクと空気を吸い込むだけだった震える唇をゆっくりとあげると小さくポテトチップスの端へと齧り付く。
「‥‥パク」
カリッと怖いほどに静まった部屋の中へと響き渡る。
ドクンドクンと馬鹿みたいに煩い心臓音の中、交互に齧っていくあたしと陽菜荼ちゃんの咀嚼音だけがハッキリと聞こえ、あたしの視線は若々しく咀嚼する度にぷるんぷるんと揺れる唇にくぎつけになっていた。
いつの間にか小さくなっていたポテトチップスにだんだんと焦ってくるあたし。
(こ、これ‥‥本当に唇触れちゃうデスよっ!?)
本当にこれは遊び‥‥ゲームなのだろうか?
こんなにバクバクと煩い心臓音は‥‥ゲームによるものなんだろうか?
もう何が何だかわからなくなり、テンパり出すあたしを目の前に迫った蒼い瞳が先を促す‥‥
そして、あたしは暫し躊躇した後に数センチとなったポテトチップスに齧り付き、遂に唇がふれあーー
「ーー」
ーーう前に何者かによって後頭部をおもっきり叩かれた陽菜荼ちゃんがあたしの方へと倒れ込んでくる。
「あだっ!?」
その際、僅かに触れてしまった陽菜荼ちゃんの唇の感触‥‥小さいのにしっかり柔らかくぷるんと瑞々しい感触にあたしの目を回してる間に陽菜荼ちゃんは後頭部を抑えながら、身体を起こすと勢いよく後ろを向く。
「いった‥‥あと少しでいいところだったのに‥‥誰だよ、邪魔したの!‥‥あっ」
「いいところ?ふぅーん、そんなにいいところだったんだ。ごめんね、邪魔しちゃって‥‥いいよ、ここでジィーーっと見ててあげるから。続きして」
何処から持ってきたのか、分からないハリセンをパンパンと小刻みにテンポよく左掌に叩きつけながら、歌兎は眠たそうに見開かれた黄緑色の瞳へと絶対零度のような冷たさを持つ光を放ちながら、あたしの上に座っている陽菜荼ちゃんを見下ろしている。
「‥‥そこに立っておられるのは歌兎さんであらせられますか?」
「へぇー、僕は陽菜荼には暁歌兎にすら見えないんだ?」
絶対零度がマイナス50℃くらいになった時には陽菜荼ちゃんはあたしから飛び降りると歌兎の目の前で美しい土下座を繰り返していた。
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい。ウタのお姉ちゃんのいじめがいがありそうって思うっていじめているといい反応してくれるから、楽しくなっちゃってーー」
「ーー誰が"僕の"姉様に手を出していいって言ったの?ねぇ、陽菜荼」
「ひぃ‥‥」
その後、歌兎にこびっとく怒られた陽菜荼ちゃんはあたしから一番離れた席に座らされ、首から《あたしはドスケベ泥棒猫です》っていうプレートを下げられ、チビチビとお菓子を意気消沈した様子で食べていた。
そして、被害者であろうあたしの頬へとキスを落とした歌兎は拗ねたような顔を浮かべると
「‥‥これは浮気した姉様へのお仕置き」
と呟いて、友達の所へと歩いて行ったのだった。そして、残されたあたしはボッと頬を赤くすると五人分の食器を無心で洗い続けたのだった‥‥‥
いつも姉様が嫉妬するので、偶には歌兎から嫉妬をしてもいいかなぁ〜と思って書いた話ですが‥‥どうだったでしょうか?
私が作中の中で好きなシーンは、ポテトチップスゲームの時の切ちゃんと陽菜荼のところが好きです。
きっとドキドキが止まらなかった切ちゃんと違い、陽菜荼は平然としていたと思います(笑)
彼女の目的は切ちゃんをいじり、反応を楽しむ事ですので‥‥多少、唇が触れてしまっても狼狽する切ちゃんと違い、『あはは、キスしちゃったね、キリねぇ』と無邪気笑うだけかと(笑)
また、次回はお泊まり会となっており‥‥切ちゃんは違う子にドキドキさせられることにーー気が休まらない!(笑)
気が休まらないといえば、明日の夕方17時は私は気が休まらないですね。
なんとか20回は回せるくらいはあるので‥‥その間に当たってくれると嬉しいのですが、こればかりは運を信じるしかないですねっ‥‥